2007年3月16日

髄膜炎菌性疾患 ブルキナファソ、スーダン,コンゴ(民),ウガンダ

● 髄膜炎菌性疾患
PRO/EDR> Meningococcal disease update 2007 (11) 20070316.0934
[1] アフリカ (ブルキナファソ、コンゴ民主共和国、スーダン、ウガンダ)
 情報源 Int. Fed. of Red Cross and Red Crescent Societies (IFRC), ReliefWeb, World Health Organization (WHO) report [edited]、3月16日
アフリカ "髄膜炎ベルト Meningitis Belt" は、乾季に入り 2ヶ月が経過し、1670人の死亡を含む 15595人の髄膜炎患者が、4カ国から WHO に報告されている:ブルキナファソ、コンゴ民主共和国、スーダン、ウガンダである。このうちウガンダとコンゴ民主共和国は、西のセネガルから東のエチオピアまで続く、推定人口 3億人の髄膜炎ベルトのはるか南にある。採取された検体から、アフリカで最も多い髄膜炎菌 A型が原因であることが示されている。ウガンダ北部の各地から、105人の死者を含め 2961人の患者が報告されている。一部の地域では、ワクチンの一斉接種が完了し、他地域でも進行中である。 WHO および国境なき医師団 MSF は、協力して感染対策にあたっている。スーダン南部の、10州のうち 9つの州において、死者 430人を含め、6946人が報告されている。ブルキナファソは、死者 432人を含めた患者数は 4958人となっている。コンゴ民主共和国では、84人が死亡し患者数は 730人と報告されている。流行性髄膜炎ワクチンのための国際調整グループ International Coordinating Group (ICG) は、これまでに 110万人分のワクチンをスーダン南部の感染流行に対して配布し、必要に応じた追加の準備を行っている。感染発生国の約 150万人が、政府当局、WHO、MSF、国際医療機関、さらには地域に展開するNGOによるワクチン一斉接種を受けており、UNICEF、OCHA (国連人道主義事務所)、欧州人道主義事務所 ECHO が支援を行っている。これらの地域は、大規模な難民を受け入れていることや、アクセスが容易でない地域に人々が孤立し、人口が分散していることで知られている。ブルキナファソでもワクチン一斉接種が進行しており、ICG はすでに 53万人分のワクチンを放出した。WHO はすべての感染地域の現地を訪れ、監視および感染対策に協力を行っている。WHO とその協力機関は、治療のための薬剤、感染流行調査用の緊急物資、感染対策の技術的指導を提供している。アフリカの髄膜炎ベルトでは、疫学的監視の強化と、標準的な抗生剤治療である油性クロラムフェニコールによる積極的治療が、感染対策に用いられている。同時に、WHO と協力機関は、一般に 2-30 才とされているハイリスクグループを対象とした、ワクチン一斉接種を直ちに行うよう勧告した。感染流行発生地域、および警戒レベルにある隣接地域はすべて、ワクチンの対象とすべきである。直ちにワクチンの集団接種が行われたなら、患者の 70%は感染を免れる。今期、ICG は約 800万人分のワクチンを緊急用備蓄として確保している。現在 550万人分が使用可能である。ワクチン不足が危惧されたとしても、WHO は、約 1500万人分が市場に出回っていると予測しており、各国はこれを購入することが可能である。さらに、ワクチン供給の不足の可能性には直ちに対応できるよう、WHO は世界中の(ワクチン用)多糖体製造元の生産状況および能力評価を行うこととした。そのうちの 1社であるブラジル Bio-Manguinhos 社は、短中期的なワクチン増産時に、最も強力かつ即効性のある選択肢であることが確認された。キューバの Finlay Institute 社との協力関係の上、Bio-Manguinhos 社は WHO に協力して、次期髄膜炎シーズンまでに、AC 2価髄膜炎ワクチンを最大 1000万人分生産することを保証している。
[2] ブルキナファソ
 情報源 USA Today, Associated Press report、3月16日
西アフリカ ・ ブルキナファソ Burkina Faso の 22の地区の衛生当局者らは、髄膜炎感染流行により 400人以上が死亡したことを受け、感染流行発生地域の宣言を行った。これらの死者は、WHO がアフリカの髄膜炎ベルトと呼ぶ地域の同国で、2007年 1月以来発生した約 5000人の髄膜炎患者から発生した。同国保健省からの声明では、22 の地域は流行地域に分類され、他に 15地域は警戒地域があり、4つの地域は人口が密集した首都圏内にある。
[3] スーダン (スーダン南部)
 情報源 World Health Organization (WHO) Epidemic and Pandemic Alert and Response (EPR)、3月15日
2007年 1月1日から 3月11日の間に、スーダン南部政府の保健省には、同地域の 10州のうち 9州から、430人の死亡を含む、6946人の髄膜炎疾患の患者 (致死率 6.19%) が報告された。報告の遅延や不規則性のため、この数値は暫定的と捉える必要がある。現在最も感染が深刻な地域は、Aweil West、Juba、 Mundri East、 Rumbek、Tonj South,Wulu および Yirol 郡である。2007年 3月4日から 11日までの 1週間に、死者 81人を含む合計 1541人の疑い患者が報告された。保健省、WHO、およびその協力機関は、4郡におけるワクチンの一斉接種を実施した; Aweil town (保健省), Kajo-Keiji (国境なき医師団 Medecins sans Frontieres (MSF) ・スイス), Tonj-East (MSF-スイス), Yambio (International Medical Corp)。Aweil West (MSF-フランス) 郡でのワクチンの一斉接種は現在実施中で、2007年 3月中旬に、Bor, Juba, Nimule および Rumbek 郡でも開始予定となっている。WHO 本部および地域事務局からの技術支援チームがスーダン南部に到着し、サーベイランス、現地調査、ワクチンの集団接種、治療、物資調達、共同作業などについて、WHO による保健省の技術支援の強化に当たっている。

