2012年5月3日-4日

リーシュマニア症 スペイン
コレラ INABA と the Ogawa serotype の感染後予防効果の相違 MMWR

● リーシュマニア症 スペイン
PRO/AH/EDR> Leishmaniasis - Spain: Madrid
Archive Number: 20120504.1123085
 情報源 El Pais [in Spanish]。2012年5月3日
スペインに常在し、イヌでは比較的ありふれているがヒトに感染することはまれな寄生虫の病気、リーシュマニア症 Leishmaniasis が現在流行している。2009年7月以来、Fuenlabrada で発生し終息の見込みはない。2012年の1月から3月までの間に、新たに35例の感染が報告された。しかし、同時期に54例が報告されていた2011年に比べ状況は改善している ... 4月10日現在の 公式に確認されている患者数は 240 cases: Fuenlabrada (201), Leganes (26), and Getafe (13) で、現在 266人に更新されている。41%が最も重症型の内臓リーシュマニア症で、2-6か月の長い潜伏期間後に発症し、治療されない場合は死亡する可能性がある。59%が皮膚リーシュマニア症だった。 Fuenlabrada, Getafe, and Leganes に加え、Humanes からも2012年4例の感染が報告されている。2011年は、_Phlebotomous_ mosquitoes (ベクター) の活動期である5月から10月までの暑い時期に一致して、患者発生が認められた。ベクターは冬の時期に一旦死滅し、翌夏に発生するベクターも、(リーシュマニア症の) 感染動物から吸血するまでは感染のない状態にある ... 従来よりイヌが主な保有動物とされてきたが、今回の流行では Bosquesur に生息する多数のウサギも二次性保有宿主となっていることが判った。
[Mod.EP- 12-year period (1997-2008) の leishmaniasis による入院患者2028人を対象とする、最近の研究によると、住民10万人あたり 0.41人が入院となり、その1/3が human immunodeficiency virus (HIV) 感染者だった。leishmaniasis co-infected with HIV による入院患者の数は年齢とともに増加し 35-39 歳をピークとして徐々に減少する。小児に関しては、すべて HIV-negative children の感染だった。入院患者の数が多かったのはマドリード Madrid 及び地中海沿岸 the Mediterranean coast 地方だった (Epidemiology of leishmaniasis in Spain based on hospitalization records (1997-2008). Am J Trop Med Hyg. 2011;85:820-5)]

● コレラ ハイチ
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2012 (16): Haiti, st switch 20120503.1121767
 情報源 Morbid Mortal Week Rep 61:309-309 、2012年5月3日
2010年10月20日、ハイチでは1世紀ぶり以上となるコレラの発生が確認された。2012年4月10日現在、合計53万4647人の患者、28万7千人余りの入院と7091人の死亡が確認されている。
the Haiti epidemic の原因となったコレラ菌は、分析の結果 toxigenic _V. cholerae_, serogroup O1, serotype Ogawa, biotype El Tor と特定されている。
最近、3月12-13日に Anse Rouge, Artibonite Department で採取・分離された2株のコレラ菌が、ハイチ国立公衆衛生研究所の分析により non-Ogawa serotypes であることが確認された。その後 CDC でも the Inaba serotype であることが確かめられた。分子学的解析 molecular analyses (pulsed-field gel electrophoresis, multilocus variable number of tandem repeat analysis, and virulence gene sequencing [ctxB and tcpA]) により、これらの 2 isolates は、現在ハイチ国内で感染循環するコレラ菌 _V. cholerae_ serotype Ogawa strain とは別の菌株であることが示されている。
分析結果では異なる型 serotype switching により発生したもので、コレラ感染流行では、感染循環菌株に対する集団内の免疫による菌の交代は、よく見られる現象である。2つの菌が検出されたことによるガイドラインの変更はない。Ogawa and Inaba serotypes の間に、重症度や病悩期間の違いは認められていない; いずれの菌 _V. cholerae_ of either serotype に感染した場合でも、ほとんどは発症しない。2つの型の間の相互免疫 cross-protective immunity は不完全である。
以前、Inaba に比べ the Ogawa serotype は、感染後に得られる異なる血清型への再感染予防免疫が弱いことが報告されている。従って、the Inaba strain がハイチで定着した場合、以前に the Ogawa serotype のコレラ菌に感染した患者は the Inaba serotype に感染しやすいと言える。いずれにも感染したことがない場合は、2つの型に同じように感染する可能性がある。
the Inaba strain は biotype El Tor でもあるので、the Ogawa strain と同様、生体外で生存する可能性がある。
WHO が認可している2種類のワクチンは、the Ogawa and Inaba serotypes への免疫を付与し、さらに迅速検査 the cholera rapid diagnostic tests は、Ogawa and Inaba serotypes を含め全ての型の O1 serogroup infections を検出できる
関連項目(15) Haiti 20120502.1120308

