2016年12月16日

麻疹 (60)-オーストラリア
マラリア-マレーシア
結核,多剤耐性-中国
ボツリヌス症,美容での使用-中国 (09) など

● 麻疹 (60)-オーストラリア
PRO/EDR> Measles update (60): Australia (Sydney), comment
Archive Number: 20161216.4704535
[1] オーストラリア Australia (Sydney)
Measles warning for Sydney after 3 infectious adults visit multiple locations
情報源 WA Today 2016年12月16日
シドニー Sydney で今月 [December 2016] 3人の患者が発生したことを受け,ニューサウスウェールズ州保健当局 NSW [New South Wales] Health は市民に対し,麻疹 measles への注意を呼びかけている。この成人感染例の3人は,他者への感染力のある時期に,相当期間 シドニー中心部 the Sydney metropolitan area に滞在していたと,16日報告されている。
詳しい情報:
between 26 Nov and 15 Dec [2016] に3人の患者らが立ち寄った場所:
- Inner city hospital emergency departments
- GP clinics and medical centres in George Street, Sydney, Darlinghurst, Leichhardt, Camperdown and Bondi
- Restaurants and shops in the CBD, Ultimo, Bondi, Bondi Junction, Leichhardt, Double Bay, Chatswood and Marrickville
- Public transport on routes in the centre, north and east of the city.
[2] コメント
投稿者 The Peter Sandman Risk Communication Website‣Jody Lanard 2016年12月14日
[米国のムンプスに関する 20161214.4699512 の以下のコメントに対する投稿: "カレッジ内(の学生ら)は,小児期のMMRワクチン接種によって付与された,ウイルス抗原に対する免疫応答が減弱する waning immunity ため,ムンプス(あるいは麻疹)に感染するリスクが高くなる."]
私は麻疹にはあまり当てはまらないと考える I am pretty sure this is not often the case for measles。2014年にミクロネシアにおいて発生した異例のアウトブレイク the unusual 2014 outbreaks in the Federated States of Micronesia  は,成人のワクチン既接種者の中に,相当数の二次ワクチン不全 secondary vaccine failure -- あるいはコールドチェーンの不備 a historical vaccine cold chain failure -- があることが示唆されているが。
the CDC's Pink Book の,"Immunogenicity and Vaccine Efficacy" の章に以下の記載がある:
"いくつかの文献で,ワクチン接種を完遂した場合 after successful vaccination でも,(waning immunity による)二次ワクチン不全 secondary vaccine failure は起こりうるとされているが,まれであり,麻疹感染伝播やアウトブレイク発生への関与は小さい play only a minor role in measles transmission and outbreaks."。
ムンプスワクチンについては,問題はより複雑 much more problematic であることは間違いなく,接種後の初期の免疫原性の低さや,よく知られている waning immunity の可能性,さらに密集地域でのアウトブレイク発生の現実性などがあげられる。したがって,カレッジ入学前のムンプスワクチンの追加接種の問題が再検討されている。
一方,米国にはこれ以外に,集団内に相当割合の麻疹に対する免疫を持たないグループを有する年齢層がある; 米国内の MMR について,生後12-15か月の 1回目の接種から,4-6歳時の 2回目の接種の間の年齢の小児のおよそ 3-7% がこれにあたる。生後 12-15か月の小児の 93-97%に,初回 MMR ワクチンが接種された地域内では,麻疹に対する完全な免疫 develop full immunity が成立する。2回目の追加接種の必要性は,初回接種で抗体陽性が起こらなかった(一次ワクチン不全)の小児に対して,(抗体陽転の)2回目のチャンスを与えることにほかならない。現行の MMR ワクチンスケジュールでは,一次ワクチン不全の状態にありながら,4-6歳の2回目の接種までワクチンを受けられず,麻疹に対する感染防御を有しない状態に置かれたままのグループがあり,これは 3-5歳児の集団の約 3-7%にあたる。第1回接種後,平均約 5% のワクチン不全が生じるとされることから,毎年約400万人の出生があるとして,1歳から6歳までの小児 1200万ないし 2000万人の 5%にあたる,60万人から 100万人の小児が麻疹に対する免疫を持たないことになる。これは,ワクチンに反対したり消極的な保護者らが原因なのではなく,ACIP が決めたスケジュールが問題なのだ!
 ... 2回目の MMR 接種をもっと早い時期に行うべきとの意見。

