2012年5月2日

原因不明の疾患-ベトナム、トキシン疑い
マラリア-ナイジェリア、インド

● 原因不明の疾患-ベトナム
PRO/EDR> Undiagnosed illness - Viet Nam (05): (QG) toxin susp. RFI
Archive Number: 20120502.1120880
 情報源 VnnNews.net、2012年5月1日。
ベトナム政府保健省と中央部 Quang Ngai 省の当局者との28日の会合で、同地域内の原因不明の致死性皮膚病の原因の候補として、イネのカビ rice mold が新たに加えられた。Ba To district の患者の多くが、カビの生えたイネを食べていたと報じられた。保健省は、伝染性がないことから原因として微生物 (による感染) を否定し、外部からの接触や摂取による毒素に疑いを絞っていた。カビの生えたコメを含むトキシンについて調査を進めており、10日以内に結論を出したいとしている。結論に至らない場合、the World Health Organization への協力を求める方針である、と述べられている。先週、同省専門家により、12-13日に同地域で採血された検体の半数で、ノミが伝播するリケッチアが確認されたとされているが、今までにツツガムシ the typhus bacterium が、今回のような症状を起こしたことはない ... 臨床経過、患者発生状況 (2011年4月以降死者19人を含む179人、28日に2人)、検査異常 (肝酵素基準値の4-20倍)など。
[Mod.ML- ProMED-mail ではこれまで、ベトナムの the Bo To district of Quang Ngai province の患者について報告を行ってきた。患者は、食欲低下と呼吸器症状を伴う急性発熱性疾患として発症し、その後手足の "palmoplantar keratoderma (掌蹠角皮症) " と呼ばれる発疹と、肝機能異常が認められ、一部の患者で多臓器不全と死亡が生じている。手掌、下肢、口腔、背部、腹部の潰瘍や、眼症状、四肢の強ばり stiffness of the limbs そして流産なども報告されている。患者の多くが小児と若年者である。2011年4月に始まったとされ、同年11月から翌2月までの間は勢いが収まっていたが、3月と4月に再び勢いを増した。報道機関によって患者数はバラバラであるが、最多で、2011年は合計150人、2012年は死者27人で計179人とされている。早期治療が有効とされているが、具体的な治療内容は明らかにされていない。ただし、一部の患者は、初期治療の効果が見られた後に再発している。写真 1 and 2 (the rash on the hands and feet)。当初の血液検査で患者の半数が陽性であったため、リケッチアが原因と判断されていたが、現在は否定されている。1916年に開発された安価な The Weil-Felix test は、現在でも医療資源の限られた途上国において、リケッチアの診断に重要な検査法で、今回の調査にも利用されたものと考えられるが、この検査の特異度・感度はともに高くなく、いずれにしても、今回のアウトブレイクの臨床像は rickettsial disease に一致しない。toxin への曝露による可能性がより高く、ベトナム当局は "molded rice" およびその他の toxins を原因として疑っている。有毒化学物質であるchloracnegens への曝露による palmoplantar keratoderma が報告されている (Acquired palmoplantar keratoderma. Am J Clin Dermatol. 2007; 8(1): 1-11; abstract) ...]
地図1 Quang Ngai in the South Central Coastal region along the South China Sea, 883 km (549 miles) south of Hanoi and 838 km (521 miles) north of Ho Chi Minh City 
地図2 Ba To is a rural district of Quang Ngai province with a population of 47 268 in 2003 
関連項目(04) 20120427.1116144

● 鳥インフルエンザ、ヒト (49)-インドネシア
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (49): Indonesia (RU) child 20120502.1120713
 情報源 The Jakarta Post、2012年5月2日。
27日、 Riau 州病院で 2歳の男児1名が鳥インフルエンザのため死亡した。当局の調査により、患児は両親が売るウズラの卵との接触があった可能性が判明した、と1日当局者が述べた。Siak in Pekanbaru 在住のこの男児は、4月17日に発熱があり、同20日にクリニックを受診し、良くならないため同夜病院を受診した。翌日、さらに別の病院を受診した後、州の病院へ転送された。患児の状態は悪化し、4月27日に死亡した。
[Mod.CP- インドネシアの鳥インフルエンザ患者のすべてが確定診断されているわけではないが、今回の報告は保健省から発表されており、正しい可能性が高い。そうであれば、2012年のインドネシアで7人目の感染例であり、7人目の死亡患者となる]

● C 型肝炎-米国
PRO/EDR> Hepatitis C - USA: (CA) baby boomers, alert 20120502.1120726
 情報源 Los Angeles Times、2012年5月2日。
CDC The Centers for Disease Control and Prevention は、1945年から1965年に生まれた人々に対し、(C 型肝炎ウイルスの) 検査を受けるよう勧めている。C 型肝炎と診断される人のおよそ75%が、この時期に生まれた baby boomers だとしている。気づかれないまま感染が拡がっている C 型肝炎の感染による死者の増加が著しいことから、政府当局は、広範囲な全国的な検査の実施を計画している。慢性C 型肝炎の患者320万人のうち、4人に3人が baby boomers の世代の患者で、死亡する患者のうちの割合もほぼ同じとなっている。ウイルス感染による死者の数は、1999年から2007年にかけて倍増し15000人を超えた ...

