2008年2月1日

進行性炎症性神経障害 米国、豚精肉従事者
インフルエンザA(H1N1)ウイルス オセルタミビル耐性

● 進行性炎症性神経障害 米国
PRO/AH/EDR> Progr infl neuropathy, pork plant workers - USA: (IN,MN)
Archive Number: 20080201.0405
[1] 外因性のブタの組織がきっかけとなって、従業員らの免疫システムが作動し、自身の神経組織を攻撃した。 
 情報源: Associated Press (AP) 、2月1日
調査担当当局は、ミネソタ Minnesota (MN) およびインディアナ Indiana (IN) 州の豚肉工場の従業員らで報告されている、原因不明の疾患の解明に近づいており、1つの病名にたどり着いた(pin on it; 後述の病名PINとの韻) と述べた。CDCは、2008年1月31日、これまで進行性炎症性神経障害 progressive inflammatory neuropathy(PIN)とよばれている病態についての調査結果をまとめた報告を行った。
ミネソタ州当局は、ブタの頭部から脳を除去するために強力な圧縮空気のシステムが導入された10年前に遡り、かつて MN州オースチン Austin の Quality Pork Processors Inc の精肉場で働いたことのある数千人にまで調査の範囲を広げた。... 中略
これまでに原因としてトキシン(毒素)は除外され、患者らが、神経症状を発病する前の段階で、発熱などの感染徴候が認められていないことから、ウイルスや細菌の可能性も低い。残された可能性は、(ブタの)脳組織そのものである。専門家らによると、外因性のブタの組織がきっかけとなって、従業員らの免疫システムが作動し、自身の神経組織を攻撃したという。Mayo clinic やニューヨーク New York 州コロンビア大学の専門家らが、現在、ブタの脳組織が患者の従業員らの免疫細胞に障害を与えるようすを調べる方法を開発中である。結果の判明までに数ヶ月を要するものと見られている。 
[2] CDC Report Investigation of progressive inflammatory neuropathy [PIN] among swine slaughterhouse workers -- Minnesota, 2007-2008 
 情報源:CDC. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2008;57 (early release): 1-3.、1月31日
2007年10月29日のミネソタ州保健局への通報に始まる、ミネソタとインディアナのブタ処分場職員らに見られた、原因不明の神経疾患についての報告。

● インフルエンザA(H1N1)ウイルス オセルタミビル耐性
PRO/EDR> Influenza A (H1N1) virus, oseltamivir resistance (03): Europe
Archive Number: 20080201.0399
 情報源:Eurosurveillance edition 2008; 13(5)、1月31日
 [*FORTH感染症速報・公式情報より] 
ヨーロッパで感染循環するインフルエンザウイルスの抗ウイルス薬感受性サーベイランスが2004年以来実施されている。2007年11月~2008年1月 の A(H1N1)ウイルス分離株の解析結果から、約14%というかなりな割合のウイルスが、抗ウイルス薬であるオセルタミビル (タミフル) に耐性であり、 しかしザナミビル (リレンザ) およびアマンタジン/リマンタジンに感受性であることが判明した。
[Mod.CP- ヨーロッパ18カ国 (Austria, Belgium, Bulgaria, France, Hungary, Ireland, Italy, Lithuania, Luxembourg, Northern Ireland, Poland, Portugal, Romania, Slovenia, Spain, and Switzerland) の患者から、オセルタミビル耐性のH1N1インフルエンザウイルスが分離されたと報告されている。これまでに検討された全ての患者のオセルタミビル耐性 は、ウイルスのノイラミニダーゼの274 (H274Y) アミノ酸残基が、ヒスチジンからチロシンに置換されていたことによるものと結論づけられている。興味深いことに、全てのオセルタミビル耐性 ウイルスは、他の抗ノイラミニダーゼ薬であるザナミビル(リレンザ)への感受性が残されている。耐性ウイルスと、インフルエンザに通常見られない症状との関連死は示されていない]

