2012年3月1日-2日

シアノバクテリア・神経毒、フカヒレ

● シアノバクテリア・神経毒、フカヒレ
PRO/AH/EDR> Cyanobacterial neurotoxin BMAA, shark fins: study 
Archive Number: 20120301.1057142
 情報源 Asian Scientist, Rosenthal School of Marine & Atmospheric Science report、2012年2月28日
原著 Cyanobacterial Neurotoxin Beta-N-Methylamino-L-alanine (BMAA) in Shark Fins. Mar. Drugs 2012; 10(2): 509-20; doi:10.3390/md10020509 
マイアミ Maiami 大学の研究者らが、フカヒレ shark fins にアルツハイマー病やルーゲーリック病 [ALS、筋萎縮性側索硬化症]などのヒトの神経変性疾患に関係する神経毒 neurotoxin の1種、beta-N-methylamino-L-alanine (BMAA) が高い濃度で含まれていることを発見した。the journal Marine Drugs に報告されたこの研究結果から、フカヒレスープや軟骨の錠剤の摂取が、退行性脳疾患の重大な健康上のリスクとなる可能性が示された。研究では、South Florida の全水域の合計7種類の生きたサメ: blacknose, blacktip, bonnethead, bull, great hammerhead, lemon, and nurse sharks からのサンプルが調べられた。"サンプル中の BMAA 濃度は、フカヒレスープだけでなく、栄養補助食品やその他の形での摂取も含めて懸念される濃度である" と共著者が述べた。この研究者らは2009年の研究で、Alzheimer's disease and ALS による死亡と診断された患者では脳内の BMAA が最大 256 ng/mg と高濃度であることが多く、一方、健康な高齢者では BMAA は検出されない、もしくはほとんど認められないことを発表している。"BMAA は初めに進行性にニューロンの構造と機能の喪失をもたらせる、グアムの神経変性疾患との関連が明らかにされた。今回の最新の研究では、ヒレの中に 144 から 1836 ng/mg の濃度の BMAA が確認され、これは Alzheimer's and ALS patients の患者の脳内の濃度に匹敵する。著者の1人は、今回の結果が、finning と呼ばれる、海上でサメのヒレだけを取って、残った胴体部分を海に放り投げて水死させる行為の抑制につながることを期待している ...
[Mod.TG- Beta-N-Methylamino-L-alanine 略して BMAA は、シアノバクテリア Cyanobacteria (blue-green algae とも呼ばれる) が生成する、非タンパク新生アミノ酸 a non-proteogenic amino acid の1種である。サル rhesus monkeys に BMAA を接種すると、行動異常、筋萎縮、運動皮質の神経変性が見られるようになる。このタンパク複合体 protein complex は、アラニン the protein alanine に非常に似ており、ニューロンに取り込まれ incorporated 、死に至らしめる。培養実験では、細胞内に BMAA が取り込まれると、神経細胞は死滅する。フカヒレスープ以外の BMAA が含まれている製品でも、状況は同じである。産業界には、骨格が骨ではなく軟骨でできているサメにはがんが生じないことにヒントを得ようとする動きがあり、結果、サプリメント産業は様々なサメ関連製品で急成長した。今回の研究結果から、それらの製品の安全性が問われる可能性がある。BMAA が含まれることが判明しているサプリメントについては、限られた、未確認の報告しかない。これらの報告の正確性を確認することはできなかった]

● ロスリバーウイルス オーストラリア
PRO/AH/EDR> Ross River virus - Australia (WA)
Archive Number: 20120302.1059212
 情報源 WA Today、2012年3月1日
パース Perth council 当局は、過去2か月間に2011年の年間患者数を上回る患者が発生したことを受け、蚊族媒介性のロスリバーウイルス Ross River virus に対する注意を促した。 the City of Cockburn の当局は、2012年1月1日以降、2011年の21例のおよそ3倍の 62例 reported cases of Ross River virus が発生していることを明らかにした。過去2か月間、州全域で同様の増加傾向が認められており、2012年初以降、州内で512例が報告されている。2010年の年間患者数は245人、2011年同期でも245人の発生にとどまっていた [245 cases in each of these 2 years (2010 and 2011)?]。The City of Cockburn では、Atwell, Success, Hammond Park and Aubin Grove の住民らに、日没から3時間後までの間を中心に、蚊族による刺咬に特に注意するよう呼びかけた。最も感染の危険性が高いのは、Suburbs to the east of Thomsons Lake within the City だった ...
[Mod.TY- 20110414.1173 では、西オーストラリア州保健当局 the Western Australia Health Department の話として2010年7月以降 613 West Australians が RRV infections 感染したと伝えている ... alphavirus の1つ RRV はウマ科の動物の病気の病原体でもある]

