2007年2月28日

原因不明の死亡 コートジボワール
鳥インフルエンザ、ヒト ラオス、中国・エジプト

● 原因不明の死亡 コートジボワール
PRO/AH/EDR> Undiagnosed deaths, human, livestock - Cote d'Ivoire: RFI
Archive Number: 20070228.0719
 情報源 All Africa / UN Integrated Regional Information Networks (IRIN)、2月27日。
コートジボワール保健当局は、北のある村において31人が死亡73人以上が発病した、急性疾患の調査を行っている。2006年 12月第3週より、Diobal 村で人々の発病が始まり、頭痛、高熱、首や胸の痛み、呼吸困難などの症状が見られたと、保健公衆衛生省が IRIN[国連統合地域情報ネットワーク]から得た情報として報告した。臨床経過は 3-5日間で急速に進行し、2006年 12月18日に初めての死亡報告が行われた。住民らからは、2007年 2月5日まで当局へ報告されなかった。報告されたときまでには、発病した 104人のうち 31人が死亡し、患者らは 1500人が住むこの村の老若男女にわたっている ... 中略 .... 
パスツール研究所および政府からの専門家を含めた対策チームが 2006年 10月初めから、同村での動物の発病を確認し、村の家きんの 90%とヤギヒツジ約 500頭が死亡していたが、ヒトでの発病との関係ははっきりしていない。ヒト、家禽、ヤギ、ヒツジから、血液や鼻からの検体と、水質調査用の検体を採取した。最新の患者は 2007年 2月14日に報告されている。付近の村々からの発症の報告はない
コートジボワールは、2002年の短い内戦後、反乱軍の北部と政府統治の南部に分断されている。北の保健衛生環境は破壊されたままとなっている。
[Mod.MPP- ヒトでの発病と死亡の前に、家畜の大量死が発生していたとの記述より、人獣共通感染症を想起するのが自然だと思われる。致死率 30% (31/104)、全年齢層で発病率 7%(104/1500)という数字が与えられている。
GIDEON に動物と接触した臨床像で検索すると、Q熱、オルニトーシス ornithosis、ブニヤウイルス科の 3つの可能性が示される。ブニヤウイルス科として、臨床症状などからリフトバレー熱 RVF を考えるかも知れないが、RVF は鳥類に感染することはないので、ニワトリが感染していることから除外される。GIDEON で、地理的条件を無視し、他の地域では知られている病原体が、新たな地域に拡大して初めて発生したとすると、クリミアコンゴ出血熱 (CCHF) が提示される。
報告では抗生物質による治療で回復していることからすると、Q 熱のような細菌感染が疑われるが、感染流行の致死率は、Q 熱のそれをはるかに上回る (Q 熱は未治療の場合、死亡率が 1-2% である)。動物での感染流行情報が目くらましとなっているとして、GIDEON で人獣共通感染を除いて検索し直すと、候補としていくつか述べられているのは、レプトスピラ症、Q 熱、レジオネラ、エボラ、ラッサ熱、オルニトーシス、ブルセラ症で、最も考えられるケース "1st case scenario" として、ペストが挙げられている。炭疽は GIDEON のリストには上がっていないが、胃腸症状が少ないものの、臨床所見に合致する可能性がある。モデレーターは現在慎重に考慮していると言うよりは、雑音に耳を塞いでいる状態で、現時点では、調査により判明した事実に精通する情報源に対して、われわれに、何が起こっているのか、明らかにし教示されることを願っている。]

