2007年3月2日

鳥インフルエンザ、ヒト アフガニスタン 疑い
髄膜炎菌感染症 ポーランド、スーダン、ウガンダ
ペスト ウガンダ

● 鳥インフルエンザ、ヒト アフガニスタン
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (45): Afghanistan, susp
Archive Number: 20070302.0743
 情報源 PakTribune、3月2日
アフガニスタンに、鳥インフルエンザ
 Avian influenza の症状が疑われる 2人が入院中で、致死性ウイルスの感染の有無について血液検査が行われていると、当局者が述べた。アフガニスタンは、これまで、ヒトでの H5N1型鳥インフルエンザ感染は発生していないが、先週 (2007年 2月23日)、Nangarhar と Kunar 州のニワトリシチメンチョウで、同ウイルスの感染流行が確認されている。2名の患者は Kunar 州の病院にいる。 "患者らの症状は、鳥インフルエンザ感染を示しているのは間違いない。血液検体は首都へ送られ分析されている" と州保健責任者が述べた。Kunar と Nangarhar 両州の当局は、トリの処分と流行発生が確認されている地区の消毒を行っている。当局者は、今週、連日約 4000羽のトリにワクチン接種を行っていると述べた。
* Nangarhar と Kuna r(Konar) 州は、アフガニスタン北東部
関連項目 (41): Afghanistan (Nangarhar, Kunar) 20070223.0670

● ビブリオ・バルニフィカス感染症 オーストラリア 2002-2005年
PRO/EDR> Vibrio vulnificus, 2000-2005 - Australia (NT) 20070302.0742
[1] 2002~2005年に NT で発生した、3件の flesh-eating bacteria による壊死性菌膜炎
 情報源 The Australian、3月2日
2人は Carpentaria 湾の Borroloola 付近でつりをした後発病し、あとのひとりは波が打ち寄せる川で水泳をしていた 19才の少女であった。3人とも健康上の問題があった。付近でビブリオ・バルニフィカス感染症が増加したのは、近くに世界最大の鉛と亜鉛の鉱山があるためであるとの調査結果を発表されている。鉱山と感染には関連はないとされている。
[2] 情報源 Australian Broadcast Corporation、2月28日。
[Mod.LL-壊死性筋膜炎は、人食い病 "flesh eating disease" とも呼ばれ、筋層より上の皮膚、軟部組織に病変が拡がる。通常、化膿連鎖球菌 _Streptococcus pyogenes_ (A群β溶連菌) または好気性菌と嫌気性菌の混合感染が原因となる。また、このほか、ビブリオ・バルニフィカス感染症 V. vulnificus_ などの好塩ビブリオ菌を含む他の病原体でも発生する。投稿では特別には触れられなかったが、4人が感染し、3人が死亡した問題の病原体は _V. vulnificus_ である可能性が高い。ビブリオ・バルニフィカス_V. vulnificus_ 感染症は、キズのある部位の発赤と腫脹で発症し、急速に壊死性筋膜炎と敗血症などの全身疾患を呈し、患者は危機に陥いる。創感染でも _V. vulnificus_ を含むカキの摂食による感染においても、同菌により、発熱 ・ 悪寒、血圧低下 (敗血症性ショック)、血性膨隆性皮膚病変 (出血性水疱 hemorrhagic bullae) を特徴とする重症の生命に関わる疾患が発生する。慢性疾患や免疫不全の患者では特に重症感染となる危険性が高い]
最近のレビュー Necrotizing soft-tissue infections and sepsis caused by _Vibrio vulnificus_ compared with those Caused by _Aeromonas_ species. J Bone Joint Surg 2007; 89(A): 631-6
* オーストラリア・ノーザンテリトリー、Carpentaria 湾岸の Borroloola

