◎ ダニ麻痺症 米国
◎ D型肝炎 HBV との同時感染または重複感染
Rhodosporidiobolus fluvialis 中国 Nat Microbiol.
◎ ダニ麻痺症 米国
PRO/EDR> Tick paralysis - USA: (VA)
Archive Number: 20240722.8717709
情報源 The Hill 2024年7月18日
Virginia family warns parents after daughter's tick paralysis
バージニア Virginia 州の4歳女児が、ダニ a tick 刺咬により命を落としかけた。ぎこちなく倒れ、首を左右に振ることができなくなり、救急室を受診したところダニ麻痺症と診断 a scary diagnosis: tick paralysis された。この地域では非常にまれで、メスのダニが関係すると親族が説明した。
小児神経の専門家 a pediatric neurologist at the Children's Hospital of the King's Daughters in Norfolk によると、"ダニの唾液内の神経毒 a neurotoxin that's が麻痺 the paralysis の原因となる。" 足から麻痺が始まり、身体の上部に拡がる。こどもが歩いたり座ったりすることができなくなるところまで行き着き、ほぼ寝たきりとなる。"
the CDC によれば、ボツリヌス症 botulism などの他の神経疾患と同じ症状を呈し、治療が行われなければ死亡する可能性もある。
[Mod.- Tick paralysis はまず歩行困難 gait instability の症状を呈し、上行性弛緩性麻痺に進展 progressing to an ascending flaccid paralysis し、呼吸筋麻痺による死亡につながる可能性がある。小脳失調 Cerebellar ataxia が特徴的所見 a prominent feature となることもある。
持続的長時間の吸血を行う妊娠中のメスのダニが産生するトキシン a toxin elaborated by the continued and prolonged feeding of a gravid female tick による中毒 a toxicosis である。ヒトも動物も罹患する。
鑑別診断として、ギラン・バレー症候群 Guillain-Barre syndrome, ボツリヌス症 botulism, and 重症筋無力症 myaesthenia gravis などがある。
とくにオーストラリアからの報告が多く、関係するダニの種類は_Ixodes holocyclous_ で、米国及びカナダ the Rocky Mountain and western areas of the USA and Canada ではダニの the wood tick, _Dermacentor andersoni_ が関係する。
今回の投稿に関連し、米国内の複数州 several USA southeastern states including Virginia and Georgia, where the vector is usually _D. variabilis_ (the dog tick) or _Amblyomma americanum_ (the lone star tick) の報告がある。_Ixodes_ ticks が関与することもある。
米国についての正確な統計 Accurate statistics in the USA を得ることは、報告義務がないため困難だが、Poughkeepsie, New York の2歳児のダニ麻痺症の報告 (1) もあり、まれながら、すべての州で発生があると考えられる。米国内の多くの州で発生がまれであるため、this alert が医療従事者への周知・再認識の助けとなることが望まれる。
治療はダニの除去で、数時間以内に神経学的症状は回復する。
新世界の症例 the case with New World cases には _Dermacentor_ species が関与すると見られているが、オーストラリアでは上行性麻痺の発症時期がより遅く、ダニ除去から48時間以内は症状がピークとならない(軽快しない)。回復にも時間を要し、完治まで数週間を要することもある。
References
1. Tick paralysis in a 2-year-old girl. J Emerg Nurs. 1998; 24(1):13-15.
2. A 6-year-old girl with tick paralysis. N Engl J Med. 2000; 342(2):90-94.
3. Tick paralysis. Med Clinic North Am. 2002; 86(2):441-446. ]
参考項目 2012
Tick paralysis, human - Egypt (Giza) 20120610.1163401
◎ D型肝炎 ブラジル
PRO/EDR> Hepatitis D - Brazil: (AM)
Archive Number: 20240722.8717691
情報源 Agencia Brasil [in Portuguese] 2024年7月20日
アマゾンの河川沿いの住民らの間 among riverside dwellers in the Amazon で発生する D型肝炎感染例 Cases of delta hepatitis について,保健当局と研究者ら researchers at the Oswaldo Cruz Foundation (Fiocruz) が懸念を示している。無症候性となることもあるが,最も劇症のウイルス肝炎 the most aggressive type of viral hepatitis で,肝硬変 cirrhosis, 肝がん cancer, そして死亡 death につながることさえある。発生数が多いにもかかわらず,治療を受けられた患者は少ない。
6月以降,研究者チーム a team of researchers from the Molecular Virology Laboratory of Fiocruz Rondônia and health professionals from Lábrea は,河川沿いコミュニティ riverside communities in the southern region of Amazonas を注視している。
市保健当局の検査センター the Rapid Testing and Counseling Center (CTA) of the Municipal Health Department of Lábrea (AM) において,約 1400 reported cases of the disease in the city and only 140 patients being monitored であることが判明した。
Lábrea において,専門家チームが以下のコミュニティーを訪れた the riverside communities of Várzea Grande and Acimã, on the Purus River。2日間の日程で ... the 113 residents treated in the 2 communities, 16 were diagnosed with hepatitis が明らかになった。
ウイルス肝炎の最新報告 the latest Epidemiological Bulletin on Viral Hepatitis, from 2023, released by the Secretariat of Health and Environmental Surveillance of the Ministry of Health によると,between 2000 and 2022 の期間にブラジル国内で4393例がデルタ肝炎 cases of delta hepatitis と診断された。もっとも発生数が多かったのは the North Region, with 73.1% of cases, followed by the Southeast (11.1%), South (6.6%), Northeast (5.9%), and Central-West (3.3%) regions であった。2022年について言えば,新たに 108例 new diagnoses, with 56 (51.9%) cases confirmed in the North Region and 23 (21.3%) in the Southeast だった。
Therefore, it is important, for example, to protect yourself, to use condoms during sexual relations, and not to share personal objects that may come into contact with cuts, such as razors, and piercing and tattoo equipent, among others.
