2007年3月7日

鳥インフルエンザ 中国、クウェート、ベトナム(動物の疾患のみ)

● リフトバレー熱 ケニア
PRO/AH/EDR> Rift Valley fever - Eastern Africa (21): Kenya, vaccination
Archive Number: 20070307.0807
 情報源 IRIN via Reuters、3月6日
KENYA: Livestock vaccination stems spread of RVF
現在進行中の、家畜への抗 RVF (リフトバレー熱) ワクチン一斉接種により、ケニア国内での拡大が食い止められている。ケニアでは、動物とヒトに感染する蚊媒介性疾患により、2006年 12月以降 154人の死者が出ていると、2007年 3月6日に当局者が話した。感染地域で引き続き調査を行っているが、新たな家畜の感染報告を受けていないと、牧畜水産業省疾患管理部の獣医官が述べた。感染流行が発生した 33地区で行われているワクチン一斉接種において、接種対象は 150万頭以上の家畜 (ウシ、ヒツジ、ヤギ) である。最も被害が深刻な地域は、Garissa, 北東州 Ijara と Wajir, 沿岸州 Tana River と Kilifi 地区 そして 中央州 Kirinyaga および Maragwa 地区である。さらに 75万回分のワクチンを入手し、接種を継続する考えである。2007年 1月8日に Garissa で始まったワクチン接種事業は、1931年にこの疾患が初めて報告されたリフトバレーまで拡大した。RVF により動物では流産や死亡が発生する。ワクチンの大多数は南アフリカから輸入され、1回当たり 0.37米ドルである。 RVF ウイルスは、洪水で急速に数が増えたヤブカ属によって家畜からヒトに感染した [また、感染動物との直接の接触でも感染する]。牧羊民族が住む北東州は、例年以上の降雨の後の破壊的な洪水に襲われた。 RVF は、血液やその他の体液などの感染動物からの材料との接触によっても感染する。牧民にとって主食となる、ミルクを飲むことによっても感染すると考えられている。ヒトでの感染症状には、鼻や口からの出血と、肝不全などがある。ケニア政府は、RVF がはじめて報告された場合は、感染地域の家畜を処分して精肉とすることを禁止する法律を制定し、この結果、動物に生活と食料を頼っている人々の住む地域で家畜市場は閉鎖に追い込まれた。この禁止法はその後解除されたが、家畜の移動制限は、今なお実施中である。

● 鳥インフルエンザ 中国、クウェート、ベトナム
PRO/AH/EDR> Avian influenza (47): China (Tibet), Kuwait, Viet Nam 20070307.0805
[1] 中国 (チベット):China reports bird flu deaths in Tibet poultry
 情報源 Reuters Alertnet、3月6日
辺境のチベットで家禽の H5N1 鳥インフルエンザが流行し、この地域の数千羽の野鳥もこのウイルスに感染していると、2007年 3月6日に医学動物衛生調査員らが報告した。OIE に提出された報告によれば、中国側の主任獣医官は、家禽が、ヒトにも感染する H5N1 鳥インフルエンザに感染して死亡したと述べた。チベットの省都ラサ Lhasa に近い Chengguan 村の感染流行により 680羽のニワトリが死亡し、約 7000羽のトリが処分されたと、OIE はウェブサイトで伝えている。国営新華社は、3月1日に家禽が死亡したと報告したが、感染した鳥の種類は特定しなかった。政府は市場を閉鎖し、野鳥の健康状態の監視を続けている。「専門家らは、東アジアから西アジアへ移動する野鳥によってこのウイルスが運ばれたと考えている、というのも南部の家禽では感染流行の報告がないからだ」と報じた。獣医官は、チベットで別々に発生した 3件の野鳥の H5N1 感染流行についても報告し、ラサ付近で 28羽の渡り鳥が死亡した 1件と、地域内で 2579羽と 57羽の野鳥がそれぞれ死亡した 2件であった。感染した野鳥の種には、bar-headed geese、カラス、タカであると、OIE により説明されている。青海省においても、984羽の野鳥が死亡した 2件の感染流行が発生しており、北東部遼寧省では 2羽の野鳥が死亡したと述べた。この報告には、日付がない。以下、中国では動物からの報告が少なく、ヒトでの感染が監視役になっていると指摘されていること、7週間ぶりとなった福建省の女性の感染により行われた付近の家禽の調査ではトリの感染が確認されなかったこと、世界最大の家禽数と膨大な数の庭先飼育が行われている中国において、2003年以降 23人の患者 と14人の死者が発生していること、鳥インフルエンザウイルスの感染性が最も高まるこの春の感染流行防止策として、政府は家禽のワクチン接種を数ヶ月間のうちに行うことなど ...
