2016年12月10日

プリオン病-欧州 BSE ウシ,スクレイピー 
MERS-CoV (119)-サウジアラビア,オマーン WHO
リーシュマニア症 (03)-ブラジル 非定型原虫
鳥インフルエンザ,ヒト (66)-中国 H7N9
カミアリ-オーストラリア  など

プリオン病-欧州 BSE ウシ,スクレイピー 
PRO/AH/EDR> Prion disease update: Europe, BSE, bovine, scrapie, sheep & goat, 2015
Archive Number: 20161210.4689890
情報源 All About Feed net 2016年12月5日
欧州食品安全委員会 EFSA [European Food Safety Authority] が,ウシ,ヒツジ,ヤギの伝染性海綿状脳症 Transmissible Spongiform Encephalopathies (TSEs) のモニタリングに関する,初めての報告 its 1st EU summary report を行った。これまでは,欧州委員会による年次報告が行われていた。
[ Mod.AS - 2種類のTSEs (すなわち,BSE [Bovine spongiform encephalopathy] and scrapie) の評価報告は,2015年の EU 加盟国ならびにアイスランド,ノルウェー,スイスからのデータとなっている]
この中で EFSA は,2015年に140万頭のウシの検査により, 5 cases in 4 member states (MS) (Ireland: 1 case; Slovenia: 1 case; Spain: 1 case; and the United Kingdom: 2 cases) and 1 case was detected in Norway が確認されたと報告している。合計2頭 (in Ireland and the United Kingdom) が classical BSE の感染で,いずれも 2001年に the EU-wide で開始された飼料禁止法 feed ban の強制執行以降に産まれた個体だった。他の 4 cases は atypical BSE cases (3 H-BSE type and 1 L-BSE type) だった。
2002年以降,スクレイピーのサーベイランス the EU-wide surveillance for scrapie として,約840万頭 [年平均 65万頭 sheep and goats] の小型反芻動物 small ruminants の検査が行われている。2015年,32万頭のヒツジと13万5千頭のヤギの検査で,ヒツジ 641 scrapie cases in sheep in 18 MS およびヤギ 1052 scrapie cases in goats in 9 MS が確認された。 2 non-MS (Iceland and Norway) でも,40 scrapie cases in sheep が確認されている。スクレイーピー classical scrapie の発生国数 a number of MS は明らかに減少しているものの,小型反芻動物でのスクレイピー発生件数それ自体の減少傾向は明らかではない。ヒツジでの遺伝学的解析 genotyping の結果,古典的スクレイーピー cases of classical scrapie は,ある一定の遺伝型 certain genotypes に集中 clustered しており,これらの遺伝型の個体は,欧州内で無作為抽出で検体採取されたヒツジ全体の20%弱を占めていた。合計すると,3つの加盟国で他の家畜反芻動物種からの検体について TSE 検査が実施されたが,すべて陰性だった。
反芻動物の死体から得られる,処理済動物タンパク Processed animal protein (PAP) の中には,(TSE による?) 感染 infected が認められるものがあり,飼育動物の飼料として与えられた場合の,BSE 感染伝播経路と考えられている。このことから,1994年に飼料禁止法 [PAP] feed ban が制定され,ウシ,ヒツジ,ヤギの飼料として,哺乳動物からの処理済動物タンパクの使用が禁止された。この禁止法は,2001年1月に,一部例外を除き,すべての処理済動物タンパクの,すべての家畜の飼料としての使用禁止に,対象が拡大された。これにより,反芻動物以外の種への飼料から,反芻動物の飼料への PAP の混入を防ぐことにつながる。安全と考えられる動物タンパク(フィッシュミールなど)のみが使用可能であり,これらについても厳しく条件が定められている。
牛海綿状脳症 Bovine Spongiform Encephalopathy (BSE) には,以下の2型の TSE disease が存在する:
1. Classical BSE, 飼料を介して感染伝播し,1980年代以降の感染流行 the BSE epidemics in the 80s, 90s and 2000s の原因となった。
および
2. Atypical BSE (with 2 types of Atypical BSE: the L-type and the H-type),  a spontaneous and sporadic disease と考えられ,動物への飼料との関係はなく,高年齢の動物での発生率はきわめて低い。
.[The entire EFSA report]

● 馬ヘルペスウイルス-米国 (29) ウマ
PRO/AH/EDR> Equine herpesvirus - North America (29): USA (CA California) equine
Archive Number: 20161210.4689888
情報源 Pasadena Now 2016年12月9日
ロサンゼルス乗馬センター the Los Angeles Equestrian Center (LAEC) は,郡内での馬ヘルペスウイルス感染 recent cases of equine herpes virus の発生を受け,30日に予定されていたイベント the 2016 Equestfest event の中止を決定した ...

