2012年2月27日-28日

塩化メチレン中毒 米国、死亡
食中毒 ナミビア、キャッサバ

● 鳥インフルエンザ、ヒト ベトナム
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (24): Viet Nam (BD)
Archive Number: 20120228.1055600
Another death from bird flu reported in Viet Nam
 情報源 bikyamsr, independent news、2012年2月28日。
28日、政府保健当局は、南部 Binh Duong province で、22歳男性1名が鳥インフルエンザ bird flu [avian A/(H5N1) influenza virus infection] 感染により危険な状態にあることを明らかにした。2012年に入り、4人目の感染となる。ダックの血液の入った料理を食べて感染した、と報告されている。この地域ではこれまでに他の2人が、同ウイルスに感染し死亡している。今回の症例は、2月17日に高熱と呼吸不全のため病院に搬送された。血の塊の入った麺類の1種である、 a meal of duck blood pudding により感染したと見られている。26日、動物衛生当局 the Animal Health Department は、患者の自宅のある町にある、法律で禁止されている生きた家禽の売買やと殺を行っていた店の捜索を行った。3月1日より、120万回分の鳥インフルエンザワクチンの接種が実施されることになっている。
参考項目 the 3rd case as described in the preceding post 20120226.1053320

● 病原大腸菌 米国 O26、スプラウト
PRO/AH/EDR> E. coli EHEC - USA (03): O26, clover sprouts
Archive Number: 20120228.1055451
 情報源 CDC, _E. coli_ Homepage、2012年2月24日。
Case count update
6つの州の合計14人の感染 the outbreak strain of _E. coli_ O26 が確認されている。ミシガン Michigan 州の新たな2人の患者が、 Jimmy John's restaurants で発病の7日前にスプラウトを摂取していたことが報告されている 

● 塩化メチレン中毒 米国、死亡
PRO/EDR> Methylene chloride poisoning, fatal - USA: retrospective study
Archive Number: 20120228.1054815
 情報源 MedPage Today 、2012年2月26日。
ペンキ剥がしとしてよく用いられる塩化メチレン Methylene chloride により、バスタブの塗り替えの際に使用していた少なくとも13人の作業員が死亡したと見られることを、職業曝露の専門家らが明らかにした。2000年4月以降2011年9月までに起きていたもので、作業員は50歳以上が3人だけと比較的若かかったが、心血管疾患の既往歴のある患者が1人含まれていた。気化した Methylene chloride vapors 場合空気より重く、作業を行っていたタブに溜まっていた可能性がある。皮膚からの吸収の可能性も指摘されている。さらにバスタブは狭くて換気もよくないことが多い。"Both OSHA [Occupational Safety and Health Administration] and NIOSH [National Institute of Occupational Safety and Health] は、methylene chloride strippers を使用するバスタブ補修 bathtub refinishing の死亡リスクと、より安全な製品の使用に関する文書を発出している" 。"In a small, enclosed bathroom, it is unlikely that a methylene chloride stripping agent can be used safely."
[Mod.TG- 原著 MMWR]

● 食中毒 ナミビア、キャッサバ疑い
PRO/EDR> Foodborne illness, fatal - Namibia: (OS) cassava susp
Archive Number: 20120228.1054814
 情報源 New Era、2012年2月22日。
中毒性のキャッサバの根 poisonous cassava roots を食べたことによると見られる小児1人死亡が発生し、そのほかにも 3人が発病したが回復している。キャッサバは粉の形でしばしば熱帯地方の料理に使われる。しかしよく洗って料理しないと、その根の部分にある cyanide [see comment below] と言う毒素の1種が残り、たとえ少量でもヒトを死に至らしめる。この事件が起きたのは Ombonde-Yomutzegwondjamba in the Ruacana Constituency [Omusati Region] で、18-19日の週末に発生した。昼食に祖母のキャッサバを使った手料理を食べた家族が、祖母の留守中にさらにキャッサバを調理して食べていた。祖母が嘔吐と腹痛を訴えて帰宅したところ、6人の孫らも嘔吐と腹痛を訴えていたと伝えられている。深夜に7歳の女児の状態が悪化し自宅で死亡した。入院となった祖母と27歳の若い男女は退院したが、6歳、6歳、4歳の3人の孫らは今も入院中である。
[Mod.TG- Cassava (_Manihot esculenta_, Crantz) は、アフリカ、南米で広く消費されている根菜 a root crop で、ブラジル Brazil (現地名 manioc) 原産であるが、アフリカに持ち込まれ、現在はインドネシアや東南アジアでも important crop となっている。約5億人の主要栄養源となっている]

