2011年8月24日

水痘-オーストラリア
ドウモイ酸、イルカ、アシカ-米国

● 東部ウマ脳炎-米国
PRO/AH/EDR> Eastern equine encephalitis - USA (07): canine, human, equine
Archive Number: 20110824.2583
[1] New York: canine, human
 情報源 NewsChannel 9, WSYR-TV、2011年8月18日。
Oswego County で小児1名とイヌ1頭が東部ウマ脳炎 eastern equine encephalitis, better known as EEE で死亡したことにより、住民らに公衆衛生上の危機が存在することが公式に示された。計画中の蚊族駆除のための噴霧消毒作業は、天候を待って行われることになっている。最も優先される地域は the Toad Harbor-Central Square area である。貴方と家族、そしてペットにも注意を配らなければならない
[2] North Carolina: equine
 情報源 WITN.com、2011年8月22日。
Halifax County の4歳馬1頭が、2011年の州内初となる東部ウマ脳炎に感染し、安楽死処分させられた

● 日本脳炎-インド
PRO/AH/EDR> Japanese encephalitis and other - India (13): (AS) 20110824.2582
 情報源 Bombay News、2011年8月23日。
8月9日時点で、2011年のアッサム Assam 州において、日本脳炎 Japanese encephalitis による死者89人、感染者351人が報告されていることが、州保健当局者 Minister of State for Health and Family and Welfare の話で分かった ...
[Mod.TY- 他の報告と異なり、原因不明の cases of "acute encephalitis syndrome" の記載はない。代わりにいずれも日本脳炎 Japanese encephalitis virus. による患者とされている]

● 水痘-オーストラリア
PRO/EDR> Chickenpox - Australia: (WA) school children 20110824.2581
 情報源 The West Australian、2011年8月24日。
2011年のパース Perth で水痘 Chickenpox ワクチンを接種された児童も含む学校内での感染流行が発生し、患者が急増している。最新の数字では年初から8月12日までに報告があったのは176 cases of chickenpox だった。前年同期の患者数は120 cases であった。airborne droplets により感染する水痘に感染すると、小水疱、発疹と軽度の発熱が見られる。teenagers and adults では死亡する可能性もある脳炎や肺炎など合併症が見られたり、妊娠女性では先天奇形や胎児死亡のリスクが上昇したりする。Western Australian children は、生後18ヶ月と Year 7 at school に無料でワクチン chickenpox vaccine を受けられる。 "1回の varicella vaccine で約 80-85 per cent protection が得られるが、言い換えると、流行時には一部の vaccinated children が chickenpox に感染する可能性がある" と23日に当局者は説明した上で "unvaccinated children より軽症化する" と述べた。導入されて間もないため多くの小児の多くがワクチンを受けておらず chickenpox outbreaks が継続しているという。23日にも 5 children at John Septimus Roe School の chickenpox 感染が報告されている。保護者に対し、発疹が現れ痂皮が形成されてから少なくとも5日間は学校に登校させないよう呼びかけられている。
[Mod.CP- 水痘 Chickenpox (varicella) はヘルペスウイルスの Varicella virus を原因とし、温帯地方の小児を中心に世界中で発生が確認されている。highly infectious で直接の接触や、咳やくしゃみ、aerosolisation of virus from skin lesions などにより感染が拡大する。発疹の現れる1-2日前からすべての痂皮 scabs が形成されるまで contagious の状態にあり、曝露から発症するまで 10-21 days かかる。1回の水痘ワクチンを接種された人のうちおよそ15-20%は、ウイルスに暴露した場合に水痘を発症する get chickenpox が、通常は軽くすむ。2006年、米国予防接種諮問委員会 the US Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP) はすべての小児に対する routine 2-dose varicella vaccination を勧めている。ワクチンを接種されていない小児の場合の病悩期間はおよそ5-10日間であることが多い。学校や幼稚園を5-6日欠席することとなり、高熱、激しい痒み、不快な発疹、脱水や頭痛などの症状が認められる。さらに unvaccinated children の10人に1人が、水痘感染により医療機関を受診する必要に迫られるような重篤な合併症を経験する。皮膚病変の感染、二次感染症、嘔吐や下痢による脱水などであり、より重症なものとしては肺炎や脳炎がある。重症化しやすいグループとして、成人、乳児、青年と免疫不全の患者が挙げられる]

