2008年1月27日

パラチフス 米国、冷凍魚
鳥インフルエンザ、ヒト 季節性インフルエンザワクチン

● パラチフス 米国
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, serotype Paratyphi B, raw tuna - USA
Archive Number: 20080127.0343
 情報源:Honolulu Advertiser 、1月26日
各州衛生当局および FDA は、輸入された冷凍 'ahi  が生食されたことによる、ハワイ、コロラド、カリフォルニア各州での、サルモネラ菌を原因とする疾病 Salmonellosis 調査を開始した。ハワイでは例年300例以上のサルモネラ菌による食中毒が発生している。調査が急がれている最近発生した32例は、2007年10月27日から12月29日にかけて報告された。これらの患者は、ハワイで通常認められているものとは異なるサルモネラ菌株であったため、注目されていると、当局は説明した。パラチフス菌 _Salmonella [enterica_ serotype] Paratyphi B, は、白魚の燻製、未殺菌のミルクやヤギのチーズ、アルファルファのスプラウトなどに関連して発生し、通常1年間でおよそ10例が報告される程度である。ornamental fish(観賞用の魚のこと?)、カメ、は虫類に関連して発生することもある。ハワイでの感染流行は、オアフO'ahu島で発生し、32人中5人が入院を要した。2008年に入ってからも、同菌の感染が疑われる症例が発生しているが、確定されていない。..調査など。

● 鳥インフルエンザ、ヒト 対策
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (18): control strategies
Archive Number: 20080127.0342
[1] 季節性インフルエンザワクチンが有用である可能性 
 情報源: Guardian Unlimited, Reuters report、1月25日
以前に季節性インフルエンザワクチン(以下、flu)を接種されたことのある動物は、実験的に使用されている H5N1型鳥インフルエンザ Avian influenza ワクチンにより迅速に反応することが、研究により明らかとなった。多くの医師は、flu ワクチンは、H5N1型ウイルスに対する予防効果がほとんどないか、無効であると信じている。
インフルエンザワクチンを製造するバイオテクノロジー関連の MedImmune Inc 社による研究によれば、flu ワクチンを接種されたフェレットは、その後に H5N1型ワクチンを接種されるたときに、より反応性が高まることが観察された。「もしも通常の flu ワクチンを受けていれば、H5N1型ワクチンへの反応がより良好となる」と、同社の研究員がバンコクでの鳥インフルエンザ会議で発表した。
ローマ Rome の国立感染症研究所の研究者らは、12月の EID 誌の論文の中で、通常の flu ワクチンにより、わずかながら鳥インフルエン ザに対する抵抗性が認められたことを明らかにしている。この研究は、毎年 flu ワクチンを受けることで、H5N1型ウイルスから身を守ることができるとい う考え方を、初めて支持した内容であった。研究室において、血液中にH5N1型ウイルスを添加したところ、ボランティアの一部で、抗体と呼ばれる免疫タンパクの鳥インフルエンザウイルスに対する抵抗性が認められた。Med Immune での研究では、フェレットのうちの1つのグループには flu ワクチンが接種され、対照群には何も接種されなかった。[40日経過後]2つのグループに、 2003年の香港と2004年のベトナムの感染流行で採取された seed virus から創薬されたH5N1型ワクチンが接種された。その後、抗H5N1型抗体の産生について観察が行われた。...45日目に2つのワクチンを 接種されていたフェレットには、大量の抗体を産生する細胞が認められたが、対照群には抗体反応は見られなかった。「おそらく、flu ワクチンによって、 H5亜型ワクチンへの反応が促進される免疫反応が誘導された」と説明した。いずれのワクチンも鼻腔スプレーにより投与された。 
MedImmune 社は、2003年に初めての経鼻インフルエンザワクチンを導入した。 
[2] Engineered antibody 
 情報源: CIDRAP News, Reuters report、1月25日
オランダのバイオテクノロジーの会社 Crucell 社の研究員は、バンコクでの国際鳥インフルエンザ会議で engineered (創薬による)ヒトモノクローナルH5N1型ウイルス抗体が、複数のウイルス株による感染からマウスを防御したことを発表した。Crucell 社は、9人 のドナーから採取した抗体のフラグメントと、ベトナムとインドネシアで発見された2つの H5N1型ウイルス株を混合し、ヒトの抗体を作成した。同社の抗体 発見プロジェクトの責任者は、試験管での実験では、創薬された単クローンの抗体が、複数のH5N1型ウイルス株を中和したと説明した。ウイルス株には、 1997年の香港、2005年の香港、2003年のベトナムで分離されたウイルス株が含まれている。動物実験においては、研究者らはこの engineered antibodiesを、通常では致死量にあたるH5N1型ウイルスを3日前に投与されていたマウスに注射した。全ての動物で防御作用が認められた。 "It reduced their disease and they became well again."と述べた。 
[Mod.CP- これらの報告は、ヒトでのH5N1型インフルエンザ パンデミックの脅威に対応すべく開発が進んでいる研究に、興味深い、新たな成果を示した。複数の鳥インフルエンザウイルスに対しての交差中和能を有する engineered (humanised ?) のモノクローナル抗体の開発は、有望な結果となった。動物実験からヒトへの応用はまだ行われていないが、効果的に治療薬が開発さ れる、良い見通しである。季節性インフルエンザワクチンを前もって接種することによる、相乗効果に付いての確認は、動物実験によって支持された。現時点 で、この防御効果の程度を評価することは困難である。前のインフルエンザパンデミックは、季節流行性のインフルエンザウイルス株に対する自然免疫のある人 々に発生した。それでもなお、季節性インフルエンザウイルスに対するワクチンの接種は有害作用をもたらせるとは考えにくく、その他の理由からも推奨される べきである]

