2012年10月13日

トリパノソーマ症 米国,ジンバブエから
ウエストナイルウイルス オーストリア,セルビアから

● トリパノソーマ症 米国
PRO/AH/EDR> Trypanosomiasis - USA ex Zimbabwe 20121013.1341050
 投稿者 米・John Egan, MD、2012年10月12日
Imported case of trypanosomiasis infected in Zimbabwe
2012年9月に夫とともに 3週間ジンバブエ Zimbabwe のサファリを旅行した、ミネアポリス Minneapolis の 64歳の女性患者について報告する。
10月4日に帰国し、6日に発熱、嘔気、全身の筋肉痛を発症した。10日に救急室を受診し、マラリアのための末梢血塗沫標本検査でトリパノソーマ trypanosomes が確認されたため入院となった。急速な状態の悪化があり、髄液一般検査で _Trypanosoma brucei rhodesiense_ infection or East African sleeping sickness に一致する所見が認められた。suramin および多臓器不全に対する治療を受け、現在も Abbott Northwestern Hospital in Minneapolis, Minnesota の集中治療室に入院中である。
[Mod.EP- 過去 10年間、東アフリカへの旅行者の間で、散発的な Trypanososmiasis 発生が報告されている。患者が訪れた game reserve が、ボツワナに近かったのか、北のザンビアやモザンビーク方面だったのか、は重要である。アフリカ中央部及び東部に Trypanosomiasis が新興したのは 20年以上前で、2000年に初めて旅行者の感染が報告された。ProMED-mail において、ジンバブエで感染した旅行者が報告されたのは、初めてのことである]

● ウエストナイルウイルス オーストリア
PRO/AH/EDR> West Nile virus - Eurasia (13): Austria ex Serbia 20121013.1341049
 投稿者 オーストリア・ウィーン医科大学、Dr Stephan W Aberle、2012年10月13日
West Nile virus Lineage 2 infection in an Austrian traveller imported from Serbia
ベオグラード Beograd から 28kmの近郊に住む親類を訪ね、セルビア Serbia で夏を過ごした 65歳のオーストリアの女性は、発症前 3週間以内は、ベオグラード周辺の地域だけに滞在していた。9月7日、全身倦怠感を伴った発熱があり、けいれんと意識状態の変化といった神経症状が見られたため、9月14日に Beograd, Serbia (Klinika za infektivne i tropske bolesti) で入院となった。臨床症状および検査所見 (CSF 290 cells/microliter, 99 per cent lymphocytes) からウイルス性髄膜炎であることが示唆され、ウエストナイルウイルス West Nile virus (WNV) が疑われた。9月21日、the Kaiser Franz Josef Hospital in Vienna, Austria に移送された。同 23日 (発症から 16日目) の血液検体で、抗体価高値 highly WNV IgM and IgG antibody positive (InBios ELISA) であることが確認された。同 25日に採取された血液及び尿で、both real time and nested PCR のいずれを用いた検査でもウイルス遺伝子 WNV RNA が確認され、The infection with WNV (2010年のギリシャおよび 2011年のイタリアのウイルスと近い関係にある WNV lineage 2、by The sequence analyses of a 408bp long PCR fragment from the structural protein region) と確定診断された。

● インフルエンザ 米国
PRO/EDR> Influenza (99): USA (TX Texas) type B outbreak
Archive Number: 20121013.1341462 
 情報源 PRWeb、2012年10月13日
TSDH confirms Laredo flu outbreak
The Texas State Department of Health (TSDH テキサス州保健局) は、2011年の 6倍超となるインフルエンザ感染流行 a Laredo influenza outbreak in Texas を確認した。全米の他のいずれの地域でもインフルエンザの活動性が確認されていない中での発生である。10年以上にわたり試行と改良が行われ、現在も開発が続く最新の医療監視システム A new medical surveillance system により、メキシコと米国間の主要入港地である Laredo (Texas) における、B型インフルンザの流行 an outbreak of influenza type B virus infection が検出された。2011年のこの時期と比べ、6倍多い患者が確認されている。

● マラリア 南スーダン
PRO/EDR> Malaria - South Sudan (NB) 20121013.1341426
 情報源 Medecins Sans Frontieres、2012年10月12日
South Sudan: malaria cases triple in Aweil
2011年以降、Northern Bahr-el-Ghazal state, South Sudan のマラリア Malaria 患者数が 3倍に増加し、Medecins Sans Frontieres/Doctors Without Borders (MSF) teams は現在、危機的状況にある the town of Aweil での活動に取り組んでいる。
2012年 3-8月の期間で、1000人を超える小児がマラリアで入院となり、前年の3倍を超える数となっている、と同チームの医師が答えた ... 
降水量が多かったことに加え、今年は蚊帳の配布が行われていないことも、原因の 1つに挙げられている。そのほか、降雨により孤立した地域での治療薬の枯渇、スーダンから、マラリアの免疫がなく容易に発症しやすい大量の人々が流入したことなどが原因と説明されている