● マラリア-マレーシア
PRO/EDR> Malaria - Malaysia: (PK)
Archive Number: 20161216.4703693
情報源 New Straits Times 2016年12月14日
ペラ州 around the Pos Kemar Orang Asli settlement in Gerik  [Perak state] のマラリア患者数 the number of malaria cases は,13日に新たに 3例が検査で陽性となったことから,129人となった。州保健当局 State Health, Public Transport, Non Islamic Affairs, National Integration and New Villages committee の責任者は,このうち 16人が病院 Gerik Hospital に入院となったと説明した ... 2016年11月16日に Pos Kemar で初めての三日熱マラリア the malaria cases of the _Plasmodium vivax_ (_P. vivax_) strain が確認され,その後住民ら3人が検査で陽性となった。この地域で最後にマラリア感染が確認されたのは,2009年のことであった。

● ライム病,アナプラズマ症-米国 (02) コメント
20161214.4697848に関し。
PRO/AH> Lyme disease, anaplasmosis - USA (02): (ME) comment
Archive Number: 20161216.4702583
投稿者 Cary Institute of Ecosystem Studies ・ Richard S Ostfeld, PhD 2016年12月15日。
1979年以降,新たに発見され報告されたダニ種に対して,"deer tick" という一般名が用いられるようになっている。"deer tick" が使用される場合,その学術名は _Ixodes dammini_ であった。その後,(_Ixodes dammini_ は) 実際には単に, 1871年に報告された一般名 "blacklegged tick" の _Ixodes scapularis_ のうち北部に生息するものであることが,明確に示された。_I. dammini_は,それまでの名称は誤りとされ, _I. scapularis_ に言い換えられることになった。このダニが,_I. scapularis_, hence the blacklegged tick であったと同定する,信頼できる科学的鑑別点はない no credible scientific dissention 。_I. dammini_ or the "deer tick"は存在しないのである ... The Entomological Society of America は,"blacklegged tick" だけを使用している ... the moniker "deer tick" の呼称が広く使用されているため,the CDC のような信頼できる情報源でさえ時として使用し,特に問題は生じていないと思えるが,正しい用語の使用を強く求める

● 結核,多剤耐性-中国
PRO/EDR> Tuberculosis, MDR - China: (Shanghai) primary, neighborhood outbreaks, 2009-2012
Archive Number: 20161216.4702532
情報源 Healio, Infectious Disease News 2016年12月14日
中国で人口に基づいた観察研究からの最新データによると,多剤耐性結核 multidrug-resistant tuberculosis は,不適切な治療よりも,ヒトからヒトへの感染によるものが多いことが示された。"MDR 発症の最も一般的な原因は,不適切な治療 Inadequate treatment によると考えられてきた; しかしわれわれのデータでは,研究対象の MDR-TB 感染のあった患者らの大部分が,(不適切な結核治療中に耐性を獲得した結核菌ではなく,最初から) MDR strains に感染した患者だった" と,ランセット誌 the Lancet Infectious Diseases で報告された。 "また,多くの場合,感染伝播のイベントは,居住地のコミュニティ内や関連する公共の場で起きていたことが分かった" ... between [1 Jan 2009 and 31 Dec 2012] に,(上海 Shanghai で) MDR-TB と診断された,15歳以上の患者 324人のデータが解析された。患者の社会行動の特徴,結核菌への暴露歴,感染伝播発生場所についての質問票が使用された。患者 patients with MDR-TB の 59 %には,(発症前の) 結核の治療歴はなかった treatment-naive。 the 324 MDR-TB strains 結核菌 のうちの 32 % は,クラスター  38 genomic clusters として発生し,単一の塩基変異多型が single nucleotide polymorphisms が 12以下であり,最近の感染伝播であることが示唆された ... MDR-TB 患者の 73 % は,MDR 菌に直接感染した可能性が高かった;.遺伝学的解析で集団発生によるとみられた例 the genomically clustered cases の 69 %に疫学的関連性が認められたが,家族内接触が確認できたのは 4例のみだった。大多数  (n = 45) of cases は,同じコミュニティ from the same residential community or neighborhood street 内の他の患者,あるいは食品市場などの公共施設を利用した患者との関連性が認められた。このほか,2か月以上の診断の遅れ,年齢が45-64歳または65歳以上であることが,独立した集団発生関連因子independently associated with genomic clustering であることが示されている ... 集団発生菌 MDR strains in the genomic clusters のリファンピシン耐性 compensatory mutations of rifampicin resistance の頻度は 66 % で,世界平均 (20 % )や高度蔓延地域 high-burden areas (31 %) よりも高かった ... 原文 [Google 翻訳] 参照願います。