● ペスト 米国
PRO/AH/EDR> Plague, human, feline - USA (NM): early season cases
Archive Number: 20080127.0340
 情報源:Carlsbad (NM) Current-Argus 、1月25日
Eddy 郡の50歳男性1名が、ニューメキシコ州では、2008年第1例目のペスト Plague 感染症例であることが確認された。この男性は入院したが、現在は回復して自宅に戻っていると、2008年1月25日に州衛生当局が発表した。Eddy 郡の住民がペストに感染したとの報告は、これが初めてのことであった。この男性は、発病数日前にウサギ猟と皮は剥いだ時に感染した可能性が高いと考えられている。当局は、ほかのウサギがペストに感染していないか、調査を行うことにしている。
さらに当局は、8人が危険な病型である肺ペストに曝露した可能性があることを明らかにした。Santa Fe 郡のネコ1匹が、死亡直前に肺ペストとなった。8人全員が、肺ペストを予防するために、抗生物質の治療を受けている。
ペストはげっ歯類の細菌性感染症で、感染したノミの刺咬によってヒトにも伝播される。また、感染した動物との直接の接触によっても感染は成立する。多くの患者は、感染後2-7日後に発病する。ヒトでの腺ペストの症状には:発熱;悪寒;そけい・えき窩・頚部部の有痛性リンパ節腫脹;時に頭痛、嘔吐、下痢などがある。敗血症性ペストは、ペスト菌が血中に拡がった状態で、高熱、腹痛、下痢症が起こる。肺ペストは、肺での感染が発生し、ヒトからヒトへの直接の伝播が発生する。
ニューメキシコ州では、2007年に5人のペスト患者が発生し、うち1人は死亡した。2006年には州内で8人のペスト感染患者が報告され、3人が死亡した。2005年は4人だった。
当局の公衆衛生獣医師は、ハンターでは、獲物を取り扱う際に、感染した動物の血液や組織の細菌が、皮膚の傷を通して血中に入り、ペストに感染する可能性があると指摘している。感染動物の体には、感染したノミがいる可能性もあり、ノミの刺咬からペストに感染することもある。当局はハンターに対して、野生動物の死体を扱うときには使い捨ての手袋を使用し、その手袋を廃棄すること;動物を触った後にしっかりと手洗いすること;動物の毛皮に、ノミを殺す殺虫剤を噴霧することと勧めている。また、動物にノミが付いているのを見つけたら、その獲物はあきらめ、埋めるか、2重バックに入れてゴミ処理場に出すことを考慮するよう促している。 
[Mod.LL-ペストはいつでも発生するが、1年中でこの時期に、野生動物のペスト感染とそれによるヒトでの感染例は、めずらしい。ProMEDでは 2000年1月に、ニューメキシコ州のペスト感染患者を報告している(20000127.0138)。しかし、過去4年間、米国内の1年間で初めての患者が報告されたのは、2004年5月、2005年5月、2006年2月、2007年4月だった] 