インフルエンザ (48)-韓国 疑い
PRO/EDR> Influenza (48): South Korea, susp., seasonal surge, alert
Archive Number: 20161210.4689122
情報源 The Chosunilbo 2016年12月9日
韓国政府当局 the Korea Centers for Disease Control and Prevention はインフルエンザが疑われる症例mp急増を受け,8日,インフルエンザに関する勧告 an influenza advisory を発出した。同センターによると,from [27 Nov to 3 Dec 2016] の期間に病院を受診した患者1000人当たり,38度以上の発熱,悪寒,咳,咽頭痛などのインフルエンザ様症状 influenza-like symptoms を訴える患者は 13.5人に達している。この数字が8.9人以上となった場合,同センターは注意喚起を行っている ...

MERS-CoV (119)-サウジアラビア,オマーン WHO
PRO/AH/EDR> MERS-CoV (119): Saudi Arabia, Oman, WHO
Archive Number: 20161210.4689633
[1] サウジアラビア Saudi Arabia, 5 new cases, 3 deaths - MOH 7-10 Dec 2016
情報源  Saudi Arabia Ministry of Health 2016年12月10日
As of [10 Dec 2016], there have been a total of:
1506 laboratory-confirmed cases of MERS-CoV infection, including 624 deaths [reported case fatality rate 41.4 per cent], 866 recoveries, and 16 currently active cases.
Since the last ProMED-mail update [through 6 Dec 2016], there have been a total of:
5 newly confirmed cases,
3 newly reported fatalities, and
3 newly reported recoveries.

新たな感染例 (5 cases):
10 Dec 2016 (1 case)
1- A 59-year-old Saudi male, from Mahail Aseer [Muhayil Asir, Asir region], currently in stable condition. Classified as a primary case.

8 Dec 2016 (3 cases)
2- A 53-year-old expat male, from Riyadh, currently in critical condition. Classified as a primary case.
3- A 49-year-old expat male, from Jeddah [Makka region], currently in stable condition. Classified as a primary case.
4- A 60-year-old Saudi male, from Mahail Aseer [Muhayil Asir, Asir region], reported as deceased at time of initial confirmation report. Classified as a primary case.

7 Dec 2016 (1 case)
5- A 56-year-old Saudi male, non-healthcare worker from Riyadh.

[ Mod.MPP - 4日間に新たに5例の感染が報告され,サウジアラビアでは MERS-CoV 発生が継続している。サウジアラビアでは,10 Dec 2016 の時点で a total of 1506 newly confirmed cases including 624 deaths since September 2012 が報告されている。サウジアラビアの致死率 in the 41 percent range と依然として高止まりしている。2016年12月以降,サウジアラビアで新たに確認された症例は15例,死亡例が6例と回復例が4例であり,11月の1ヶ月間の報告が20例であったことと比較すると,感染伝播が拡がりつつあるように見える。12月に患者が報告された地域は: Afeef (1), Hufoof (2), Jeddah (1), Khaibar (1), Madinah (2), Mahail Aseer (2), Mahd-Aldhahab (1), Riyadh (4), and Sakaka (1) で,15例すべてが一次感染例 primary cases に分類され,うち5例が発症までの14日間にラクダとの直接の接触歴がが合ったとされている。ほか10例については,感染リスクの高い暴露の有無について調査中である。
この地域の他の国でも,発症までの14日間にラクダとの接触歴のある一次感染例は報告されているが,その割合はきわめて低い at significantly lower rates 。サウジアラビアでこれほど一次感染例が多い理由は何だろう? 動物の世話の仕方が違うのか Are there different animal husbandry practices? サウジアラビアの感染を疑う閾値が高すぎて,軽症例がもっとたくさんいる(のに検知されていない)のか? ... ]
[2] オマーン Oman - WHO 8 Dec 2016
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) - Oman
情報源 WHO Emergencies preparedness, response 2016年12月8日
厚労省検疫所 FORTH より
オマーンの国際保健規則 (IHR) 国家担当者は、2016年11月29日に、新たに中東呼吸器症候群(MERS)感染者1人を報告した。
 患者の詳細情報
 67歳男性。Dakhlia(ダーヒリーヤ)行政区の住民で、11月18日に発症し、11月20日に入院した。基礎疾患があった。11月29日にMERS-CoVの検査結果が陽性と判明した。発症までの14日間にさまざまな動物(ラクダ、ヤギ、ウシ)と接触する機会があった。状態は安定しており、病院を退院した ...
関連項目 (118): Saudi Arabia (RI, SH, MD) new cases, WHO 20161207.4680560

