2016年2月9日

ジカウイルス ブラジル以前 Science
ラッサ熱 ベニン
ダニ媒介性脳炎 チェコ共和国

● ジカウイルス
PRO> Zika virus (06): overview
Archive Number: 20160209.4007411
[1] ブラジルでの発生以前のジカ熱 Zika before Brazil
 情報源 Science,2016年2月8日
1947年4月18日,識別番号766のサル a rhesus monkey が,平熱より 2℃ 高い 39.7 C [103.5 F] であることを研究者が確認した。黄熱ウイルスの研究活動の対象の1体で,ウガンダのビクトリア湖 Lake Victoria に近い,全長 1.5 km のジカの森 Zika Forest の中の樹上 the tree canopy に設置されたカゴで飼育されていた。3日後,研究者らが Rhesus 766 から採決した血液をマウス Swiss albino mice の脳に注射したところ,10日後に症状が現れたため,脳を摘出し a "filterable transmissible agent (フィルター可能な伝染性病原体)" を単離した。翌年 [1948] 1月に同じ場所で蚊族を捕獲し研究所に持ち帰った。黄熱ウイルスの分離が期待された。すでに他の研究者らにより,捕獲された蚊族のうちの1種 _Aedes africanus_ が黄熱ウイルスを伝播することが確認されていたため,研究者らはウイルスを不活化する目的で,同蚊族86体を冷蔵庫内に保管し,その後に血液を含む溶液 a blood-saline solution 内で破砕し,ふたたびマウス脳に注入した。7日後にマウスは "appeared inactive (不活発となり)",Rhesus 766 の発病させたのと同じ the same transmissible agent と確認された。 "hitherto unrecorded virus (未知のウイルス)" Zika と名付けられた。それからおよそ70年間,ウイルス学的な関心をもたれつつ,Spondweni, Wesselsbron, and Ntaya などの蚊族媒介性のフラビウイルスの中で存在感の薄い他のメンバーより,わずかに注意が払われていた ... 現在のブラジル等でのアウトブレイク ... the Zika Forest の北東 11 km にある The Uganda Virus Research Institute in Entebbe は,第二次世界大戦終了直後に精細な仕事により the pathogen du jour の分離に成功し,成果を the Transactions of the Royal Society of Tropical Medicine and Hygiene で発表した。その後30年間の科学論文誌に掲載の計24本の Zika studies のうちの10本に引用されることとなった。[ヒトにおける感染に関する情報と,ネッタイシマカによるウイルス感染伝播についての記述がある] 1970年代から80年代にかけて,ヒトや野生のサルでのジカウイルス抗体の存在が発生国から報告されはじめたが,感染患者の報告は少なく,ナイジェリアとインドネシアからの散発的なヒトのジカウイルス感染例の報告が散見される程度であった。そして,2007年にミクロネシア連邦共和国のヤップ島 Yap Island の医師が,発疹が認められる点で軽症デング熱に類似するものの,明らかに異なる疾患のアウトブレイクに気づくまで,報告されることはなかった。2009年のこのアウトブレイクの報告により初めて,著名雑誌 The New England Journal of Medicine にジカ熱が掲載されることとなった。著者は "これまでジカ熱のアウトブレイクの報告はなく,報告された患者はわずか14人だった" と述べている。この論文では,49 confirmed and 59 probable Zika cases が報告されている。その後すぐ,徐々に症例報告が出された。コロラド州で診断された2人の米国の研究者らは,セネガルで感染したとみられ,うち1人は帰国後,おそらくは性行為を通じて妻を感染させた; 彼らはジカウイルスの発見者の1人の孫とたまたま会っていたため,すぐにジカ熱の検査を受けることを想起していた。カンボジアにある米海軍の研究施設 A U.S. Navy research station で3歳男児の症例が確認されている。オーストラリアの52歳の女性は,インドネシアでの休暇から帰国後に感染が判明した。そして2013年,仏領ポリネシアでアウトブレイクが勃発し,333例の確定診断例と,1万9000例の疑い患者が発生したと推測されている。この時初めて重い症状との関連が認められた;一時的な麻痺の原因となり,まれながら死に至ることもある Guillain-Barre syndrome などの神経学的症状が主であった。また胎児2名が子宮内もしくは分娩時に感染したが,いずれにも永続的な後遺症は認められなかった。渡航関連のジカ熱の症例の報告は多く,タヒチを旅行したノルウェー人,タイへのカナダ人,ボラボラ島への日本人,クック諸島へのオーストラリア人,マレーシア/ボルネオ島へのドイツ人など。ブラジルで初めての国内感染例が報告されたのは,2015年6月のこと ...
[2] 懸念される事 Current concerns
 投稿者 加・Public Health Agency of Canada,Ronald St. John,, MD, MPH,2016年2月8日
ネットやメディアなどで騒ぎすぎていないか
[3] Now and the future
 情報源 International Journal of Infectious Diseases DOI: ,2016年2月4日
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1201971216000217
原著タイトル Unexpected and Rapid Spread of Zika Virus in The Americas - Implications for Public Health Preparedness for Mass Gatherings at the 2016 Brazil Olympic Games.
要約
2015年5月のブラジルでの発生後,南北アメリカの22カ国に感染が拡大した,蚊族媒介性のジカウイルス Zika virus (ZIKV) は,ブラジルのアウトブレイクでは,小頭症および神経学的異常の異常な増加に関連し,a Global Emergency by the World Health Organization が宣言され,8月に開催のオリンピックへの影響も懸念される ..
未解明の点 ... ブラジルにおける急速で強力な感染拡大の要因について,自然界でウイルスが組み換え recombination られ,エンベロープ蛋白の the N154 glycosylation site の欠失により,アフリカでの動物好性ベクター _Aedes dalziel_ への適応反応となったとの仮説がある。また,流行地域で散発していた小頭症症例間の関係性が,症例数が少なく,サーベイランスが脆弱なため見逃されていた可能性もある。それが,十分なサーベイランスシステムを持つブラジルでの大発生により,ウイルスと小頭症との関連性が浮かび上がったとも考えられる。
オリンピック参加者の健康を守る ジカウイルスが関係する,先天性異常,ギランバレー症候群,神経系および自己免疫系疾患の増加が見られることから,WHO は加盟各国に,ジカ熱患者や小頭症等の検出能を高めることなどを推奨している。
感染リスクの低減 蚊族の刺咬を避けるなどともに,US-CDC and ECDC は,妊娠時期にかかわらず,妊娠女性の旅行先としてアウトブレイク発生地域を避けることを勧めている。もし延期が不可能である場合,または発生地域に居住する場合は,注意深く,昼夜を通じて蚊族の刺咬を防止するべきだとしている ... ヤブ蚊族の習性など
結語 .. 輸血,性行為,臓器移植による感染対策も模索すべき。妊娠女性の発生地域への旅行や,発生地域での妊娠回避が推奨されている ..
関連項目(05): Americas, Asia, Pacific 20160203.3990632

