2012年2月13日

コレラ マラウイ、コンゴ民主共和国
鳥インフルエンザ (16) 致死率の概算

● インフルエンザ -ニュージーランド、日本から
PRO/EDR> Influenza (10): New Zealand (AU) airport ex Japan
Archive Number: 20120213.1040743
 情報源 ONE news, tvnz、2012年2月13日。
オークランド Auckland 空港での騒動 health scare は過剰反応であったことを認めた上で、保健当局は、安全を優先させる考えであることを明らかにした。到着したばかりの数十人の日本人学生らに、インフルエンザ Influenza 感染の疑いがあり、これに当局が対応した。最悪の事態に備えて救急隊が待機する中、渦中の学生らは、何が起きたのかと訝しげに到着ゲートを通過した。東京発の NZ90便は、ホームステイをするため搭乗していた73人の日本人学生らが、特定できないインフルエンザに感染している疑いがあるとされたため、13日の9時まで駐機場で留め置かれていた .... 日本が冬を迎える前の11月中に、グループ全体でワクチンを受けていた、とホームステイを企画した担当者は述べている。少数の男子学生が、普通の風邪と変わらないウイルス感染症に罹患していたと診断された .... 到着から4時間後に、10日間のホームステイ先である Tauranga に向かった。
[Mod.CP- オークランド保健当局が過剰に反応したのは、現在日本で210万人以上がインフルエンザ流行により感染していることによる影響であったのかもしれない....日本のインフルエンザ発生状況など]

● コレラ マラウイ、コンゴ民主共和国
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2012 (05): Africa 
Archive Number: 20120213.1040722
[1] マラウイ Malawi (Southern Region):Inter Press Service、2012年2月10日。
モザンビークとの国境に近いマラウイ南部 Malawi's Nsanje and Chikhwawa districts においてコレラ Cholera 感染流行が発生した。保健当局は2010年1月後半に起きた洪水による衛生状況の悪化が原因と見ている。Nsanje だけで500か所以上のトイレが流され、汚水により水源が汚染されている
[2] コンゴ民主共和国 Congo DR (Bas-Congo Province):XinHuaNet、2012年2月8日。
2月前半に the village of Muanda (Bas-Congo province) においてコレラ感染流行が発生し、少なくとも4人が死亡したことが、6日、当局 DR Congo's National Institute for Biomedical Research (INRB) から発表された。コレラ感染流行は、Muanda からそう遠くない軍施設 the Kitona military base でも発生が確認されている .... 2011年10月から12月にかけて、Equator province and 首都キンシャサ Kinshasa で発生したコレラ感染流行により、42人が死亡している。