●  髄膜炎菌感染症 ポーランド、スーダン、ウガンダ

PRO/EDR> Meningococcal disease update 2007 (09) 20070302.0740
[1] ポーランド (Warsaw)
 情報源 Eurosurveillance weekly release 2007; 12(3)、3月1日
2007年 1月5日、ポーランドのワルシャワのある軍事基地の兵士 2名が劇症型の敗血症の症状を呈した。最も目を引く症状は、急速に拡大する点状出血で、数時間以内に全身に広がった。兵士らは 2カ所の別の病院の集中治療室に入院し、1人は血液および髄液から、もう 1人は血液のみから髄膜炎菌 _Neisseria meningitidis_ が分離された。国立細菌性髄膜炎委託センターに詳細な解析のため送付された。両兵士は、16日および 13日後に重症髄膜炎菌性敗血症のため死亡した。さらに同じ基地の 46人が発熱、頭痛などの症状の経過観察のために入院した。全員が抗生物質の治療を受けた。死亡した 2人を含む 15人の患者が検査室での検査により侵襲性髄膜炎菌性疾患と診断された。以下、検査結果 (2人の敗血症患者からタイプ C、ST-11/ET-37 が確認されたこと、他の兵士らの Cおよび W135 のラテックス検査と PCR による DNA 診断)の詳細、対応策 (シプロキサシン 500mg の単回投与)、検討など。
[2] スーダン (Southern Sudan):AlArab、3月1日
スーダン南部で髄膜炎菌のワクチン一斉接種が行われている。2007年髄膜炎で 174人が死亡していると、WHO の当局者が語った。流行閾値を超えた地区は全てワクチン接種を実施または実施予定となっている。2007年初めからの髄膜炎菌が疑われる患者は、合計 2243人報告されている。スーダンでは、世界の髄膜炎菌感染患者の半数以上が発生している。
* スーダンの感染発生地区 (南部 Central, Western and Eastern Equatoria, Lakes, Western, and Northern Bahr el-Ghazal, Jonglei, and Warrap states)
[3] ウガンダ(ウエストナイル West Nile)
 情報源 Int. Fed. of Red Cross and Red Crescent Societies (IFRC), ReliefWeb、2月28日。
2006年 12月以降、髄膜炎菌感染症流行がウガンダのウエストナイル地方北西地区で発生している。2007年 2月19日、ウガンダ赤十字には、Arua/Maracha-Terego, Adjumani, Yumbe, Koboko, Nebbi, and Moyo 地区の合計2728人の患者と 100人の死亡が報告されている。 Karamoja 地方の北東地区 Kotido, Moroto, and Nakapiripirit でも、147人の患者が発生している。血清型 A および X の 2種類の髄膜炎菌が確認されている。A 型は予防接種による予防が可能であるが、ウエストナイルおよび Karamoja において、予防接種がない X 型が優位である。さらに、スーダン南部およびコンゴ民主共和国において、未確認ながら髄膜炎菌感染流行の報告がある。
[Mod.LL-20070129.0379 に、X 型についての解説がある]

●  結核 スペイン 超多剤耐性、1991-2003
PRO/EDR> Tuberculosis, XDR, 1991-2003 - Spain 20070302.0738
 情報源 Emerging Infectious Diseases (in press) 、3月1日
1991-1995年にかけて、スペインマドリッドの HIV 病棟で 49例の結核
 Tuberculosis 患者が報告された際に、HIV 感染流行の最中のスペインで多剤耐性結核の院内感染流行が発生した。別のマドリッドの病院の 16例と、Malaga の病院の 31例においても特定の菌株が原因となっていたことが分子疫学的に判明した。合計、スペインの 6つの別の地方の、22の病院において、114人以上が XDR に感染していた .... 中略 .... 先進国においては、厳格な対策とHIVの最新の効果的治療を行うことによって、XDR 感染流行を封じ込められることが示された。しかし、南アフリカのような途上国で、HIV と XDR の共感染の見通しは悲観的で、拡大し、治療されることがない。

●  コレラ ソマリア、シエラレオネ、ルワンダ、アンゴラ
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2007 (10) 20070302.0737
[1] コレラ-ソマリア (Lower Shabelle Province)
 情報源 Shabelle Media Network、3月1日。
ソマリアの首都モガディシュ Mogadishu で水様性下痢症が流行している。多数の子供らがモガディシュの病院に入院している。2007年2月28日に、Banadir 母子病院で、7才の少女がコレラで死亡した。病院長は、水様性下痢症患者が多数発生し入院していると述べた。2007年 2月27日時点で、首都から30km 離れた Afgoi 地区の 25人以上の主に 5歳以下の子供らが水様性下痢症のため死亡した。
[Mod.LL- ソマリアではコレラ患者を水様性下痢症とよぶ]
[2] コレラ、下痢症-シエラレオネ (Northern Province)
コレラが発生した 2006年 10月17日から 2007年 1月31日までの暫定的な最終報告
 情報源 Int. Fed. of Red Cross and Red Crescent Societies (IFRC), ReliefWeb、2月27日。
過去数十年間、シエラレオネがコレラをはじめとする疾患と洪水に苦しんできたこと。医療機関へアクセス出来る人口が限られていること。1746人以上の患者と 170人の死者が Freetown, Lungi および Kambia から報告されている。対策など。(総論的内容)
[3] コレラ-ルワンダ (East Province)
 情報源 AllAfrica.com and The New Times (Kigali)、2月26日
Nyagatare 地方 Tabagwe 区の当局者が、2007年 2月24日にタンザニアから帰国したルワンダ人たちに、コレラ感染対策として環境整備に努めるよう呼びかけている。コレラにより多数の死者が発生している。一時的なトイレの設置も促している。
* Nyagatare 地方はルワンダ East(Eastern) 州の最北端
[4] コレラ-アンゴラ Angola
 情報源 Int Fed of Red Cross and Red Crescent Societies (IFRC), ReliefWeb 、2月24日。
2007年 1月1日から 2月22日にかけて、アンゴラ国内で、コレラ患者 7438人中 244人以上の死亡が報告されていると、当局が述べた。死亡最多は Kwanza Sul の 95人で、以下 Luanda (45), Benguela (33), Malanje (17), and Cabinda (14) の順である。過去 24時間に 107人が感染し、Bengoで 2人が死亡した。Luanda では 48人、Bengo17人、Benguela で 15人の患者が発生している。
[5] コレラ-世界各国: WHO WER notifications
 情報源 World Health Organization (WHO) Weekly Epidemiological Record (WER) 、3月2日。
コレラ届出患者 from 23 Feb to 1 Mar 2007
国名 / 期間/ 患者数 / 死者数
アフリカ
アンゴラ / 9-22 Feb 2007 / 1776 / 46
コンゴ / 5-26 Feb 2007 / 1993 / 20
コートジボアール / 1 Jan-11 Feb 2007 / 2 / 1
ジブチ / 10-21 Feb 2007 / 70 / 1
スーダン / 29 Jan-25 Feb 2007 / 677 / 24
ジンバブエ / 29 Jan- 4 Feb 2007 / 21 / 4