リーシュマニア症 (03)-ブラジル 非定型原虫
Unique Parasite Strain Causes Atypical Leishmaniasis Cases in Brazil
PRO/AH/EDR> Leishmaniasis - Brazil (03): atypical Leishmania parasite
Archive Number: 20161210.4689688
情報源 PLoS Negl Trop Dis. Guimarães LH et al. Atypical Manifestations of Cutaneous Leishmaniasis in a Region Endemic for Leishmania braziliensis: Clinical, Immunological and Parasitological Aspects. PLoS Negl Trop Dis. 2016 Dec 1;10(12):e0005100. doi: 10.1371/journal.pntd.0005100. 2016年12月1日
要約
背景 ブラジル北東部 Corte de Pedra, Northeast Brazil において,非定型皮膚リーシュマニア症 Atypical cutaneous leishmaniasis (ACL) の症例が増加しつつある。今回,ACL の臨床症状,アンチモン治療に対する反応性,サイトカイン産生および原虫種の特徴について明らかにした。
方法,所見 Between 2005 and 2012 の期間の Corte de Pedra において,51例の ACL (cases) と対照例となる 51 temporally matched cutaneous leishmaniasis (CL) subjects (controls) の経過をフォローした ... ACL では,頭部と頚部の病変が多く,CL に比べ antimony による治療不成功の率が高かった ... 詳細は原文参照願います。
結語 ブラジル北東部の非定型皮膚リーシュマニア症 ACL は,distinct genotypes of _L. (V.) braziliensis_ の感染によるもので,古典的リーシュマニア症例 classical CL patients とは異なるサイトカイン所見 a cytokine profile を呈した ...

リーシュマニア症-検査法
Comparison of _Leishmania_ typing results obtained from 16 European clinical laboratories in 2014
PRO/AH/EDR> Leishmaniasis: inter-lab comparative study of genotyping performance
Archive Number: 20161210.4689632
情報源 Eurosurveillance, Volume 21, Issue 49 2016年12月8日
要約 リーシュマニア症は南欧の風土病であり、他のヨーロッパ諸国では​​、大陸内外への旅行者で診断されている。 欧州内の臨床現場において,迅速かつ正確な診断が課題となっている。 感染リーシュマニア種の同定にはいくつかの異なる方法が存在する。 ヨーロッパ10カ国に、イスラエルとトルコを加えた,16の臨床検査機関が、遺伝子型解析の成績を評価するための研究を行った。 13種の21の無鞭毛性培養物由来のDNAを、日常的に使用されるタイピング法によって盲目的に分析した。 5つの異なる分子標的が使用され、PCRベースの方法で分析された ... 間違った複合体または種に配置された系統の全体的なエラー率は8.5%であった。 誤ったタイピングの様々な理由が特定された。 研究では、 リーシュマニアタイピングの向上と標準化には,かなりの余地があることを示している。 試験、解釈、および報告のガイドラインを網羅した、十分に検証された標準的な操作手順の使用が推奨される。 rDNAアレイの内部転写スペーサー1の適用は旧世界のサンプルに限定されるべきである、一方,ヒートショックプロテイン70遺伝子およびミニエキソン the mini-exon は世界中のサンプルに適用可能である ... 原文 [Google翻訳] 参照願います。