● 鳥インフルエンザ (16) 致死率の概算
PRO/AH/EDR> Avian influenza (16): case fatality estimates
Archive Number: 20120213.1040666
 情報源 CIDRAP News 、2012年2月9日。
公式確認されているヒトの H5N1 型鳥インフルエンザ Avian influenza 感染による致死率は、59%(584例中死亡345例)と驚くべき高い数字である。しかし、現在のフェレットの間での H5N1ウイルスの空気感染に関する2件の研究論文の筆者 (支持者?proponent)らは、検出されていない、より多くの軽症または無症候性感染があり、実際の致死率はこれよりずっと低いと述べている。(致死率の分母である)実際の感染患者数が多くなれば、致死率は下がることになる。一部では、実際の致死率が "orders of magnitude(桁が違うほど)" 低いと示唆されている。しかしこの議論は、科学的知見の流れに逆らったものである。無症候性もしくは潜在性の感染例を検出する主な手法は、感染した患者や家きんと接触したり、流行地域に住んでいたりして、ウイルスに曝露した可能性があるが発症したことのない人々の間で H5N1抗体測定による血清学的調査を実施することである。このような調査は、主に2003年以降のこれまでに何度も行われてきたが、確認された場合であっても H5N1 抗体保有者極めて少数で、たとえば2011年1月に発表されたシステマティックレビューでは、リストアップされた20件の血清学的調査のうち、2003年以降の17件の研究で血清抗体陽性率は 0から2.8%の範囲にあり、ほとんどの研究で陽性者なしと報告されていた。
しかし専門家らから、いくつもの不確実性がデータを不明確にしているとの指摘がある。
1つは測定法や抗体陽性とする基準値のばらつきであり、もう1つは血中のH5N1抗体陽性の持続期間が明らかではないことである。さらに、H5N1感染のあった患者が別のクレードdifferent clade (strain) of the virus を標的とするアッセイ検査を受けた場合、抗体が検出されない可能性もある ... 血清学検査による調査の大部分が、曝露の可能性のある職業を対象としており、たとえば2006年の中国広東省の調査では110人の家きん業労働者110人のうち、H5N1抗体陽性者はたった1人だった。2009年にドイツの H5N1 outbreak on Ruegen Island への対応に当たった97人の消防士、公務員、獣医師らの調査では、感染の証拠があったものは1人もなかった。また2007年、H5N1 outbreaks in 2004-05 を経験したベトナムの家きん業労働者と処分作業員ら500人のうち、陽性患者は0人だった。医療関係者についてもほぼ同じ結果が得られている。2004年のタイとベトナムで3つの研究チームが調べたところ、ほぼ全員が H5N1感染と確定診断された患者と接触のあった医療施設の職員168人の中に、検査陽性者はなかった。職業的曝露のない人々の、検出されていない患者についての調査も行われており、2005年に2人の患者が発生したカンボジアの複数の村の351人の調査を行い、陽性患者は認められなかった。
2006年に感染流行のあった地域で行った同様の調査では、674人中7人 (約1%) が陽性だった。カンボジアで行われた他の研究では H5N1感染患者1名が発生した1か所の村の住民700人のうち18人 (2.6%) の陽性が確認されている。
しかし1997年に香港ではじめてヒトでの H5N1感染が流行し、18人中6人が死亡した後に実施された研究ではこのようなパターンとは異なる興味深い結果が出ている。発生後の血清学調査で、発病していないにもかかわらず H5N1抗体を保有する人の数がかなりの高い割合で認められた。例を上げれば、香港の H5N1患者の家族及び社会的接触者51例の検査で6例 (12%) が血清抗体陽性であり、他の調査でも、感染流行対応に当たった政府関係者293人中9人 (3%) 陽性や、家きん飼育業者の10%陽性との調査結果もある。さらに、H5N1患者に曝露した医療関係者21人中8例 (31%) が陽性との結果も報告されている。研究者らは、香港の感染流行における認識されない感染率の高さは、1997年の H5N1株と、より最近の株との遺伝学的相違により説明可能と推察する ....
2008年、それ以前に多数の感染流行が発生したタイの農村部の800人に行われた米・タイ共同の調査では、参加者のうちの45人 (5.6%) が、血液中にタイ国内で確認された a 2005 strain of H5N1 ウイルスに対する抗体を、28人 (3.5%) が a 2006 strain に対する抗体を保有していた。60歳以上でより高率であったが、職業的な家きんへの曝露との疫学的関連性は認められなかった。
他の研究者の中に、この調査研究のための検査で陽性となる基準値が非常に低く設定 set a very low bar (抗体価 1:10) されていたため、解釈は慎重にすべきとの意見もある。Imperial College London の研究者は、調査にはすべて a titer of 1:40 (by microneutralization [MN] or hemagglutination inhibition [HI]) を使用している。1:10ではヒトの季節性インフルエンザとの交差反応や、長時間が経過した H5N1ウイルス抗体、あるいは意味のないものを表すものかもしれないと述べられている ... 欧州委員会は、2011年12月後半に招集したワークショップで、血清疫学的研究において疫学及び検査のいずれの方法にも高い一貫性を保つことを目標とすることを掲げている。the World Health Organization (WHO) もまた、H5N1抗体検出について1つの検査法による antibody titer of 1:80 or higher と指定し、他のアッセイによる確認試験を必要とする、との基準を示している。研究目的では、臨床検査と対照的にマイクロ中和アッセイ microneutralization (MN) assay が勧められている。この検査法では生きたウイルス live H5N1 virus が必要であるため biosafety level 3 lab でなければ実施できない。CDC の研究者らは、ヒトのインフルエンザウイルスの標準的な血清検査である HI [haaemagglutination inhibition] が鳥インフルエンザウイルスの検出に鋭敏でないことが確認されたことから、MN for highly pathogenic H5N1 を開発した。20件の研究のうち、一次検査として14件が MN を採用し、4件は HI を使用し、1件は MN または HI を使用しており、他の1件は MN または ELIZA を用いていた。
もう1つの問題点は、H5N1抗体の感染後の持続期間についての不確実性である。重症化して回復した、H5N1ウイルス感染と確定された患者は、1-2年もしくはそれ以上続く確実な抗体反応が見られるが、無症候性感染や軽症患者の抗体反応の変化については、詳しく理解されていないと説明されている。また年齢による反応の違いもあると考えられ、"小児では、感染から3.5ヵ月後の検査では低いながらはっきりとした抗体価上昇が認められたが、半年から1年後には抗体が検出されなかったかも知れない" ため、1年後に H5N1検査を受けて陰性であったとしても感染を除外することはできない、と述べている ... 2010年5月に発表された研究で東南アジアの研究者らが、重症 H5N1感染症患者は、無症候性感染の患者と比べ、より強く、長く続く抗体反応が認められることを示している。複数の時点において、ベトナムの重症感染例 (11人) とカンボジアの無症候性感染例 (31人) の血清検体が調べられ、重症患者の MN 抗体価の平均値が 1:540 at 1-2 months and 1:173 at 1-12 months after illness であったのに対し、無症候性感染では 1:149 and 1:62 だった。さらに、発症例では2年以上抗体陽性が継続したが、無症候性だった人では暴露から10ないし11ヵ月後に23例中10例が検査陰性となった。そしてさらに、常に H5N1ウイルスの遺伝学多様性が進んでいることも、血清学的研究の妨げとなっている .....
 