● 百日咳 アルゼンチン
PRO/EDR> Pertussis - Argentina 20120504.1122722
 情報源 El Comercial [in Spanish]、2012年4月30日
保健相は百日咳患者 Pertussis の増加を受け、特に妊娠20週以降の妊婦に対してワクチン接種を勧め、小児は予定どおり接種を済ませるなど、市民への注意を呼びかけている。2011年、当局 the Laboratory Surveillance System (SIVILA, スペイン語頭文字) は、1歳未満の小児の 1594 confirmed (pertussis) cases and 70 deaths を報告しており、死亡患者の 91%が 4歳未満の小児だった。
2012年、the 16th epidemiological week (16-22 Apr 2012) までのデータでは、2207例の患者が百日咳の症状に一致し、568例で百日咳菌 _Bordetella pertussis_ の検査陽性が確認されている

● サルモネラ感染症 米国
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, serotype Infantis - USA: human, dog food 20120504.1122720
 情報源 CDC、2012年5月4日
CDC が関係各局と協力して調査を進めている、複数の州にまたがるヒトのサルモネラ感染症流行 outbreak of human _Salmonella [enterica_ serotype] Infantis infections は、月平均0-3件しか報告されない、まれな型の菌によるもので、Diamond Pet Foods が South Carolina 州の工場で生産する複数のペットフード商品と、一部の患者との関連性が確認されている。ペットフードもしくはそれを食べた動物との接触により感染した可能性がある

● 鳥インフルエンザ、ヒト インドネシア H5N1 WHO
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (50): Indonesia (RU), child, WHO
Archive Number: 20120503.1122090
 情報源 World Health Organisation (WHO), CSR, Disease Outbreak News、2012年5月2日
Avian influenza situation in Indonesia -- WHO update
インドネシア保健省当局 The Indonesian IHR National Focal Point of the Ministry of Health より WHO に対し、新たな鳥インフルエンザ Avian influenza A(H5N1) ウイルス感染症例が報告された。
患者は Riau Province の2歳男児で、2012年4月17日に発熱があり、同21日に入院となったが、同27日に死亡した。初期疫学調査で、患児の両親がウズラ卵の販売者であったことが分かっている。保健省の検査機関 the National Institute of Health Research and Development (NIHRD) で感染が確認された。2005年以降これまでに、インドネシアで189人の患者が報告され、157人が死亡した。
[Mod.CP- 20120502.1120713 について WHO が確認した。患児の曝露に関しては、新たな情報は得られていない]

●  C型肝炎 スコットランド
 PRO/EDR> Hepatitis C - Scotland: (LN) 20120503.1122039
 情報源 The Scotsman Newspaper、2012年5月3日
Hepatitis C cases reach record level in the Lothians
the Lothians において C型肝炎 Hepatitis C と診断される人の数が記録的な水準に達しており、2011年は、10年前の 2倍以上に当たる合計 333人が診断された。2009年は 202人、2010年は 276人だった。当局は、周知・啓蒙活動により、検査を受ける人が増えた結果であると受け止めている

● サルモネラ感染症 米国
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, serotype Bareilly - USA (09): tuna, 2nd st 20120503.1121817
 情報源 CDC、2012年5月2日
_Salmonella_ Bareilly or _Salmonella_ Nchanga の感染流行の原因菌に感染した患者は、24州で合計258人が報告されている。新たに報告された 58人; California (2), Connecticut (1), Georgia (1), Illinois (8), Maryland (4), Massachusetts (3), Nebraska (1), New Jersey (8), New York (6), North Carolina (1), Pennsylvania (13), Tennessee (2), Virginia (7), and Wisconsin (1)
関連項目 (08): tuna, 2nd st 20120427.1115922