● 鳥インフルエンザ、ヒト 中国・エジプト、ラオス
中国 エジプト
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (43): China, Egyp 20070228.0718
[1] 中国、23例目の確定 China: influenza report, week 8, 2007
 情報源 CIMS、2月28日
福建省、南平 Nanping、Jian Ou 市において、ヒトでのH5N1型感染患者が確認された。この 44歳の女性患者は、治療のため入院中である。
[2] 中国、23例目の確定 China: new human bird flu case confirmed
 情報源 Kaaalee Times, Agence France Presse report 、2月28日
2007 年 2月28日、中国政府により国内では 7週間ぶりとなるヒトでの鳥インフルエンザ患者が確認されたと、香港の通信社が伝えた。この患者は、福建省の 44歳の女性の農業従事者で、10日前に発熱とせきの症状を発症したと、香港政府情報局の伝えるところを引用して、中国衛生部広報担当者が明らかにした。中国 CDCによる患者の検査で、H5N1型鳥インフルエンザウイルスが陽性であったと、香港が報告したと広報担当者が述べた。最新の患者により、中国では、 2003年後半にアジアで発生して以来、23人目の H5N1型患者となった。鳥インフルエンザにより、世界で 167人以上が死亡した。
[ModCP- 本症例と、エジプトおよびラオスの患者を含めると、H5N1型鳥インフルエンザウイルス感染患者数は277人となり、死者の数は 167人で変わっていない]
[3] エジプト、23例目確定 Egypt: new human case of avian influenza reported
 情報源 Xinhua News Agency、2月28日。
エジプト保健省は、2007年 2月27日、北部 Daqahliya 県の新たなヒトでの鳥インフルエンザ患者を確認したと、政府系通信社が伝えた。この新しい患者は4才の少女で、カイロの北 90kmの Daqahliya で鳥インフルエンザの検査を受け陽性であったと伝えた。感染した家禽との接触後、高熱を発症し、Mansoura 胸部病院に入院したあと、治療目的に別の病院に移された。この患者は、2006年 2月17日にエジプトの死亡した家禽で初めて H5N1型ウイルスが確認されて以来、23例目のヒトでの鳥インフルエンザ患者となった。ウイルスの発生は、国内全 26県のうち 20県に拡大した。人口の多いアラブのこの国で、初めてヒトでの鳥インフルエンザ患者が報告されたのは、2006年 3月18日のことであった。この患者が報告されるまでの、エジプトにおける鳥インフルエンザによる死者は 13人で、9人が鳥インフルエンザ感染から回復した。

ラオス WHO
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (42): Laos, WHO 20070228.0714
 情報源 World Health Organisation (WHO), CSR, Disease Outbreak News、2月27日
Avian influenza situation in Lao People's Democratic Republic
2007年 2月27日、ラオス保健省は、初めての H5N1型鳥インフルエンザウイルス感染患者を報告した。ビエンチャンの 15才の少女は、2007年 2月10日にインフルエンザ様症状を発症し、発熱と呼吸困難のため、15日にビエンチャンの病院に入院した。17日に治療のため隣国のタイに移され、現在は Nongkhai 公立病院に入院中で状態は安定している。ラオの疫学者とタイの医師らによって採取された検体は、タイの国立保健研究所において検査が行われ、H5N1の感染が確認された。政府は、確認検査のため WHO 協力センターに検体を提出した。2007年 2月24日および 25日に、タイ、ラオの保健省と WHO 担当者らは、少女の住んでいた村と、以前に家禽の死亡が発生していたそれら複数の地区を調査した。少女と密接な接触のあったものが確認され、連日健康監視を受けている。成人には予防薬としてオセルタミビルが供与され、2月27日現在、いずれも健康に異常はない。

● 結核、超多剤耐性 南アフリカ
PRO/EDR> Tuberculosis, XDR - South Africa (05) 20070228.0717
 情報源 Citizen、2月28日。
Eastern Cape で新たに 8人が超多剤耐性結核菌と診断されたと、2007年 2月28日に地域保健当局が明らかにした。2006年 11月以降のこの病気の患者は 41人となった。この期間に 5人以上が死亡した。新たな患者らは、すでに Port Elizabeth's Jose Pearson TB hospital (結核病院) に、多剤耐性結核と診断されて入院中の患者の中から発生した。「状況はコントロールされている。」と当局者は語り、隔離病棟として、Jose Pearson, Fort Grey TB Hospital in East London, and Nelson Mandela Academic Hospital in Mthatha が確保されていると説明した。XDR TB は、南アフリカでは、2005年にKwaZulu-Natal のTugela Ferry 地域で、初めて確認された。全国では 300人以上の患者が確認されている。
[Mod.LL- 触れられてはいないが、新たな死亡がないことから、XDR 株に対する初期の抗結核治療は適合している可能性がある。現在 XDR は、INH (イソナイアジッド) とリファンピシン (リファマイシンともよばれる) に耐性の株で、1種類のフルオロキノロンと 3種類の注射用抗結核薬 (capreomycin, kanamycin, amikacinの) の 1つ以上に耐性であるものと定義されている]
関連項目 (04) 20070220.0638