● インフルエンザ 欧州
PRO/EDR> Influenza (14): Europe
Archive Number: 20120227.1054422
 情報源 EuroFlu Weekly Electronic Bulletin, Week 7, Issue 434 、2012年2月24日。
the WHO European Region のほとんどの国で、インフルエンザの活動性増加が続いている。
 - week 7/2012 reported by 47 Member States in the WHO European Region のデータに基づいている。
 - Influenza activity is increasing in 27 countries; 約半数が low influenza activity 、半数が medium activity. 今週、13か国ではいずれのインフルエンザウイルスも検出されなかった。
 - This season [2011-2012] の開始は、例年よりやや遅れた。
 - 重症急性呼吸器感染症 severe acute respiratory infection (SARI) による入院患者数は引き続き安定 stable、検体 sentinel SARI specimens 12%がインフルエンザ陽性。
 - influenza A(H3N2) virus が広く循環し、 few A(H1N1)pdm09 and influenza B detections が報告されている。
 - circulating virus strains は、the current northern hemisphere vaccine for 2011-2012 に一致している。
以下、Outpatient surveillance for influenza-like illness (ILI) and acute respiratory infection (ARI)、Virological overview について。

● クロストリジオイデス・ディフィシル パナマ
PRO/EDR> Clostridium difficile - Panama: new strain, RFI
Archive Number: 20120227.1054069
 情報源 tvn Noticias [in Spanish]、2012年2月25日。
the Social Security Health Service により、新型のクロストリジオイデス・ディフィシル菌 a new strain of _Clostridium difficile_ が確認されたことが、当局者から発表された。クロストリジオイデス・ディフィシル _C. difficile_ は、 KPC [the KPC acronym likely refers to _Klebsiella pneumoniae_ carbapenemase-producing Gram negative bacilli] に比べ 'less lethal(致死性が低い)' と説明されている。今回の _C. difficile_ strain は、抗生物質使用後に発生した点で、これまでパナマ Panama で確認されている菌とは異なっており、直接の接触で感染伝播する点も違っている。1月には合計11人、2月に8人の患者が報告されている。

