2016年12月25日

◎ 麻疹 オーストラリア,米国,パキスタン
鳥インフルエンザ,ヒト 米国 H7N2,中国 H7N9

◎ 麻疹 オーストラリア,米国,パキスタン
PRO/EDR> Measles update (61): Australia (WA), USA (CA), Pakistan (BA)
Archive Number: 20161225.4723182
[1] オーストラリア (Perth, Western Australia)
 情報源 ABC (Australian Broadcasting Corporation) News 2016年12月21日
西オーストラリア州保健当局 The WA [Western Australia ] Health Department は,今月 [12月] 新たに 2人が感染した麻疹 measles について,医師らに注意するようを呼びかけた。この 2名の患者らは,ワクチンを接種されていない家族内の小児で,パース Perth および州内の郊外 rural parts of WA で多数の人々がウイルスに暴露した恐れがある。この子どもらは,12月初めに海外で感染し the Midland Health Campus で治療を受けた帰国者との接触により麻疹に感染したことが分かっている ... アボリジニの予防接種率が低く,州内では,郊外よりもパースなどの都市部でより低く,パースの一部地域では子ども 4人中 1人が未接種の地域もあることなど
[Mod. LK- アボリジニに対する予防接種の効果に関する研究; Measles vaccine effectiveness in central Australian aboriginal children vaccinated at or after eight months of age. Aust N Z J Public Health. 1998; 22(6): 729-30; .
要約 
1994年のオーストラリア中央部の麻疹のアウトブレイク An outbreak of measles は,1984年以降行われてきた,生後 9か月でのアボリジニの乳児に対する麻疹ワクチンの効果を検証する機会を与えた。1コミュニティ one community in the region において実施されたこの調査で,対象となった生後 9か月から 10歳までの幼小児 109人中 8人が麻疹を発症した。ただ 1人の未接種児も麻疹を発症した。生後 8から11か月の間にワクチンを接種された児のワクチン不全は 7.8 % (6/77),生後 11か月より後に接種された場合は 3.2 % (1/31) だった。全体のワクチン有効性 Overall vaccine effectiveness は 93.5 % だった。central Australia のワクチン接種率 The level of vaccine uptake は高く,1994年のアウトブレイク以前,最後に地域全体でのアウトブレイクが発生したのは 1981-82年だった。もし麻疹ワクチンを接種する年齢の平均を設定するのであれば,他の地域の小児と同じく,生後 12か月に遅らせるべきである。]
[2] 米国 USA (California)
 情報源 KPCC, SCPR (Southern California Public Radio) 2016年12月23日
... ロサンゼルス郡保健当局 Los Angeles [LA] County's public health department は 23日,新たに 2例の麻疹感染例が確認され,1か月前に始まったアウトブレイクによる患者が 9人となったと明らかにした。感染者らの多くに疫学的関連性が認められるとしている ...
[3] パキスタン (Balochistan)
 情報源 Balochwarna News 2016年12月24日
バロチスタン州 Mashky Kanderi area of Awaran [Balochistan ] で,麻疹により 5人もの子どもの命が奪われ,ほかにも 40人が感染している。麻疹のアウトブレイクにより,the Mashky Kanderi area of Awaran で,8~10歳(か月?)の小児 [children between the ages of 8 to 10] 5人が死亡した。

● ウェルシュ菌食中毒 米国(2件)
PRO/EDR> Clostridium perfringens foodborne illness - USA (02): (NM) health dept party
Archive Number: 20161225.4722975
 情報源 Outbreak News Today 2016年12月24日
数十人のニューメキシコ州保健当局職員 the New Mexico Department of Health らが,休暇中のランチにより食中毒を発症していたことが分かった。the Harold Runnels Building で行われた食事付のイベントに参加した約 200人の同局職員らのうち,およそ 70人に消化管の症状が現れた。食事を提供していたのは the Kick Ass Sandwich Shop in Santa Fe サンドイッチ店で,イベントへの食事提供の許可を持っていなかった。アウトブレイクの原因菌はウェルシュ菌 _Clostridium perfringens_ とみられている。
同菌_C. perfringens_ は,数々の食品から検出されるが,特に肉および肉を使った食品,グレービーに多い。同菌が産生する催吐性毒素 Emetic toxins は,このトキシンの産生能を有する大量の同菌に汚染された食品を摂取すると,8-22時間以内に激しい腹痛 intense abdominal cramps や下痢 diarrhea を生ずる。通常は 24時間以内に治まるが,一部の患者ではより軽微な症状が 1-2週間継続することがある。このサンドイッチ店は,2016年に開業し,Bad Ass Sandwich Co と名乗っていたが; 同名の他社 a Utah-based coffee company から商標登録違反の訴えがあり,改名していた。
[Mod.LL- ... すでに産生されていたトキシンの摂取による黄色ブドウ球菌による食中毒とは異なり,_C. perfringens_ disease は,消化管内で産生されるエンテロトキシンが原因であることを確認しておきたい]