● ダニ媒介性回帰熱-米国
PRO/AH/EDR> Tick-borne relapsing fever - USA (02): discussion 20110824.2580
 情報源 Gideon Online、2011年8月24日。
Time and Place:
 - 米国では、1915 年に Colorado.ではじめて報告された
 - Peak incidence は夏、with 47 % of cases from July to August.
 - most common in Arizona, California, Colorado and Oregon.
 - Sporadic cases are reported from Idaho, Kansas, Montana, Nebraska, New Mexico, Oklahoma, Texas, Utah, Washington and Wyoming.
 - Most cases occur in the Cascade, Rocky Mountain, San Bernadino and Sierra Nevada ranges.
 - 40 percent of cases involve tourists to endemic areas (1977 to 2000). ...
Infecting species:
 - _Borrelia hermsii_ (vector _Ornithodoros hermsii_) and _B. coriaceae_ in the western region.
 - _B. turicatae_ (vector _O. turicatae_) in the southwest. There is also evidence for the existence of _Borrelia turicatae_ in FL.
 - _B. parkeri_ (vector _O. parkeri_) in the west.
 - _B. mazzottii_ (vector _O. talaje_) in the south.
 - _B. miyamotoi_ has been identified in ixodid ticks (_Ixodes pacificus_) in CA (2006 publication).
 - _B. coriaceae_ has been identified in _Ornithodoros coriaceus_, a common parasite of livestock in the western USA.
Notes regarding transmission:
 - _Ornithodoros hermsii_ は夜行性で 20 to 90 minutes 以内に吸血するため、the tick bite が自覚されることは、まれ
 - _B. hermsii_ is maintained in small sylvatic rodents, notably chipmunks (_Tamias_ spp.) and pine squirrels (_Tamiascuirus_ spp.) above 1000 meters elevation.  
関連項目
Tick-borne relapsing fever - USA: (CO) youth camp, alert 20110823.2564

● ボツリヌス症-チリ,アルゼンチンから
PRO/EDR> Botulism - Chile: (Santiago) ex Argentina (CH) restaurant pizza 20110824.2579
 投稿者 チリ・Universidad de Valparaiso、 Dr. Thomas Weitze、2011年8月24日。
7月27日、サンチアゴ Santiago の軍病院に、アルゼンチンの Esquel から詳しい診断と治療のために2名の患者が搬送されてきた。45歳の父親と15歳の息子のチリ人の親子で、休暇で Patagonia を旅行し Rio Mayo, Chubut province のレストランでピザを食べた12時間後に、急性の嘔吐、下痢、複視の症状を訴えた。同じものを食べた他の家族3人には症状はなかった。症状が悪化したため現地の病院に入院となり、父親には顔面麻痺、嚥下困難、挿管と人工呼吸を必要とする呼吸不全を伴う全身性の麻痺が現れた。ボツリヌス症 Botulism が疑われ、サンチアゴに搬送され、ボツリヌス抗毒素 botulism specific antiserum による治療が行われている。現在も挿管中であるが、神経症状は改善しつつある。マウス接種検査 (Instituto Malbran, Buenos Aires, Argentina) 陽性により、父親の血液中にボツリヌス毒が検出され、ボツリヌス食中毒と確定診断された。

● 炭疽ー中国
PRO/AH/EDR> Anthrax - China (04): (LN) 20110824.2578
 情報源 Xinhua News Agency、2011年8月23日。
保健当局は23日、遼寧省 Liaoning Province で 2人が皮膚 Anthrax 炭疽と確認され、ほか33人にも感染の疑いがあることを明らかにした。中央検査機関で細胞検体を検査した結果、いずれも Niuzhuang Township, Haicheng City の住民である2人の患者が陽性であることが確認されたと述べた。感染が疑われる患者が Haicheng から初めて報告されたのは 6日で、感染及び感染疑いの35例の患者は全員が入院となった。この11日間は新たな患者は報告されていない。患者らは、感染したウシと皮膚との接触により感染したと見られている。これまでに551頭のウシが処分され、2350 (個? 種類?) の beef products の市場での販売で止められている。死者は発生していない。
[Mod.MHJ- 本当に新たな皮膚感染例が発生していないのか,症例数についての journalistic drift (マスコミが飽きたこと?) を見ているのか分からないが、おそらく後者だろう。'551' cattle が処分されたと報道されたことで、この獣医学上の恥ずべき出来事 [そして十分に予防可能な疾患に数名のヒトも感染した] が、かくも多数の家畜を不必要に処分する行為を生んでしまったことが分かった。炭疽は contagious disease 伝染性疾患ではない。群れの他の動物を死体や血の付いた土壌に近づけたのでなければ、発端症例の発生後に発病したり瀕死の状態になった動物は基本的にすべて炭疽に感染しているのである -- ウシは塩を舐めるのが好きなため、血液に誘われやすく危険である。post-outbreak control の重要ポイントは潜在性感染 incubating disease の疑いのあるすべての動物を長時間作用型の抗生物質で治療し、それ以外には直ちにワクチンを接種することである。1頭でも感染が発生したということは、群れ全体が unprotected and unvaccinated の状態であることを証明している。処分前の死体のある場所から群れを離し、すぐにワクチンを接種すべきである。炭疽ワクチンはすべて生ワクチンであるので、抗生物質で治療する場合は7-10日後にワクチンを接種する必要がある。接触のあった家畜を処分することは時間の無駄であり、次に予期せぬ死亡が起きた場合に所有者が獣医師を呼ばない結果を招く。結局、短期的にも長期的にも、高くついてしまう]

