2007年5月4日

◎ ペスト 米国
原因不明の死亡 バングラデシュ、インド

◎ 
ペスト 米国
PRO/AH/EDR> Plague, septicemic - USA (NM) 20070504.1447
 情報源:KOB.com、5月3日
ニューメキシコ州衛生当局は、2007年5月3日、San Juan 郡の49才男性1名が、敗血症性ペストであることを確認した。
ニューメキシコ州衛生当局は、2007年5月3日、San Juan郡の49才男性1名が、敗血症性ペストであることを確認した。同州では、2007年最初の患者であり、San Juan郡においては、1999年以来の患者発生となった。当局は、患者の自宅の環境調査を行い、継続するリスクの有無を確認する予定である。...
[Mod.LL-_Yersinia pestis_ による感染症では、古典的な腺ペストが臨床症状を示す患者の85-90%を占める。感染したノミによる刺咬または、開放性の皮膚病変の汚染により発症する。感染した場所の膿瘍や潰瘍として、局所の細菌の増殖が見られる(4-10%)。敗血症ペストは、腺ペストに引き続き発生することが最も多いが、暴露後横痃の形成なしに発症する場合がある。横痃を欠くことで、正確な診断や治療が遅れ、有病率、致死率ともに増加する。
ノミからほ乳類への伝播のメカニズムは以下の通りである;
ノミは、菌血症となっている齧歯類の血液を吸血して感染する。細菌は、ノミの栄養器官に留まり、中腸midgutで増殖し、食道からproventriculusという、食道と中腸間のバルブ機能を有する空間に至る、中腸全体に分布する大型で褐色の菌塊を形成する。菌塊は、proventriculusが閉塞するまで数日間にわたって増大する。閉塞したノミは、吸血するが胃まで食物が到達しない。ノミは吸血し続けるが無効となり、血液は前腸で細菌と混ざり合ったのち、宿主側へ逆流する。1回の吸血で、最大24000の細菌が伝播される。参考文献 2件]
地図 ニューメキシコ州:San Juan郡は北西部 

● コレラ ソマリア、ナミビア、アンゴラ、タンザニア
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2007 (19) 20070504.1448 
[1] コレラ - ソマリア
 情報源:AllAfrica, UN Integrated Regional Information Networks (IRIN) [edited]、4月30日
2007年4月30日、医療情報筋によると、ソマリアの首都モガディシュMogadishu近郊のキャンプのホームレスは、コレラおよび急性水様性下痢症の感染流行のため、さらに過酷な状況に耐えなければならない。市内での3ヶ月にわたる激しい内戦により、数十万人の市民は移動を余儀なくされた。モガディシュの南20kmの、26ヘクタールのキャンプ内だけで1111人のコレラ患者が発生していると医師が述べた。患者の多くの治療は、木かげで行われている。2007年3月の流行開始以降の致死率は、死亡数がわずかに15人で、低いまま留まっていると説明した。しかし、事態は悪化する状況にある...
[Mod.LL- ソマリアは、しばしばコレラを”急性水様性下痢症acute watery diarrhea"と表現する]
[2] コレラ - ナミビア
 情報源:AllAfrica, New Era (Windhoek) report [edited]、5月2日
過去2週間に、Ohangwena地方で、コレラおよび下痢症で多数の死者が発生している。取材に対し、当局者は、2007年5月1日現在、コレラにより9人が死亡し、ほか26人が治療中であることを認めた。ナミビアでコレラが発生した2007年2月以降、4月まで新たな患者発生の報告はなかったが、4月に33人の下痢症と2人のコレラ患者が確認された。衛生当局は、埋葬の後、薬草の入ったひとつの容器ですべての会葬者が手を洗わなければならない、葬儀の手洗い儀式が感染を拡げているのではないかと考えている。1件の葬式で、23人の会葬者が下痢症を発症し、入院した。
地図 Ohangwena はアンゴラ Kunene 州に隣接する 
[3] コレラ - worldwide: WHO WER notifications
 情報源:World Health Organization (WHO) Weekly Epidemiological Record (WER)、5月4日
コレラ届出患者数  received from 27 Apr to 3 May 2007
国名 / 期間 / 患者数 / 死者数
アフリカ
アンゴラ / 14 Mar-26 Apr 2007 / 4162 / 63
タンザニア / 19 Feb-15 Apr 2007 / 574 / 28

