2007年12月19日

インフルエンザA H2N3、ブタ 米国、パンデミックの可能性

● コレラ
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2007 (65)
Archive Number: 20071219.4087
コンゴ民主共和国
 情報源:Medecins Sans Frontieres 、12月19日。
Medecins Sans Frontieres (MSF、国境なき医師団) は、住民たちが感染の可能性が著しく高い地域に住んでいる、North Kivu の状況について警告を発している。東部での内戦が激化し、人口の移動が増えている。...2007年11月中旬以降、Masisi,Kitchanga, Rutshuru, Nyanzale and Goma の各地に、数万人の難民が到着したが、医療施設へのアクセスは難しい状況である。
Rutshuru の現在の問題はコレラ Cholera である。11月中旬以降、1200人以上が治療を受け、現在も受診者が絶えない。... Goma 地方において、2007年9月以降1600人以上のコレラ患者が治療されている。 
マラウイ 
 情報源:Nyasa Times 、12月18日
マラウイ政府は、2007年12月21日から Nkhatabay 地区で、2007年のコレラキャンペーンを開始すると、保健省が述べた。マラウイではすでにコレラ感染流行が発生している。「コレラはすでに流行していると言わなければならない。12月16日までに、291人の患者が登録され、このうち死者は2名であった」と、説明した。...2006/2007の患者は、Nkhata Bay, Machinga, Phalombe, Nkhotakota, Mangochi and Nsanje の各地区から報告された。 
ウガンダ
[1] Cholera - Uganda: (Buliisa) 
 情報源: AllAfrica.com and New Vision (Kampala) 、12月19日
2007年12月14日、Buliisa地区当局は、自宅の農場に pit latrines 落下式トイレを作ったとして、100人以上を逮捕した。この地域でコレラ感染流行が発生し、8人が死亡し156人が各病院で治療を受けたことにより、処分が行われた。この地区の 58%以上の家にはトイレが設置されていない。行政の責任者は、近頃メディアが4日間でコレラにより15人が死亡したと伝えたことを否定したが、先週小児が1人死亡し、10月から12月の間に8人の死亡があったことを明らかにした。 
[2] Cholera - Uganda: (Nebbi) 
 情報源: AllAfrica.com and The Monitor (Kampala) 、12月17日
2007年11月前半から、Nebbi District において、過去最悪のコレラ感染流行が発生し、連日平均10人の新患が登録されていると、保健当局者が述べた。Parombo, Akworo and Panyimur の3つの亜郡で始まった今回の感染流行は、7つの亜郡にも拡がり、合計10の亜郡で発生した。最新の統計によると、地区内では、感染流行開始以来、331例の患者が記録されており、4人が死亡している。2006年、地区全体で110人以上が発生した。Panyimur のDei landing site(漁港?)を中心に、漁業による莫大な(impressive) 収入があるものの、1970年代以降医療施設などのインフラの整備がほとんど行われていない。ボーリングによる地下水の供給を受けているのは、少数の特権階級のみである。 
ケニア(Nyanza)
 情報源:Agence France-Presse 、12月18日
ケニア西部で、この数週間に、コレラ感染流行により7人以上が死亡し、ほか33人が感染したと、2007年12月17日に Suda 地区保健当局者が述べた。当局は必死に取り組んでいる。死亡した中には、Sindo and Mbita trading posts(交易所)で死亡した小児3人と成人4人が含まれている。首都ナイロビ Nairobi から北西へ約330km 離れた、感染発生地区の3つの医療施設に、合計33人の患者が入院している。公共のレストランやマーケットは封鎖され、住民らには、衛生遵守が呼びかけられている。 
[Mod.LL- ProMED-mail では、最近、ケニアのSiaya districtにおけるコレラ感染流行が報告されている] 
ジンバブエ(ハラーレ)
 情報源:AllAfrica.com and SW Radio Africa (London)、12月14日
今週はじめのコレラ感染流行発生の報告は、ハラレ Harare 全体に重大な衛生上の脅威をもたらせている。首都の専門家は、コレラ感染流行は市民に上水道を供給できない市議会の無能に起因するとしている。ハラレ市民の多くは、市郊外の渓流や井戸からの水に頼っている。市民に対して、処理されていない水道水を供給している国立公社への不満も多い。国営である同当局は、2006年にハラレ市から上下水道を網羅する義務を引き継いでいる。...その惨状の説明... 最も被害が深刻となっているのは、市東部のMabvuku であると言われている。..これまでに、 Mbare, Budiriro and Glen View の各地からも患者の報告があり、500-2000名の症例が発生している。