● インフルエンザ グアテマラ、コウモリ(2件)
PRO/AH/EDR> Influenza (15): (Guatemala) bat, novel A lineage
Archive Number: 20120228.1055191
[1] CIDRAP report:New influenza A virus found in bats
 情報源 CIDRAP (Center for Infectious Disease Research & Policy) News 、2012年2月27日。
27日、研究チームがグアテマラのオオコウモリの、新型インフルエンザAウイルス感染を発見 the discovery of a new influenza A virus in Guatemalan fruit bats したと発表したが、ヒトに対するリスクは生じていないと the US Centers for Disease Control and Prevention (CDC) は述べている。この発見は、 Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS、[2].) に発表された ..... "インフルエンザウイルスの感染源となる可能性のある、新たな動物種 a new animal species が確認されたという点で重要"と述べられている。
コウモリインフルエンザウイルス The bat influenza virus は、いくつもの再集合段階 several reassortment steps を経て初めてヒトに感染するものであるが、初期検査では、新型ウイルスがヒトのインフルエンザウイルスと互換性 compatible with human influenza viruses があることが示されている。しかし、ヒトの間で感染し容易に伝播するためには、大きな変化が必要だとしている。 "異なる動物 -- ブタ、ウマ、イヌなど -- が、この新型ウイルスとヒトのウイルスのいずれにも感染しなければ、再集合が起きない"と説明された。
新型インフルエンザAウイルスが確認されたのは、little yellow-shouldered (_Sturnira lilium_) bats の1種類だけで、中南米に多く見られるが、米国にはいない。2009年5月と2010年9月に、グアテマラ南部の8か所で、316 bats representing 21 different species を捕獲し、polymerase chain reaction testing 検査により、3 little yellow-shouldered bats at 2 different locations が陽性であることが確認された。遺伝子塩基配列解析により、既知のインフルエンザAウイルスと異なる、hemagglutinin subtype で、 H17とされた。 The neuraminidase (NA) gene は、これまでに知られているどのタイプでもなかった。培養細胞や胚でのウイルスの成育には成功しなかった。現在、中米やその他の地域のコウモリでの感染の広がりを確認するための、血清学的調査が行われている。2か所で確認されていることから、種を超えて感染したものではない、と推測されている。
[2] PNAS abstract
 情報源 Proceedings of the National Academy of Sciences, USA (PNAS), online prior to print、2012年2月27日。
原著 A distinct lineage of influenza A virus from bats. Published online before print, 27 Feb 2012; doi:10.1073/pnas.1116200109
要約
動物の Influenza A virus reservoirs が、ヒトの global pandemics につながる、新たな遺伝子構成要素を与えてきた。ほとんどの influenza A viruses は水禽で感染循環するものの、ヒトでの人獣共通感染や、新たな pandemic or panzootic viruses には、哺乳類の感染が最も危険性が高いことを指摘されている。今回、グアテマラの2か所の地点で捕獲された little yellow-shouldered bats でインフルエンザAウイルス感染を確認した。既知の influenza A viruses と大きく異なっていた。The HA [influenza hemagglutinin] of the bat virus は、既知の subtypes of HA とほぼ同じ時期に分岐したものと推定され、 H17 に指定された。The neuraminidase (NA) gene は、全ての既知の influenza NAs と大きく分かれており、これまで予想されていた、既知のウイルスの内遺伝子系統の隔たり the known influenza A internal gene lineages highly divergent を超えるものであった。培養細胞やニワトリ胚での培養は成功しなかったことから、従来のインフルエンザウイルスとは異なる要件が必要であると考えられた。既知の influenza A viruses との間に大きな隔たりがあるものの、the bat virus は、ヒト細胞内で、ヒトインフルエンザウイルスと genetic exchange する能力を有しており、再集合や new pandemic or panzootic influenza A viruses となる潜在性が示唆される。

PRO/AH/EDR> Influenza (16): (Kazakhstan), bat
Archive Number: 20120228.1055577
 投稿者 米・Colorado State University(獣医学)、Charles H. Calisher, Ph.D.、2012年2月28日。
CDC の新たな動物種でのインフルエンザウイルスの確認、とのコメントがあるが、これまでにもコウモリからインフルエンザウイルスが確認されている。
Isolation of strains of the Hong Kong complex (H3N2) influenza virus from _Nyctalus noctula_ bats in Kazakhstan. Vopr Virusol. 1979 Jul-Aug;(4):338-41. (In Russian; important reservoir hosts of emerging viruses. Clin. Microbiol. Rev. 19:531-545, 2006.)
要約 
 "ニワトリ胚 chick embryos において、コウモリ_Nyctalus noctula_ bats の肺と気管の貯留液[嚢? pools] から、4種類の抗原性上関連のある血液凝集素 hemagglutinating agents が確認された。各種検査 the hemagglutination inhibition, neuraminidase activity inhibition and double immunodiffusion methods により、 A/Port Chalmers/73 virus と抗原性が極めて近い関係にあることが判明した"。

