2011年8月25日

◎ 結核-イタリア 院内感染

◎ 結核-イタリア
PRO/EDR> Tuberculosis, latent, nosocomial, infants - Italy: (Rome)
Archive Number: 20110825.2587
[1] 新生児室看護師の結核感染判明
 情報源 Corriere Della Sera [in Italian]、2011年8月18日。
約1000人の乳児が結核 Tuberculosis に感染した可能性がある。ローマ Rome で最高と考えられている the Gemelli Polyclinic の新生児室の看護師1名が結核に感染していたことが判明した。この看護師は勤務をはずされ結核の標準治療を受けており,結核感染のリスクは高くないと説明されているが,保護者らの不安は消えない。3月初旬から7月中旬までの間にこの病院で出生した新生児およそ1000人については、検査が受けられるよう手配されている。"The infants' blood について結核菌への免疫反応を見る Quantiferon を用いた検査を行っている" と説明されている。
[Mod.ML- QuantiFERON-TB Gold は米国・食品医薬品局 the US Food and Drug Administration (FDA) が認可する結核菌 _Mycobacterium tuberculosis_ 感染の有無を調べるための血液検査で、ツベルクリン反応の代わりに使われている。この検査(の原理) は、全血に結核菌に特異的に結合する蛋白を加えて24時間培養し、感作されたリンパ球から放出されるインターフェロンγ の計測である。24時間以内に結果が得られ、以前に受けた prior BCG (bacillus Calmette-Guerin) vaccination の影響を受けない]
[2] 少なくとも10人の新生児が結核菌に曝露した
 情報源 La Gazzetta del Mezzogiorno 、2011年8月24日。
最近 Rome's Gemelli hospital で出産された、少なくとも10人の新生児が結核 tuberculosis [TB] に感染していたことが Lazio 州当局により確認された。保健当局者は、3月から7月まで新生児病棟に勤務していた38歳の看護師の結核検査が陽性となったことを受け、新生児のスクリーニング検査を指示した。現在この看護師は、別の病院で治療を受けている。TB に対する予防接種を受けていたこの女性が、どこでどのようにして感染したかは分かっていない。”乳児らには感染性はなく健康で、結核菌に暴露したことを示す検査が陽性であったに過ぎない。もし発症するとすれば、予防治療が直ちに受けられなかった場合に限られる。この乳児らに対して(予防治療が)実施される" と病院側は説明している。当局はこの間に生まれた1271人の乳児の家族に対してスクリーニング検査のための連絡を行っており、8月末までに検査を終了させるため、1日当たりの検査実施人数を 25人から 150人に増強した。このほかにも、生後5か月の乳児1名が結核菌検査陽性のため Bambino Gesu hospital に入院となったが、同看護師への曝露の可能性は明らかではない。
[Mod.ML- 結核 Tuberculosis (TB) は通常直径 about 1-5 microns で、1ないし2個の結核菌を含む aerosolized droplet nuclei により感染拡大する。飛沫核 Droplet nuclei は活動性の肺感染、特に空洞形成型の患者が咳やくしゃみなどした時に撒き散らされる; the airborne particles は数時間にわたって空気中に存在し、気流により運ばれる。記事には記載がなかったが、複数の乳児に感染があることからこの看護師はおそらく active, most likely cavitary, TB だったと考えられる。乳児らが発症しているとは書かれていないので latent TB infection (LTBI) だったと考えられる。しかし5才未満の LTBI は primary TB とその後遺症、粟粒結核、結核性髄膜炎に進展するリスクが高いため、active TB に曝露したすべての小児に対して、直ちに LTBI の評価を行わなければならない。接触者の追跡等が困難であるため、2003年の a TB-infected nurse in New York City に関する CDC の報告 (MMWR) の中で、毎年医療従事者 healthcare workers (HCWs) の LTBI のスクリーニングのために tuberculin skin test (TST) または interferon gamma release assays (IGRAs) による検査を行うことの重要性が強調されている。HCWs が以前に BCG bacillus Calmette-Guerin (BCG) vaccination を受けている場合にも必要である。
BCG vaccination は TB が蔓延する多くの途上国において小児の髄膜炎と粟粒結核 TB meningitis and miliary disease 予防の目的で実施されている。途上国出身の HCWs では、しばしば幼児期の BCG vaccination によるツ反陽性を経験する。しかし、結核に感染しなければ BDG によるツベルクリン反応は年々減弱するため、10年以上残存する可能性は低い。現在のガイドラインでは TST result が10mmを超える HCWs に対し,特に5年以内に TB の高蔓延国から移動してきた場合には LTBI treatment 治療を検討することになっている。BCG を受けたことがあるか否かは、LTBI の治療の決定の際には考慮されず、毎年行う TB スクリーニング検査で職員が positive TST results であった場合には、医療機関は LTBI treatment を進んで行うべきである。いずれの場合でも TST の代わりに IGRAs を使用して差し支えない。IGRAS の結果は prior BCG vaccination の影響を受けない。臨床症状が非特異的で、微生物学的確定診断を得ることが困難であり、ツベルクリン反応の信頼性が低いことなどから、周産期の結核診断は難しい。The CDC は胸部 X 線検査に異常がない場合でも5歳未満の TST-negative children に LTBI treatment を開始すべきとしている。3か月後に行う the 2nd TST の結果と他の医学的評価がそろうまで治療は継続される。the 2nd TST result が negative であったなら治療を終了することができる。5才未満の小児対する検査としては TST が優先される。これは、この年齢層に関する the use of IGRAs のデータが十分ではないためである (MMWR)]
地図 Lazio is a region of west central Italy, in which Rome, capital of Italy