● ラッサ熱 ベニン

PRO/AH/EDR> Lassa fever - West Africa (04): Benin
Archive Number: 20160209.4007158
 情報源 UN News Centre,2016年2月6日
ベニンで4人のラッサ熱患者 cases of Lassa fever が確認されたことを受け,政府は,the World Health Organization (WHO) and the United Nations Children's Fund (UNICEF) の支援を受け,対応に乗り出すと [5 Feb 2016] 明らかにされた。これまでに 25 suspected cases, among which 12 deaths が確認されている。死者のうち4人についてラッサ熱の陽性が確認されており,ウイルス感染のある2人が現在隔離センターで治療されている。the St. Martin Zone Hospital of Papane, in the northern district of Tchaourou においてラッサ熱確定例 the proven case of Lassa fever が確認され,現地に専門チームが派遣された。1月5日に同院で妊娠女性1名が死亡し,医療従事者6人 -- 3 nurses, a female laboratory technician and 2 nursing auxiliaries -- がラッサ熱の症状を発症した。1月21日,疑い患者のうちの1人である男性看護師1名が,中央部 the Borgou Departmental Hospital of Parakou で死亡した ... 現在 203 contact cases が across 6 communes: Tchaourou, Ouesse, Kalale, Bembereke, Parakou, and Porto-Novo に散らばっている。

● 梅毒,淋病,クラミジア-米国
PRO/EDR> Syphilis, gonococcal disease, chlamydia - USA: (MN) rising incidence, young, MSM, women
Archive Number: 20160209.4005647
 情報源 LifeZette, HealthZette,2016年2月8日