● ボツリヌス症,美容での使用-中国 (09)
PRO/EDR> Botulism, cosmetic use - China (09): (Hong Kong)
Archive Number: 20161216.4702473
情報源 Outbreak News Today 2016年12月14日
香港保健当局は [14 Dec 2016],ボツリヌス症が疑われる患者 a case of probable botulism の調査を開始したと発表した。ボツリヌストキシンの注射 botulinum toxin injection は,資格のある医師の処方と使用に限られると,改めて市民に注意を呼びかけている。生来健康であったこの 29歳女性は,12日に,眼瞼下垂,視力障害,全身性筋力低下の症状が現れ,13日に病院 the Accident and Emergency Department of Kwong Wah Hospital を受診したところ,眼瞼下垂 ptosis の症状が確認された。医原性ボツリヌス症 suspected iatrogenic botulism が疑われた。状態は安定しており,14日に退院した。女性によると,Yau Ma Tei 近郊の美容サロン a beauty premises だけで,11月8日と12月6日の複数回,顔面にボツリヌストキシン botulinum toxins とみられる注射を受けていた。注射を行ったのは医師ではなかった。美容サロンの名前や場所は思い出せないとしている。

● アフリカ豚コレラ-ウクライナ 欧州 (18) ブタ OIE 
African swine fever, Ukraine,reoccurrence of a listed disease
PRO/AH/EDR> African swine fever - Europe (18): Ukraine (ZT) porcine, domestic, OIE
Archive Number: 20161216.4702365
情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2016; 29(50) 2016年12月14日
感染開始時期 2016年12月10日
前回流行時期 2015年8月14日
原因ウイルス African swine fever [ASF] virus
新たな感染流行 (1)
Outbreak 1: Rudnya-Horodysche, Zhytomyrskiy, Zhitomir [Zhytomyr]: farm
Total animals affected
感染した種/個体数/感染数/死亡/廃棄/処分
ブタ [Domestic] swine / 480 / 25 / 25 / 455 / 0

● 鳥インフルエンザ (135)-オランダ 野禽 HPAI H5N5 初報告 OIE 
Highly pathogenic avian influenza, Netherlands,1st occurrence of a listed disease
PRO/AH/EDR> Avian influenza (135): Netherlands, wildfowl, HPAI H5N5, 1st rep, OIE
Archive Number: 20161216.4701594
情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2016; 29(50) 2016年12月15日
感染開始時期 2016年11月14日
原因ウイルスhighly pathogenic influenza virus in wild birds
Serotype: H5N5
新たな感染流行 (1)
Outbreak 1: Werkendam, Noord-Brabant [North Brabant]: Village
感染した種/個体数/感染数/死亡/廃棄/処分
キンクロハジロ Tufted duck: _Aythya fuligula_ (_Anatidae_) / - / 1 / 1 / 0 / 0
Epidemiological comments: H5N5 was confirmed in one tufted duck found in a wetland area near Werkendam.