● A 型肝炎 ニュージーランド
PRO/EDR> Hepatitis A - New Zealand: (Auckland) schoolchildren
Archive Number: 20120302.1059055
 情報源 stuff.co.nz、2012年3月2日
オークランド Auckland では、A型肝炎感染流行 hepatitis A outbreak による19例の感染が確認されている。公衆衛生保健当局 Auckland Regional Public Health Service は、感染児道及び保護者らとともに対応に当たっていると述べた。現時点で、感染流行の発端は確認できていないが、感染源の特定と再発防止に取り組んでいる." 旨の発現があった。2日現在、19例が感染している。

● コレラ アフリカ
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2012 (06): Africa
Archive Number: 20120302.1057887
[1]  ルワンダ Rwanda (Western province) ex Congo DR
 情報源 AllAfrica, The New Times report 、2012年2月29日
保健省は、現在コンゴ民主共和国 DRC [Democratic Republic of the Congo] においてコレラ Cholera 感染流行が確認されているが、ルワンダは危機下にはなく、輸入患者が発生している、と述べた。 "DRC の流行 による、ルワンダのコレラ感染第1号は、2月13日に North Kivu から戻った患者として確認された " と発表された。これ以降、12例が診断され、いずれも治療が成功し退院した
[2] ナイジェリア Nigeria (Kaduna, Gombe states)
 情報源 : AllAfrica, Daily Trust report、2012年2月26日
... 2011年の雨期開始前に死者が発生し始めた: 5 deaths in Adamawa, 30 in hospital; 11 deaths in Nasarawa; another 11 deaths in Oyo。26の州の 203 local government areas に拡大し、致死率は3.2%に及んでおり、2011年末までに742人が死亡したと見られている。合計 23, 377 cases に達すると推定されている。2012年の2か月にコレラ感染が確認されている州は、2州にとどまっている。初めの5週間は 14 cases with no deaths in Kaduna and Gombe だったが、1週間後、the suspected cases jumped to 40; 1 death と報告された。2012年に入っても、Kaduna は 3 council areas, Kuban, Ikara, and Zaria とともに発生地図に記されている。Funakaye and Gombe in Gombe state もまた、2012年の発生地域である。
[3] コンゴ共和国 Republic of the Congo (Likouala province)
 情報源 : UN Integrated Regional Information Networks (IRIN) News 、2012年2月21日
コンゴ共和国 the Republic of the Congo では、2011年6月以降、北部 the northern district of Likouala において、340 cases of cholera が記録され、うち9例が死亡した ... 2月上旬、中央アフリカ共和国の川船の乗組員らが、コレラ感染により死亡したと見られる2名の患者を埋めた。Betou から Liranga に至る約500kmの地域に感染流行が拡大し、この地域には中心地 the department's main town, Impofondo も含まれている。
[4] コンゴ民主共和国 Congo DR
 情報源 News24.com, South African Press Association (SAPA) report 、2012年2月21日
コンゴ民主共和国 the Democratic Republic of the Congo の全11州のうちの9州に、コレラ感染流行が拡大した、と国連当局者が述べた。2011年1月以降、感染流行による死者は644人、感染者は26000人に上っている。 ...
[5] モザンビーク Mozambique (Maputo province)
 情報源 CRIENGLISH.COM, Xinhua News Agency report 、2012年2月20日
首都マプト Maputo から32kmの Inhaca Island で、コレラ感染者数の増加が報告されている ... 島内の住民らに、トイレ設置の習慣が無いと、市保健当局者は述べている。
[6] ウガンダ Uganda (Mbale district)
 情報源 AllAfrica, The Monitor report、2012年2月19日
ムバレ Mbale District 当局は、コレラ感染流行で2人が死亡し、14人が入院となっていることを受け、最低の衛生基準を満たしていない全ての飲食店の閉鎖を指示した

