2007年6月12日

狂犬病 中国
破傷風 米国,ドミニカ共和国から

● 狂犬病 中国
PRO/AH/EDR> Rabies, human, canine - China 20070612.1917
 情報源 Reuters、6月12日
2007年5月、中国国内では狂犬病 Rabies により201人が死亡し、感染症による死亡の第1位となっていると、2007年6月12日に国営メディアが伝えた。狂犬病は 3月の1位が結核となったことを除くと、過去13ヶ月間感染症による死亡原因のトップで、イヌによる蔓延が指摘されている。北京では、”1家族イヌ1匹” 政策を導入し、2006年には未登録のイヌ対策キャンペーンを展開した。政府食品医薬品局当局は、低水準のワクチン接種により数人が死亡したのと報告を受 け、偽造および悪質な狂犬病ワクチンを製造したメーカー数社を厳しく処罰することを2006年に明らかにしている。2006年、上海市当局は、65000 頭のイヌの耳にデジタルチップを埋め込み、イヌの管理改善と狂犬病拡大防止を目指した。毛沢東時代、ペットのイヌは、ブルジョアの退廃の象徴として遠ざけ られていたが、生活水準の変化により、過去10年間に徐々に一般的になっている。
[Mod.TY- 狂犬病による死者はどの省や市で発生したか、また、ペット動物と野良犬の感染・暴露の割合についての情報に興味が持たれる。この記事からは、ヒトへの暴露後接種用ワクチンが問題だったのか、イヌ用の狂犬病ワクチンの品質が疑われているのか、明らかではない。いずれにおいても、安全で強力な狂犬病ワクチンが、ヒトと動物の狂犬病対策の根幹である]

● 破傷風 米国
PRO> Tetanus, injection-related - USA (NY) ex Dominican Republic (02) 20070612.1915
[1] 投稿者 California Department of Health Services、Kathleen Harriman, PhD, MPH、6月11日
最も考えられる説明は、彼女が注射の際に皮膚に破傷風菌を保菌していたためであろう。(注射の前に消毒に使用されたとしても) アルコールには、クロストリジウム属の殺菌作用はない。破傷風は、注射による薬物使用者に発生している (1) さらに、(エピネフリンのような)血管収縮作用のある製剤を含む注射が行われたとすると、嫌気条件を助長し、クロストリジウム属による感染の危険を高める。このような事例が、エピネフリンやアドレナリンの注射後に_Clostridium perfringens_によって発生している (2) 
[2] 投稿者 独 ・ ドュッセルドルフ 旅行医学センター Dr. Burkhard Rieke DTM&H (Liv.)、6月12日
問題とされている商品名は、Dolo-Neurobion (probably (R)) だと思われる。Merck 社製の Neurobion (R) は、ビタミンB1,B6,B12 を含んでいる。ドイツで販売されている Dolo-Neurobion は、鎮痛成分としておそらく Metamizol も含ん でいたと思う。Metamizol にプラスαした混合製剤は、その後 Metamizol の骨髄毒性 (他の成分のみが必要な際の過剰投与によるとされている) の危険が生じたため、販売禁止となった。旧商品名を使ったこのような薬剤は、多剤に よる治療が横行する貧しい国に多く出回っている。このコメントは破傷風の問題を除外する助けにはならないが、大衆の(不安の)閾値を沈めることにはなるかも知れない。症例報告を忘れずに]
関連項目 20070611.1904

● ペスト 米国、敗血症
PRO/AH/EDR> Plague, human, septicemic - USA (NM) 20070612.1914
 情報源 Santa Fe New Mexican [edited]、6月11日
ニューメキシコ州で、女性1名が敗血症ペストを発症(して回復)した。2007年4月以来、4例目のペスト感染例である。
州衛生当局は、50才女性1名がいかにしてペスト Plagueに感染したかを解明するため、2007年6月11日に、Santa Fe 南部の農村地帯の齧歯類を捕獲する計画を立てている。また、戸別訪問により、住民への注意喚起と、主に感染動物に寄生するノミによってヒトに感染する この重症感染症の、感染予防についてのパンフレットの配布を行う。この女性は入院してすでに回復しており、近所の噂になっている。この女性の病型は、敗血症性ペストで死亡する恐れがあり、発熱、嘔吐、下痢症、腹痛、血圧低下、凝固異常、臓器不全などの症状が発生する。医師は、すでに2007年4月以来州内 で 4件のペスト感染例が確認されており、良くない徴候であると語った。例年より湿潤な環境が数年続き、ペストの主な伝播者である、プレーリードッグやイワ リスrock squirrelsの個体数が増えている。齧歯類の増加に、この春が涼しく湿っていたことから、ノミが増殖したことで、2007年にヒトでのペスト症例が 増加する可能性があると、指摘されている。ペストに感染した齧歯類は、近くまで寄ってきていたが、屋内に入ることはなく、齧歯類のハンティングを好む、ノミ駆除をされていない、屋内のベッドやカウチに陣取るイヌやネコによる。... 2006年、ニューメキシコ州で8人がペスト患者と診断され、うち2人が死 亡した。衛生当局によると、直ちに適切な抗生物質で治療されることにより、死亡の可能性は低下する。2007年のニューメキシコ州の患者
The 1st(4月後半)San Juan County 、男性、回復
The 2nd (6月5日)Torrance County 、女性、入院中
The 3rd  Bernalillo County、3才男児、6月7日に死亡
最新 50才女性、回復後入院中