● コレラ
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2008 (08)
Archive Number: 20080201.0411
ウガンダ(カンパラ)
 情報源:The New Vision 、1月31日
カンパラ Kampala に再びコレラが発生した。合計6人がコレラ隔離病棟に入院した。カンパラ郊外の Kamwokya にある Kifumbira zone の家族4人が含まれている。当局は、4人でコレラが確定診断されたと述べた。男性と妊娠中の妻、それに8歳と10歳の息子が入院したのは、2008年1月27日のことであった。
コンゴ(民)(カタンガ) 
[1] 情報源:Medecins Sans Frontieres (MSF) 、1月29日
2008年1月はじめから、国境なき医師団 MSFは Lubumbashi, Bukama, and Likasi の各市で、1700人以上のコレラ患者を確認している。 
[2] 情報源:Agence France-Presse (AFP) 、1月31日
2008年1月に、コンゴDR南部のカタンガ Katanga 州で、死者59人を含む2000人以上のコレラ感染患者が発生した。
ソマリア(Banadir)急性水様性下痢症
 情報源:Medecins Sans Frontieres (MSF)、1月31日
MSFは1994年以来、モガディシュ Mogadishu の Yaqshid 地域で、初期診療クリニックの活動を行っている。Balcad and Kaaran の両地域は、比較的治安が安定しており、4ヶ所の MSFの外来クリニックに、多少の制約はあるものの、アクセスが可能である。2007年11月、MSFのチームは12061件の相談を受けたが、その多くは母子保健に関するものであった。同月、MSFのチームは、急性水様性下痢症が50から78例に増加していることへの不安を経験した。12月には、Abdul-Azizに新たに入院可能な50床の小児科のクリニックを開設した。 
ナイジェリア 2007 
2 情報源:AllAfrica.com, This Day (Lagos) report 、1月31日
2007年、全国のコレラ感染流行により、合計1444人のコレラ患者と34人の死亡患者が記録された。流行が発生したのは、Borno, Jigawa, Bauchi, Kaduna, Edo, Delta, and Bayelsa States.の各州であった。 
インド(カルナータカ州)、コレラ 胃腸炎 
[1] コレラ、胃腸炎-インド(カルナータカ Karnataka 州) 
バンガロール Bangalore において、1例のコレラ患者が確認され、17人がコレラ感染の疑いがある。 
 情報源:Deccan Herald、1月30日
2008年1月29日、バンガロール Bangalore において、1例のコレラ患者が確認され、17人がコレラ感染の疑いがあるとして、Bharatinagar およびその周辺の隔離病院へ転送された。28歳の患者1名が、コレラの検査により陽性となり、隔離病院へ転送された。各地の病院で、新たな胃腸炎患者の例の報告が続いている。... 
[2] コレラ、胃腸炎-インド(カルナータカ Karnataka 州)
合計5人がコレラの検査の結果陽性となった。 
 情報源:The Hindu 、1月31日
合計5人がコレラの検査の結果陽性となったが、それぞれの患者はバンガロール内の別々の場所からの患者であるため、感染流行とは言えないと、2008年1月29日に保健家族福祉局の当局者が述べた。5人のコレラ患者の居住地は、Central Street in Neelasandra, Cox Town, Dooravaninagar, Economically Weaker Section Quarters in Kormanagala and Hoskoteである。
地図 Karnataka 、India 南部[1973年以前は the State of Mysore と呼ばれていた]:Bangaloreは州都である 
ラオス(Xekong) 
 情報源:UN Children's Fund (UNICEF) 、1月30日
2008年1月中旬までに、Thataeng および Lamam 地区のおよそ30の村にコレラ感染が拡大し、重症下痢症の362例と、そのうち3例の死亡が報告されている。 ラオス人民共和国南部で、およそ8年ぶりに発生したコレラ感染流行に、UNICEFおよび関係機関は精力的に対応している。ユニセフは、ラオス保健省、WHO、およびアジア開発銀行と密接に協力して対応している。感染流行は初め、農村部の Xekong Province で、2007年12月後半に確認された。2008年1月中旬までに、感染流行は Thataeng および Lamam 地区のおよそ30の村に拡大し、重症下痢症の362例と、うち3例の死亡が報告されている。現在、Xekong 州で感染が発生した2つの地区だけでなく、周囲の地域全体で、安全な飲料水の利用、トイレ、沸騰させた水の確保に努めていると、ユニセフ当局者は説明した。

● チクングニア 香港、スリランカから
PRO/EDR> Chikungunya (05): Hong Kong ex Sri Lanka
Archive Number: 20080201.0398
 情報源:Google-Sina.com、1月30日
香港の健康保護センターは、2008年1月30日に、2008年初のチクングニア Chikungunya 輸入例を確認した。2007年12月20日から2008年1月10日までスリランカを訪れていた34歳の女性1名である。香港特別自治区政府の情報サービスの発表によると、この女性は、12月27日に発熱と関節痛を発症し、1月16日に主治医を受診し、現在回復している。2008年1月30日にチクングニアウイルスが確定診断された。この疾患は、ヤブカ属によって感染伝播し、発熱、頭痛、関節痛の臨床症状を特徴とする。アフリカ、アジア、インド洋の島々で、感染流行が発生している。ワクチンはなく、今後も蚊族媒介性の疾患に対する注意が必要であると、当局は述べている。 
[Mod.TY-本件は、遠距離を移動した、チクングニア感染のある、新たな症例である。香港へ帰国する14日前から発病しており、2008年1月10あるいは11日に香港に到着したときに、ウイルス血症の状態であった可能性は低い。しかし、この報告には、現在の香港におけるヤブカ属のチクングニアベクターの存在と活動性は記載されておらず、当該あるいは他の患者がどこかでチクングニアウイルスに感染して香港に移動することによる、感染伝播発生のリスクの兆候があるかどうかは判らない]

● サリノマイシン中毒、ラクダ サウジアラビア
PRO/AH> Salinomycin intoxication, camel - Saudi Arabia
Archive Number: 20080201.0412
 情報源:Arab News、1月30日

● サトウキビの病気,Red rot インド
PRO/PL> Red rot, sugarcane - India: (Orissa)
Archive Number: 20080201.0401 
 情報源:The New Indian Express (Newindpress.com)、1月29日
オリッサ Orissa 州 Nabarangpur 地区全体で、2008年に 4856haのサトウキビが作付けされ、このうち 1214ha以上が red rot の被害を受けている。

● 炭疽、ウシ アルゼンチン
PRO/AH> Anthrax, bovine - Argentina (Buenos Aires)
Archive Number: 20080201.0400
 投稿者:アルゼンチン・Dr Ramon Noseda、1月31日
発生地:Mar Chiquita (同名の湖の近く), ブエノスアイレス Buenos Aires 州 2008年1月28日から、ウシが突然死亡し始めた。これまでに13頭が死亡した(11 cows, one calf, 2 bulls)。この estancia(牧場)では、かつてこのような感染流行が発生したことはないが、近年、この地域では感染流行の発生が続いている。獣医師の勧めにもかかわらず、ウシにはワクチンが接種されていなかった。ヒトでの感染例は発生していない。
地図 Argentina