● 真菌性眼内炎 米国
PRO/EDR> Fusarium endophthalmitis - USA (02): alert, recall, more cases, 2nd fungus 20120503.1121783
 情報源 Morbid Mortal Week Rep 61: 310-311、2012年5月3日
カリフォルニア州公衆衛生当局 the California Department of Public Health は、州内の1か所の緊急外科センターにおいて、9例の患者が臨床的に真菌性眼内炎 fungal endophthalmitis と診断されているとの報告を受けた。ロサンゼルス the Los Angeles County Department of Public Health 当局の調査で、いずれも Franck's Compounding Lab (Ocala, Florida) 製の Brilliant Blue-G (BBG) と呼ばれる染料を使用した、網膜上膜剥離 epiretinal membrane peeling による硝子体切除術 vitrectomy を受けた患者であったことが明らかになった。その後、Franck's triamcinolone-containing products の硝子体注入を受けた患者まで調査の範囲が拡げられ、関係各局の協力を得て、7つの州の合計 33例の患者が確認されている
関連項目 20120410.1095959

● 病原大腸菌 EHEC 米国 O157
PRO/AH/EDR> E. coli EHEC - USA (12): (OR) O157, raw milk, addtl. pathogens 20120503.1119409
 情報源 Oregon Live、2012年4月30日
オレゴン州保健当局 Oregon health officials は、Wilsonville 近郊の1か所の農場が原因とされる、3週間近く前の生ミルク事件 raw milk outbreak で、新たに2人の患者が関係する疑いがあると見ている。この2人の成人はいずれも Foundation Farm の生ミルクを摂取しており、このうちの1人は、アウトブレイク発生に関する注意が出された後も飲み続けていた。1人はカンピロバクター _Campylobacter_ 感染であり、もう1人はクリプトスポリジウム _Cryptosporidium_ 感染で、集団発生による感染の可能性がある患者が21人となった。ほか10人は病原大腸菌O157 に感染していた。最も危険な食中毒菌の1つである _E. coli_ O157:H7 が、農場の4頭のウシのうちの2頭の直腸スワブ検体で確認されている。ミルク及び肥料の検査でも、同じ菌が陽性だった。州の疫学専門家らは、ウシや環境の調査の中で、これらの菌 these other organisms については調査していなかったため、新たな患者らと Foundation Farm milk との関係は、はっきりしないとしているが、保健当局者はその可能性が高いとしている。 "生ミルクからヒトに感染する病原体は、山ほどある long list " と述べている。
関連項目 (10) 20120418.1105459

● 口蹄疫 エジプト
PRO/AH> Foot & mouth disease - Egypt (19): vaccine availability, RFI 20120504.1123292
 情報源 MMEGI On Line (Botswana), Vol. 29 No. 65、2012年5月3日
エジプトに、ボツワナ・ワクチン研究所 Botswana Vaccine Institute (BVI) から口蹄疫 Foot & mouth disease ワクチンの第1便が到着した

● 鳥インフルエンザ ブータン
PRO/AH/EDR> Avian influenza (34): Bhutan, poultry 20120504.1122995
 情報源 The Poultry Site、2012年5月3日
4月20日、ブータン the Royal Kingdom of Bhutan は新たな高病原性鳥インフルエンザ Avian influenza 感染流行について、the World Organisation for Animal Health (OIE) に報告を行ったが、同国は2012年のこれまでに11件の感染流行を報告していることが USDA により明らかにされた。流行があったのは、Yangbari village, Mongar district で庭先飼育されていた家きんの群れで、4月11日に現地で報道されていた

● 炭疽 インド、サイ
PRO/AH/EDR> Anthrax, rhinoceros - India: (DL) 20120504.1122937
[1] 情報源 Express India、2012年5月2日
デリーの動物園 the Delhi Zoo で炭疽 Anthrax によると見られる動物の死亡が発生したため、1日よりサイの檻の一般公開が中止された
[2] 情報源 Daily Pioneer、2012年5月3日
動物園 National Zoological Park で若いサイ1頭が死亡し、炭疽感染が確認されたことから、当局 the Central Zoo Authority (CZA) は全国の動物園に対して注意を呼びかけた
いずれも長文です、原文参照願います。
(→5月7日、否定)
 