● マラリア-ナイジェリア、インド
ナイジェリア
PRO/AH/EDR> Malaria - Nigeria 20120502.1120714
 情報源 Nigerian Tribune、2012年5月2日。
保健大臣によると、ナイジェリアは世界で最もマラリア患者数が多く、世界中の患者のおよそ1/4に当たる23%が国内の患者で占められている。4月30日の the World Malaria Day の夕食会で、ナイジェリアでは母体死亡の11%と小児の死亡30%が発生しており、ナイジェリアを含む5カ国だけで、世界中のマラリアの47%が発生している、と述べた。蚊帳 long lasting insecticide-treated nets の配布などの対策を行っている、と説明した。そのほかにも屋内残留性殺虫剤 indoor residual spraying (IRS) やボウフラ駆除薬 larviciding; 抗マラリア薬やグッズの配布; 医療従事者の能力向上、などが行われている。9つの地域 Kano, Jigawa, Bauchi, Gombe, Kaduna, Anambra, Delta, Akwa Ibom and Rivers の2010年の調査で、1つ以上の蚊帳 insecticide treated net (ITN) を保有する家庭の割合が、2.2%から88%にまで上昇していた。"蚊帳の下で寝かされている5才未満の小児の割合も、3%から44.6%にまで増えた" ことを加えた。
関連項目 20120303.1059694

インド
PRO/AH/EDR> Malaria - India (03): (KA, JH) update 20120502.1119640
[1] Karnataka
Malaria reported from Bantwal, Karnataka, blamed on migrant workers

 情報源 Daijiworld Media Network-Bantwal (RD)、2012年5月1日。
モンスーン到来前にもかかわらず、[Bantwal ] taluk [administrative division] では、すでに 28例のマラリア Malaria 患者が報告されていることが、4月30日に保健当局から明らかにされた。7例が Kurnad primary health centre から、21 例が地域全域にある他のセンターからの報告だった。地域内の建設現場で働く、Bagalkot, Bijapur, and other districts [in Karnataka] からの移動労働者らがマラリア感染を拡大さえており、Vamadapadav primary health center 管内で報告された2例のハンセン病患者も現在治療中である、と説明されている。
[2] Jharkhand 
Jamshedpur, Jharkhand, malaria cases on the rise
 情報源 The Times of India, Times News Network (TNN)、2012年4月10日。
数ヶ月間発生のなかったマラリアは、先週から保健管区内 the district [East Singhbhum] health department での発生が増加している。2011年、この地区内で約20例の死亡を含む4000例の患者が報告されている。ここ数日間で2例の死亡が報告されている ...
the WHO 2010 World Malaria Report : Karnataka は、a low risk area、Jharkhand は the states with the highest risk となっている

● 百日咳-カナダ
PRO/EDR> Pertussis - Canada (03): (YT) 20120502.1120666
 情報源 Canadian Broadcasting Corp、2012年4月30日。
ユーコンの住民ら Yukoners に、5例の感染が確認された百日咳 pertussis (whooping cough) への注意が呼びかけられている。5人はいずれも、3月に行われたホッケー大会 the Yukon Native Hockey Tournament に関係し、出場者もしくはその家族であった。現在発生中の流行 the current outbreak in British Columbia とも直接的な関連性が認められる、とされている

● コレラ ハイチ
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2012 (15): Haiti 20120502.1120308
 情報源 Defend.ht, MSF (Medecins sans Frontieres/Doctors Without Borders) report、2012年5月1日。
ポルトープランス Port-au-Prince と Leogane にある、国境なき医師団のコレラ治療センターにおける、コレラ感染患者数が、1ヶ月足らずの間に3倍に増加した。4月末の the town of Martissant において134人の患者が発生し、各センターの合計患者数が400人近くに達している。雨期の到来が感染拡大を助長している。Carrefour 等のセンターを再開し対応している 
関連項目 (13): DR, Haiti 20120423.1107228

● 食中毒-米国
PRO/EDR> Foodborne illness - USA (03): (CO) C. perfringens, luncheon 20120502.1120266
 情報源 The Pueblo (CO) Chieftain、2012年5月2日。
保健当局 The Pueblo City-County Health Department により All Seasons Catering は業務停止を命じられた。4月24日に提供した昼食で35人が発病し、いくつもの法令違反 violations があったことが分かった。患者の便から検出されたウェルシュ菌 _Clostridium perfringens_ toxin が原因とされている 