● 狂犬病-米国
PRO/EDR> Rabies - USA: (NY) soldier, RFI 20110824.2577
 情報源 Syracuse.com, ex The Post-Standard 、2011年8月24日。
a Fort Drum soldier の狂犬病 Rabies 感染経路を調査中の軍当局は 24日、国外駐留の間に感染したものと見られるとの見解を示した。ニューヨーク New York State で狂犬病に感染したのではなく,最近の海外での軍務 a recent overseas deployment の間の感染と思われると発表された。19日に狂犬病と診断され、現在治療中である。兵士の濃厚接触者は post-exposure rabies vaccination の必要性について検討するよう呼びかけられている

● 大腸菌 O157-英国
PRO/AH/EDR> E. coli O157 - UK (02): (England) day care 20110824.2576
 情報源 Gazette Live、2011年8月24日。
病院内保育施設 hospital nursery で大腸菌 E. coli の集団感染が発生し、小児27人と成人1名の感染が確認されている。James Cook University Hospital in Middlesbrough 内の Playdays day nursery の園児のうち、15日の週に5人の _E. coli_ O157 検査が陽性となった後、4人にも _E. coli_ O157 bacterium に感染した疑いがもたれている ...
[Mod.LL- 27人もの感染が発生していることから、自宅で感染した菌を園児が持ち込んだのではなく、a food vehicle at the day care center が感染源であった可能性が高い]

● マラリア-ベネズエラ,コロンビアから
PRO/EDR> Malaria - Venezuela: (ZU) ex Colombia (LG) 20110824.2573
 情報源 Noticia al Dia [in Spanish]、2011年8月18日。
the Colombian Guajira region 由来のマラリア Malaria 感染流行により、Zulia 州でこれまでに139例のマラリア患者が確認されている。139人の患者のうち国内での感染例は1例のみで、他の患者はコロンビアを訪れた際に感染したことが the Regional Health Secretary により明らかにされた。現時点で患者の発生は Machiques and Sucre 両市に限られている ... 確認されているマラリア原虫は三日熱マラリア _Plasmodium vivax_ で、一般に見られる良性のものであるが、医師の診察を仰ぐよう勧告されている。
[Mod.EP- The 138 patients は the neighboring Colombian department (state or province equivalent) of La Guajira において感染したとされており、20110807.2388 で報告されていた感染流行は、これまでにない more severe で拡大が続いていることが示唆される。the Venezuelan authorities が行っている、患者を集めて隔離する方法は尋常ではない extraordinary ものの、患者及び gametocyte carriers から local mosquitoes に感染させないことは重要である。他の方法として the gametocytes を死滅させるプリマキン primaquine の服用がある]

● ブルセラ症、イヌ-スウェーデン,ポーランドから
PRO/AH/EDR> PRO>Brucellosis, canine - Sweden: 1st rep, ex Poland 20110824.2575
1st case of _Brucella canis_ in Sweden
 情報源 Swedish Board of Agriculture press release [in Swedish]、2011年8月23日。
イヌの病気であるイヌ・ブルセラ菌 _Brucella canis_ がスウェーデン国内で初めて確認された。この細菌にイヌが感染すると流産や不妊症となり、まれではあるがヒトに感染することもある。感染したメスのイヌは殺処分された。この感染症例はポーランドで交配され輸入された an American Staffordshire terrier-bitch で、2011年6月に流産した際の検体から感染が判明した。7月に the National Veterinary Institute (SVA) で行われた検査で _B. canis_ が陽性となり、農業当局が感染防止策として直ちに処分することを決めた。このメスのイヌを感染させたと見られるオスイヌはセルビア産で、感染症状である生殖能力の低下が見られていた。このオスイヌは、現在スウェーデン国内にいる