● 鳥インフルエンザ、ヒト インドネシア、バングラデシュ(2件)
インドネシア
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (27): Indonesia (BA) WHO
Archive Number: 20120302.1058709
 情報源 WHO Global Alert and Response (GAR) Disease Outbreak News、2012年3月1日 FORTH より
Avian influenza situation in Indonesia - update
3月1日に公表されたWHOの情報によると、インドネシアで新たにインフルエンザA(H5N1)症例1例が報告された。患者は、バリ島バドゥン(Badung)県に住む12歳の男児で、2月11日に発症し、2月16日に民間のクリニックに入院したが、患者の状態は悪化し続け、重篤な呼吸困難に陥ったため、同20日に鳥インフルエンザ対応可能な病院に転院したが、2月21日に死亡した。感染源調査によると、患者は家きんと接触していたが、患者の家やその近所で死亡した家きんは見られなかった。リスク要因は現在もなお調査中である。インドネシアでは、2005年から現在までに186例の患者が確認され、そのうち154例が死亡している。

バングラデシュ
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (26): Bangladesh (Dhaka)
Archive Number: 20120301.1057954
 情報源 Avian Flu Diary 、2012年2月29日
40歳男性1名が、バングラデシュで4人目となる鳥インフルエンザ感染患者 4th case of human avian influenza A/(H5N1) influenza virus infection であることが分かった。2月26日に実施された、ダッカ Dhaka City 市内の生きたトリを扱う市場のサーベイランスで判明した。rRT-PCR により確定診断されている。患者は live bird market worker だった。この患者には咳の症状が認められていた。咽頭と鼻のスワブ検査でH5N1 が陽性となった。現在男性に症状は見られていない。当局 IEDCR [Institute of Epidemiology, Disease Control & Research] and ICDDR,B [International Centre for Diarrhoeal Disease Research, Bangladesh] が調査に当たっている。バングラデシュで初めての感染患者が確認されたのは 2008年で、2nd and 3rd cases が 2011年に確認されていた。
[Mod.CP- WHO に確認されれば、バングラデシュで4人目の感染となる。今回の症例は軽症と見られ、以前の3例はいずれも生存している]

● マラリア 英国
PRO/EDR> Malaria - UK: imported
Archive Number: 20120301.105795
 情報源 Daily Mail, Travel Mail 、2012年2月29日
致死性のマラリア Malaria 感染により治療 NHS care が必要とされた患者数が1日平均7例以上と、この10年間で最多の数字となった。タンザニアを旅行した歌手が発病したことで有名となったこの病気は、蔓延国 exotic destinations への旅行者により英国内に持ち込まれる。The NHS の数字によると、昨年[2011年]マラリアの治療を受けた患者は2590人で、2年間で27%増えた ...英国内で毎年平均9人が死亡している ...
[Mod.EP- 2010年の the Health protection Agency の数字によると、英国で1761人のマラリア輸入患者が発生した。1495 in 2009, 1370 in 2008, 1548 in 2007, and 1758 cases in 2006 が報告されている。患者数の増減は基本的に、"visiting friends and relatives" travelers と呼ばれる、母国を訪ねた英国への移民の患者数を反映している]

● カンピロバクター症 米国
PRO/AH/EDR> Campylobacteriosis - USA (10): unpasteurized milk 
Archive Number: 20120301.1057870
 情報源 Food Safety News 、2012年3月1日
2月24日の最新報告の後、州保健当局 the Pennsylvania Department of Health は新たに、Your Family Cow dairy in Chambersburg, PA の未殺菌ミルクが関係する、2例のカンピロバクター症 campylobacteriosis 患者を確認し、患者数は80人となった。いずれもペンシルベニア Pennsylvania 州の患者で、以前に発症しており、新規の患者発生は鈍化している
関連項目 20120217.1044840

● 黄熱 カメルーン
PRO/AH/EDR> Yellow fever - Africa (03): Cameroon (NO) 
Archive Number: 20120301.1057141
 情報源 Cameroon Radio Television (CRTV) 、2012年2月14日
公衆保健省は、Lagdo in the Northern Region において、黄熱 yellow fever に対するワクチン接種キャンペーンを開始した。感染感受性のある the banks of the Lagdo River の住民らを中心に行われると発表された。2011年の報告で、同地域で62例の患者が登録されていることが判明し、実施されることになった。対象となる住民は約2百万人である。
[Mod.TY- 20120203.1032090 によると、2011年10月以降、6つの地域  health districts : Guider, Bibemi, Gaschiga, Lagdo, Mayo Oulo, and Golombe districts (all in the Northern Region) において、死者7人を含む23人の黄熱患者が発生し、13例は the Institute Pasteur of Cameroon で確定診断されていることが、保健省から報告されている。上記の記事では62例とされているが、このうち確定診断されたのは何例か記載がない。上記および2月3日のいずれの報告でも、2011年10月の患者発生から3-4か月経った、1月末ないし2月初めにワクチン接種が開始されたと伝えられている。最近の患者発生はないようである]

