2023年4月26日

マールブルグ病 タンザニア(02)

● マールブルグ病 タンザニア
PRO/AH/EDR> Marburg virus disease - Tanzania (02): (KG)
Archive Number: 20230426.8709717
 情報源 Outbreak News Today 2023年4月24日
タンザニアにおけるマールブルグ病アウトブレイクに関する続報 a follow-up on the Marburg virus disease (MVD) outbreak の中で,the World Health Organization (WHO) は新たに1例の感染と死亡について報告している。3月21日,タンザニア保健省からアウトブレイクの発生が宣言され,4月16日現在9例の感染と6例の死亡(致死率66.7%)が報告されている。患者はすべて the Bukoba Rural district in Kagera Region から報告されており,212人の接触者のうち,206人について観察期間が完了した。Tanzania's 1st ever MVD outbreak である。
マールブルグ病 Marburg virus disease は高病原性 highly virulent の出血熱を生じる疾患で,致死率は最大88%におよぶ。Ebola virus disease の原因ウイルスと同じ科に属する。突然の高熱,激しい頭痛,強い倦怠感の症状で発症し,患者の多くが7日以内に重症の出血熱症状を発症する。ヒトへのウイルス感染はフルーツコウモリから伝播され,感染した患者の体液,環境,ものなどとの直接の接触を介してヒトの間で感染が拡がる。治療用に承認されたワクチンはないが,経口または経静脈水分補正などの支持療法と対症療法により生存率は向上する。
[Mod.TY- 3月21日の報告では死亡5例を含む7例の suspected Marburg virus disease (MVD) infection が報告されていた。(20230323.8709083) 上記報告では,9例の感染と6例の死亡とされている。212人の接触者のうち206人の観察期間が終了しているのは良いニュースである。のこる6人が発症しなければアウトブレイクは終息となるだろう。
前回の投稿にあるとおり,タンザニアでは初めてのアウトブレイクの報告ではあるが,隣国ウガンダでは sporadic cases が発生している:
- 2007: 4 cases, including 2 deaths, in Ibanda district, western Uganda;
- 2008: 2 unrelated cases in travelers returning to the Netherlands and USA, respectively, after visiting caves in western Uganda;
- 2012: 15 cases, including 4 deaths, in Ibanda and Kabale districts, western Uganda; and
- 2014: 1 case in a healthcare professional from Mpigi district, central Uganda.
ウガンダとの国境にある the Kagera district で感染が発生している。タンザニア保健当局は,接触者追跡と発症者への適時の医療ケアによる迅速な対応を行っている。タンザニア国内のコウモリの間にウイルスが常在している remains endemic ことは間違いなく,コウモリとの接触を避けるよう市民への周知が望まれる]
関連項目
Marburg virus disease - Tanzania: (KG) 20230323.8709083

● コレラ 南アフリカ
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update (10): Africa (South Africa) river baptisms
Archive Number: 20230426.8709712
 情報源 Baptist News 2023年4月26日
南アフリカでコレラ A cholera outbreak が発生したことは,川での洗礼を行うものにとって,より悪いニュースである。これまで,南アフリカにおいて資格のない牧師 unlicensed pastors が行う正式でない洗礼 informal baptisms による溺死の危険性ついては報じてきたが,コレラ感染流行が新たな問題となっている ... 