● コレラ ソマリア、アンゴラ
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2007 (12) 20070316.0933
[1] コレラ-ソマリア (Banadir, Gedo, Lower Shabelle)
 情報源 GaroweOnline, Associated Press report、3月13日
ソマリア南部で、子供を中心とした 42人以上が、過去 24時間にコレラが疑われる感染流行で死亡したと、医師が 2007年 3月13日に述べた。ほか 240人以上が入院中で、医師らは、内戦で破壊された国で十分な医療器材や薬剤が不足しているため、さらに死者が増えるものと見ている。適切な医療機関を受診することができず、子供たちが死んでいると、首都モガディシュから約 90km離れた、Lower Shabelle 地方の Marka の町の地方病院で働く医師は話した。「多くの患者は、主な町の病院への途上で死亡した.」 最新の流行はソマリア南部の3つの地域で発生した -- Banadir, Gedo,and Lower Shabelle。医師らによれば、初発患者は 2006年 12月に国内中央部の 4つの地域から報告されていたが、現在は感染が拡大した。
[2] コレラ-アンゴラ (ベンゲラ州)
 情報源 AllAfrica, Angola Press Agency (Luanda) report、3月13日
2007年 1月から 2月にかけて、91人のコレラ患者が発生し、うち 6人は死亡した、と南部ベンゲラ Benguela 州 Balombo 私立病院から報告された。地域内の衛生当局によると、病院では適切な治療を行っているが、住民らはコレラ感染予防策を遵守していないため、次々に患者が発生する結果となっている。 Balombo 市郊外 Cavisselo が最もコレラ患者の発生が多くなっている。2006年 4月から 12月にかけて、Balombo 地区では、コレラ患者 299人が発生し、うち 15人が死亡した。
[3] コレラ-世界各国: WHO WER notifications
 情報源 World Health Organization (WHO) Weekly Epidemiological Record (WER)、3月16日
コレラ届出患者数 2007年3月9-15日
国名/期間/患者数/死者数
アフリカ
アンゴラ / 23 Feb-4 Mar 2007 / 1269 / 19
コンゴ / 27 Feb-7 Mar 2007 / 667 / 0
スーダン / 26 Feb-4 Mar 2007 / 569 / 18
コモロ諸島 / 26 Feb-4 Mar 2007 / 20 / 1