● 赤潮、redhead ducks 米国
PRO/AH/EDR> Red tide, redhead ducks - USA (02): (TX Texas) comment
Archive Number: 20120228.1055491
20120226.1053079 に関し。
 投稿者 米・Our Lady of the Lake University、Sara M Volk de Garcia, PhD、2012年2月27日。
実際には Texas Parks and Wildlife [TPWD] は、細胞数が減少した [? declining cell counts] との理由で貝類採取を再開 している。

● 炭疽 ジンバブエ
PRO/AH/EDR> Anthrax - Zimbabwe: (MV)
Archive Number: 20120228.1055420
 情報源 New Zimbabwe、2012年2月27日。
Masvingo では、町・警察・獣医学当局による委員会の、議論のある炭疽 Anthrax 感染拡大防止対策により、1日あたり少なくとも20頭の犬が射殺されている。13日以降、警察と市の保安員らが、飼い主のいないイヌの処分を行っているが、無差別な発砲に対し、イヌの飼い主らから不満が出ている .... 獣医学専門官は、市内の炭疽菌封じ込めのために、今後も作業を継続するとしている。マスヴィンゴは、国内最多の炭疽菌感染が報告されている。市郊外で野生動物に接触する野犬によって、市民が感染の危険にされされている。ワクチン接種の選択もあるが、1頭に100米ドルのコストがかかる。
[Mod.MHJ- Shooting stray dogs は、都市部での狂犬病対策として長年にわたり成功を収め、認められた手段であった。(しかし)野犬対策 Stray dog control は、炭疽菌対策とは無関係 no part in anthrax control である。もしも地域内に家畜の死体があふれているのであれば、これをエサとするイヌが群がらないようにすることを検討してもよいかもしれないが、その時はもっと上手なハゲタカ the vultures がいる。ワクチン Sterne の費用はウシと同じで、およそ USD 40 cents/head. である。狂犬病ワクチン Rabies vaccination はもっと費用がかかるが、1970年代のブラジル PANAFTOSA では、非常に効率的に cost effective urban rabies control and eradication programme を行っていたが、USD 100/dog もかかるようなことはなかった。 Masvingo が a chronically anthrax affected province.であることは間違いない]

● ココナッツの病気、Cadang-cadang フィリピン
PRO/PL> Cadang-cadang, coconut palm - Philippines: (CN) update
Archive Number: 20120227.1054678
 情報源 Philippine Information Agency、2012年2月23日。
ココナッツ庁 The Philippine Coconut Authority (PCA) が、Camarines Norte のココナツの Cadang-cadang disease の包括的な調査を開始した。Bicol region 及び Region IV-A and Region VII で、the Cadang-cadang viroid infestation による被害が確認されている 
[Mod.DHA- Cadang-cadang disease (CC) of coconut palm は、_Coconut cadang-cadang viroid_ (CCCVd; type member of genus _Cocadviroid_) による疾患で、246nt(ヌクレオチド)form の、既知のものとしては最小の病原体である。単子葉植物 monocot species に感染し、常に宿主を死滅させるという点で、他のviroids と異なっている ... ]

● 狂犬病 ボリビア、ウシ
PRO/AH/EDR> Rabies - Bolivia (03): (SC) bovine
Archive Number: 20120227.1054290
 情報源 Erbol [in Spanish]、2012年2月26日。
Guarayos province, Santa Cruz department [state equivalent] の狂犬病 Rabies 感染流行により、33頭の家畜が死亡した。感染牛の肉を販売しないよう呼びかけている。
[Mod.TY- 20120207.1035741 で報告された、ウマ1頭が死亡した the earlier rabies outbreak in Santa Cruz の続きなのだろうか?恐らく、吸血コウモリ infected vampire bats (_Desmodus rotundus_) による感染と考えられる。ウシへの積極的なワクチン接種と共に、ウマに対しても接種が行われる事が望ましい。感染した家畜の肉の摂取による狂犬病のリスクは低いが、いずれであっても病死した動物の肉は摂取しないのが賢明である]