2011年9月6日

ボツリヌス症-フランス,タプナード

● インフルエンザ -米国 ブタ由来 H3N2 再集合ウイルス
PRO/AH/EDR> Influenza (52): (PA), swine-origin H3N2 reassortant, 3 cases
Archive Number: 20110906.2723
Novel Influenza-A Cases Linked to County Fair
 情報源 PRNewswirw、2011年9月5日。
ペンシルベニア州衛生農業局 The Pennsylvania Departments of Health and Agriculture は5日、州南西部で行われた農業フェアに関連して、新型インフルエンザ Influenza Aウイルスに感染した3例が確認されたことを公表した。2日に発表のあった1人目の患者は完治し、週末 (3-4日) に発病したことが確認されたほかの2人も快方に向かっている。この小児の患者3人はいずれも、8月13-20日に開催されていた the Washington County Agricultural Fair に参加していた。Pennsylvania のケースは以前に報告されていたのと同じく、ブタ由来 H3N2 viruses であるが the H1N1 virus の遺伝子成分を含むという特徴を持ったウイルスによるヒトではまれな感染だった。CDC などの協力によって行われている調査では、3人がどのようにして感染したのかは明らかではないが、これまでのところ、このウイルスによる他の感染患者は確認されていない ...
[Mod.CP- 8月19日と26日に診断された、合計2名の swine-origin influenza A (H3N2) viruses の発熱患者については 20110902.2685 で報告されている。Indiana の5才未満の男児と Pennsylvania の5才未満の女児で、両者に疫学的関連性はないとされていた。上記の3症例はおそらく、この女児と新たな2例だと考えられる。ヒト-ヒト感染ではなく、動物由来の感染が示唆される。これらの(患者から分離された) ウイルスは、過去2年間にヒトに感染した、他の8種類のブタ由来インフルエンザ A(H3N2) ウイルスと同じであったが、8つの遺伝子部分のうちの1つ (M [基質 Matrix] 蛋白)が、 the 2009 influenza A (H1N1) virus 由来である点が特徴的であった。解析が終わっている2株のウイルスに このM蛋白が取り込まれていたことから、このウイルスが "reassortants 再集合" によるウイルスであることが示唆されている。この遺伝子には1998年以来北米のブタの間で感染循環する the swine-origin influenza A (H3N2) virus の遺伝子と the 2009 H1N1 pandemic においてヒトからブタに感染したと考えられている the 2009 influenza A (H1N1) virus の、両方の成分が含まれているからである。 豚インフルエンザと 2009 influenza A (H1N1) viruses の間の再集合ウイルスについては、米国内のブタにおける感染が報告されていたが、今回の豚インフルエンザウイルスの遺伝子セグメントの組み合わせは他に例がなく (unique) 、GenBank で公開されているインフルエンザの遺伝子配列を見る限り、これまでにブタにおいてもヒトにおいても報告されたことがない]