● デング熱/デング出血熱
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2007 (24) 20070612.1912
 情報源:ChinaView, Xinhua News Agency report [edited]、6月7日
現地の衛生当局は、2007年6月7日、東南アジアへの商用旅行の後、11人がデング熱 Dengue に感染し、さらに2人が検査陽性となったことを確認した。広州にある測量会社の従業員23人のうちの13人は、2007年3月に中国を出発し、東南アジアの国の水力発電計画の予備的調査を行っていた。国名については明らかにされていない。13人のうち11人は、2007年4月11日から5月14日までに、高熱を発し、関節痛、嘔気、紅斑が出現した。一部は海外でマラリアと診断され、現地で治療されていた。会社はこれらのグループを2班に分けて召還し、4月14日に帰国した2名と、5月21日および30日に帰国した残りの21名の中で、初めの2人うちの1人が4月16日にデング熱を発症し、市当局が直ちに調査を開始した。5月30日に帰国した21人のうち、12人がデング熱ウイルスを保有していることが確認されたが、10人は感染から回復していることが判明し、残る2人は無症状であった。最後の患者が5月14日に発生してから3週間の観察期間中、新たな疑い患者が出ていないことから、当局は感染拡大の可能性を否定している。...会社周辺の蚊族の駆除などの対策。
[Mod.TY- ネッタイシマカ_Aedes aegypti_の個体数を知ることは興味深い。また東南アジアのどこで感染したのかについても、関心がある]
地図 中国 

タイ
 情報源:ChinaView, Xinhua News Agency report、6月7日
タイの公衆衛生省は、2007年6月7日、2007年の全国のデング熱患者数が1万人を超え、14人が死亡したと発表した。2007年6月7日、合計11574人のデング熱患者が全国で確認されていて、大部分が10-24歳の年齢層にあり、特に中央部、北東部および南部のタイに多いと、当局者が述べた。デング熱の最も危険な季節は6月だが、例年に比べ早い時期からの降雨によって、以前の予想より2007年は悪化することが懸念されている。極南部far Southでの暴動により、蚊族対策より困難になっているとも述べた。

マレーシア
 情報源:People's Daily online, Xinhua News Agency report [edited]、6月6日
2007年5月28日から6月3日にかけて、マレーシアで合計994人のデング熱患者が報告されたと、保健省疾患対策局長が述べた。[全国の20の地域について調査が行われた] 5月22日から6月2日の間に、Selangorでは338例が、クアラルンプルKuala Lumpurは第2位で127例が、Kelantanからは80例が報告されている。Johor, Kedah, Perak, Negeri Sembilan, and Sarawak の各州も前年比べ増加している。「クアラルンプルの患者数は、145人から127人に減少した。 Pahang, Melaka, Sabah, and Terengganuの患者も減っている。」と述べられている。
地図 マレーシア 

シンガポール
 情報源:Today online [edited]、6月12日
新たなデング熱に関連した死者が発生し、2007年の第2例となった。Hougang 在住の63歳の男性1名が、入院先の病院で2007年6月6日に死亡した。この男性は、先週発熱のため一般医を受診したが、状態が悪化したため、病院に入院し、検査の結果急性デング熱感染症を診断された。彼は、2007年4月に85歳の男性1名が死亡した原因となったのと同じデングショック症候群により死亡した。この最新の死亡例は、前週の227例から293例にふたたび患者数が増加した中で発生した。活動性のデング患者集積(流行)active dengue clusterも54件と、前週より4件増加している。最も感染流行が深刻な地域は、Jalan Songket, Aroozoo Avenue, Boon Lay Drive, West Coast Drive, West Coast Road, Ho Ching Road, and Tao Ching Roadである。...付近に蚊族の繁殖場所を持つ家の状況、2006年より89%増の患者数2472人など。

