2011年9月19日

インフルエンザ A (H1N1) オセルタミビル耐性、動物の関与

● グラム陰性桿菌-カナダ 、多剤耐性 院内感染
PRO/EDR> Gram negative bacilli, multidrug resistance, nosocomial - Canada: (QC)
Archive Number: 20110919.2852
 情報源 Global News, The Canadian Press report、2011年9月18日。
モントリオール Montreal の the Jewish General 病院において、2010年カナダ国内では初めての高度薬剤耐性を持つ肺炎桿菌 _Klebsiella pneumoniae_ による感染流行が発生した。同菌に対してこれまでカルバペネム系 carbapenems の抗生物質で治療が行われてきたが、近年同種の薬剤に対する耐性が発生し、その耐性発現にかかわる遺伝子成分が他の細菌に転送されて耐性となることも分かってきた。KPC-producing _K. pneumoniae_ と呼ばれ、カルバペネム耐性遺伝子が他の抗生物質に対する耐性を与える一組の遺伝子 a cassette of genes の1つとしてパックされている。同病院内で発生した菌に対して2種類の抗生物質を組み合わせて治療しなければならず、1つは重篤な副作用のある古い薬剤ともう1種類は新しい薬剤であった。いずれ、どの薬剤も効かない KPC が発見される日が来ると恐れられている。実際,2008年に the Ottawa Hospital ですべての抗生物質が無効な肺炎桿菌 KPC-producing _K. pneumoniae_ が3例発生したが、幸いいずれの患者も流行発生にはつながらなかった。しかし、治療は難渋し1人の患者には何もかもが無効だった
関連項目 20110731.2303 
参考情報 Carbapenemases: the Versatile β-Lactamases Clin Microbiol Rev. 2007 Jul; 20(3): 440–458.

● 日本脳炎など-インド
PRO/AH/EDR> Japanese encephalitis & other - India (18): (UP) 20110919.2850
[1] 死者300人
 情報源 IBN Live, Press Trust of India (PTI) report、2011年9月18日。
BRD Medical College Hospital [in Gorakhpur] では、24時間で11人が日本脳炎 Japanese encephalitis [JE; virus] とその水系感染型 its water borne form により死亡し、2011年の死者の数が300人に達した。42人が JE や水系感染のウイルス性脳炎の症状により入院となったと述べた。Gorakhpur, Basti, and Devipatan divisions の264人が現在治療中である。脳炎による死者のうち、JE による死者はわずか 9% にとどまっている。
[2] 小児18人が日本脳炎で死亡
 情報源 Newsonair, Prasar Bharati (Broadcasting Corporation of India)、2011年9月18日。[the story can be found in the archives]
州内東部の各地で小児18人が日本脳炎で死亡した
[3] AES 増加
 情報源 Express India, The Indian Expres、2011年9月19日。
急性脳炎症候群 acute encephalitis syndrome (AES) in Uttar Pradesh (UP) 患者の増加に対応し、体重5kg未満の小児専用の人工呼吸器が送られることとなった。

