2023年4月21日

◎ Nodding disease ウガンダ
マラリア ガーナ ナイジェリア,ワクチン

● E型肝炎 南スーダン
PRO/EDR> Hepatitis E - South Sudan: (WB)
Archive Number: 20230421.8709623
 情報源 Associated Press 2023年4月18日
南スーダン South Sudan は18日,北西部の E型肝炎アウトブレイク an outbreak of hepatitis E による5例死亡91例の感染 suspected cases を発表した。患者が報告されたのは Wau city, which is the capital of western Bahr el Ghazal State である ... 
参考項目 2022
Hepatitis E - Sudan: (GD) refugee camps, 2021-22 20220711.8704368

◎ Nodding disease ウガンダ
PRO/EDR> Nodding disease - Uganda
Archive Number: 20230421.8709630
 情報源 Undark 2023年4月19日
20代の兄弟が,現在も原因不明の神経疾患の nodding syndrome に苦しんでいる。内戦が続くウガンダ北部において,1997年から2012年にかけてこの疾患が流行レベルに達したがその後に減少した。専門家の多くは,間接的であっても,nodding syndrome に寄生虫 the parasitic roundworm _Onchocerca volvulus_ が関係するとみている。The WHO が関連性を強く示唆したが,結論づけるのは時期尚早とする専門家があり,栄養不良や毒キノコ a toxic mushroom の摂取など他の要因を挙げている。ウガンダ北部が the roughly 2100 nodding syndrome survivors と大部分を占めるほか,南スーダンなどの患者数がはっきりしない地域などもある。原因の理解が正しくなければ治療の遅れにつながるおそれがあり,将来の流行対策のための科学的ノウハウが必要となる。とはいえ,多くの専門家は _O. volvulus_ infection との関連説を支持している ... 
Nodding disease は衰弱性神経疾患 a debilitating neurological disease と記述されることが一般的で,患者は3歳から18歳までの小児および若年者にほぼ限られている。周期的な頭部の下垂 periodic head nodding や暴力的なけいれん発作などの脳に関連する重篤な症状を招く一方,周期性の過眠やめまい,注意欠如,成長不全,身体的消耗,性成熟遅延,よくうつなどもみられる。いつ頃からこのような症状に気づかれ始めたのかははっきりしておらず,一部の研究者は1960年代にタンザニアで初めて報告されたと述べ,他の研究者は1930年代のメキシコに遡るとしている。もし nodding syndrome が _O. volvulus_ と関連するとすれば,オンコセルカ症が初めて報告された1870年代に発生していた可能性がある。
_O. volvulus_ は寄生虫 a parasitic roundworm, or filarial nematode で,河川盲目症  river blindness の原因となり,nodding syndrome との関連性については,患者らにけいれん及び神経系の障害を伴うことが根拠となっている。もっとも精力的な調査として,2014年春に発症したウガンダの患者 Ugandan nodding syndrome sufferers について行われたものがある。自発的に参加した,家族のうちの3人が患者である8人家族の一家が,National Institutes of Health facilities in Maryland に2週間滞在した。実質的にすべての研究グループ every nodding syndrome research group がこの家族の検査結果を引用している: 患者らにはオンコセルカ症 _O. volvulus_ infections の既往歴があり,ビタミンB6濃度が低く exhibited borderline low levels of the vitamin B6,認知機能の低下 dementia and cognitive decline に関係するタンパクレベル低下が脳機能に影響した可能性がある。遺伝学的検査により,遺伝的なけいれんや他の脳疾患は除外されている。
nodding syndrome は主に,ウガンダ北部や南スーダンほか,オンコセルカを伝播する the _Simulium_ black flies が生息しオンコセルカ症が多く報告されている東部および中央部アフリカ地域に一致して発生している。また,主症状 the key feature of nodding syndrome であるけいれん発作 the seizures は河川盲目症の患者でも見られなくはない。ウガンダ北部の生存患者は約2100人で,統計はないものの南スーダンなどの患者数がはっきりしない地域にも患者はいる。他の研究者も可能性については同意するもの,注意が必要としている。 "worms don't usually cause seizures" と述べられている。nodding syndrome の症例で,脳に影響のある感染を示唆する髄液中の the roundworm's presence が確認されたことがない点が指摘されている。患者の多くが,皮膚の一部の生検で過去の河川盲目症の既往が確認されているが,active cases ではなかった。_O. volvulus_ infections に患者の免疫系が反応し,ニューロンに永続的な障害を生じた可能性があるとしている。少なくとも2021年までは,the CDC and WHO on their websites に nodding syndrome がonchocerciasis に関連すると記載されていた。そしてオンコセルカ症会議 December 2022 meeting on onchocerciasis において,the WHO noted that there is strong evidence for a connection between nodding syndrome and river blindness ... 
2009年にウガンダ北部でベクター駆除 control _Simulium_ fly populations とイベルメクチン ivermectin などの駆虫薬配布によるオンコセルカ症根絶対策が開始されており,その後 new cases of nodding disease は激減した。
(しかしながら)そもそも,オンコセルカ症 onchocerciasis が世界中で3 distinct geographies : the Amazon Basin, Yemen, and sub-Saharan Africa に存在しているにもかかわらず,the Amazon or Yemen で症例が報告されたことはない no clinically described cases of nodding syndrome have been recorded。加えて,nodding disease では河川盲目症の主症状である視力障害はきたさない。1998年に northern Uganda's Kitgum district の nodding syndrome を発見した現地医療チームのメンバーの1人は,若い頃から black flies はいたが,Nodding syndrome の患者はいなかったと証言している ... 
難民キャンプで提供される食事に入ったトキシン Toxins についてもしばしば議論されているが,新たな流れとして栄養不良と免疫抑制に毒キノコの摂取 the consumption of a neurotoxic mushroom が重なった可能性に焦点が当てられている。キノコ an agaric mushroom called _Agaricus bingensis_ (Ayaa Kum Got or Atel in the local Acholi language) についての a 2022 review article で,広く食用とされているこのキノコによりビタミン vitamin B6 の吸収が阻害され -- one of the symptoms in the family from the 2014 NIH study --,極端な場合に重篤な脳の変性を来す可能性があるとされている。食糧が不足する難民キャンプで,これらのキノコが摂取された可能性など ... 
[Mod.LL- As noted by Mod.EP, nodding disease syndrome has remained enigmatic since the 1st link to onchocerciasis was proposed in 1992 and 1994 (see Kipp et al https://doi.org/10.1016/S0140-6736(94)90980-6 and https://doi.org/10.1016/0140-6736(92)92329-E).
The Johnson et al study  reported a biological marker and a plausible biological explanation for nodding syndrome. The results are in line with a previous study finding a link between onchocerciasis exposure, lack of ivermectin treatment and nodding syndrome (see Colebunders et al https://doi.org/10.1016/j.ijid.2016.05.018). ]
参考項目 2020
Undiagnosed cerebral disease - South Sudan: nodding disease 20200927.7817330
2017
Undiagnosed cerebral disease - Uganda: nodding disease, autoimmune reaction 20170218.4848145