● ボツリヌス症-フランス,自家製タプナード
PRO/EDR> Botulism, human - France: homemade tapenade 20110906.2720
 情報源 Europel [In French]、2011年9月6日。
the Vaucluse and the Somme において,伝統的な製法で作られたタプナード the green almond tapenade による合計8人の重症ボツリヌス症 Botulism 患者が確認されている、と当局 the Department of Economics が 5日発表した。The tapenade of green almonds は Cavaillon で店を営む 60歳代の夫婦が製造したもので、店は直ちに閉鎖された。この小さな製造場は、衛生規則に適合していなかったが、これまでに当局が調査に入ったことはなかった。適切な消毒器具を持たず、数年前から営業しているにもかかわらず監視当局への届出も行っていなかった。夫婦は家庭用の "kind of washing machine"を使用していたが、ボツリヌス症の原因となった保存食品 the conserves の消毒には不十分であった。フランス国内では毎年約20例のボツリヌス症が発生する。当局は念のため Bouches-du-Rhone, de la Drome, du Var and Vaucluse で販売されていた約60個の "The delights of Marie-Claire" (Les delices de Marie-Claire) という商品名の同店の自家製食品の回収を指示した。Avignon で入院中の5人のうち、生命の危険な状態にある80歳代の男性1名は今も集中治療を受けている。Somme の若年女性3人は the University Hospital of Amiens で人工呼吸器を装着されているが、状態は安定していると報告されている。
[Mod.LL- ボツリヌス毒 botulinum toxin による中毒は元々、ボツリヌス菌 _Clostridium botulinum_ の芽胞が発芽して vegetative forms になり、ヒトでの病原性を示す A, B or E などのいずれかのトキシン the serotypes of toxin が産生された食品による発生について報告されていた。しかし米国内では、患者のほとんどが乳児ボツリヌス症の患者で、乳児は腸管内の常在菌の定着が比較的未発達(the relatively uncolonized intestinal tract)なため、ボツリヌス菌により生体内でのトキシン産生が起きてしまうことによる。adult colonization botulism と呼ばれる、成人での(このような原因による)発症はすくない。創傷ボツリヌス症 Wound botulism は、壊死性創に関係する疾病や内服薬に起因して起きる。トキシンがエアロゾル化することもある。
タプナード Tapenade はプロバンス料理 Provencal dish の1種で、ピューレ状や細かく刻んだ、オリーブ、ケーパー capers 、アンチョビ、オリーブオイルで作られる。capers を表すプロバンスの言葉 tapenas から料理名がつけられた。南仏で広く食され、オードブルでパンのスプレッドとして食べられることが多い。tapenade にアーモンドを入れることもあるが、基本食材としてオリーブは欠かせない。酸性ではないため、缶詰にする時にきちんと調理されていたとしても、olives が botulism.の原因となる可能性がある。患者の重症度から type A botulism によるものか、あるいは大量のトキシン toxin が摂取された可能性が考えられる]

● 炭疽-ザンビア,スロベニア
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, hippopotamus - Zambia (02): (EP) 20110906.2721
Chama anthrax cases increase

 情報源 MUVI Television、2011年9月5日。
Chama District (Eastern Province) の炭疽感染者数は、8月26日の流行発生以来205人に達した。保健省報道官は、先週以降80人の感染が確認されていることを明らかにした。 the Luangwa River のカバから感染したものと考えられる、と広報担当の医師が述べた。
[Mod.MHJ- 市場の安い肉は魅力的らしい]

PRO/AH/EDR> Anthrax, bovine - Slovenia: (NE) susp. 20110906.2724
 情報源 RTVSLO [transl.]、2011年9月6日。
Vitanje 市の1群のウシの間の炭疽感染流行の発生が疑われている。5日、この農場を訪れた獣医師 The Veterinary Practitioner は炭疽感染の疑いがあると述べ、当局が調査を開始した。6-9日に検査結果が判明する。
[Mod.MHJ- スロベニアにおける炭疽感染の発生は散発的であるため、非常に興味深い。最後に感染流行があったのは2008年10月で、Vitanje のすぐ南隣の Celje で発生した。その前の(単発の)発生 The previous outbreak (singular) は2001年で、さらにその前は1992年のことである]

● 口蹄疫-中国
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - China (03): (Tibet) bovine, st O, RFI 20110906.2722
Foot-and-mouth disease found in cattle in Tibet
 情報源 Xinhua via Shanghaidaily、2011年9月5日。
チベット自治区南西部のウシの口蹄疫 Foot & mouth disease 感染が確認されたことが、5日政府農業省 Ministry of Agriculture (MOA) から発表された。Gyaca county(Shannan Prefecture in Tibet)で8月31日、233頭のウシのウイルス感染が確認され、うち6頭が感染により死亡した。検査の結果 the O type virus の感染であることが判明した。感染したすべてのウシと、ほかの1744頭はともに殺処分後、適切な処理が行われ、流行は効果的にコントロールされていると当局が述べた。
[Mod.AS- 6日に中国政府から OIE に対して報告された follow-up report Number 21 with a map (1744 susceptible cattle, of which 6 were cases, 6 died, 1738 destroyed.) を見ると、上記記事と数字が異なっている]