2019年1月8日

重症熱性血小板減少症候群 韓国
リフトバレー熱 母児感染
Mengla virus 中国,コウモリ

● 重症熱性血小板減少症候群 韓国
PRO/AH/EDR> Severe fever w/ thrombocytopenia synd. - South Korea: poss. aerosol transmission
Archive Number: 20190108.6248997
 情報源 Infect Control Hosp Epidemiol. 2018年12月19日
原著タイトル Aerosol transmission of severe fever with thrombocytopenia syndrome virus during resuscitation.
要約
飛沫感染対策下 with droplet precautions での,重症熱性血小板減少症候群 severe fever with thrombocytopenia syndrome virus (SFTSV) の空気感染の可能性 potential nosocomial aerosol transmission について検討した。院内でのエアロゾルが発生する処置中 During aerosol generating procedures に,SFTSV はエアロゾルによってヒトからヒトへの感染伝播する。このため,direct contact and droplet transmission のみならず,airborne precautions も標準感染予防対策 standard precautions に加えるべきである。 [詳細 Helio IT
... "最近,韓国の病院において outbreak of SFTS が発生し,possible droplet transmission が示唆されている。中国でも家族内での probable aerosol transmission in a family cluster が報告されている," と Control & Hospital Epidemiology で報告されている。筆者らによると,2017年9月に the hospital in Ansan は,発症の 10日前に山中でキノコ取りを行った,背中にダニ刺咬の跡のある 57歳男性の a case of SFTS を確認している。検査所見では,白血球減少,血小板減少,肝酵素とフォスフォキナーゼの上昇が認められた。嗜眠傾向 hypersomnia と見当識障害 disorientation が見られたため,standard and contact precautions が実施されている集中治療室に移された。人工呼吸器装着のために気管内に挿管されたが,多臓器不全のため死亡した。患者と接触のあった 14人の医療従事者のうちの 2人に感染 confirmed or suspected SFTS infection が確認された。1人目は発端となった症例に対して,頻回の気道内吸引を伴う気管内挿管を行った 31歳の男性医師で,患者との接触は 10分以内であり,a fluid-shield mask and gloves を装着していたが,結膜と上気道はプロテクトされていなかったと述べられている。2例目の感染者は,発端となった患者に対し,手袋とマスクを装着せずに接触した,26歳男性の遺体処置担当者 mortuary beautician である。いずれの症例も最近の野外活動はなかったと報告している ...
写真(ベクターのダニ) a _Haemaphysalis longicornis_ tick, the SFTS vector 

● リフトバレー熱 母児感染
PRO/AH/EDR> Rift Valley fever: vertical transmission, comments, details
Archive Number: 20190108.6248825
 情報源 New York Times 2019年1月7日
蚊が媒介しリフトバレー熱 Rift Valley fever の原因となるウイルスが,妊娠中の母親が感染した場合,胎児に重大な影響を及ぼす severely injure 可能性があることが最近の研究で報告された。
2018年12月の the journal Science Advances で発表された報告の中で,この研究者らは感染したラットとヒトの胎児組織を用いて,ウイルスが胎盤を標的に感染する様子を確かめた。the Zika virus よりも、 (リフトバレー ウイルスは) より大きなダメージを与える可能性があるという結果が示されている ... 
2 documented cases of infected fetuses について報告されており,1人の胎児は肝脾腫等の症状が認められた; もう1例は 1週間以内に死亡した。妊娠女性は感染しても無症候性のこともあるため,奇形や死産例の中にはさらに多くの感染例が見逃されている可能性もある。研究に用いられたラットのうち,感染ラットから産まれた児の 65%が死亡し,一方,感染のない母ラットの児では 25%だった。感染のあったすべての母親ラットは 1児以上が死亡し,すべての子どものラットにウイルスが感染していた。妊娠した母親ラットは,非妊娠ラットに比べて Rift Valley fever 感染により死亡しやすかった。さらに研究者らを驚かせたこととして,感染した母親ラットの体内で,胎盤が最も多くのウイルスを保有しており,ウイルス感染によるダメージが大きいことが知られている肝臓よりも多かった ... ヒトの胎盤組織を調べたところ,Rift Valley fever virus は,ジカウイルスとは異なる,胎盤の中の栄養が流入する部位をサポートする特定の細胞層に感染する特徴を持っていた ... 原文参照願います。
関連項目 2018
Rift Valley fever: vertical transmission 20181210.6203158