● 日本脳炎など インド
PRO/AH/EDR> Japanese encephalitis & other - India (08): (BR) alert
Archive Number: 20230421.8709617
 情報源 Times of India 2023年4月20日
4月に新たに2023年の12例の50%にあたる6例の急性脳炎症候群 fresh cases of acute encephalitis syndrome (AES) が報告されたことから,ビハール州当局 The [Bihar] state government は州内すべての医療センターに注意喚起を行った。これまでのところ死亡は報告されていない ... the total AES cases の10例が Muzaffarpur から,from East Champaran and Sitamarhi districts から各1例が報告されている。

● マラリア ガーナ ナイジェリア

PRO/EDR> Malaria - Africa (03): Ghana, Nigeria, new R21/Matrix-M vaccine approved
Archive Number: 20230421.8709605
[1] ガーナ Ghana
 情報源 The Guardian 2023年4月13日
ガーナは英国 Oxford university in the UK が開発した有効性の高いマラリアワクチン a highly effective malaria vaccineの世界で初めての承認国となった。The R21/Matrix-M vaccine は,the World Health Organization's target of 75% efficacy 有効率を初めて達成し,Ghana's Food and Drugs Authority はマラリアによる死亡リスクが最も高い生後5-36か月の乳幼児についての使用を許可した。the director of the Jenner Institute, which is part of the Nuffield Department of medicine at Oxford University は,30年間のマラリアワクチン研究が結実したと述べた。しかし observers は,この蚊族媒介性疾患との複雑な闘いの決め手にはならない "no silver bullet" とみている。2021年にマラリアにより61万9千人が死亡したと推定され,そのほとんどがサブサハラアフリカの小児であると the WHO は述べている。ガーナは both endemic and perennial(常在し流行が繰り返される)の国であり,530万人の感染と1万2500人の死亡が記録されたと推定されている。The WHO はまだ広く the R21 vaccine を利用することを推奨しておらず,国際的な資金の問題の解決を待っている。The vaccine's phase 3 trial が進められているものの,1年後の追加接種後に維持される有効率は efficacy levels of 77%であることが示されている。他方,2021年の画期的な動きの中で the WHO が使用を推奨した the RTS,S vaccine の有効率は,よりわずかなレベル more modest efficacy levels であった。the R21 vaccine の製造メーカー The Serum Institute of India は年間2億ドース以上の製造能力があると述べている ... 
R21 が,常在国すべてが完全には行えていない他のコストの安いマラリア介入 other cost-effective malaria interventions ,たとえば殺虫処理済み蚊帳や残留性屋内噴霧剤と比較して,費用対効果が高いかは不透明と述べられている ... 
[2] ナイジェリア Nigeria
 情報源 Reuters 4月17日
Nigeria has granted provisional approval to Oxford University's R21 malaria vaccine, its medicines regulator said on Monday [17 Apr 2023], making it the 2nd country to do so after Ghana last week ... 原文参照願います。
[3] Nigeria
 情報源 Yahoo! News 4月18日
同内容。
 ... 
Results from an ongoing phase 3 clinical trial of the vaccine involving 4800 children in Burkina Faso, Kenya, Mali, and Tanzania are yet to be published.
[4] Ghana and Nigeria
 情報源 Chemistry World 2023年4月19日