[2] 中国 (チベット) Tibet reports bird flu outbreak
 情報源 ShanghaiDaily.com、3月7日
政府当局は、約 7000羽が処分され、チベットの首都ラサの家禽市場は鳥インフルエンザによる打撃を受けていると、2007年 3月7日に述べた。致死性の H5N1型ウイルスの感染流行は、ラサの Chengguan 村で 2007年 3月1日に発生し、680羽のニワトリが死亡し、6990羽が処分された。 Beijing Youth Daily は、3月6日に、市場はそれ以後閉鎖され、当局は感染源の調査中であると伝えた。渡りの野鳥との接触により、家禽が感染したとの可能性に言及した。農業部による政府報告には、2006年 4月と 5月のチベットと隣の青海省における、5件の渡り鳥での H5N1鳥インフルエンザ感染流行の詳細がつづられている。5件の感染流行で、3648羽のトリが死亡し、その内訳として、bar-headed geese, brown-headed gulls, カラス, タカ およびその他の野鳥が含まれている。新華社は、それ以前の 2006年の感染流行を報告しているが、特定の日付は伝えていない。青海は渡り鳥の中継地として知られ、2005年半ばに、このウイルスにより、自然保護区内の bar-headed geese 数千羽が死亡したことから、ウイルスの活動性が高まり、野生の宿主の間で盛んにウイルスが伝播していると恐れられている。
[Mod.AS- 中国政府から OIE に2007年 3月6日に提出された、高病原性鳥インフルエンザH5N1の追跡報告 China's follow-up report No 5 on HPAI H5N1 の引用である。 現在の疾患発生状況は、中国における鳥インフルエンザの再興を示唆するが、その臨床症状が不顕性化される大規模なワクチン接種によってウイルスの感染循環が隠されている可能性がある。前回 No.4の報告は 2007年 1月26日に提出されている。bar-headed geese が関連しているとの報告に関して、Nature誌 441, 18 May 2006, p. 263 から引用された情報を含む、20060518.1394 を紹介する。記事によれば、中国政府は、"青海湖付近で bar-headed geese の繁殖を行っており"、繁殖場は、このトリを飼育用とし、一部のトリはは野生の群に戻すという、実験的プログラムの一部として行われていた。この記事は、こういった計画が "H5N1型の危険性を十分考慮されずに行われている" と主張する、中国の獣医学鳥インフルエンザ研究者からの引用であった。ProMED-mail は、さらに詳細な情報を希望するとコメントしたが、中国における、bar-headed やその他の野生のガチョウの繁殖や飼育に関する追加情報は寄せられなかった。編集部は、チベットの現在の発生事項に関しても、すべての直接的な情報を投稿されるよう、改めてお願いする]
[3] クウェート Experts fly in; More cases of bird flu found
 情報源 Arab Times, Kuwait、3月7日。
2007年3月6日、クウェートの Jahra と Garwaniya で、タカ1羽とニワトリ1羽の関係する 2件の鳥インフルエンザが発生し、件数の増加が続いていると保健省広報の医師が述べた。この 2件をあわせ、合計のクウェートで確認された H5N1型感染例は 52になった。感染流行発生後、25000羽のトリが処分され、全国の養鶏場で一斉噴霧消毒が行われている。同医師は、3月6日に行われた、50人のトリの取扱者の血液検査において、H5N1は陰性であったことと、65のチームが対策に当たっていることを確認している。保健省は、鳥インフルエンザ感染流行の周知活動を開始し、印刷物とメディアを通じて、定期的な情報提供を行っている。鳥インフルエンザウイルスの確認後すぐに、クウェート政府は、すべての家禽産品の輸入を停止し、同疾患の制圧まで継続して禁止する方針である。農務水産資源省公衆局と保健省は協力して、合同の作業部会を開くなど種々の対策を実行している。OIE からの専門家チームもクウェート入りした。当局は、感染したトリと接触のあった 268人の血液検査の結果、これまでのところ鳥インフルエンザ患者は出ていないと、繰り返し述べた。 OIE の専門家らは 5日に到着し、数日間滞在して当局の感染流行対策を支援する子とが期待されている。クウェートには約 1000万カプセルのタミフルが備蓄されていて、300万人の人口の約40%を治療するのに十分な量である。以下、クウェートでのトリの消費量には変化が見られないことなど。
[4] ベトナム Viet Nam says bird flu hits chickens near capital - H5N1 confirmed
 情報源 Reuters Alertnet、3月7日
鳥インフルエンザにより、ハノイ Hanoi 近郊の 2つの農場の 1000羽以上のニワトリが死亡したと、ベトナムの動物衛生当局が 2007年 3月7日に報告した。衛生当局は、1150羽のトリが H5N1型ウイルスにより死亡したことが確認されたのを受け、Dong Anh 地区のこの農場のニワトリを処分したと述べた。「ハノイの動物衛生局は、地元当局の残った家禽の破棄や感染地域の消毒、家禽と人の厳重な監視に協力している」と、報告された。ベトナムでは、2005年 11月以来、ヒトでの鳥インフルエンザ患者は発生していない。しかし、2003年後半に初めて登場した、この H5N1型ウイルスが、2006年後半から南部に再び登場している。さらに、過去3週間に、南部 Vinh Long 省のアヒルと北部 Hai Duong と Ha Tay 省のニワトリでも感染が確認されている。2月27日、ハノイへの家禽の最大の供給源である Ha Tay 省の 1農場では、550羽のすべてのニワトリが処分された。以下、ワクチン接種は感染拡大を防止しているが、全国に H5N1型ウイルスが蔓延しているとの農相のコメント、2007年 3月の後半に次回の家禽へのワクチン接種を開始する予定であること、そして 3月15日から水禽の飼育・孵化再開を許可する予定であることなど。