インド(ムンバイ Mumbai)
 情報源:Gulfnews.com, Asian News International report、6月7日
モンスーンの季節を前に、デング熱患者数が急増し、ムンバイではデング熱に対する不安が高まっている。大都会の郊外にある各病院から、多数の発熱患者が報告されており、その多くがデング出血熱の診断を受けた。ムンバイのMira-Bhayandar区のデング熱疑い患者数が、警戒を要するほどの増加を示しているのは、衛生状況の悪化によるものとされている。いたるところに放置されている汚水やごみが蚊族を増やし、デング熱などの病気が発生していると説明されている。
[Mod.TY- ムンバイにおける、デング熱とデング出血熱患者数を示してもらいたい]
地図 インド 

ブラジル
 情報源:Diario da Noticia [in Portuguese] 、6月7日
デング対策の効果が薄れている。2007年の初めの4ヶ月間に、デング熱の患者数は前年比20%の増加となり、患者数は24万6833人で、このうち288人がデング出血熱DHFであった。死者は38人で、前年同時期に比べ10-15%の増加となっている。7月には、WHO汎米事務局から、専門家らがブラジルを訪れることになっている。Mato Grosso do Sul 州だけで、2007年の雨期の間に68000例の患者が発生した。同州内には蚊族の繁殖場所が多数存在する上、住民らには3型に対する免疫がないため、患者数が爆発的に増えたと説明されている。しかし、同じく3型に脆弱なはずのMinas Gerais 州では沈静化しており、現地活動と住民の協力により、患者数の爆発的な増加は防げると話した。...
地図 ブラジル 

● 魚類の死亡 南アフリカ:メラミンか
PRO/AH/EDR> Fish mortality - South Africa: melamine?, RFI 20070612.1919
 投稿者 南ア・Dr Anna Mouton BVSc、2007年6月12日
米国から輸入された孵化場のニジマスが死亡し、エサにメラミンが含まれていた。
商用孵化場でニジマスの幼魚fryの死亡事例が2件発生した。いずれの事例も、米国から輸入された3倍体の魚卵であった。初回は2007年2月に搬入され、 2回目は4月である。孵化と遡上swimup に異常はなかった。...詳細な経過(飼育・発育過程)...、剖検により、肝臓を中心とした全身蒼白が認められ、寄生虫は確認されなかった。ウイルス検 出の試みも成功しなかった。腎尿細管 renal tubuleに好酸球性物質による軽度の腎症が認められ、肝は過剰の脂肪が認められたなど。2度目の事例で、エサの中へのメラミンの混入についての検査が 行われ、約45ppmの濃度であったことが判明している。これが原因だろうか?魚類には同じエサが与えられ続けており、エサにはダイズ油粕や全粒full fatのダイズも含まれていたが、その成分割合については承知していない。...原文参照お願いします。
[Mod.TG- 一見メラミン の混入によるものに見えるが、エサや腎にシアヌル酸類cyanuric acidは含まれていなかっただろうか。米国内の限定的な研究で、メラミンとシアヌル酸の組み合わせが、単胃monogastrics動物の死亡原因とな ることが示されている]

● 原因不明の疾患、ウシ インド
PRO/AH/EDR> Undiagnosed illness, bovine - India (Orissa): RFI 20070612.1918
 情報源 TelegraphIndia.com、6月8日
インドで、頚部の腫脹後に死亡するウシの疾患が発生し、150頭以上が死亡した。
Dimirikuda および under Deogarh districtにおいて、150頭以上のウシが原因不明の疾患で死亡している。この死亡により農場主らは混乱しており、200頭以上のウシが同じ症状を 発症している。「初めに首に腫脹が現れ、流涎が増え、24時間で死亡する。」と当局者が説明した。現地に調査に向かった。「死体を深い穴に埋めるようアド バイスしている。しかし、多くの農場主は我々の指示に従わず、状況が悪化する可能性がある」と述べ、予防的にワクチン接種がフル回転で行われてい る。...
[Mod.AS- 2006年にもちょうど同じ頃に、同様のイベントが Orissa 州のウシで報告された 20060602.1537。情報提供を依頼したが、回答がないままとなっている。首の腫脹"Neck swelling"(昨年は"swollen throats" )は、浮腫を示唆する。このようなウシでの臨床病理学的変化は、ウイルス、細菌、寄生虫、毒物いずれの原因でも発生しうる。昨年と今年の同時期に発生した ことは、季節性のパターンを示唆し、自然界では、(アルボウイルスのような)感染、(ダニなど)寄生虫、(有毒植物など)中毒の可能性がある]