● インフルエンザ A (H1N1) オセルタミビル耐性、動物の関与
PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1): oseltamivir resistance, animal related 20110919.2849
 情報源 PLoS ONE Journal 12 Sep 2011、2011年9月18日。
原著  Environmental Levels of the Antiviral Oseltamivir Induce Development of Resistance Mutation H274Y in Influenza A/H1N1 Virus in Mallards. PLoS ONE 2911; 6(9): e24742. doi:10.1371/journal.pone.0024742
要約 
Oseltamivir ('Tamiflu') は、インフルエンザ感染に対して最も多く用いられている薬剤で、パンデミック計画の中で世界中の多くの地域で備蓄されている。しかし耐性の問題が浮上し、2008-2009 年には世界のほとんどの地域の季節性インフルエンザ seasonal human influenza A/H1N1 virus strains で耐性の原因となるノイラミニダーゼ遺伝子の変異 the mutation H274Y in the neuraminidase gene が見つかっている。oseltamivir の活性代謝物である oseltamivir carboxylate (OC) は、下水処理施設や地表水中でほとんど変化せず poorly degraded に水生環境中で検出されるため、自然界のウイルス保有腫である dabbling ducks が曝露する可能性がある。このような状況が耐性を産み出している可能性を探る目的で,マガモ mallards に influenza A/H1N1 virus を感染させ、水だけを通じて 80 nanograms/liter, 1 micrograms/liter and 80 micrograms/liter の各濃度の OC に曝露させた。排泄物の検体から採取される the neuraminidase gene の遺伝子配列を解析したことろ、micrograms/liter of OC の群で H274Y が確認され、80 micrograms/liter では直ちに ウイルス群内で優位となった。ノイラミニダーゼ阻止アッセイによる50%発育阻止濃度 IC50 [half maximal inhibitory concentration] for OC は、野生株が 2-4 nanomoles であったのに対し、H274Y mutants では 400-700 nanomoles にまで増加した。H274Y が含まれるヒトの臨床分離ウイルス株で認められていた OC 感受性の低下に一致する現象である。季節性インフルエンザ流行中に測定された、環境中の OC levels は 58-293 nanograms/literであり、パンデミックでは microgram/liter-levels に達することも予想される。従って、野生のダックの間に感染循環するインフルエンザウイルスの耐性を誘導する可能性も否定できない。インフルエンザウイルスは、種の壁を飛び越えることもあるため、オセルタミビル耐性がヒトに適応するウイルス株に拡大し、オセルタミビルが効かないパンデックが発生する恐れもある ... lower environmental levels of OC や prudent use of antivirals の重要性を訴えたい。

● デング熱/デング出血熱 (38)
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2011 (38) 20110919.2845
[1] ソマリア:The New Vision (Uganda) 、2011年9月15日。
Dengue fever hits UPDF in Somalia

駐留中の兵士 UPDF [Uganda Peoples Defence Force] soldiers 122人が、デング熱に感染 
[2] タイ Thailand
 - (Mae Hong Son):Mizzima News 、2011年9月2日。
Fever spreads through children living in Karenni refugee camp
北部 Karenni refugee camp in Mae Hong Song で小児を中心に400人以上の難民が、デング熱に感染
 - (全国):National News Bureau of Thailand Public Relations Department、2011年9月17日。
公衆衛生省は、洪水後の蚊族発生とデング熱への経過を呼びかけている 2011年初からの国内の感染者は48760人に達している
[3] ドミニカ Dominca. 17 Sep 2011. 1か月間で 15 new cases and 9 suspected cases
[4] ブラジル Brazil [in Portuguese]
 - (Fortaleza and all Ceara state ). 17 Sep 2011. 首都 Fortaleza では 2010年と比較して 10倍以上の患者 28 240 cases が発生。Ceara state 州全体で 47 763 cases 、59 % in Fortaleza.
 - (Rio de Janeiro state ). 14 Sep 2011. 2 Jan - 10 Sep の間に 156 541 cases with 130 deaths
 - (Niteroi). 未確定の新たなデングウイルスにより "11 confirmed cases in Niteroi. 2 other [dengue] virus も循環している."
[Mod.TY- the "new" virus は特定されていないが、ブラジルに数年ぶりに登場した dengue virus type 4 に違いない]
[5] エクアドル Ecuador. 14 Sep 2011. [in Spanish] 1型と 3 型ウイルスの各1名のみ サーベイランスでは dengue virus 2 and 4 が確認されている
[6] パナマ Panama. 13 Sep 2011. 2011年、13日までに全国で合計 1008 dengue cases (死亡6名) 確認
[7] メキシコ (4 states). 17 Sep 2011. [in Spanish] 当局がいずれも the capital of Queretearo state [Santiago de Queretaro] で発生した2 dengue outbreaks を確認している。 Quintana Roo (84 positive cases) 、Tamaulipas, (35 cases) and Michoacan (1) でも警戒態勢が執られている。
[8] パキスタン Pakistan
 - (Karachi , Sindh province). 16 Sep 2011. 16日、カラチ Karachi で新たに18 new dengue fever cases、州内の confirmed dengue patients は 235 となり、3 [dengue] patients が死亡
 - (Rawalpindi , Punjab province) 16 Sep 2011. 36 dengue fever cases が、National Institute of Health (NIH).の検査で陽性 Rawalpindi の病院に入院となったのは 年間合計 412 suspected dengue fever cases
 - (Punjab province). 14 Sep 2011. Punjab, で5000人以上のデング熱患者が発生、うち4400人以上が Lahore の患者 11人が死亡
 - (central Punjab province). 14 Sep. 2011. the central Punjab province で 2ヶ月あまりの間に約 4400 cases ほとんどが Lahore の患者で、約 2950 人が検査で確定診断され、8人が死亡
 - (Lahore, Punjab province). 14 Sep 2011. 新たに353人のデング熱患者が発生し、 3765 人となった
 - (Khyber Pakhtunkhwa ). 13 Sep 2011. Khyber Pakhtunkhwa (KPK) で新たに1人が死亡し、州内の死者は3人に KPK 内の病院で100人以上の患者、29人が確定
[9] インド India
 - (Noida , Uttar Pradesh) state. 15 Sep 2011. Noida の地区病院で6件の検体がデング熱検査陽性
 - (Gurgaon , Harayana state). 13 Sep 2011. 2011年に確認された患者は14人にとどまっている 2010年の患者数は800人で、14人が死亡
[10] モルジブ Maldives. the Ministry [of Health] この3週間で患者数が増加し、8月に報告された患者数は 2421 cases で11人が死亡