● 炭疽 キルギスタン
PRO/AH> Anthrax, human, wildlife - Kyrgyzstan (North)(02) 20070504.1450
 投稿者:Asankadyr Junushov、5月3日
20070503.1440 として投稿された、男性の炭疽
 Anthrax 感染例についての情報提供。
釣りに出かけた帰り、saiga の死体を発見し、一部を採取した後に焼却処分を行って炭疽に感染し、10日後の2007年4月22日に、右手と右腕に腫れを生じ、発熱した。発熱と肘の痛みに苦しみながらも、受診することなく、自宅で治療していた。4月24日になって、状態が悪くなって病院を受診した。その後転々と受診先を変更後、4月26日に感染症病院で皮膚炭疽と診断された。anthracinテストは陽性であった。
[Mod.MHJ- ロシアで行われているanthrcinテストは、後から診断するには有効である例である。炭疽菌_Bacillus anthracis_は、通常非常に抗生物質に感受性があるので、適切な医学的検査が行われる前に何らかの治療が行われていると、生きた病原体の再現が不可能となる結果となりやすい。男性が皮膚テストで陽性とされるまでに14日もの長い期間を要した]

● 原因不明の死亡 バングラデシュ、インド

PRO/AH> Undiagnosed deaths - Bangladesh, India (04) 20070504.1451
バングラデシュ、インドでの、原因不明の死亡発生の原因は、ニパウイルスの可能性が高い。
[1] 投稿者:Christian 医科大学 Professor T. Jacob John、5月3日
ベンガルBengalでの原因不明の死亡に関するコメント
Undiagnosed deaths - Bangladesh, India (03) 20070501.1413に関連して、モデレータは、総合的にデング熱が示唆されるとしているが、いくつかの点でデング熱とするには無理がある
1)患者の年齢--流行地の小児と青年に多い、デング熱との違い 2)デング熱は"伝染性contagious"はない;36才男性が患者との濃厚接触により感染した 3)デング熱は死亡の原因とならない、デング出血熱のみが死亡原因である(また致死率10-20%という集団発生もない) 4)デングウイルスはまれに脳炎を発症するが、脳炎の集団発生の原因とはならない 5)地理的に、かつてのHenipahウイルス感染流行の発生地帯である。臨床的、疫学的特徴も一致している。
[2] 情報源:The Statesman, Calcutta, Fri 4 May 2007 [edited]、5月4日
ニパウイルス Nipah virus の脅威
2007年5月3日、Nadia で5人が死亡した原因不明の疾患に関係する、州保健当局者の初期観測によれば、新種の致死性ウイルスに厳重な対応が必要となっている。現地を訪れた専門家らは、ニパ Nipah ウイルスによる症状に類似すると発言している。マレーシアやバングラデシュで発見されている。「症状はニパだが、ウイルスの同定はされていない。プネ Pune の国立ウイルス学研究所における、患者の内臓の検査報告により明らかになる。ニパウイルスは、数年前にSiliguriで深刻な被害を発生させた」不注意に、当局に、デング、チクングニア、日本脳炎などの種々のウイルス性疾患とされていた。このウイルスは1999年に発見された。人獣共通感染を起こす。マレーシアで初めて発見された地方の名前に因んで名付けられた。同ウイルスは少数の局所的な流行しか発生させていないが、その生物学的特質は、広い範囲の種の宿主に感染する可能性があり、ヒトにおいては、高い致死率を招く。オオコウモリの一種が自然界における保有宿主となっていると考えられている。動物間や、動物からヒトへの感染伝播様式は明らかになっていないが、感染動物の組織や体液との濃厚な接触が必要である。他のウイルスより、動物からヒトへの感染が起こりやすいが、容易にヒトへの感染が発生するものではない。潜伏期間は4-18日間である。通常インフルエンザ様症状で発症し、高熱と筋肉痛を伴う。病気は、意識障害、失見当識、けいれん、昏睡を伴う脳の炎症(脳炎)に至り、臨床症状を示す者の50%が死亡する。
[Mod.CP- West Bengal および Bangladeshの国境地域で発生した原因不明の死亡の原因として、もはやデング熱感染流行は当てはまらない。現在確認されている感染流行の特徴は、コウモリが媒介する Nipah ウイルスあるいは同種の Henipa ウイルスの感染流行発生に一致すると認識されている。しかし、病原体としての確認は未だなされていない]