[Mod.LL- B型肝炎ウイルス hepatitis B virus に感染した患者においてのみ増殖可能な a defective virus である,the hepatitis delta virus (HDV, or hepatitis D) がきちんと診断されていない underdiagnosed ことは明らかであるが,どれほど見逃されているのかは明らかではない。
HDV は既知の動物のウイルスの中で最小サイズ the smallest RNA genome of all known animal viruses であるが,背丈の高い植物の病原体である viroid RNAs と比べて,やや大きいがほぼ同じサイズの the RNA である。
血清学的アッセイ法 serologic assays for HDV はあるが,多くの検査機関で常に screen for HDV in HBV-infected patients は行われておらず,例外として重症 B型肝炎感染例 more severe cases of acute or chronic HBV infections に対して行われる。
the clinical expression of delta virus infection についての以下の Hepatitis delta virus: A peculiar virus. Adv Virol. 2013. の記述を紹介する。
"Hepatitis delta virus は重症肝炎 a severe form of hepatitis に関連することが多いが,臨床症状は無症候性例から劇症肝炎まで大きな幅がある。感染伝播 HDV transmission は its helper virus HBV 同様,感染性の血液や体液への曝露を介し非経口的 parenterally に伝播される。highly endemic regions 地域では,家庭内感染拡大も多い naturally common。
"HDV ウイルスは,form new infectious virions and propagate HDV infection のため,B型肝炎ウイルス抗原の存在 the presence of HBsAg を必要とする。このため,hepatitis D は HBV 感染のある患者だけに発生する。
結果的に現在,主な感染パターンは2種類ある: 'coinfection' with HBV and HDV or 'superinfection' of patients already infected with HBV.
まれな感染経路 A rare third pattern として,肝移植後 after liver transplantation for an HDV-infected individual が報告され 'helper-independent latent infection' と呼ばれている。この場合,新たに移植された肝臓の初期感染 an initial HDV infection of the new liver が,B型肝炎ウイルスの助けを借りることなく without any apparent help from HBV 成立する。HBV appearance による再活性化がなければ,無症候性のままとなる。
"急性の同時感染 an HBV and HDV acute coinfection では,ほとんどの場合の帰結 the most common outcome (95 percent) はウイルス排除 viral clearance となる。しかしながら B型肝炎ウイルス単独の感染に比べ て,より重症化し一部は急性肝不全となるおそれがある。3-7週間の潜伏期間後,急性肝炎を発症し,初期症状は非特異的な倦怠感,嗜眠,嘔吐などである。
"HDV superinfection of chronic HBV patients(慢性B型肝炎患者の重複感染)でもまた重症急性肝炎となるが,最大80%は慢性化の経過をたどる。患者がウイルスを排除できるか,慢性感染になるかの決め手はわかっていない。慢性感染 chronic HDV infection が成立すると,既存の B型肝炎ウイルスによる疾患は増悪する。急性D型肝炎の期間,B型肝炎ウイルスの増幅は超低レベルに抑えられているが,慢性化してもこの抑制が続く場合があるとの考えがある。重複感染の症例は,B型肝炎ウイルス単独感染例より早い経過で肝硬変にいたり,肝の代償不全に陥り,死に至る。
高率に肝硬変に至るとされるが,必ずしも肝細胞癌の発がん率が高まるとはされていない。このことの説明の1つとして,the above-mentioned suppression of HBV replication by HDV が用いられており,since other studies assert that higher HBV DNA serum levels correlate with a greater risk of carcinoma."]