● ウエストナイルウイルス-ギリシャ
PRO/AH/EDR> West Nile virus - Eurasia (08): Greece, human, equine 20110825.2595
 情報源 Eurosurveillance、2011年8月25日。
原著 Ongoing outbreak of West Nile virus infection in humans, Greece, July - August 2011.
要約
2011年7月16日から8月21日にかけて、ギリシャの4つの地域で、31例のウエストナイルウイルス West Nile virus 性神経侵襲疾患の患者が報告された。このうち 17例は、2010年には患者が報告されていなかった地域で発生した。(2010年の大規模流行に続いて)2年連続してヒトの感染が発生し、新たな地域にウイルス感染が拡大したことから、ギリシャ国内にウエストナイルウイルス感染が定着し、今後も感染発生が継続すると考えられる

● インフルエンザ オーストラリア,H275Y mutation cluster
PRO/EDR> Influenza (50): Australia (NS) H275Y mutation cluster 20110825.259
 投稿者 豪・Hunter New England Population Health、Kate Hardie、2011年8月24日。ニューサウスウェールズ New South Wales (NSW) 州 the Hunter region において、2011年 5月から 8月にかけて、オセルタミビル耐性インフルエンザウイルス感染 oseltamivir-resistant A(H1N1) 2009 influenza cases が発生した。the Hunter New England region の184の A(H1N1)2009 cases のうち25件 (14%) のウイルスがノイラミニダーゼ のアミノ酸置換 the H275Y substitution による oseltamivir sensitivity 低下が認められた。N1 neuraminidases 内の The H275Y mutation は、以前からオセルタミビル耐性に関与することが報告されている、よく知られた置換であり oseltamivir resistant pre-pandemic seasonal A(H1N1) virus で確認されている。初期の患者16人中15人が、地域の中心地である Newcastle から半径 50km 圏内に住んでいた。聞き取り調査ができた25人中16人は、検体採取以前にオセルタミビルを投与されたことがなかった。検体採取時に入院中であったのは5人のみで、16人はいずれも免疫異常はなく、3人が妊娠中だった。ICU 入院や死亡はなかった。

● A 型肝炎-ブルガリア
PRO/EDR> Hepatitis A - Bulgaria: (PD) Roma 20110825.2593
 情報源 Novinite.com、2011年8月25日。
ブルガリア南部 Plovdiv 市の保健当局 The Regional Health Inspectorate は、8月に 144人の 肝炎の患者を確認した。144人のうち 34人は、市内のロマ人居住区 Roma ghetto, Stolipinovo.の住民であった。患者の多くがロマ人とその子どもの A 型肝炎 Hepatitis A であったが、10人に B および C 型肝炎の疑いがあった。患者間の疫学的関連性については確認されていない。ごみ収集を頻回に行い、ゴミ集積場の消毒を行うなどの対策が実施される。
* Plovdiv is the 2nd-largest city in Bulgaria after Sofia (the capital), with a population of 338 153 [1]. Plovdiv is in the southern part of the Plovdiv Plain on the 2 banks of the Maritsa River.

● 化学兵器-シリア
PRO/EDR> Chemical weapons - Syria: alert 20110825.2590
 情報源 Foreign Policy、2011年8月23日。
混乱が続く、米国が大量の化学兵器を所有すると見ている国の1つであるシリアからの、VX gas 等の流出に関する懸念など

● ニンニクの病気,Potato rot nematode (線虫)-カナダ
PRO/PL> Potato rot nematode, garlic - Canada: (ON) 20110825.2589
Potato pest investigation
 情報源 FreshPlaza、2011年8月24日。
オタワ Ottawa の小規模 garlic farm で発生した potato rot nematode の感染経路の調査は、可能性はかなり低いものの Prince Edward Island [PEI] にまで拡げられることとなった。PEI はカナダ国内で過去にこの線虫が確認された唯一の地域である。しかし、1940年代以降、発生地域に対して検疫が実施されている。このため、当局 the Canadian Food Inspection Agency [CFIA] は PEI に由来した可能性は低いと考えている
[Mod.DHA- Potato rot (or tuber) nematode (PRN), _Ditylenchus destructor_による深刻な被害が、一部の温帯地域のポテト栽培地域から報告されている。ニンジン、タマネギ、ビート、parsnips、トマト、ピーナッツ、ホップ、lucerne やその他の様々な植物にも感染する]

● ウシ結核-英国: アルパカ
PRO/AH/EDR> Bovine tuberculosis - UK: alpaca, mastitis, implications 20110825.2588
 情報源 Veterinary Record (Letters) 2011[subscription required for full article] 、2011年8月24日。
原著 _Mycobacterium bovis_ mastitis in an alpaca and its implications. Vet Rec 2011; 169(8): 214 doi:10.1136/vr.d5287]
英国内の South American camelids (ラクダ科の動物) の病気として結核 Tuberculosis (TB) がよく知られており、近年感染が発生する農場数が増加している ... アルパカ alpaca の乳腺の結核感染を確認したので、感染拡大と所有者、飼育者、獣医師らへの人獣共通感染のリスクなどの影響について報告する

● 東部ウマ脳炎-米国
PRO/AH/EDR> Eastern equine encephalitis - USA (08): (WI) equine 20110825.2586
 情報源 Wisconsin Ag Connection、2011年8月23日。
2011年2例目の東部ウマ脳炎 eastern equine encephalitis [EEE] が確認された。ウィスコンシン Wisconsin 州獣医官は、州北西部の2つの郡 (Price County、Taylor County) で、2頭のウマが感染したことを明らかにした