PRO/EDR> Clostridium perfringens foodborne illness - USA: (NY) restaurant
Archive Number: 20161225.4722929
 情報源 Barf Blog 2016年12月22日
ニューヨーク州 suburban Rochester, New York の Golden Ponds Restaurant は,感謝祭ディナー Thanksgiving dinner [24 Nov 2016] を食べた 260人が体調を崩したことから,当局 The Monroe County Department of Health により調査が行われている。オーナーによれば,27日には営業が再開される見通しである。当局の検査によりウェルシュ菌 _Clostridium perfringens_ による食中毒との結果が得られている。提供された中で,感染源として最も可能性が高いのはグレイビー the gravy としている。

● 食中毒 米国
PRO/EDR> Foodborne illness - USA (05): (TX) dinner for elderly & disabled, RFI
Archive Number: 20161225.4722931
[1] 情報源 San Antonio Current 2016年12月23日
先週 [week of 12 Dec 2016],San Antonio Housing Authority [SAHA] で行われた,高齢者と身障者の入居者のためのディナーパーティーの参加者らの中から,数十人が重い症状を発症し,一部が入院となった原因について,保健当局 Metro Health が調査を続けている。SAHA's Golden Gala event at Freeman Coliseum last [Fri 16 Dec 2016] の後,突然の消化器症状を訴えた。このうち,食中毒症状で病院に搬送された後に死亡した 1人の家族は,食事を提供した業者を提訴した ...
[2] 情報源 Food Poisoning Bulletin 2016年12月23日
20日,the City of San Antonio Metropolitan Health District から,テキサス州 San Antonio, Texas で発生した食中毒アウトブレイクについて,詳細が不明瞭な通知 A vague notice が届いた。the Education Investment Foundation が入居者ら San Antonio Housing Authority (SAHA) residents のために開いたパーティーの参加後,病人が出た ... 参加者の人数,発病した患者数,症状などについて一切触れられていない ...

● 肝炎 インド
PRO/EDR> Hepatitis - India (06): (OR)
Archive Number: 20161225.4722930
 情報源 The New Indian Express, Express News Service 2016年12月23日
オリッサ州 Lukapada village under Bangomunda block of [Bolangir] district [Odisha ] で,小児 5人を含む,少なくとも 15人黄疸 jaundice の症状があらわれている。部族支配のこの村には 167戸の家族が暮らしている。住民らは地区の自治に従わず,医療施設も持たないことが,今回の水系感染症拡大の背景にあるとみられている ...

● 鳥インフルエンザ,ヒト 中国 H7N9 WHO、米国 ネコ H7N2(2件)
中国 H7N9
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (71): China, H7N9, WHO update
Archive Number: 20161225.4718639
[1] 香港 Hong Kong:Reuters 2016年12月20日
香港の保健当局が,今シーズン [2016-17] 初となる,鳥インフルエンザ患者 the 1st human bird flu infection を確認した。12月に中国南部 Changping in Dongguan city を旅行し,現在危険な状態となっている 75歳の男性 1名の鳥インフルエンザウイルス the deadly H7N9 virus strain 感染が確認されたと,19日公表された。6人の死者が発生した 1997年の初めてのアウトブレイク以降,香港では散発的な鳥インフルエンザ患者の発生に悩まされている。先週,香港からフェリーで 1時間の旧ポルトガル領マカオ Macau では,家きん卸売業者 1名の the H7N9 strain 感染が確認され,約 1万羽のニワトリが処分された。
[2] WHO update:WHO Emergencies preparedness, response, Disease Outbreak News (DONs) 2016年12月23日
厚労省検疫所 FORTH より。
23日にWHOから公表された情報によると、香港特別行政区健康局は 20日、鳥インフルエンザA(H7N9)感染者 1人が検査で確認されたことをWHOに報告した。
● 報告の概要
患者は75歳男性で,2016年11月28日から 12月9日まで広東省 Dongguan(東莞市)を旅行していた。12月8日に胸部不快感を自覚し現地病院を受診し,9日には香港に戻ったが,それと同時に、咳、痰、呼吸頻拍、鼻汁、胸部不快感のために救急車で病院へ直行し、入院となった。12月9日に採取された鼻咽頭ぬぐい液の検査で、エンテロウイルスとライノウイルスに対し陽性反応が出たが、インフルエンザは陰性だった。(しかし)12月19日に採取された鼻咽頭ぬぐい液では,鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスのRNA検査で陽性反応が出た。21日に容態はさらに悪化した。東莞市で生鮮市場を訪れており、調理された鶏を購入していた。
2013年初頭以降これまでに、IHRを通して、鳥インフルエンザA(H7N9)の確定診断患者 808人が報告されている
[3] 福建省 Fujian:Global Times, Xinhua News Agency report 2016年12月22日
東部 福建省 China's Fujian Province ・ 厦門 アモイ市 Xiamen City で新たな鳥インフルエンザの患者 A new human H7N9 avian flu case が確認されたと, [Wed 21 Dec 2016] 当局が明らかにした。患者は Siming District of Xiamen の 44歳男性で,18日にウイルス感染が確定診断された。現在治療を受けており,状態は安定している。現地当局 The district government は 22日の時点で,家きんの売買を禁止している。
[4] 安徽省 Anhui (fatal), マカオ Macau, 上海 Shanghai:The Star 2016年12月24日
安徽省で鳥インフルエンザ H7N9 bird flu により 2人が死亡し,この冬 this winter's [2016-2017] cases 初めての死者となった。マカオ Macau でも,1999年の中国への返還後初めてとなる患者 its 1st human H7N9 infection が報告された。8日以降,安徽省では 5例の患者が報告されており,うち 2人が死亡したことを,同省保健当局が 21日にウェブサイト上で明らかにした。残りの 3人の経過については述べられていない。今回の安徽省の症例を加え,今月 [12月] 中国本土で確認された,H7N9 型鳥インフルエンザの患者数は合計 7人となった。H7N9 型ウイルスの感染は,2013年3月まで,動物でもヒトでも確認されていなかった ... これ以前の最も新しい中国本土での鳥インフルエンザのアウトブレイクは,2013後半-2014年前半に発生し,36人が死亡し,農業分野に甚大な被害を与えた。上海の保健当局 Health authorities in Shanghai は [21 Dec 2016] ,隣の江蘇省への旅行後に鳥インフルエンザ the H7N9 strain 感染と診断された男性 1名が,上海で治療中であることを明らかにした。江蘇省政府当局は 23日,感染源について調査中としている。同じ東部の福建省アモイ市 Xiamen, Fujian province でも,H7N9 flu の患者発生を受け,昨日 [Wed 21 Dec 2016] から家きんの売買を禁止した。同市には約 350万人の住民が暮らしている。香港でも,今シーズン初の鳥インフルエンザ患者が報告された。
関連項目 human (69): China, H7N9, WHO update 20161222.4714645