● 石果の病気、Plum pox potyvirus 米国
PRO/PL> Plum pox potyvirus, stone fruit - USA (MI): quarantine 20070504.1449
情報源: South Bend Tribune、4月24日。
ミシガン州農業当局は、Berrien Countyにおいて、プラムやモモなどの、stone fruitに感染するplum pox virus (PPV)の感染拡大防止のため、検疫体制をとると発表した。

● 口蹄疫 キルギスタン
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease, bovine - Kyrgyzstan (Talas), susp. 20070504.1452
情報源:News Agency 24.kg [trans. by Mod.NP, edited]、5月4日
口蹄疫発生の疑いで、タラス地方のウシ市場が閉鎖された
キルギスタン非常事態省広報は、タラス地方Mansskiy地区のウシ市場が、口蹄疫感染流行発生の疑いにより、閉鎖されたことを発表した。Sary-Bulak, Pokrovka, Sogot および May 村の103頭のウシで、口蹄疫の症状が認められたため、検体が首都ビシケクBishkekに送付された。ワクチン接種も行われている。農村地帯のBekmoldoにおいても感染流行の発生が疑われている。
[Mod.AS- タラス Talas はキルギスタン北西部で、カザフスタンとの国境にあり、5月3日に口蹄疫の報告 20070503.1442 のあった、南西部の Batken から300-350km 離れている。この2つの地方の間には、Kyrghiz Jalal-Abadと、ウズベキスタン、タジキスタンがある。口蹄疫が広く家畜に蔓延していると思われるキルギスタン政府からの直接的な、当局の詳細情報が出されていないことは、中央アジアの全ての国にとっての悩みであり、国際的に動物衛生当局にとっての問題となっている]
地図 

● 鳥インフルエンザ、家禽か渡り鳥か
PRO/AH> Avian influenza, poultry vs migratory birds (21) 20070504.1453
[Mod.MHJ- 西アフリカの高病原性鳥インフルエンザ感染流行は、オウム parrots や African Greys が、アフリカ以外の裕福な市場へ密売されることによる危険を生じている。最近では、Asian hawkやfalconのサウジアラビアやクウェートへの密輸による発生があった。同じような、目に見えないリスクが、合法違法を問わず、オウムにもあってもおかしくない。次のハッジは2007年12月16-20日と数ヶ月先になるが、西欧には常に危険がある]
[1] African Grey Parrot
 情報源:Birdlife International [edited]、2006年7月
国際野鳥の会の African Grey Parrotの現状に関する会議(2006年7月、ペルー)において、
8.違法取引は多くの国で行われているが特に、Cameroon, Cote d'Ivoire, Democratic Republic of Congo, Ghana, Guinea, Liberia, Sierra Leone and Togoで、最も目立つのはナイジェリアで輸出入とも注意する必要があった。
9. 中東では、サウジアラビアなどが違法な輸入に対する監視が必要
[2] Any parrots to declare?
 情報源: New Internationalist、1984年1月
ガーナの国境監視員は、50羽のオウムをトーゴへ持ち込もうとした密輸業者を逮捕した。1979年以来、ハッジの巡礼期間に、サウジアラビアで販売されているオウムを巡礼者たちが購入することが多いため、オウムの輸出は禁止されている。この鳥の需要が高まったことで、金、ダイアモンド、マリファナに匹敵するほど価格が上昇し、密輸業者らの標的となっている。現地の捕獲者から平均727米ドルからその2倍の値段で購入されている。1983年8月には、合計1140羽のオウムの積荷2個が、アクラAccraの空港で差し押さえられ、米ドルにして20700ドルで売られたと報告された。