● 胃腸炎 フランス
PRO/EDR> Gastroenteritis - France: (Reunion) fatal 20121013.1341315
 情報源 LINFO.re [In French]、2012年10月12日
A 4th death linked to gastroenteritis outbreak
当局 La Cire Ocean Indien [Cellule interregionale d'epidemiologie La Reunion et Mayotte] は、8月以降レユニオン島 the island of Reunion で発生中の胃腸炎流行 a severe epidemic of gastroenteritis による、4人目の死者が発生したと発表した。(これ以前に) 2歳未満の幼児 3人が死亡している。急性胃腸炎により新たに死亡したのは 75歳の男性で、増悪因子 aggravating factors があったことが示唆されている。10月第 1週より鎮静化の傾向にあるが、引き続き監視が必要とされている ... 9月の最終週、急性下痢のために 7500人を超える患者が受診していた

● 日本脳炎 中国
PRO/AH/EDR> Japanese encephalitis - China (03): (HK ex GD) 20121013.1340684
 情報源 7th Space、2012年10月11日
保健当局 The Centre for Health Protection (CHP) of the Department of Health (DH) は 11日、輸入感染例の日本脳炎の患者 case of Japanese encephalitis (JE) 1例を確認した。中国本土 Xinhui 在住の 50歳の男性で、22日に発熱と嘔吐のため医師を受診していた。翌 23日に香港 Hong Kong に到着し、同日 North District Hospital に入院となった後、発熱、意識混濁と全身状態の悪化のため、集中治療室に移された。血清および髄液検体で、日本脳炎 JE [virus? antibody?] が確認された。男性は今も危険な状態 in a serious condition のままである。2012年に報告された 3例目の日本脳炎患者 the 3rd JE case である。香港 Hong Kong では、2011年に 1例報告されているが、2008年から 2010年の間は報告されていなかった
関連項目 China (02): (HK ex CH) 20120824.1261873

● 狂犬病 ナイジェリア
PRO/AH/EDR> Rabies - Nigeria (02): (CR Cross River) canine, human, OIE 20121013.1340456
 情報源 OIE's WAHID interface, Weekly Disease Information 25 (42)、2012年10月12日
Rabies, Nigeria、unexpected increase in morbidity or mortality of a listed disease
感染開始時期 2012年4月12日
原因ウイルス Rabies virus Serotype: not typed
要約
南東部 Cross River State において 3か月前に 1頭のイヌの咬傷を受けた患者 1名が、狂犬病と見られる疾患で死亡し、その後も数名の死亡が発生した。
疫学 
発生のあった地域は、イヌの売買やイヌ肉の摂取の習慣があることが知られている。イヌは隣国含むあらゆる地域から集まってくる。イヌが関係する 8人の死亡が発生し、獣医学当局への報告が行われることなく廃棄されていた。イヌからの検体は提出されていない。

● シュマレンベルグウイルス デンマーク
PRO/AH> Schmallenberg virus - Europe (65): Denmark, vector, spread 20121013.1340553
 情報源 Press release, National Veterinary Institute, Denmark (DTU) via Flutrackers [mach. transl.]、2012年10月12日
Schmallenberg virus detected all over Denmark
国立獣医学研究所による、ウシとヌカカ midges の調査でデンマークの全国にシュマレンベルグウイルス the Schmallenberg virus [SBV] が拡大していることが分かった。8月と 9月に、全国の 4地点で midges と呼ばれる小型の蚊族を捕獲したところ、いずれの時期の全ての地点の midges で、SBV が確認された

● ブルセラ症 フランス、シャモア chamois
PRO/AH> Brucellosis, chamois - France 20121013.1340461
 情報源 Centre de Ressources Epidemiosurveillance [in French]、2012年10月11日
2012年の Haute-Savoie におけるウシのブルセラ症 Brucellosis 発生地域の周辺疫学調査の中で、chamois and roe deer [_Rupicapra rupicapra_ and _Capreolus capreolus_, respectively.] に対象を絞った、野生動物 the wild fauna の調査が現在行われている。2012年 8月に開始したこの調査により、1例の chamois のブルセラ症感染が確認された