参考項目
Hepatitis D - Mongolia 20240331.8715712
● ジカウイルス インド
PRO/AH/EDR> Zika virus (09): India (MH)
Archive Number: 20240722.8717698
情報源 Free Press Journal 2024年7月21日
市当局 Pune Municipal Corporation (PMC) officials によると、20日に4例のジカウイルス感染例 Zika virus cases が報告され、それぞれ a 26-year-old man from Erandwane, a 33-year-old woman from Wadgaon Budruk, a 76-year-old man from Prabhat Road, and a 70-year-old man from Tingrenagar と報告されている。
高齢者の患者2名 A 70-year-old man from and a 76-year-old man from Prabhat Road が入院となったが、退院している。他の2名の患者には、発熱、発疹、関節痛の症状があり、検査で感染が確認されている。
累計のジカウイルス感染患者数 the tally of Zika-infected individuals は32例, including 11 pregnant women, 6 of whom required hospitalisation となった。
関連項目
Zika virus (08): India (MH) 20240716.8717589
● Rhodosporidiobolus fluvialis 中国
PRO/EDR> Rhodosporidiobolus fluvialis - China: potential emerging pathogen
Archive Number: 20240722.8717692
情報源 Daily Mail 2024年7月20日
Never-before-seen fungus [in humans] that mutates at 'hyper' speed is discovered in China as 2 patients die with it
中国で,これまで知られていなかった真菌A never-before-seen fungus に感染したヒトの患者が確認された。60代と80代の男性2名はすでに死亡しており,_Rhodosporidiobolus fluvialis_と呼ばれるこの病原体に感染していたが,真菌と死亡との因果関係は明らかではない。
報告した Nanjing Medical Center の研究者らは,この真菌の他の感染例を懸念している。マウスの実験で,_R. fluvialis_ は変異しやすい mutate rapidly ことが示され,ヒトにおいても感染が拡がれば同様の事象が示唆された。
この真菌は,2009年から2019年までの間に中国全土の病院で治療を受けた多数の患者の検体についての研究の中で発見された。2人の患者は互いに面識はなく,800km以上離れた場所に住んでいた。入院した時期は3年の開きがあった。いずれも免疫機能が低下しており,1人は免疫抑制剤を服用し,もう1人は糖尿病だった。
この新たな真菌が3種類の第1選択薬である抗真菌剤 commonly used frontline anti-fungal treatments (fluconazole, caspofungin, and amphotericin B) に耐性を示した。免疫不全のマウスの実験で,R. fluvialis_ は 'hypervirulent mutants'. に変異した。またヒトの体温では,室温の21倍の速度で変異した。
10年間以上の解析で入院患者から合計7100 strains of fungi が検出された。このうちまれな真菌はわずか1.7%で, _R. fluvialis_ がこのうちの1種類であり,これまでにヒトの感染が知られていなかった唯一の a new species だった。
[出典:Pan-drug resistance and hypervirulence in a human fungal pathogen are enabled by mutagenesis induced by mammalian body temperature. Nat Microbiol. 2024 (Epub 19 Jun 2024); 9:1686-1699.
Abstract
"病院内侵襲性真菌監視プログラム the China Hospital Invasive Fungal Surveillance Net programme を通じて、独立する2例のこれまで報告されたことのない侵襲性真菌, _Rhodosporidiobolus fluvialis_, の感染例 independent cases of human infection を同定した。所属する a genus の多くの種 many species が、抗真菌薬に高度耐性 highly resistant to fluconazole and caspofungin を示す。
マウス実験で、_R. fluvialis_ が yeast-to-pseudohyphal(偽菌糸)transition を受け、pseudohyphal growth により毒性 its virulence が増すことを示した。またマウスあるいはほ乳類の体温が mutagenesis を誘導し、強毒性変異 the emergence of hypervirulent mutants favoring pseudohyphal growth につながることも確認した。Temperature-induced mutagenesis により、3種類の第1選択抗真菌薬すべてに対する耐性 pan-resistance to 3 of the most commonly used first-line antifungals (fluconazole, caspofungin, and amphotericin B) in different _Rhodosporidiobolus_ species も誘導された。
polymyxin B が強力な薬理作用 potent activity against the pan-resistant _Rhodosporidiobolus_ mutants を示した。]
● 野兎病 ノルウェー
PRO/AH/EDR> Tularemia - Norway: (OF) hare
Archive Number: 20240722.8717700
情報源 The Norwegian Veterinary Institute [in Norwegian] 2024年6月28日
Aremark municipality in Indre, Ostfold County の1羽の野ウサギ A hare が hare plague と診断され、例年より早い時期の確認となっている。当局 The Veterinary Institute は、病気や死亡したウサギから感染しないよう注意を呼びかけている。このウサギは、通常では診られない、よろめいたり staggering and 逃げ回ったり hiding する行動ががみられ、翌日死亡して発見され、検査 hare plague examination at the Veterinary Institute in Ãs. Specialist responsible for wildlife health at the Veterinary Institute が行われた。
"野兎病 hare plague, or tularemia, in hares が確認されたことから、この地域に同菌が存在することが明らかになった。The detection in Aremark は例年の予測よりやや早い時期 somewhat earlier than we usually expect である。今シーズンの発生予測についての判断はまだできない。
参考項目 2023
Tularemia - Norway: (VF) hare, WOAH 20230719.8711248