● Wheat stem rust 小麦黒さび病-ジンバブエ、モザンビーク
PRO/PL> Wheat stem rust, Ug99 group - Zimbabwe, Mozambique: new races 20110824.2574
 情報源 Plant Disease、2011年9月0日。
原著
Detection of variants of wheat stem rust race Ug99 (_Puccinia graminis_ f. sp. _tritici_) in Zimbabwe and Mozambique. Plant Disease (2011) 95, 1188; DOI: 10.1094/PDIS-04-11-0300
世界中の栽培小麦にとって The migration of Ug99 variants of _Puccinia graminis_ f. sp. _tritici_ の影響が懸念される中 7 races が the Ug99 lineage の特徴を有しており、このうち 3 種類が South Africa で確認された。ジンバブエとモザンビークで2010年8月と9月に行われた調査 surveys of wheat fields for Ug99 の中で、Chiredzi, Chisumbanje, and Birchenough in Zimbabwe および Rotanda in Mozambique が深刻な stem rust severities 感染状況であることが判明した ...
[Mod.DHA- Wheat stem rust は、真菌の _Puccinia graminis_ f. sp. _tritici_ を原因とし、New races が新興する中現在最も危険であるのが strain Ug99 (discovered in Uganda in 1999) であり、現在栽培されている小麦品種に広く用いられている耐性遺伝子の resistance gene Sr31 も凌ぐ]

● ドウモイ酸、イルカ、アシカ-米国
PRO/AH/EDR> Domoic acid, dolphins, sea lions - USA: (CA) 20110824.2572
Dead dolphins, sea lions found on Oxnard beach; natural neurotoxin blamed
 情報源 Ventura County Star、2011年8月19日。
18日に the Oxnard Beach [north of Fifth Street] で散乱したイルカの死体が発見された。Mandalay Beach の発電所近くで the Channel Islands Marine and Wildlife Institute のボランティアらが死亡した4頭のイルカ dead dolphins と 4頭のアシカ dead sea lions を発見した。大きさはばらばらで、イルカのうちの2頭は小さく子どものようだったと述べた。専門家によると、ドウモイ酸 domoic acid と呼ばれる自然界の神経毒による死亡の可能性が高いと見られている。しばしば発生する赤潮に関係するプランクトンから、ドウモイ酸が産生される ...
[Mod.TG- Domoic acid (an acidic cyanotoxin, a neurotoxic tricarboxylic amino acid structurally related to kainic and glutamic acids) は、ある種の藻類 algal blooms に関連しており、おそらく the diatom _Pseudonitzschia_ が産生すると見られており、別名、記憶喪失性貝毒 amnesic shellfish poison (ASP) とも呼ばれている。Domoic acid の名前は、発見された海草の _Chondria armata_ の和名 'domoi' に由来する。The toxic acid は、phytoplankton, anchovies, sardines, and shellfish などをエサにするアシカなどの海洋生物に蓄積される。もともとは哺乳類に脳や神経障害を与え、重症例では死亡させることもある neurotoxin である。1987年にカナダの Prince Edward Island 沖で捕獲されたムール貝(ムラサキイガイ) blue mussels を食べたことにより、数人の死者と100人以上の患者を発生させている。有毒海藻類 toxic algae bloom of the pennate diatom _Pseudonitzschia pungens_ forma _multiseries_ がムール貝ののエサとして摂取され、食品流通内に domoic acid が混入した結果であることが突き止められた。1991年にも Monterey Bay, California において、カタクチイワシ anchovies が domoic acid を産生する bloom of _Pseudonitzschia australis_ をエサとして食べた結果、このカタクチイワシを食べたペリカンとカワウ cormorants が domoic acid に曝露して死亡している。near-lethal domoic acid exposures の症例では一過性の血清 BUN (blood urea nitrogen) levels の上昇と、海馬の神経変性 neurodegeneration of the hippocampus および 記憶喪失 memory deficits が認められている]