final-stage clinical trial data は未だ明らかにされていないが,英オックスフォード大学が開発したマラリアワクチンについて,ガーナが承認し,ナイジェリアでも承認される見込みである。The R21/Matrix-M vaccine, which has been manufactured and commercialised by the Serum Institute of India はタンパクベースのワクチン a protein-based vaccine で,免疫反応を高めるためのアジュバント a saponin-derived adjuvant (Matrix-M) from Novavax が添加されている。マラリアによる死亡リスクが最も高い生後5から36か月の乳幼児に接種できる。Phase 2b trials in 2021-22 および preliminary data from the ongoing Phase 3 trial in Burkina Faso, Kenya, Mali and Tanzania では,目標となる有効率 the World Health Organization's (WHO) goal of at least 75% efficacy を超える高い有効性が示唆されたと,同大研究チームは述べている。ナイジェリアでは市販後調査 a Phase 4 (post-marketing) trial and pharmacovigilance study も行われる予定とされている。the 2021 World Malaria Report によると,ナイジェリアは世界でもっとも多くマラリア患者(全世界の27%)および死亡(同32%)を報告した。いずれも2017年以降増加が続いている。ガーナはケニア,マラウイとともに the WHO's Malaria Vaccine Implementation Programme 実施3か国の1つで,GSK's Mosquirix (RTS,S S/A S01) vaccine, with funding from Gavi, the Vaccine Alliance が開始されている。Mosquirix により,マラリアによる入院が約30%減少するとして the WHO in 2021 が利用を広く推奨している。An extensive roll-out of the R21 vaccine には資金援助 philanthropic funding による製造・配布の支援が必要となる。The Serum Institute of India has established potential manufacturing capacity of more than 200 million doses annually, including in collaboration with DEK Vaccines in Ghana ... 

● 炭疽 ブタ
PRO/AH/EDR> Anthrax (03): feral swine, research
Archive Number: 20230421.8709626
 情報源 Pathogens 2023年4月20日
原著タイトル Feral swine as indirect indicators of environmental anthrax contamination and potential mechanical vectors of infectious spores. Pathogens. 2023; 12: 622.
要約
炭疽 Anthrax は,世界中の家畜,野生動物,ヒトの感染症である; しかし各集団 populations への相対的影響については十分理解されていない。野生のブタ Feral swine (_Sus scrofa_) は比較的炭疽 anthrax を発症しにくく,過去のサーベイランス past serosurveys で歩哨動物としての利用の可能性が示されているものの支持するデータはない。加えて,野生のブタにより炭疽芽胞が拡散されるかどうかも判っていない。
15頭のブタに様々な量の varying quantities of _Bacillus anthracis_ Sterne 34F2 spores を経鼻的に接種し,経時的に抗体及び排菌量 the seroconversion and bacterial shedding を計測した。接種は1回ないし3回実施された。血清は enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) for antibodies against _B. anthracis_ により,鼻腔スワブ nasal swabs については培養により排菌 bacterial shedding from the nasal passages を測定した。
野生のブタが,自然界において on the landscape 感染性芽胞の拡大に寄与し,炭疽菌による環境汚染や感受性のある宿主の暴露リスクの可能性が示された。

● 鳥インフルエンザ チリ イルカ H5N1
PRO/AH/EDR> Avian influenza (69): Americas (Chile) dolphin, HPAI H5N1
Archive Number: 20230421.8709621
 情報源 World Today News [edited; in Spanish] 2023年4月19日
The epidemiological situation of highly pathogenic avian influenza (HPAI) subtype H5 of Eurasian lineage has been worsening. To date, 10 regions of the country have reported protected marine wildlife positive to HPAI H5, with cases from Arica to Biobío.
So far, 35 animals have been confirmed positive for HPAI: 2 marine otters, 25 sea lions, 4 Humboldt penguins, 2 porpoises, and now 2 Chilean dolphins, one in Maule and the other one in Nuble.