● ペスト ウガンダ

PRO/AH/EDR> Plague - Uganda (Masindi) (02): RFI 20070302.0736
 情報源 All Africa、3月1日
保健省当局者によれば、(ウガンダ北西部)マシンジで 15人が感染し、9人が死亡したペスト
 Plague は、(1347-1352年の) わずか 5年間におよそ 2500万人が死亡したとされる腺ペストが修飾を受けた菌である。保健局長は、3週間前に初めての患者が報告されたが、感染は封じ込めていると述べた。先週は、新たな感染報告はなかった。マシンジで死亡第 1例が発生した際、当初は髄膜炎またはエボラが原因と疑われていた。患者からの血液検体は直ちに検査が行われ、その結果腺ペストが死亡の原因であることが確認された。さらに追加で行われた南アフリカとデンマークでの検査で、再度この結果が確認された。
最近においても、ウガンダで腺ペストが発生したのは初めてのことではない。この 30年間に、同じくウガンダ北西部の Nebbiで発生と終息を繰り返していて、ペスト感染発生が確認された後、最も優先されるのは感染の封じ込めであると述べた。ペストはネズミに由来し、ノミを通じてヒトに感染する。マシンジで、第一に行われた対策は、住民に床で寝ることを止めさせることで、このことによりネズミを減らすことであった。ウシのフンを床に塗りつけることにより、ネズミがこれを嫌って家に入らなくなり、これもペスト感染拡大防止策となる。
[Mod.MPP-20070301.0725 によれば、報道記事は、今回流行のペストは肺ペストであると伝えていた。上記記事はペストが腺ペストであると記載している。肺ペストでは、エアロゾル化した飛沫により呼吸器を通じて感染拡大が起こるため、腺ペストよりもヒト-ヒト感染が高頻度に生じる。肺ペストの死亡率は、腺ペストよりも高い。上記記事によれば。観察された範囲での致死率は60%で、未治療の場合に予想される致死率の範囲内である。信頼できる情報筋から今回の感染流行に関する疫学的状況の解明が寄せられることを歓迎する]

● 病原大腸菌 米国 WO157 2005年
PRO/AH/EDR> E. coli O157, unpasteurized milk, 2005 - USA (WA) 20070302.0741
 情報源 MMWR Morb Mortal Week Rep 2007; 56; 165-7、3月1日。
2005年 12月5日の週に発生した病原大腸菌 O157 感染流行のレビュー

●  スクレイピー、ヒツジ イスラエル
PRO/AH> Scrapie, sheep - Israel (Haifa): OIE 20070302.0739
 情報源 OIE Disease Information, WAHID 2007; 20(10)、3月2日
Scrapie, Israel (Immediate notification)、reoccurrence of a listed disease
流行開始時期 2007年1月1日
前回流行時期 2002年
原因病原体 プリオン 
新たな流行 
発生地 Maayya, Hadera (Haifa)
感染種 ヒツジ: 242匹中 4匹感染(死亡 2、破棄 2)
感染個体群 母ヒツジ 110 (放牧), オス 6、 ラム約 125 は囲いの中で飼育 (その他、年齢の詳細、省略)
[Mod.AS-イスラエルのスクレイピーのこれまでの経過説明]

●  BSE ニュージーランド
PRO/AH/EDR> BSE, bovine - New Zealand: new import rules 20070302.0734
 情報源 NZFSA (New Zealand Food Safety Authority) official press release、2月28日
NZFSA updates BSE importing requirements
科学的 ・ 実践的な、牛肉および牛肉産品の食品安全輸入規則の改革
ニュージーランド食品安全局は、BSE に関する新たな科学的および実践的知識に沿った、牛肉および牛肉産品の食品安全輸入規則の改革に着手した。
* 国内で行われているものではなく、国際的なリスク評価を採用する
* BSE のリスクが残存している国からのリスクある物質と確認されたゴミの除去
* 対策の適応を受けている製品から、少しでもウシの成分を含む加工食品を除外する
* 輸入製品の受容性と何らかの証明の必要性を決定する恒久的枠組みを採用する
* 製品の原材料における年齢制限を廃し、トレーサビリティ(追跡可能性)の方法を問わない
* 全てのゼラチンの取引を自由化し、原材料や輸出国のBSEの状況を問わない
など。長文のため、原文参照お願いします。
[ModTG-新たな規則は、他国のルールにほぼ沿ったものである]