● 腸チフス・大腸菌胃腸炎 ケニア,死亡

PRO/EDR> Gastroenteritis - Kenya (02): (KK) typhoid fever, ETEC, fatal
Archive Number: 20230426.8709710
 情報源 Food Safety News 2023年4月20日
ケニアの2つの学校において最近,4人が死亡し600人以上の患者が発生した。保健省 The Ministry of Health (MOH) が胃腸炎アウトブレイク a suspected gastroenteritis outbreak at Mukumu Girls and Butere Boys high schools in Kakamega County として調査を行っている。問題が発生したのは3月1日からで,4月14日現在までに627人が発症し,全国の7 health facilities に19人の生徒が入院した。発熱,腹痛・胃痛 cramps, 嘔吐および下痢の症状がみられている。教師1人と生徒3人が死亡した。現在行われている調査終了まで両校とも休校となっている。水質,食品および患者からの検体の検査の暫定解析結果で,大腸菌チフス菌 _E. coli_ (ETEC) and _Salmonella [enterica_ serotype] Typhi が確認されている。穀類と豆類 grains and pulses の検査でアフラトキシン aflatoxin は検出されず,他の病原体の検査も陰性だった ... 
[Mod.LL- 今回の大規模クラスターに関係する2つの病原体は,潜伏期間がかなり違う点に関心が持たれる。大腸菌 ETEC が 1-2 days であるのに対し,腸チフス typhoid being 6-30 days である。2つの菌(による感染)の,疫学曲線やそれぞれの患者の割合などは示されていない。乳幼児を除いて大腸菌感染が死亡原因となることはまれなので,死亡は腸チフスが原因である可能性が高い。発症までの潜伏期間が長いことから,水質汚染の存在があると考えられる。
腸チフス Typhoid fever, so-called enteric fever はチフス菌 _Salmonella enterica_ serotype Typhi の感染が原因となり,しばしば下痢を伴わないことなど,より一般的なサルモネラ菌感染症と異なる臨床症状となる。疫学的には,食品または飲料水の汚染により感染が拡大することが多く,他のサルモネラ菌感染症のような人獣共通感染症ではない。臨床的には下痢や嘔吐を伴わず; 実際には便秘の症状がしばしば報告される。全身性疾患であることから,特に感染初期においては,血液培養検査が便検査と少なくとも同等の陽性率となり,骨髄培養が最も鋭敏である。チフスの用語 The word typhoid (as in typhus-like) は,発疹チフスと腸チフスの類似性 the similarity between the louse-borne rickettsial disease epidemic typhus and typhoid fever を反映し,実際に一部地域(日本も)においてはいまだに typhoid fever を腸チフス abdominal typhus と呼んでいる。
一部 Some strains の菌が強力な抗生物質耐性を有し,特にパキスタンに関連する菌株に多い。予防目的のワクチンが存在する。
腸管毒素原性大腸菌 ETEC は one of the _E. coli_ pathotypes である。ヒトの腸管感染症の原因となる大腸菌には  6 pathotypes of _E. coli_ ある: enterohemorrhagic (EHEC,腸管出血性), enteropathogenic (EPEC,腸管病原性), enterotoxigenic (ETEC,腸管毒素原性), enteroaggregative (EAEC,腸管破壊性 *日本の分類にはない?), enteroinvasive (EIEC,腸管組織侵襲性), and diffusely adherent _E. coli_ (DAEC,腸管凝集接着性)。Only EHEC のみ人獣共通感染症である。ドイツ北部を中心とする大規模アウトブレイク The large serotype O104:H4 outbreak は,いずれも人獣共通感染症ではない both EHEC and EAEC の特徴を併せ持つ a chimeric organism キメラ病原体によって起きた。各病原体は異なる病原性メカニズムを有している。
以下に the FDA Bad Bug Book section on ETEC を転載する :
"1. Organism
"2. Disease
- 死亡: the WHO attributes 380 000 deaths (worldwide) to ETEC, mostly among children, each year.
- Infective dose: ボランティアの研究で成人の感染の成立には1000万から100億 ETEC cells の高用量の菌が必要であることが示されたが,小児ではこれより少ないと考えられる。
- Onset: usually 26 hours after ingestion of contaminant, but can range from 8 to 44 hours.
- Disease/complications: illness from ETEC is usually self-limiting, mild, and brief だが,最大5日間のコレラ様疾患となり,コメのとぎ汁様の大量下痢と重症脱水に陥ることがある。通常は抗生物質による治療は不要だが,持続期間と重症度の減少につながると考えられている。乳児,高齢者,障害者などでは,電解質補正が必要となる。
- Symptoms: 突然,血液や粘液を含まない水様下痢を発症する。高熱や嘔吐をともなうことはまれ。周期性の腹痛 abdominal cramps,微熱,嘔気,倦怠感などの症状もみられる。
- Duration of symptoms: most cases last a few days; however, severe forms can last up to 19 days.
- Route of entry: oral.(経口感染)
- Pathway: after ingestion, ETEC colonizes the small intestine(小腸), where the toxins that induce fluid secretion are produced.
"3. Frequency
"4. Sources
Most ETEC outbreaks は汚染された食品や飲料水の摂取が原因となる。ETEC はしばしば無症候性キャリアの便中にみられることから,もっとも感染源 source of ETECとなりやすいのはヒトである。
"Examples of implicated foods include Brie cheese(ブリーチーズ), curried turkey(カレー味シチメンチョウ肉?), mayonnaise(マヨネーズ), crabmeat(カニ肉), deli food(惣菜), and salads(サラダ)である。多くの場合,ETEC による食品汚染は,感染のある食品取扱者や準備・調理過程で用いられる水の汚染による。ETEC infection のヒト-ヒト感染はないものとみられているが,院内感染では不十分な衛生状況によって発生するものと考えられる。
"5. Diagnosis
"6. Target populations
"7. Food analysis]
関連項目
Gastroenteritis - Kenya: (KK) cholera susp, fatal, RFI 20230404.8709313

