2012年6月21日

コレラ-ハイチ 2種類の原因菌
炭疽-ドイツ、ヘロイン
E 型肝炎 (黄疸)-インド、確定
NDM-1 保有エンテロバクタ-米国、ベトナムから CDC

● コレラ-ハイチ
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2012 (22): Haiti 
Archive Number: 20120621.1173083
[1] ハイチ Haiti: recent statistics
 情報源 New England Cable News (NECN), Associated Press (AP) report、2012年6月15日。
ハイチの首都ポルトープランス Port-au-Prince では、雨期が終わり、コレラ Cholera 感染患者数が急速に減少しつつあることが、15日国際援助団体 Doctors Without Borders in Haiti の関係者から報告された ...週当たりの発生数が、4月後半の 708人から、5月後半には 1354人に跳ね上がったが、先週この団体が首都で治療を行った患者数は 528人になった ...
[2] ハイチ O1 and non-O1, non-O139
 情報源 Los Angeles Times 、2012年6月18日。
米国の研究者らにより、2010-2011年にハイチ国民に多数の犠牲者が出たコレラ感染流行と、第2の原因菌 2nd strain of cholera との関係が示された。これまでの調査では、大規模地震の支援のためネパールから派遣された兵士らにより意図せず持ち込まれた細菌が、流行の原因とされてきた。新たな菌は、もともと現地に由来する菌であると見られているが、通常は流行が発生することのない菌株であるため、流行に果たした役割についてははっきりしていない。
2010年 1月12日に M7 の地震が発生し、その後 M4.5 以上の余震が 52回発生したハイチでは、25 万人が即死、約 30万人が負傷し、100万人が家を失ったとされる。
2010年 10月に発生し始めたとされるコレラ患者は、ハリケーン Hurricane Tomas によって状況が悪化し、これまでに約 7500人の国民が死亡し、50万人が感染したと推計されている。
米 CDC 等の研究者らによるこれまでの調査では、主な原因菌は _Vibrio cholerae_ O1 と呼ばれる、従来から流行の発生に関わってきたコレラ菌 the classical epidemic strain だとされていた。多くの研究者らが、支援のため派遣されたネパール人兵士により島内に持ち込まれた菌との見方を取っていたが、兵士らの中でハイチ到着以前にコレラに感染していたものはいなかった。研究者らは、流行初期の 2010年 11月に 18か所の町の 81人のコレラ感染患者から便検体を採取し、このうち 76検体のコレラ菌の遺伝子配列を解析した。6月18日、 the Proceedings of the National Academy of Sciences 誌において、 47 of the samples では流行の原因とされた the _V. cholerae_ O1 strain が確認されたが、29 of them には _V. cholerae_ non-O1/0139 だけが含まれていた。後者の菌は、西半球の水路や河口でも日常的に発見される菌で、下痢症を起こすことがあるが、流行することはないと考えられている。しかし、これほど多くの患者から検出されたことから、 non-epidemic strain とされている同菌は、単独もしくは _V. cholerae_ O1 との関連により、流行する可能性があることが示唆された。
原著 Genomic diversity of 2010 Haitian cholera outbreak strains. PNAS 2012: 1207359109v1-201207359
[Mod.LL- 注目すべき点として、the non-O1, non-O139 strains は、1980年と 1991年にブラジルで分離された O1 strains 類似の some _V. cholerae_ O1 strains と同じ遺伝学的構造 a genomic backbone を有していた]

● ムンプス-スペイン
PRO/EDR> Mumps - Spain (03): (Catalonia) Girona 20120621.1176218
 情報源 Vanguardia.com Girona [in Spanish]、2012年6月12日。
2011年 12月後半以降、周辺地域で発生していたムンプス Mumps 感染流行は最終段階に入った。ジローナ Girona の疫学担当者は、5月後半以降患者発生がなく、6月後半に終了する、との見方を示した。合計148人が感染し、入院を要する合併症のある患者は3人にとどまった。2012年に 7000人近い 16歳から 19歳の若年者に、ワクチンが接種された
関連項目 20120331.1086759

● 炭疽-ドイツ、ヘロイン
PRO/AH/EDR> Anthrax - Germany (02): (BY) 2nd heroin case, RFI 20120621.1175326
2nd case of anthrax found in a heroin user from Regensburg, Germany
 投稿者 独 ・ Institute of Medical Microbiology and Hygiene、Dr Thomas Holzmann MD、2012年6月20日。
18日、40歳の女性ヘロイン注射常習者が、発熱と頚部の化膿性感染症のため、大学病院 the University Medical Centre Regensburg の救急室を受診した。3日前に頚静脈にヘロインの静注を行っていた。翌日から左上肢の壊死を発症した。集中治療室で、抗生物質 3剤 (vancomycin, clindamycin, ciprofloxacin) を併用した治療が行われている。血液培養検査で、連鎖状に発育する growing in chains グラム陽性桿菌 [20 Jun 2012] が確認され、PCR targeting the rpoB-, pagA-, and capC-genes (at the Institute of Medical Microbiology and Hygiene, University of Regensburg) により、炭疽菌 _Bacillus anthracis_ が原因であることが確定診断された ...
関連項目 20120612.1165823