● 麻疹 オーストラリア,ポルトガル,米国,イスラエル
PRO/EDR> Measles update (02): Pacific, Europe, Americas, Middle East, comment
Archive Number: 20190108.6248575
[1] オーストラリア (New South Wales):The Guardian 2019年1月2日
ニューサウスウェールズ New South Wales 州で 1週間足らずのうちに 3人目の小児の麻疹感染が確認された。当局 NSW Health は 2日,Royal North Shore hospital を受診した ...
[2] ポルトガル:Outbreak News Today 2019年1月6日
ポルトガル保健当局 The Directorate General of Health (DGS) in Portugal が最近,2018年11月以降の国内で,多くが成人である 37例の麻疹感染 measles cases が報告されていると明らかにしたと報じられている。さらに,3 different and distinct outbreaks が確認されており,Cascais ではウクライナからの輸入例を発端とする 24 confirmed cases and 2 probable cases が,Oeiras ではチェコからの輸入例からの 5 confirmed cases が,the Madeira island では 3 confirmed cases についての調査が行われている。The DGS はまた 2018年11月以降,(アウトブレイクとの関連が確認できない) 5 isolated cases have been confirmed, "としている。
[3] 米国 Oregon:The Bulletin 2019年1月6日
... 2日,麻疹感染の患者が大学病院の救急室 the OHSU [Oregon Health & Science University] Hospital emergency room を受診した。麻疹ウイルス感染が確認されたのは 3日。この患者は郡の外から Hood River [OR] and The Dalles [OR] を訪れた旅行者だった ...
[4] イスラエル:The Yeshiva World 2019年1月7日
麻疹に感染していた父親が,スタッフに感染を伝えることなく未熟児病棟 ? the preemie ward at Bnei Brak's Mayanei HaYeshua Hospital に立ち入ったため,多くの新生児らが危険にさらされている。この父親の感染が判明した時点で直ちに 80人以上の新生児らにワクチンが接種されたが,中には生後 1~2日の児もいる ...
[5] Re: PRO/EDR, Measles vaccine - India: (MH) adverse events, RFI 20190105.6241915
 投稿者 Stephen Seligman, MD 2019年1月8日
... 我々の研究では,(MMRワクチンの重篤な副反応に)defects in the type I and III IFN [interferon] signaling pathways が関係することを示してきた。

● 鳥インフルエンザ,ヒト ネパール
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (01): Nepal (KT), poultry susp, RFI
Archive Number: 20190108.6245559
 投稿者 ネパール・Sukraraj Tropical and Infectious Disease Hospital,Sher Bahadur Pun, MD 2019年1月6日
6日,45歳の妊娠女性と her 2 family members, residents of Dandapauwa-6, Ramkot, Kathmandu [Province Three] が,4日間の発熱,咳,咽頭痛,胸痛,体力低下を訴え,当院 the OPD [outpatient department] of Sukraraj Tropical and Infectious Disease hospital を受診した。この一家が飼育していた養鶏場で,1週間でニワトリが約 700羽が死亡し,今も 1日150羽ほどの死亡が続いていると報告した。ニワトリはインフルエンザ A 迅速検査が陽性だった。subtypes の解析が行われている。受診した患者が鳥インフルエンザウイルスに感染しているかどうかは判らない。カトマンズでは Influenza A(H1N1)pdm09 virus の感染が流行しているが,H5N1 and H7N9 or even new subtypes of avian influenza, についても注意が必要。

● ハンタウイルス チリ アルゼンチンから
PRO/AH/EDR> Hantavirus - Americas (03): Chile (LG) ex Argentina (CH)
Archive Number: 20190108.6248358
 情報源 The Santiago Times 2019年1月7日
保健当局 The Seremi de Salud [Regional Health Ministerial Secretariat] of Los Lagos が,国内 the Chilean region では今年 [2019] 初めてのハンタウイルス感染 1st case of infection by hantavirus を確認した。チリの保健当局 the Health Service of Chile に勤める女性で,Palena, in the Los Lagos Region から 4時間の場所にある,アルゼンチン Epuyén, Argentina においてハンタウイルスに感染したことが確認された後,サンチアゴ Santiago に移送された。女性は the city of Palena の住民で,1月5日から the Puerto Montt Hospital(サンチアゴ?)に入院中である ...
[Mod.TY- Los Lagos region, Chile で入院となったこの女性の感染は,アルゼンチン Epuyén, Chubut province, Argentina で発生したものである。Epuyén はアンデス山脈地域 the Andes mountains に位置し,明記されていないがアンデス南部に常在する Andes hantavirus による感染とみられる。ハンタウイルス感染が発生する夏季となった。Andes virus がヒトからヒトへ直接感染伝播されることはまれで,家族内などの濃厚接触に限られる ...]
写真 the long-tailed pygmy rice rat (_Oligoryzomys longicaudatus_), the Sigmodontine rodent host of Andes hantavirus 
関連項目 Hantavirus - Americas (01): Argentina (CH) 20190105.6241941

● ラッサ熱 トーゴ
PRO/AH/EDR> Lassa fever - West Africa (02): Togo (KA)
Archive Number: 20190108.6248252
 情報源 Outbreak News Today 2019年1月7日
トーゴ政府当局は 1日の週に,北部 Doufelgou district [Kara region] においてラッサ熱の患者 a Lassa fever case が報告されたことを確認したと,報じられた。当局者によると,出血熱の症例 a hemorrhagic fever case だった ...ラッサ熱の一般的な解説。
[Mod.TY- ラッサ熱ウイルスは,ベニン,トーゴ,ブルキナファソなどの北西アフリカの大部分に常在する。最近では 2017年にトーゴで複数のラッサ熱の症例が報告され,政府当局は以下の対策を実施した ... 今回の報告では保有動物や尿への暴露について述べられていない。]
写真 保有齧歯類 the rodent reservoirs of Lassa fever virus:
_Mastomys natalensis_ _M. erythroleucus_ and _Hylomyscus pamfi_
参考項目 2017
Lassa fever - West Africa (10): Benin, Togo, Burkina Faso 20170312.4896305