● Sponge orange band 米国
PRO/AH/EDR> Sponge orange band - USA: (FL) susp. 20120504.1122721
 情報源 Reef Rescue、2012年4月29日
giant barrel sponges (_Xestospongia muta_) に最近、病気が大量発生していることが、現地のダイバーらから報告されている。4月後半に、パームビーチ Palm Beach の北12マイルの Boynton Beach から続くサンゴ礁で確認されているこの病気は、sponge orange band (SOB) disease だと見られている

● BSE 米国
PRO/AH> BSE, bovine - USA (05): (CA) 20120504.1122322
[1] 20120501.1119136 でのコメントについて
 投稿者 米 Mississippi State University・Linda A. Detwiler, DVM、2012年5月3日
[2] 情報源 CNN、2012年5月3日

● White nose syndrome 米国 、コウモリ
PRO/AH/EDR> White nose syndrome, bats - North America (15): (TN) 20120503.1122040
 情報源 TheChattanoogan.com、2012年5月2日
the Chickamauga and Chattanooga National Military Park 内の生物学者やボランティアらが、Hamilton County, Tennessee にある園内の洞窟で2頭の tricolored bats を捕獲したところ、このうち1頭が white-nose syndrome (WNS) の検査で陽性となった
[Mod.PMB- 以前にも同州内では確認されていたが、同郡では初めて]

● 原因不明の大量死、スナメリ 中国
PRO/AH/EDR> Undiagnosed die-off, finless porpoise - China: RFI 20120503.1122015
 情報源 livescience.com、2012年5月1日
32頭の死亡、専門家懸念
3月と4月の2か月間に、中国の2つの湖 the Dongting 洞底湖 and Poyang lakes で 32頭以上の Yangtze finless porpoises が死亡しているのが発見された。専門家らが、絶滅の危機に一歩近づくのではないかと懸念していることを、the World Wildlife Fund が報告した

● ポテトの病気、Bacterial ring rot オランダ、ドイツ
PRO/PL> Bacterial ring rot, potato - Netherlands, Germany: update 20120503.1121126
 情報源 Potato Pro、2012年4月27日
オランダ植物衛生監視当局 The Dutch agency responsible for phytosanitary inspections [NVWA] は、南部 (Zuid Holland and Zeeland)で the potato disease ring rot (細菌性輪腐病)の発生を確認した。市場で発見されたこの感染ロットは、撤去された。3月上旬にドイツ政府当局が、2010年からオランダ産の種イモ Dutch seed potatoes を使用しているポテト栽培農家で ring rot を確認した、との報告を受け、The NVWA が (オランダでの) 感染を確認した ...
[Mod.DHA- Ring rot of potato は、細菌の _Clavibacter michiganensis_ subsp. _sepedonicus_ を原因とする]

● ニンジンの病気、Sclerotinia subarctica 英国 
PRO/PL> Sclerotinia subarctica, carrot - UK: 1st rep. (HE) 20120503.1121069
 情報源 Pan European Networks、2012年4月27日
通常は亜寒帯気候下で発生する、真菌の_Sclerotinia subarctica_ は、作物にも野草にも感染するが、英国のしかも南部のHerefordshire において初めてニンジンと牧草地のキンポウゲ meadow buttercups の感染が確認された

● ウマ伝染性貧血 カナダ
PRO/AH/EDR> Equine infectious anemia, equine - Canada (02) 20120503.1121068
 情報源 CBC News Canada、2012年5月1日
Haines Junction, Yukon 近郊で捕獲された、5頭の野生馬の群れは、全てのウマで治療法のない感染症が確認されたため処分する、と当局者が述べた。何年も前から the Canyon Creek area west of Whitehorse を走り回っていた小さな群れであるが、この冬 [2011-2012]、 the Alaska Highway corridor をうろつくようになり交通の妨げとなっていた。所有者は不明で、捕獲後も名乗り出るものはなかった。そして、検査でウマ伝染性貧血 equine infectious anemia [EIA] が確認された