● 麻疹 セルビア
PRO/EDR> Measles - Serbia (Vojvodina) 20070316.0932
 情報源 Eurosurveillance weekly release 2007; 12(3) 、3月15日
2007年1月に、セビリア Vojvodina 自治区 Novi Sad で発生した麻疹 Measles 感染流行で、2007年 3月12日現在、地方公衆衛生研究所に、121人の感染疑い患者が報告されている。このうち、78例 (64.5%) が抗麻疹 IgM 抗体の検査により確認されている

● セラチア感染症 ホンジュラス、新生児
PRO/EDR> Serratia marcescens, hospital, neonatal - Honduras (S.Pedro Sula) 20070316.0931
 情報源 SperoForum & El Heraldo, Honduras [in Spanish]、3月13日
新生児10人死亡、病棟閉鎖
第 2の都市 Sao Pedro Sula の Mario Rivas 病院は、2007年 3月 10-11日の週末に、新生児 10人が死亡したことを受け、新生児病棟を閉鎖した。原因とされる抗生剤耐性の _Serratia marcescens_ は以前より院内で検出されていたが、3つ子 1組と 5つ子 quintuplets1 組を含む新生児の死をきっかけに、病棟を閉鎖に追い込んだ。新生児科の医師は、2007年 1月16日から 2007年 3月11日にかけて、セラチア菌感染の結果 11人以上が死亡し、さらに6人の死亡が調査されている。同医師は、2007年 2月と 3月の 21件の死亡について、一部は未熟児または低出生体重児であることを考えれば、全てがセラチア菌感染の結果ということではないと説明した。

● 鳥インフルエンザ、ヒト インドネシア、ラオス WHO
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (53): Indonesia, Laos, WHO 20070316.0928
[1] Avian influenza situation in Lao People's Democratic Republic -- WHO Update 2 
ラオス-2例目の死亡確定
 情報源 World Health Organization (WHO) Epidemic and Pandemic Alert and Response (EPR), Disease Outbreak News、3月16日
2007年 3月16日、ラオス保健省は、2例目となるヒトでの H5N1鳥インフルエンザウイルス感染患者を報告した。この患者は死亡した。初期検査はラオスの国立検査疫学センターで行われた。WHOの方針に従い、診断の認証と詳細な解析のため、検体が東京の WHO 協力検査所に送付された。この協力センターで H5N1感染が確定された。この 42才女性は、ビエンチャン Vientiane 県 Pong Hong 地区 Saka 村出身である。彼女は 2006年 2月26日に発熱し、28日にビエンチャン県病院に入院した後、3月1日には、Sethathirat 病院に転送され、3月4日に死亡した。暴露源の確認のための調査中に行われた検査により、女性の自宅のアヒル 1羽が H5 亜型陽性であることが判明した。家族および病院での濃厚接触のあった者が健康監視を受けているが、現在まで感染の徴候は見られていない。WHO はラオス政府と緊密に協力して、症例報告の強化、診断能力の向上、住民の意識向上のため活動している。
[2] ラオス-2例目の確定患者 (死亡例) Laos: tests confirm 2nd bird flu death
 情報源 Reuters Foundation AlertNet、3月16日
検査により、ラオスの 42才の女性が H5N1鳥インフルエンザウイルスで死亡したことが確定された。患者は感染したアヒルとの接触があった可能性があると、WHO当局が、2007年 3月16日に述べた。内陸国ラオスにおいて鳥インフルエンザで死亡した 2例目の患者であるこの女性は、2007年 2月末に発症し、3月4日に死亡した。首都ビエンチャンに近い県の、彼女の自宅で飼われていた健康なアヒ ル1羽が、H5 亜型の検査陽性であったと、ラオス保健省と WHO の共同声明で明らかになった。政府は、2007年 2月に 15才の少女が鳥インフルエンザに感染し、3月8日に死亡したことを受け、監視、封じ込め対策を強化していた。同ウイルスは、7ヶ月ぶりとなった 2007年 1月のビエンチャン周辺で発生した感染流行以来、この貧しい共産主義国の南部の家禽に感染が拡大している。
[3] インドネシア-65例目の死亡: 65th Fatal case of H5N1 avian influenza virus infection
 情報源 New York Times, Reuters report、3月16日
32才のインドネシア人男性が鳥インフルエンザで死亡し、同国内のこのウイルスによる死者の合計は 65人となったと、保健省当局が 2007年 3月16日に明らかにした。この男性は、2007年 3月15日、首都ジャカルタ Jakarta の Persahabatan 病院で死亡したと、保健省の鳥インフルエンザ情報担当疫学官が述べた。男性はペットのトリを自宅で飼っていたが、"このトリが鳥インフルエンザに感染していたことは確認されていない" と答えた。男性は、ジャカルタ東部の他の病院に入院した後、3月14日に、ジャカルタの 2つの鳥インフルエンザ専門病院の1つである同病院に入院した。何百万羽の庭先飼育の家禽がいるインドネシアは、最多の H5N1鳥インフルエンザウイルスによる死者が発生している。インドネシアの 33の州の大部分の州で、鳥インフルエンザは家禽に常在しており、一時中断された後、2007年初めからこのウイルスによる死者が急激に増加している。以下、インドネシアの鳥インフルエンザ関連の一般情報など