● サルモネラ感染症 米国
PRO/EDR> Salmonellosis, serotype Tennessee, peanut butter - USA (09) 20070228.0716
[1] CDC 統計、2月27日
2007 年2月27日現在、サルモネラ菌 Tennessee に感染した患者は、42州の 370人と報告されている。疾患に関連する死亡はない。判明している 256 人の患者の発症日は、2006年 8月1日から2007年 2月16日の間で、62%が 12月1日以降となっている。以下、当局の体制の説明と、州ごとの発生患者者数の詳細など。
(→3月1日)
[Mod.LL-2月21日以降 41人の患者が発生している。ProMED で報告された 2名の死亡に言及されていない。またピーナッツバターから、別の感染流行株が発見されている]
[2] WHO
 投稿者 WHO 食品安全/人獣共通感染/食品関連疾患部門 Jenny Bishop
国際食品安全担当ネットワーク International Food Safety Authorities Network (INFOSAN) のメンバーに、2007年 2月17日、この (サルモネラ菌によるピーナッツバター汚染) 問題についての情報提供がなされたことを、 WHO は確認している。この緊急通達を受け、中国と韓国は、汚染食品の市場からの回収を開始したと連絡を受けている。
関連項目 (08) 20070227.0706

● 麻疹 米国、中国から
PRO/EDR> Measles, adult, adoption linked - USA ex China 20070228.0715
 情報源 MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2007; 56(07): 144-6 、2月23日。
Measles among adults associated with adoption of children in China
-- California, Missouri, and Washington, July-August 2006

● 鳥インフルエンザ クウェート OIE
PRO/AH/EDR> Avian influenza (44): Kuwait, OIE 20070228.0713
 情報源 OIE Disease Information, WAHID 2007; 20(9) 、2月26日
Highly pathogenic avian influenza, Kuwait、first occurrence of a listed disease
開始時期 2007年2月13日、初めての発生
原因ウイルス 高病原性鳥インフルエンザウイルス、H5N1
新たな感染流行
流行1: クウェート動物園 Kuwait Zoo, Al Omaria, Al Omaria (Al Farwaniyah) 
開始時期 1月17日
感染種 鳥類 1000羽中感染7羽、死亡5羽 
感染個体群: 園内には多種の鳥類が飼育されていたが、タカ falcon のみが感染 残りのトリにワクチン接種が行われた
流行2: Wafra, Wafra, Al Wafra (Al Ahmadi) 
開始時期: 2月13日
感染種: 農場のトリ 15羽中15羽感染、15羽死亡
流行3: Nwasib, Al Nwasib, Al Nwasib (Al Ahmadi) 
開始時期: 2月22日
感染種: 農場のトリ 114羽中感染20羽、死亡20羽(残り94羽破棄) 
感染個体群: 庭先飼育されていた、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ハトのうち、ニワトリとシチメンチョウが感染
流行4: Wafra, Al Wafra, Al Wafra (Al Ahmadi)
開始時期: 2月20日
感染種: 農場のトリ 670羽中感染2羽、死亡0羽(668羽廃棄) 
感染個体群: ニワトリ、ガチョウ、アヒル、ホロホロドリ guinea fowls を庭先飼育していたところ、地区の第 1の感染流行発生後の調査中に、ホロホロドリ 2羽の感染抗体が確認された。
流行5: Um Alhiman, Um Alhiman, Um Alhiman (Al Ahmadi)
開始時期: 2月17日
感染種:農場のトリ、47羽中感染 2羽、死亡 2羽 (45羽破棄) 
感染個体群:庭先飼育のニワトリ
流行6: Wafra, Al Wafra, Al Wafra, (Al Ahmadi)
開始時期: 2月22日
感染種: 農場のトリ 1805羽中感染 1羽、死亡 1羽(1804羽破棄) 
感染個体群:ニワトリ、アヒル、シチメンチョウ、ハトの庭先飼育の中、死亡したシチメンチョウの H5N1検査陽性
[Mod.PC- OIE 動物衛生情報データベースには、たいがい地図が添えられている。ペルシャ湾付近のクウェート南部の 5か所で発生しているので、非常にわかりやすい。発端となったクウェート動物園での流行は、2007年 1月半ばであったことに注意すべきである。このとき、感染していない種へのワクチン接種が、園当局によって選択された。もちろん絶滅危惧種のある中、動物園での感染流行対策は一筋縄ではいかない。ウイルスワクチン株が何が用いられ、園内で飼育中のすべての動物種が十分保護されたかを知ることは貴重である。動物園のトリが隔離された形跡がなく、防御免疫が完全でなかったとすれば、観覧者への不幸な暴露の可能性もあり得たという点で、この情報は特に貴重である]