● E 型肝炎 (黄疸)-インド、確定
PRO/EDR> Jaundice - India (03): (MA) Kolhapur, hepatitis E conf. 20120621.1176651
 情報源 The Indian Express、2012年6月21日。
1か月間に E 型肝炎 hepatitis E により12人が死亡し、4085人以上の感染が発生している Ichalkaranji に、感染症法 the Epidemic Diseases Act が適応された。78人もの妊娠女性の感染も確認されており、このうち妊娠第3期の女性40人が、25km離れたコラープルKolhapur の複数の病院に入院となった。保健当局によると the National Institute of Virology, Pune の検査で、Ichalkaranji からの検体の大部分が E 型肝炎ウイルス陽性であることが確かめられた。死亡した12人のうち3人が妊娠女性であり、2000人以上の妊娠女性の検査で、78人の感染が確認されている、と述べた
関連項目 20120619.1173453

● NDM-1 保有エンテロバクタ-米国、ベトナムから CDC
PRO/EDR> NDM-1 carrying Enterobacteriaceae - USA: (RI) ex Viet Nam 20120621.1175799
 情報源 Morbid Mortal Week Rep (MMWR) 2012;61: 446-448、2012年6月21日。
カルバペネム耐性エンテロバクタ carabapenem-resistant Enterobacteriaceae (CRE) の中でも、2007年にインド ・ ニューデリー New Delhi, India の入院患者で初めて確認された、New Delhi metallo-beta-lactamase (NDM) は、複数の耐性を規定し、他の腸内細菌科 Enterobacteriaceae の菌や他に属する菌にも容易に移行するプラスミドplasmids をコードする encoded 酵素であるため、特に懸念されている。2012年3月4日、ベトナムで最近入院歴があり、ロードアイランド Rhode Island の病院で治療中の患者の尿検体で、NDM を持った肺炎桿菌 _Klebsiella pneumoniae_ isolate が同定された。同分離菌は、tigecycline, colistin, and polymyxin B に対してのみ感受性を示した。 the hematology/oncology unit において、第2の患者1名への伝播が示された

● Beak and feather disease、オウム-ニュージーランド
PRO/AH/EDR> Beak and feather disease - New Zealand (02): parrots 20120621.1177085
 情報源 Stuff.co.nz、2012年6月15日。
オウムの免疫システムを攻撃し死亡させる可能性のある疾患の、The beak and feather disease virus (BFDV) により、2種類のニュージーランド原産種が危機に瀕している。豪で初めて確認されて以来、合法および違法なペット取引によって世界中に広がった。2008年、 Little Barrier Island の New Zealand's red-fronted parakeets インコ の感染が確認され、ウイルスに関する共同調査が開始された。その後、このチームにより、オークランド Auckland の invasive Australian Eastern rosella と Fiordland の yellow-crowned parakeets での感染が確認されている
関連項目 20120406.1092778

● 狂犬病-米国、ウマ
PRO/AH/EDR> Rabies - USA: (GA) horse, human exposure 20120621.1176209
 情報源 The Republic, Columbus, Indiana, Associated Press report、2012年6月21日。
ホワイトフィールド Whitfield County (northwest Georgia) の狂犬病 Rabies のウマ1頭と接触のあった6人に対し、狂犬病の治療が行われている。ウマの唾液または粘液と接触があったと説明されている ... 米国および州内で、狂犬病検査が陽性となった野生動物の80%がアライグマで、2012年の郡内として2例目の狂犬病症例となったと述べた。1例目 は4月の Dalton のアライグマだった。

● 鳥インフルエンザ 中国 H5亜型
PRO/AH/EDR> Avian influenza (38): China (HK) H5, scaly-breasted munia 20120621.1175680
 情報源 Hong Kong Information Services Department press release、2012年6月20日。
元朗 Yuen Long で死亡して発見された 1羽の scaly-breasted munia の初期検査で、H5 亜型鳥インフルエンザ Avian influenza ウイルスが陽性となったことが、20日当局 the Agriculture, Fisheries and Conservation Department (AFCD) から発表され、詳しい確認検査が行われているとされている。18日、学校 Cumberland Presbyterian Church Yao Dao Secondary School (28 Hong Yip Street, Yuen Long) で発見されたこのトリは、香港 Hong Kong ではありふれた在来種の scaly-breasted munia (_Lonchura punctulata_) であった

● Hoof disease、シカ科-米国 訂正
PRO/AH/EDR> Hoof disease, cervid - USA: (WA) Mount St. Helens, corr. 20120621.1175176
20120620.1173737 に関し。
The Washington Department of Fish and Wildlife のリンク先の問題 (下が正しい、6月20日分記事訂正済)
http://wdfw.wa.gov/publications/01124/wdfw01124.pdf