米国 H7N2
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (70): USA (NY) feline, H7N2
Archive Number: 20161225.4718525
[1] 獣医師の感染:NBC News 2016年12月22日
鳥インフルエンザに感染したネコが収容されていたニューヨーク市の動物愛護施設 New York City animal shelter で,施設の獣医師 1名も同じウイルスに感染していたことを,22日に保健当局 the New York City Department of Health が明らかにした。H7N2型ウイルスに感染したこの獣医師の症状は軽症で,短期間に治癒したと述べた。感染のあったネコの接触者も含め,160名以上の同施設職員の検査を行い,(このほかに) 感染者は確認されなかったと説明した ...
[2] ヒトへの影響は小さい:NYC Health 2016年12月22日
市保健当局 The [New York] Health Department が [22 Dec 2016],Animal Care Centers of NYC's (ACC) shelters 動物愛護施設のネコの感染が確認された鳥インフルエンザアウトブレイク an outbreak of low pathogenic avian influenza H7N2, a strain of influenza A virus の調査の結果,ヒトへの影響は小さいと発表した

● カンピロバクター症 英国 未殺菌ミルク
PRO/AH/EDR> Campylobacteriosis - UK: (England) unpasteurized milk
Archive Number: 20161225.4722872
 情報源 Cumbria Crack 2016年12月22日
これまでに 6人のカンピロバクター症 campylobacteriosis 患者について,Low Sizergh Barn Farm, Kendal [South Lakeland, Cumbria] 農場の殺菌処理されていないミルクとの関係が疑われている。保健当局 South Lakeland District Council's (SLDC's) environmental health officers は,the Food Standards Agency (FSA) の協力を得て調査にあたっている。現在調査中であるが,専門家らによると,おそらく農場にある自動販売機で購入された生のミルクを摂取したことが,発病の原因である可能性が高い。カンピロバクター _Campylobacter_ は,英国内の食中毒の原因として最も多い。この菌は,生肉や調理が不十分な肉,特に鶏肉,や未殺菌ミルク,処理されていない水などから検出されることが多い。カンピロバクターが原因の食中毒では,摂取から発症までの潜伏期間は通常では 2~5日間だが,最長 10日間となることもある。症状は 1週間以内に治まることが多い。健康成人では重症化することはあまりないが,幼児や老人,持病のある人等,脱水に弱い患者では,より重症となる可能性がある。

● 炭疽 インド
PRO/AH/EDR> Anthrax - India (29): (TN) elephant
Archive Number: 20161225.4723282
[1] 情報源 The New Indian Express, Express News Service 2016年12月25日
タミルナド Tamil Nadu 州の森林で死亡して発見された [若い] 動物 the tusker [juvenile] は,24日に行われた解剖の結果,炭疽による死亡であったことが明らかになった ...
[2] 情報源 The New Indian Express, Express News Service 2016年12月26日
the Madukkarai forest range の Karunya Nagar in Kombuthooki Amman Koil forest beat 近郊で死亡して発見されたオスのゾウ 1頭は,死後解剖検査の結果,炭疽に感染していたことが判明したため,Nallur Vayal and Alandurai areas のウシへのワクチン接種が行われた ...