(動植物)
● 炭疽 米国
PRO/AH/EDR> Anthrax, bovine - USA (02): (MS) comment
Archive Number: 20120302.1058043
 投稿者 ProMED-mail Animal Disease Assistant Moderator、Martin Hugh-Jones、2012年3月1日
1日のミシシッピ州獣医官 the Mississippi State Veterinarian からの情報によると、ウシ4頭と子牛3頭が放牧されていた地域は、堤防 the levee と河川に挟まれた草むら hay field で、昨夏の異常な水位の上昇で洪水による浸水が一部で起きたが、例年春の水位上昇では冠水していなかった。所有者により1頭目のウシの死亡が確認されていたが、報告されたのは2頭目が死亡した後で、脾臓の検体の検査で炭疽菌が確認された ...

● ポテトの病気、ジャガイモシストセンチュウ 米国
PRO/PL> Golden cyst nematode, potato - USA: (NY) update
Archive Number: 20120302.1058275
 情報源 FreshPlaza, The Daily News Online report、2012年2月21日
New York potato growers' victory over golden nematode
60年間におよんだ the golden nematode [GN] との闘いに、ポテト農家は勝利宣言を行っている
[Mod.DHA- golden (_Globodera rostochiensis_, with at least 5 races) and pale (_G. pallida_) potato cyst nematodes (PCNs) は共に、ポテトや他のナス科 solanaceous crops (such as tomato) の収穫に被害を与え、雑草 weeds が pathogen reservoirs の役目を果たすことがある]

● 鳥インフルエンザ ミャンマー OIE
PRO/AH/EDR> Avian influenza (17): Myanmar (SA) H5N1, poultry, OIE
Archive Number: 20120302.1058088
 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2012; 25(9)、2012年3月1日
Highly pathogenic avian influenza, Myanmar、reoccurrence of a listed disease
感染開始時期 2012年2月20日前回流行時期 2011年4月14日
原因ウイルス highly pathogenic avian influenza virus Serotype: H5N1
新たな感染流行
発生地 Myothit Quarter, Chaung U, Monywa,、農場
感染した種 birds
Susceptible: 1060
Cases: 61
Deaths: 61
Destroyed: 999
Slaughtered: 0
Affected population: layers
Epidemiological comments: 合計1060羽が飼育されていた2か所の農場の、5-month and 18-month-old layer chickens 。2月20日に数羽の死亡が確認され、4日間で61羽のニワトリが死亡した。Chaung U township の139の農場で、4万羽のニワトリ layers and broilers of different ages が飼育されている。

● 狂犬病 メキシコ
PRO/AH/EDR> Rabies - Mexico: (YU) canine, human exposure
Archive Number: 20120301.1057216
 情報源 Diario de Yucatan [in Spanish]、2012年2月28日
the Cholul commissariat [administrative division] において、3頭のイヌの狂犬病 Rabies が確認されたため、32人に狂犬病ワクチン[曝露後]接種が行われたことが、保健当局から報告された。3頭のイヌの狂犬病検査が陽性となったため、15日間、周囲 15km の範囲の地域 the Sitpach and Cholul area に疫学的隔離措置 the epidemiological barrier が実施されていると27日保健当局者が述べた ... この3年間、イヌおよびネコの狂犬病は報告されていなかった。人獣共通感染症の当局者は、吸血コウモリ hematophagous bats [vampires, usually _Desmodus rotundus_] の咬傷により野犬が感染することが多いとしている [Subtyping of rabies virus isolates from bats and dogs が必要]。
[Mod.TY- メキシコでは狂犬病ウイルスが常在 endemic し、2012年のこれまでに吸血コウモリによるウシやウマの感染が報告されてきた。2011年5月 Hidalgo state でイヌの狂犬病感染流行が発生した [20110508.1420]。ペットへの定期接種の重要性など]