● サルモネラ感染症 (パラチフス)-米国
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, serotype Paratyphi B - USA (02): (NC) tempeh 20120502.1119408
[1] 情報源 Asheville (NC) Citizen-Times、2012年5月1日。
細菌感染の原因となった食品が市場から回収された後も、サルモネラ症の患者発生の増加が続いている。保健当局 The Buncombe County Health Department は1日、4月30日までの34例に加え、新たに2例のパラチフス salmonella Paratyhpi B 感染例を報告した。以前報じられたとおり、現地で製造された発酵豆食品の検査で、同菌が検出されており、生産者 Smiling Hara Tempeh は商店やレストランからの自主回収を行っている ....
[2] 情報源 Buncombe County (NC) Department of Health、2012年5月1日。
1日の時点で当局 Buncombe County Department of Health は、37 cases of _Salmonella [enterica_ serotype] Paratyphi B infection を報告している。一部の患者はtempeh を摂取しているが、他の患者は摂取していない。
患者らへの聞き取り調査により、3つの感染経路のうちの1つで感染したと考えられている; tempeh を食べた、パラチフス _S._ Paratyphi B 感染患者との接触 (person-to-person)およびその他 ...
[Mod.LL- Tempeh はインドネシアの伝統的なダイズ食品で、ベジタリアン用の非常に固いハンバーガーのパティのような、ケーキの形に固めたダイズを自然発酵させて作る。Sinosphere 中国? に由来しない唯一のメジャーな伝統ダイズ食品であると言う点で、テンペ Tempeh は独自性を持っている]
関連項目 20120428.1116448 

● 鳥インフルエンザ -中国 H5 亜型
PRO/AH/EDR> Avian influenza (33): China (HK) H5, crested myna 20120502.1120877
 情報源 News.gov.hk、2012年5月2日。
4月27日に Santa Monica Avenue in Yuen Long (元朗) で死亡して発見された、1羽のムクドリ crested myna に対し行われた検査で、H5 亜型陽性であることが判明し、さらに詳しい検査が行われていることが、2日当局 the Agriculture, Fisheries & Conservation Department より発表された。当局は、この通りの消毒作業を徹底して行っている。3km圏内にある4か所の養鶏場で、ニワトリの異常は確認されていない。
[Mod. PMB-確認されれば、2011年12月以降続く、香港の野鳥と家きんのH5N1感染例に加えられることになる。The crested myna (_Acridotheres cristatellus_) は、中国南東部とインドシナのムクドリの常在種 species of starling native である]
関連項目 (26): HK H5 20120323.1077949

● ペリカンの大量死-ペルー
PRO/AH/EDR> Pelican die-off - Peru: RFI 20120502.1120839
 情報源 BBC News、2012年4月30日。
政府当局は、国内北部 の70kmに及ぶ沿岸地域で発生した、500羽以上のペリカンの死亡について調査を行っている。この数日間は、特に死亡する数が増えている、と当局者が述べた。研究者らは、ほかにも54頭の boobies [?]、数頭のアシカ、1頭のカメの死体を発見した。同じ地域で、2012年の以前にも、およそ800頭のイルカが打ち上げられているのが発見され、今も原因調査が続いている [20120422.1110060]
[Mod. PMB- 単一の病原体による可能性は低い。Dolphin morbillivirus (DMV) がクジラ類 cetaceans 以外の哺乳類から検出されたことはない。汚染物質 pollutants、ストレス物質 stressors、化学または物理的要因 (seismic exploration 地震探査)]

● 口蹄疫-パレスチナ, FAO
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Palestinian Auth (04): (GZ) st SAT-2, FAO 20120502.1120749
[1] 情報源 FAO press release、2012年5月2日。
新たな口蹄疫ウイルス株の、中東及び北アフリカにおける拡大防止が重要 ...
[2] 情報源 Associated Press via Startribune.com、2012年5月2日。
エジプトで発生した口蹄疫 outbreak of FMD が、隣接するガザ Gaza Strip に波及し、中東全体に拡大する恐れがある。ローマに本部を置く世界食料農業機関 Food and Agriculture Organization [FAO] は2日、4月19日にガザ南端の国境の町 Rafah に到達したことを発表した ...
関連項目 20120429.1117865

● アブラナの病気、根こぶ病-カナダ
PRO/PL> Clubroot, oilseed rape - Canada: (MB) 20120502.1120037
Crop-damaging disease found in Manitoba soils
 情報源 CTV Winnipeg, The Canadian Press report、2012年4月27日。
マニトバ Manitoba 州内の別の2か所の土壌検査で、根こぶ病 Clubroot DNA が初めて検出された。2011年に、州内の2か所のキャノーラ畑から採取された検体で、低濃度の病気 low levels of the disease が確認されている ...
[Mod.DHA- Clubroot of _Brassicaceae_ の原因は、真菌の _Plasmodiophora brassicae_ である]

● 水疱性口内炎-米国、ウマ科
PRO/AH/EDR> Vesicular stomatitis, equine - USA: (NM) 20120502.1120007
 情報源 Ruidoso News、2012年5月1日。
オテロ郡 Otero County の、ウマのウイルス感染が確認された農場1か所が隔離されている。獣医学当局 The New Mexico Livestock Board and the USDA Veterinary Services は、水疱性口内炎 vesicular stomatitis の、Tularosa 以外への感染拡大がないか、調査している