Viet Nam's last follow-up report to the OIE on its H5N1 situation submitted on 27 Feb 2007
[5] 世界での H5N1 の動物間感染流行に関する遺伝学的、地理的解析
UCI scientists reconstruct migration of avian flu virus
 情報源 Press release, University of California, Irvine、3月5日。
UCI の研究者らは、H5N1型鳥インフルエンザウイルスの遺伝学および地理的データを一体化させ、過去10年間の歴史を再構築した。複数のウイルス株が広東省起源であることが判明し、ウイルスが地域内や国際的に拡大した渡り(移動)の数々の経路を同定した。どこで H5N1型ウイルスが発生して移動したかを知ることにより、保健当局者らは戦略的な介入を行うことで、ウイルスの拡大を、より効率的に封じ込めることが可能となる。頻繁に流行を繰り返す地域のウイルス株を使用することで、地域のワクチン接種もより効果的に行える。「もしウイルスを発生源において封じ込められるのであれば、より効果的である。ウイルスの移動図があれば、ワクチンを作成するために使用するウイルス株を分離しやすい。」とUCIの生物化学部の教授が語った。この研究は、今週オンライン版の Proceedings of the National Academy of Sciences で見ることができる。この研究では、初めての、鳥インフルエンザである、H5N1型インフルエンザ Aの地理的分布を詳細に記した、統計的解析が提供されている。以前の報告では、場所によってH5N1型のウイルス株を、大まかに informally 同定していたが、UCI の解析は、系統進化の経緯をふまえてH5N1型の移動を体系的にたどった初めての解析で、また、同ウイルスの地理的および系統進化の変化の、相対的な重要度を発見するという、新たな詳説が加えられている。ユーラシア全体から採取された 192の検体を使って、UCI のチームは、ウイルスの地理的分布の範囲と進化を再構築した。この解析から、大規模な家禽産業を擁する広東省は、他の省や他の国へ拡大した H5N1型ウイルスの、多くの種類の起源であることが判明した。南にある直近のインドシナ方面には、ウイルス株は狭い地域の間の分散にほぼ限定されている。研究者らが解析した遺伝子配列によると、異なるH5N1型ウイルス株が同時進行で系統進化 parallel evolution するとき、ウイルスは、初めに感染した宿主やベクターの種には関係なく、その地域において異なる種の宿主の間で感染循環した。このようにして、ウイルスは次の場所へ感染を拡大させるのにふさわしい宿主を探し出すことができる。この平行進化 parallel evolution --同じ特性 traits の独立した進化--によって、H5N1は急速に拡がったと考えられている。「真の変異を発生させる能力は、ウイルスが、ある宿主のタイプから次の宿主に飛び移ることを可能にする。広大な範囲に拡散することによって、ウイルスは実際に色々な場所での実験を行い、ヒト-ヒト感染を可能にする変異につながる可能性が高くなる。」と話した。鳥インフルエンザは、ほとんどトリでしか確認されていないが、 H5N1型だけは散発的にトリの宿主からヒトへの感染が生じている;ヒトからヒトへの効率的な感染を生じているという証拠はない。ヒトでの感染例は、世界で 300例足らずではあるが、その高い死亡率のため、ウイルスの変異によりヒトが容易に感染する事態になれば、パンデミックが発生する可能性があると恐れられている。研究協力機関の紹介。
[Mod.AS- (7日現在) PNAS web-site上で、上記論文には、まだアクセスできない。アクセス可能となった時点で、コメントしたい]

● 口蹄疫 北朝鮮
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease, bovine - North Korea (Pyongyang-si)
Archive Number: 20070307.0803
 情報源 OIE WAHID web-sit、3月7日
Foot and mouth disease, Korea (Dem. People's Rep.)、Reoccurrence of a listed disease
感染開始時期 2007年1月10日
前回感染発生 1960年
原因ウイルス 口蹄疫ウイルス O型
新たな感染流行
発生地 平壌市 (Ryongkok-Ri, Sangwon)
感染種 ウシ (466頭中、感染431頭、破棄466頭)、ブタ (2630匹中、感染0頭、破棄2630匹)
疫学 感染源:新しい家畜の導入、合法的な移動
疫学的コメント 診断決定前に、獣医師による抗生剤の治療が行われた。半径70kmの範囲内の動物10万頭へのワクチン接種が検討されている。
[Mod.AS- 北朝鮮から動物疾患の報告が提出されるのは、歓迎すべき進歩である。1960年以来の口蹄疫であると主張されている。FMD-O 型に感染していた、正規輸入の動物の輸出元についての情報が待たれる。北朝鮮の北で国境を接する中国は、2007年初めから OIE の緊急および追跡報告 4件を OIE に提出している。すべてアジア1型による感染流行であり、北朝鮮との国境にも隣り合っていなかった]