● 炭疽 オーストラリア、チリ(2件)
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, bovine - Australia (VIC) (06) 20070228.0712
 情報源 Country News、2月26日。
週末、Wyuna の1農場で新たな症例が発生し、炭疽
 Anthrax により死亡したウシの頭数は、10の農場の 37頭に上る。当局は、 Stanhope, Tatura, および Wyuna 地区の、2万 9千頭のワクチンを終了し、さらに 4000頭以上に実施する予定である。
[Mod.MHJ- 明らかではないが、Wyuna で第 2の感染流行が発生したようである。「干ばつにより、通常より多くの土壌を食べ、2007年は、砂嵐があり、予想される多湿、少雨がさらに悪化させるのではないか」 その他、気候、土壌と炭疽菌芽胞の生存条件などの解説]

PRO/AH> Anthrax, bovine - Chile 20070228.0710
[1] ワクチン接種活動開始:Prensa Latina、2月23日
チリ政府当局は、2月15日に発生した、2007年初の炭疽感染流行制圧の対策に取り組んでいると、臨時農業大臣が述べた。ヒトへの病原菌の危険はないと強調し、人々に抗生物質を投与し、新たな感染予防のため、100頭のヒツジとウシにワクチンを接種した。初感染は、15家族が暮らす小さな漁村である、南部のPunta Capitana で確認された。死亡した動物の検査で、炭疽菌が確認された。現地では、スペイン語の、Carbunco bacteridiano あるいは "Picada" として知られている。
[2] [1] とほぼ同じ内容:MercoPress、2月23日
[3] ウシ1頭の死亡を確認:La Segunda [trans. ]、2月22日
自治体衛生当局、開発計画、農業局などにより、炭疽症例発生の監視が行われている。その中で、現地で炭疽を意味する "la pica" により死亡したウシ 1頭を埋葬した1組の家族があることが判明した。Punta Capinata 地方の Fresia 共同体で、炭疽を指す言葉である、carbuncle で死亡し た 1頭のウシを確認した。死亡した動物の片方の耳を Osorno の検査室へ送付し、炭疽菌陽性であることが判明した。この 7年間に 2件の炭疽が疑われる感染流行が発生したが、検査結果が確認されたのは、今回のみである。
[Mod.MHJ- チリには Fresias が 3ヶ所ある。Punta Capinata は見つけられなかった。もしも、Biobio にある Fresias だとすれば、海岸に非常に近く、Tome および Rafael 近くにある。Orosono は Los Lagos に、2ヶ所ある (1 2) 。OIE による 5件のチリでの炭疽感染流行報告の紹介など]