● ブルセラ症-台湾 2011年
PRO/AH/EDR> Brucellosis - Taiwan: 2011, imported
Archive Number: 20120213.1039923
 情報源 Channel News Asia、2012年2月7日。
台湾は30年間、ブルセラ症 Brucellosis 清浄状態にあったが、2011年5月と10月に5例の輸入感染が発生した。確定診断された5人は、海外で感染した台湾在住の市民で、1人は北米、3人がマレーシア、5人目は中国で感染した ...

● ペスト-ウガンダ 
PRO/AH/EDR> Plague, fatal - Uganda: (AW) RFI 
Archive Number: 20120213.1039922
 情報源 AllAfrica, The New Monitor (Uganda) report、2012年2月8日。
Opia parish (Vurra County, Arua district) において、同じ症状の2人が死亡し、ペスト Plague 感染流行が疑われている。ここ数年、隣国のコンゴ民主共和国では、ペスト感染流行が続いている。以前に感染流行のあった、国境地帯 the 2 bordering districts of Nebbi and Arua では、2009年から監視計画が実施されている。
[Mod.LL- 症状に関する情報が記されていない]

● ハンタウイルス-チリ、ペルー 
PRO/AH/EDR> Hantavirus update 2012 - Americas (05): Chile, Peru 
Archive Number: 20120213.1039499
[1] チリ Chile national
 情報源 La Tercera [in Spanish]、2012年2月8日。
過去5年間に、全国で246例のハンタウイルス肺症候群 hantavirus pulmonary syndrome [HPS] が発生。このうち58例が the Bio Bio region、次いで42例が Los Lagos with 42 であったことが、保健省発表の数字で分かった。2012年はこれまでに、2011年と同じ8例の発生があり、致死率は 37.5 %に上っている。 Bio Bio では、 La Araucania and Maule で感染が確認されている ... 確定診断された3例の死亡患者のうちの2人が、受刑者 the El Manzano prison だった。3人目は、キャンプ中に死亡した the Potrero Grande area in Curico の成人男性である ... the flowering of quila [a flowering bamboo (_Chusquea culeou_)] による齧歯類の増加が原因と見られている。野火の発生に伴う the long-tailed rodents [long-tailed pygmy rice rats] の移動も原因と考えられている。
[Mod.TY- ここ2週間にわたり、チリ及び他の南米諸国から、コンセプシオンの刑務所 the Concepcion prison 内の感染流行に関する、数多くの報道がなされているが、基本的な内容は同じである。ハンタウイルス感染による死亡であることが確認されており、Andes virus に間違いない。[1]と[2]にあるように、rodent hosts -- the long-tailed pygmy rice rat, _Oligoryzomys longicaudatus_ -- が関与しているが、捕獲や Andes virus の検査については記載されていない。Andes virus はヒトからヒトに直接感染が伝播することがあるが、非常に濃厚な身体的接触がある場合に限られる]
[2] チリ Santiago Chile
 情報源 Terra [in Spanish]
保健当局に、Santiago からハンタウイルス感染が疑われる2例の報告があり、うち1例は the intensive care unit of the Clinica Alemana に入院した ....
[Mod.TY- (記事からは)感染した正確な場所は特定できない]
[3] ペルー Peru Iquitos Peru, suspected
 情報源 La Region [in Spanish]、2012年2月9日。
先週から、18歳の若い男性1名が、デング出血熱そのものの症状で、集中治療室 the intensive care unit [ICU] of the Loreto Regional Hospital に入院となっているが、デング熱検査では陰性となり、ハンタウイルス感染を除外するために新たな検査が必要となっている ... 自宅では、水位が上がる季節 the high water season になり、たくさんのネズミが発生している。
[Mod.TY- the Amazon basin における HPS (hantavirus pulmonary syndrome) の原因ウイルスは Araraquara で、そのげっ歯類の宿主は (_Necromys (Bolomys) benefactus_)である]

● マイコプラズマ症、鳥類-米国
PRO/AH> Mycoplasma gallisepticum, avian - USA: fast evolution
Archive Number: 20120213.1040631
 情報源 Physorg.com、2012年2月9日。
1994年の冬に、ワシントン the Washington, DC area で、多数の野生のメキシコマシコ house finches が死亡しているのが発見された。シチメンチョウやニワトリの一般的な呼吸器感染症の原因菌である _Mycoplasma gallisepticum_によることが判明したが、同菌はそれまで、家禽だけに感染すると考えられていた ... その後の感染地域の拡大 between 1994-2007 のウイルス遺伝子についてのpyrosequencing 法による比較で驚くべきスピードで変化が起きていることが the journal PLoS Genetics で報告されたことなど ...

● ボツリヌス症、鳥類-ニュージーランド 
PRO/AH> Botulism, avian - New Zealand: (CB) susp
Archive Number: 20120213.1040575
 情報源 Voxy.co.nz、2012年2月9日。
クライストチャーチ Christchurch の汚水処理説施設内の酸素化池 the oxidation ponds の周りで、この数週間にわたって多数のトリが死亡して発見されており、avian botulism が原因との初期診断が行われている ...