● リステリア菌感染症 米国 原因食品不明
PRO/AH/EDR> Listeriosis - Americas (02): (USA) food source unknown, RFI
Archive Number: 20230426.8709709
[1] 情報源 Patch 2023年4月24日
イリノイ Illinois 州を含む複数の州で患者が発生したリステリア菌感染症 a _Listeria_ outbreak の感染源について調査が行われているがまだ特定されていない。[CDC] 当初2月に The Centers for Disease Control and Prevention originally はアウトブレイクについて,発生が確認されている州だけに限定されない可能性を述べていた。the CDC によると,実際の症例数はこれまで15州の保健当局により確認された18例を上回るとしている。死亡例は報告されていないが,17例が入院となり,妊娠に関係する新生児の感染例が1例報告されている。The CDC said health officials in Michigan and Wisconsin reported 2 illnesses, and their counterparts in Illinois, Arkansas, California, Colorado, Missouri, New York, North Carolina, Pennsylvania, South Dakota, and Washington each reported one ... 
[2] 情報源 CDC, _Listeria_ (Listeriosis) Outbreaks 2023年4月21日
Fast facts
Illnesses: 18 (7 new)
Hospitalizations: 17 (7 new)
Deaths: 0
States: 15 (5 new)
Recall: no
Investigation status: active (1st posted on February 15, 2023)
Source of the outbreak
A specific food item has not yet been identified as the source of this outbreak.
 ... 原文参照願います。

● 原因不明の死亡,ヒツジ アルジェリア
PRO/AH/EDR> Undiagnosed deaths, sheep - Algeria: (TR) RFI
Archive Number: 20230427.8709721
[1] 情報源 Ultra sawt/Ultra Algeria [in Arabic] 2023年4月24日
the state of Tiaret で多数の家畜の死亡が発生し,他の牧畜地域への感染症の拡大が怖れられている。
[2] 情報源 -Algerie [in French] 4月25日
[Tiaret] において100頭を超える動物が死亡したが,原因となる病気は特定されていないと報じられている。

● White nose syndrome,コウモリ 米国
PRO/AH/EDR> White nose syndrome, bats - North America (03): USA (CO)
Archive Number: 20230426.8709708
 情報源 Axios Denver 2023年4月24日
white-nose syndrome と呼ばれる致死性真菌疾患が,コロラド Colorado 州のコウモリで初めて確認されたと,州野生動物当局者が24日発表した。
Why it matters
It could be devastating for our local bat populations. The disease has decimated over 90% of three North American bat species in under 10 years, according to the US Geological Survey ... 

● 狂犬病 アルメニア OIE
PRO/AH/EDR> Rabies (15): Eurasia, Armenia (LO) wolf, WOAH
Archive Number: 20230426.8709707
Armenia - rabies
 情報源 WOAH- WAHID (World Animal Health Information Database), 2023 4月25日
Started on: 13 Apr 2023
Reason for notification: 1st occurrence in a zone or a compartment
Causal agent: rabies virus
Serotype: RABV
Outbreak location: Saramej, Lori: forest
種/個体数/感染/死亡/廃棄/と畜/ワクチン接種
オオカミ Wolf (gray wolf) (wild) / - / 1 / 0 / 1 / 0 / 0
関連項目
Rabies (10): Eurasia, Armenia (ER) dog, WOAH 20230321.8709072

● 鳥インフルエンザ 日本 OIE
PRO/AH/EDR> Avian influenza (74): Asia (Japan) fox, HPAI H5N1, WOAH
Archive Number: 20230426.8709706
Japan - influenza A viruses of high pathogenicity (inf. with) (non-poultry including wild birds)
 情報源 WOAH-WAHIS (World Animal Health Information System) 2023 4月25日
Started: 12 Apr 2023
Reason for notification: unusual host species
Causal agent: Highly pathogenic avian influenza virus [HPAI]
Serotype: H5N1
Outbreak location: Sapporo-City 1, Sapporo, Hokkaido(北海道札幌市): not applicable
種/個体数/感染/死亡/廃棄/と畜/ワクチン接種
キツネ Red fox (wild) / - / 1 / 1 / - / - / -

● ランピースキン病 スリランカ,ウシ
PRO/AH> Lumpy skin disease - Asia: Sri Lanka (NC) cattle, spread
Archive Number: 20230426.8709700
 情報源 Silumina [in Sinhala] 2023年4月24日
現在 several divisional secretariats in the North Central province で感染が拡大するランピースキン病 lumpy skin disease [LSD] 対策に関する質問が,23日に農業相に対して行われた ... 
[Mod.AS- スリランカの LSD は,2020年9月に the Northern province において感染流行が開始している (ProMED post 20210120.8120425)]