鳥インフルエンザ,ヒト (66)-中国 H7N9
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (66): China (GD) H7N9
Archive Number: 20161210.4689085
情報源 Outbreak News Today 2016年12月9日
広東省保健当局 The Health and Family Planning Commission of Guangdong province が,新たな鳥インフルエンザ感染患者 an additional human case of avian influenza A(H7N9) を報告した。梅州 Meizhou 在住の81歳男性で,広東省では,この冬 this winter [2016-17] 初めての鳥インフルエンザ感染例 the 1st human case of H7N9 reported in Guangdong となった。2013年以降これまでに,中国本土では 778 human cases of avian influenza A(H7N9) が報告されており, このほかに23例が,中国からの輸入感染例として, Canada (2), Hong Kong (16), Malaysia (1), and Taiwan (4) から報告されている。香港健康保護センター the Hong Kong Centre for Health Protection (CHP) によると, (ヒトの)鳥インフルエンザは,主に家きんや野鳥に感染するウイルスによる感染で,結膜炎,インフルエンザ様症状のほか,重症呼吸器疾患の症状が見られることもある。潜伏期間は7から10日で,最重症例では,呼吸不全,多臓器不全や死に至る場合もある。感染は主に(生死を問わず)感染した鳥類やその排泄物との濃厚接触により,効率的なヒトからヒトへの感染はおこらない ...
関連項目 human (64): China (ZJ,JS) H7N9 20161114.4624064

ボツリヌス症,鳥類-米国 (05)
PRO/AH/EDR> Botulism, avian - USA (05): (MI)
Archive Number: 20161210.4688849
情報源 Record-Eagle 2016年12月9日
ミシガン湖畔 the Lake Michigan coast に死亡した鳥類が打ち上げられ the National Park Service and the Inland Seas Education Association の研究者らが調査を行っている。死亡した約2ダースのクロガモ scoters, カイツブリ loons and ducks などの鳥類が発見された Sleeping Bear Dunes National Lakeshore 湖岸を歩いて調査している。調査の担当者らは, avian botulism と呼ばれるトキシンが死亡の原因と述べている ...

カミアリ-オーストラリア
PRO/AH/EDR> Fire ants - Australia: (QL)
Archive Number: 20161210.4688816
情報源 BBC News 2016年12月8日
オーストラリア国内の赤カミアリ Red fire ants による被害は,野ウサギとオオヒキガエルとキツネによるそれを合わせたよりも甚大であると,専門家らが警鐘を鳴らしている。南米原産のこの輸入種 the red imported fire ant は,咬まれた時の灼熱感や時に死に至る potentially lethal sting ことで恐れられている。駆除できなかった場合,推定で毎年最大3千人のアナフィラキシー反応の原因となるとみられている。全国に拡大する前に迅速な対応が求められている。the National Red Imported Fire Ant Eradication Program の解析報告の中で,このアリの急速な拡大阻止のため,10年間以上にわたって約2億8千4百万米ドルの予算が必要とされている。カミアリがオーストラリアに侵入したのは,2001年のブリスベーン港 the Port of Brisbane からで,その後クイーンズランド州南東部 south-east Queensland で繁殖し,現在ニューサウスウェールズ州 the New South Wales border との境界まで50km圏内に達していると考えられている。この攻撃性の高い昆虫は,集団でヒトや家畜を襲う bite ことが知られている。毒のある刺咬により,水疱が生じたり,死に至る可能性のあるアレルギー反応が引き起こされることもある。米国内では,毎年80人以上の同種による死亡が報告されている ...
詳細情報

ウシ結核-米国 (07)
PRO/AH/EDR> Bovine tuberculosis - USA (07): (MI)
Archive Number: 20161210.4688768
情報源 The Alpena News 2016年12月8日
ミシガン州北東部 Northeast Michigan で新たに2例のウシ結核 bovine tuberculosis が確認されたと,州農業当局 the Michigan Department of Agriculture and Rural Development [MDARD] が明らかにした。 Alpena County の乳牛と,Montmorency County の肉用牛の群れで,定期サーベイランス検査 annual surveillance testing により bovine TB-positive が確認された。1998年以降の bovine TB in Michigan としては,the 67th and 68th herds となった ...