● ボツリヌス中毒、美容および治療行為 米国
PRO/EDR> Botulism, cosmetic & therapeutic treatments - USA: alert
Archive Number: 20080127.0339
[1] Botoxによる治療にはリスクを伴う。 
 情報源: NBC10、1月25日
消費者団体の研究者らは、Botox はブラックボックス化された危険性を孕んでいると述べた。彼らは、FDAに報告された副反応報告を検証し、16例の死亡例を探し出した。Botox の製造者は、これらのリスクは、すでに薬剤ラベルに印刷されているとしている。Botox は、皮膚のしわをとることで有名だが、そのほかに拘縮した首の筋肉の治療に対しても認可されている。ボツリヌス毒素が体内に拡散し、重大な問題を起こしたものと、研究者らは指摘している。この報告には、筋力低下、嚥下困難、異物を肺に吸入して起こる重篤な嚥下性肺炎の症例について、詳細に報告されている。現在のところ、Allergan, Solstice and the FDAの当局者からのコメントは出されていない。 
[2](リスクを指摘した)消費者団体からの詳細なコメント 
 情報源: Public Citizen 、1月23日。

● リーシュマニア症、内臓 ブラジル 背景 
PRO/AH> Leishmaniasis, visceral - Brazil (02): (Mato Grosso), background
Archive Number: 20080127.0338 
 情報源 Gideon 、1月27日
内臓リーシュマニア症 Leishmaniasis が初めて報告されたのは、1934年のブラジルであり、リオデジャネイロ州からの初報告は1977年となる。症例の90%が北部(アマゾン川河口)と東部地区からの報告である。リーシュマニア症は、Alagoas, Bahia, Ceara, Espirito Santo, Goias, Maranhao, Mato Grosso do Sul, Minas Gerais, Para, Paraiba, Pernambuco, Piaui, Rio Grande do Norte, Roraima and Sergipeの各州に土着感染している。都市部での感染伝播が初めて報告されたのは、1981年のテレジナTeresina (ピアウイPiaui州)であった。大きな流行地域の1つは、ロライマRoraima 州からベネズエラやガイアナまで拡がっている。以下、時系列で流行発生を列記。

● 狂犬病 カナダ
PRO/AH> Rabies, canine - Canada (02): (ON)
Archive Number: 20080127.0345
 情報源:Special to The Globe and Mail、1月26日
トロント Toronto の多くの人々を震え上がらせている、脳を破壊する病気の最新の事例である、狂犬病 Rabies の子犬1匹が発見されたが、同州で最後に狂犬病で死亡した患者は、1987年にオタワ Otawa 近郊の Richmond でキツネの咬傷を受けた4歳女児であった。

● ブルータング 英国
PRO/AH> Bluetongue - Europe (04): BTV-8, UK (England)
Archive Number: 20080127.0344
 情報源: Farmers Weekly Interactive、1月27日
DEFRAは、2008年1月28日、Shropshire および Cheshireにおける、新たなブルータング Bluetongue 感染と確認される予定の症例を発表することにしている。