● ダニ媒介性脳炎 チェコ共和国

PRO/AH/EDR> Tick-borne encephalitis - Czech Republic
Archive Number: 20160209.4005602
 情報源 Prague Daily Monitor, Czech News Agency (CTK) report,2016年2月2日
2015年にやや減少したものの,チェコ共和国は EU 内でダニ媒介性脳炎 tick-borne encephalitis cases が最も多い国であることを,1日,専門家が明らかにした。
[Mod. TY- EU 内で最多とされる割に,他国に比べてProMEDへの掲載が少ない。20061112.3248 で,the incidence of TBE in the Czech Republic について,"症例数増加 the increase of tick-borne encephalitis (TBE) infections の最も重要な要因は,レジャー活動 leisure time activitiesの変化である: ダニは,ヒトの汗などに含まれるブチル酸 butyric acid に誘引される。ダニは,森林地域 woodland areas だけに限定して生息するわけではない; 地面に寝転んだり,丈の高い草むらをかき分けたり,あるいは地方感染する地域では公園の庭に座っただけでも,相当な感染リスクがある。顕性感染の割合は 1:100 を超えることはなく,他の疾患同様,重症度は年齢に依存する。特に小児では,典型的な症状である the classical "meningoencephalitis (髄膜脳炎)" とならない可能性がある。よって,感染伝播率は実際より少なく報告され,誤解されていると考えた方がよい [as indicators of disease occurrence]."]
人口1050万人のチェコ国内で,昨年報告された患者は合計351例で,the regions of South Bohemia and Vysocina (southeast Bohemia and southwest Moravia) が最も多く,2人が死亡している。Central Bohemia, South Moravia, and the Plzen (west Bohemia) and Pardubice (east Bohemia) regions でも多くの患者が確認されている。チェコの患者3人が未精製ヤギミルクから感染し,海外でも,オーストリア,ノルウェー,スウェーデン,カザフスタンでチェコ人4人が感染した。米国,リトアニア,スロバキアの旅行者が,チェコ国内で感染している。

● 外来種蚊族 米国
PRO/EDR> Invasive mosquito - USA (02): (CA California)
Archive Number: 20160209.4005549
 情報源 Orange County Register,2016年2月1日
蚊族対策当局 Orange County (OC) Mosquito and Vector Control District が,住人から黒と白の縞のある蚊族による刺咬の通報があった Garden Grove の家庭で,熱帯の蚊族を確認した。通常なら冬眠時期にあるはずだと,[Mon 1 Feb 2016] 当局が話している。

●  アフリカ豚熱(豚コレラ)ウクライナ
PRO/AH/EDR> African swine fever - Europe: Ukraine (ZT) wild boar, OIE
Archive Number: 20160209.4007433
 情報源 OIE, WAHID, weekly disease information 2016; 29(06),2016年2月9日
African swine fever (ASF), Ukraine,Reoccurrence of a listed disease
発生開始時期 2016年2月6日
前回流行時期 2015年8月14日
原因ウイルス African swine fever virus
新たな感染流行 (1)
発生地 1: hunting grounds near village Stav-Sloboda, radomyshlskiy, Zhitomir
感染した種/頭数/症例数/死亡数/廃棄/処分
野生イノシシ wild boar: _Sus scrofa_ (suidae) - / 7 / 7 / 0 /

● ヨーネ病,シカ科 米国
PRO/AH/EDR> Johne's disease, cervids - USA: (CA California) elk
Archive Number: 20160209.4007110
 情報源 Point Reyes Light,2016年2月4日
the Point Reyes National Seashore 内で放牧中の5頭の tule elk が,ヨーネ病 Johne's disease とよばれる,致死性の消耗性消化器感染症の検査で陽性となった。

● 小反芻獣疫 ジョージア
PRO/AH/EDR> Peste des petits ruminants - Georgia: (TB) ovine, 1st report, OIE, RFI
Archive Number: 20160209.4007066
 情報源 OIE, WAHID weekly disease information 2016; 29(06),2016年2月8日
Peste des petits ruminants, Georgia,1st occurrence of a listed disease in the country
感染開始時期 2016年1月12日
原因ウイルス Peste des petits ruminants virus
新たな感染流行 (1)
発生地 1: Tbilisi, Varketili, Varketili Farming, Tbilisi: farm
感染した種/頭数/症例数/死亡/廃棄/処分
Sheep / 2190 / 350 / 170 / 80 / 0

● カンキツグリーニング病,柑橘類 コロンビア
PRO/PL> Huanglongbing, citrus - Colombia: (LG)
Archive Number: 20160209.4005503
 情報源 FreshPlaza, RCN Radio report,2016年1月25日
Agriculture severely threatened by HLB