● 原因不明の疾患、ブタ 中国
PRO/AH/EDR> Undiagnosed disease, porcine - China (10) 20070612.1913
[1] 情報源 China daily, Xinhua News Agency report、6月11日
中国政府主席獣医官は、2007年6月11日、blue ear pig diseaseによる感染は、2007年に入ってからの5ヶ月間で、22の省の45858頭になったと発表した。豚生殖器呼吸障害症候群 porcine reproductive and respiratory syndrome (PRRS)としても知られるこの病原性の強い疾患は、18597頭のブタを死亡させ、5778頭の処分につながった。Blue ear diseaseは、1987年に初めて米国で確認され、1990年代半ばに中国に拡大した。このウイルスはヒトには感染しない。2006年夏の中国で初め て、病原性強い株が確認され、2007年1月に変異による高病原性株であることが確認された。変異し致死率が高くなった。中国政府は、南部広東省 Yunfuのブタで同ウイルス感染が発生したことを2度にわたりFAOに報告している。高熱性疾患により死亡しているブタの多くは、PRRSによるもので あるが、他のウイルスによっても死亡する可能性がある。ブタの個体数の0.2%が高熱性疾患により死亡したと説明されている。..ブタ肉の価格高騰、90 日で開発し、2007年5月に12社に対して製造が認可された、新株に対するワクチン接種など。
[2] ブタにおける原因不明の高熱性疾患の原因分析と対策
 情報源 China Livestock Equipment Network [in Chinese]、5月5日
最 初、2006年の5月に江西省発生した、原因不明のブタ高熱疾患は、北部および南部の各省(湖南省、湖北省、江西省、河南省、河北省、雲南省、広東省の一 部、広西荘族自治区、山東省西部、浙江省、福建省、安徽省、北京/天津/唐山、遼寧省、吉林省、内モンゴル自治区など)に拡大している。罹病率は50%以 上を超えて、急速に拡大し、致死率は50-90%にも上るとされ、農場によっては100%の致死率となっている。...検査室の検査結果から、人獣共通感 染症は除外されている。同時に、OIE 推奨の検査方法により、アフリカ豚コレラも除外された
[Mod.AS- 特記すべきこととして、2006年9月14 日の中国政府のOIEへの報告の中で、Manual of Diagnostic Tests and Vaccines for Terrestrial Animalsで推奨されているPCRを用いて、感染したブタ80匹のアフリカ豚コレラASFの検査を行った。全ての検査結果は陰性であり、ASF の可能 性は除外されたとある。最後のコメント参照]。現在、感染頭数は有意に減少しており、感染流行は改善傾向にある。しかし、いくつかの農場で再燃があり、以 前状況は深刻である。初めの感染流行を免れた農場も、2度目の流行も免れるとは限らない。典型的な病気では、ほかのブタはある程度の免疫を獲得し、次回の 感染流行発生時は1回目に比べ軽症化するものであるが、今回は通常の感染症とは異なっている。
[3] 中国政府獣医学当局、2006年に100万頭のブタを処分
 情報源 Reuters Alertnet、6月11日
後にblue ear diseaseとされた、昨年の高熱性疾患で、中国政府は約100万頭のブタを処分していた。...
[Mod.AS- PRRS を含む、多系統疾患症候群であるブタ高熱性疾患が発生したとされた中国の省は7つであった(20070606.1828)。...2007年 5月5日の非公式情報によれば、10の省(省略)であり、17となった。PRRS 発生は22省とされている現在の政府獣医学当局の公式発表の数字に近づい た。(公式、半公式、非公式、中央、地方、海外など)様々なソースからの、病因や分布の相容れない内容のSHFDの情報の洪水の中で、詳細で直接的な、 (豚コレラ、ASF, 鳥インフルエンザ、口蹄疫などの)全ての病原体に対する検査室の結果に基づく各省からの当局の情報が提供されるまで、さらにでき得れ ばOIEへの報告がなされるまで、予断できない。ASF の確認のためにOIEへの報告委託研究所へ検体を送付することを改めて主張する]
地図 中国の自治区分

● ブルータング ドイツ
PRO/AH/EDR> Bluetongue - Europe (13): BTV-8, Germany, susp, RFI 20070612.1911
[1] Update on European situation - stakeholder note
 情報源 Defra Emergency Response Capability Team, Food and Farming
Group、2007年6月11日
[2] 情報源 BBC Radio News - Farming Today 、2007年6月11日