● Mengla virus 中国,コウモリ

PRO/AH/EDR> Mengla virus - China: (YN) bat
Archive Number: 20190108.6247311
 情報源 Nature Microbiology DOI: 10.1038/s41564-018-0328-y 2019年1月7日
原著タイトル Characterization of a filovirus (Mengla virus) from _Rousettus_ bats in China.
要約
... (エボラ Ebola virus (EBOV) やマールブルグ Marburg virus (MARV)で有名な)コウモリのフィロウイルスの 1種 a phylogenetically distinct bat filovirus の,Mengla virus (MLAV) の特徴について報告する。遺伝学情報 The coding-complete genome of MLAV は,既知のフィロウイルスと 32-54 percent nucleotide sequence identity の共通性がある。発生学的には between EBOV and MARV に位置し,新たな分類項目の設定 a new genus taxon が必要となるかも知れない。他のフィロウイルスと比べ,糖タンパクのアミノ酸配列の相同性が低い the low amino acid sequence identity (22-39 percent)にもかかわらず, MLAV は entry receptor として,the Niemann-Pick C1 (NPC1)を利用することが可能である点が重要である。MLAV はまた,EBOV or MARV leader and trailer sequences を含む chimeric MLAV mini-genomes による複製が可能 replication-competent であることから,進化の上でも機能面でも,これらのウイルスは近縁であることが示唆される。さらに MLAV glycoprotein-typed pseudo-types は,ヒト,サル,イヌ,ハムスター,コウモリ由来の cell lines に形質導入された transduce ことから,広い種に感染拡大するおそれがある a broad species cell tropism with a high risk of interspecies spillover transmission.

● 鳥インフルエンザ イラン H5N8 

PRO/AH/EDR> Avian influenza (01): Iran (MN) HPAI, poultry, H5N8, spread, OIE
Archive Number: 20190108.6248574
 情報源 OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2019; 32(02) 2019年1月5日
Highly pathogenic avian influenza, Iran
感染開始時期 2018年12月24日
前回流行時期 2017年1月30日
原因ウイルス Highly pathogenic avian influenza virus
Serotype: H5N8
新たな感染流行 (2)
Outbreak 1: Bala Langor, Mazandaran: village
Date of start of the outbreak: 24 Dec 2018
Outbreak status: resolved on 25 Dec 2018
種/個体数/症例数/死亡/廃棄/処分
Birds / 1400 / 1000 / 400 / 1000 / 0
Affected population: duck ダック
Outbreak 2: Nor joje, Mazandaran: farm
Date of start of the outbreak: 25 Dec 2018
Outbreak status: resolved on 27 Dec 2018
種/個体数/症例数/死亡/廃棄/処分
Birds / 35 660 / 35 260 / 394 / 35 266 / 0
Affected population: broiler breeders ブロイラー

● 炭疽 インド
PRO/AH/EDR> Anthrax - India: (OR) elephant calf, susp
Archive Number: 20190108.6248359
 情報源 The New Indian Express 2019年1月8日
Similipal [Mayurbhanj district, Odisha] で雄の子ゾウ elephant calf 1頭が死亡したが原因は明らかになっていない。遺体は TL-5 under Badamahulia beat of Badabalipusi section within Kedumunduli range で 2日前に発見されたが,目立った傷はなかった。当局者は感染症による死亡を疑っている。Piyush Soren of Similipal Tiger Reserve, Khanim Tangmaiee, Harekrushna Moharana Bhandari, and Jagyandatta Pati を担当する獣医学チームが剖検を行った。かつてこの地域で 8頭のゾウが炭疽 anthrax により死亡している 

● 魚類の大量死 オーストラリア 酸欠疑い
PRO/AH/EDR> Die-off, fish - Australia: (NS) oxygen depletion susp
Archive Number: 20190108.6247969
 情報源 The Guardian 2019年1月7日
a stretch of the Lower Darling River in New South Wales 沿いでは 2例目 2nd major incident となる,数万匹の魚類の死亡が発生し,専門家らは在来種 local native fish の絶滅のおそれがあると懸念している。the Menindee Lakes 近郊の住民らが,a 20 km [about 12.4 mi] stretch of water near Weir 32 川沿いで 2件目となる大量死を報告している。クリスマス前にも約 1万匹の魚類が死亡した。Broken Hill から約 100km東にある湖岸に打ち上げられた魚類の写真が投稿されている。現地の専門家は,Murray cod and other native fish が全滅する可能性があるとして,the way WaterNSW の湖水管理に疑問を投げかけている