● インフルエンザA(H2N3)、ブタ 米国
PRO/AH/EDR> Influenza A (H2N3) virus, swine - USA
Archive Number: 20071219.4079
 情報源:Proc Natl Acad Science USA Early Edition 、12月17日
[Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA (PNAS、全米科学アカデミー会報)オンライン版に掲載された論文の要旨で、ヒトのパンデミックウイルスのprecursor 前兆となりうるウイルスの特徴について記載されている] 
アイオワ州立大学Wenjun Maをはじめとする、筆者の紹介(原文参照願います)。 
要約
インフルエンザ Influenza A ウイルスの16の HA サブタイプのウイルスは、いずれもヒトへの病原性をもつ可能性があるが、これまでにヒトでの病原性が確認されているのは、H1,H2,H3サブタイプ(亜型)のウイルスのみであった。H2亜型インフルエンザウイルスは、1968年以来ヒトでの感染循環からはずれて(absent)おり、その意味で潜在的にヒトパンデミックウイルスとなる恐れがある。
今回、米国の2つの農場の発病したブタから、遺伝学的に相同性であるトリ/ブタウイルスの再集合株の H2N3型インフルエンザAウイルスを分離・解析した。
これらのウイルスは、H2タンパクの226番目の位置がロイシン leucine となっており、このことにより、ほ乳類のアルファ-2,6Gal関連シアル酸ウイルスレセプターへの結合親和性が強化されている。このため、この H2N3型ウイルスは、実験的に感染させたブタとネズミで、前もって馴化させることなく病原性を示した。さらに、ブタ H2N3型ウイルスは、ブタやフェレットにも感染し、強い伝染性を示した。
以上のことから、これらの知見は、H2N3型ウイルスがほ乳類宿主に対してある程度の順応性を獲得しており、感染の拡大に対して、厳重な監視が必要であることを示唆している。 
[Mod.CP- 現在、H5N1型鳥インフルエンザAウイルスが、ヒトのパンデミックウイルスに進化することに注目が集まっているが、そのことが、同等あるいはそれ以上にヒトパンデミック病原体となりうる可能性をもつ、環境中に存在する他の前駆ウイルスに対する注意をそらせることになってはならない]

● ブルータング 英国、ドイツから
PRO/AH> Bluetongue - Europe (64): BTV-8, research, UK ex Germany
Archive Number: 20071219.4080
[1] 欧州への感染源などについての、調査研究が進まないことへの不安。 
 投稿者:独・Sabine Zentis、12月19日
[2] なぜ輸入元のドイツで、感染していたウシのブルータングが確認されなかったのか。 
 情報源:Farmers Guardian 、12月19日
なぜドイツの感染のあったウシが、先週 Middlesbrough の農場へブルータングを持ち込むこととなったのかについての調査が開始された。ドイツの感染発生地域内の Lower Saxony から輸入されたこのウシは、輸入後検査で感染が確認され、処分された。このことは、英国の感染清浄地域に、許可されて EU のブルータング発生地域から入ってくる動物の安全性に対して、疑問が投げかけられることとなった。英国 DEFRA の当局者は、「ドイツでのブルータングが検出されなかった理由に重大な関心をもっている。DEFRA [Department for Environment, Food and Rural Affairs] は、外国において、期待どおりの積極的な動物の検査が行われているか、確かめなければならない;明らかに今回の症例は網の目をくぐり抜けており、二度とこのようなことを許すわけにはいかないと述べた。

● サトウキビの病気、黒穂病 オーストラリア
PRO/PL> Smut, sugarcane - Australia (QLD) (03): update
Archive Number: 20071219.4078
[1] 黒穂病感染が、引き続いて発生する恐れがある
 情報源: Australian Broadcasting Corporation News 、12月14日
Cane などの真菌性疾患である黒穂病が、きたる2008年にもクイーンズランド Queensland 州北部発見される見通しとなっている。
[2] Maryborough 地域で、黒穂病 Smut が続いている。 
 情報源: North Queensland Register 、11月26日
Maryborough 地域で黒穂病 Smut が確認され、サトウキビの成長を妨げる疾患の拡大が続いていることが判明し、避けられない事態が確定された。 
[3] 黒穂病対策の会議が招集される。
 情報源: North Queensland Register 、11月23日
Qld 州のHerbert River 地方で、サトウキビの黒穂病が増加していることを受け、Bureau of Sugar Experiment Stations (BSES) Limited は、黒穂病に強いサトウキビの品種について、議論するための会議を開催する。