● 鳥インフルエンザ-オランダ LPAI
PRO/AH/EDR> Avian influenza (58): Netherlands (DR) LPAI, swan, RFI 20110919.2851
 情報源 Press release, Dutch Ministry of Economic Affairs, Agriculture and Innovation [in Dutch]、2011年9月15日。
軽症 (低病原性) の鳥インフルエンザ Avian influenza が Zuidwolde (Drenthe) の鳥類取引場で発見された。輸出用のハクチョウ swans 83羽の鳥インフルエンザ感染が確認された。通常は野外 "in the wild" で飼育されているハクチョウは、取引の際に捕獲される。野鳥では Low pathogenic avian influenza の感染が認められることが多いため、ハクチョウの感染が確認されたことも不思議ではない。

● 原因不明の leaf spot、トウモロコシ-ベトナム
PRO/PL> Undiagnosed leaf spot, maize - Viet Nam: (DN) 20110919.2848
Leaf spot disease in Dong Nai cornfields
 情報源 Dong Nai Newspaper、2011年9月16日。
Dong Nai province でトウモロコシの葉に Leaf spot disease が発生し深刻な収穫量の減少が懸念されている。すでに800ha近い面積のコーンにこの病気が発生している、と当局 the Provincial Plant Protection Department [PPPD] が述べ、最も深刻な被害が出ている地域は Xuan Loc and Cam My districts and Long Khanh town である。

● 原因不明の疾患、イヌ-英国
PRO/AH/EDR> Undiagnosed illness, canine - UK: (England) 20110919.2846
 情報源 Daily Mail、2011年9月17日。
イヌを死亡させる危険性のある原因不明の季節性の病気が the Queen's estate at Sandringham で再び発生し始めた。この2週間に,誰でも入ることができる the Norfolk estate の森の中を数時間歩き回ったイヌ11頭が発病した。2010年秋、Sandringham を訪れた37頭のイヌが seasonal canine illness と呼ばれているこの病気に罹り、6頭が死亡した。the estate や他の森林地域で初めてこの病気が見られるようになったのは 2009年のことで、常に9月から11月の間に発生する。原因は突き止められていないものの、細菌、アオコ blue-green algae もしくは真菌の芽胞が原因ではないか、と見られている ...
[Mod.TG- キノコの可能性など]
* Sandringham House is located near the village of Sandringham in Norfolk England