●  肺炎桿菌 イスラエル
PRO/EDR> Klebsiella pneumoniae, multiresistant, nosocomial - Israel 20070316.0924
 投稿者 イスラエル ・ Hadassah-Hebrew University Medical Center、Dr Manfred Green、3月15日
2005年末より、毎年 500人以上が感染している

● アスペルギルス症 スペイン
PRO/EDR> Aspergillosis, fatal - Spain (Madrid): susp. (02) 20070316.0920
 投稿者 愛・Conference on Health and Biodiversit、Conor Kretsch、2007年3月15日
アスペルギルス症と "sick building syndrome"、院内感染等についての情報
関連項目 20070314.0899

● 野兎病 アルメニア
PRO/AH/EDR> Tularemia - Armenia (Gegarkuniq) (02) 20070316.0918
 投稿者 Brigitte Dunais、3月15日
記事の中で、住民に対して野兎病のワクチン接種が行われているとあるが、そのようなワクチンは存在しないのではないか。
[Mod.LL- 述べられているワクチンとは、以下の LVS 株ワクチンと考えられる: "Developing New Tularemia Vaccines", written by Mary Beth Nierengarten and myself, in Medscape Infectious Diseases。現在、"生ワクチン株 live vaccine strain" (LVS) 野兎病ワクチンが、メリーランド州 Detrick の米国陸軍感染症医科学研究所 (USAMRIID) のプロトコールにおいて、治験薬Investigational New Drug (IND) の扱いとなっており、感染リスクのある米国陸軍兵士 at-risk U.S. military personnel での使用に限られている。 scarification (すなわち、種痘の手技と同じように、分極した注射針を使用し、皮膚の複数箇所に接種する方法) により接種される。米国内では、リスクがあるグループへの同ワクチンの使用は、数々の障害による妨害を受けている ... 長文の解説]
関連項目 20070314.0901

● 原因不明の大量死、ピグミーウサギ 米国
PRO/AH/EDR> Undiagnosed die-off, pygmy rabbits - USA (WA) (03) 20070316.0922
[1] カリシウイルスの感染を調べてみるのは興味深い。
 投稿者 伊 ・ OIE Reference Laboratory、Lorenzo Capucci & Antonio Lavazza、3月15日
[2] 当局者からの経過の説明。
 投稿者 米・Kristin Mansfield DVM, MPVM 、3月14日
関連項目 (02) 20070314.0902

● 抗生剤耐性 ウガンダ,チンパンジー
PRO/AH/EDR> Chimpanzees, antibiotic resistance - Uganda (02) 20070316.0921
[1] zooanthroponosis および anthropozoonosis の違いについて
 投稿者 Jeff Bender 、3月14日
[2] 国立公園内に入るヒトは、排泄物を 38cmより深く埋めるための道具を携行すること
 投稿者 Michael Woodford 、3月15日
関連項目 20070314.0893