2008年2月2日

インフルエンザ オセルタミビル耐性,小児の死亡
オンコセルカ症 カメルーン、イベルメクチン耐性

● インフルエンザ オセルタミビル耐性,小児の死亡(2件)
PRO/EDR> Influenza A (H1N1) virus, oseltamivir resistance (04): CA, USA
Archive Number: 20080202.0428
 情報源:Yahoo News, Reuteurs report 、2月1日
米国とカナダでタミフル耐性インフルエンザ報告 
WHOの報告では、米国、カナダおよび欧州の各地で、通常の季節性インフルエンザウイルスに、抗ウイルス薬タミフルに対する高度(高頻度)の耐性が生じ、パンデミックでの効果が疑問視されている。2008年2月1日、北米での耐性増加が報告されたものだが、H5N1鳥インフルエンザウイルスに対しても、タミフル耐性が増加するきっかけとなるかは、まだ判らない。ヒトでの鳥インフルエンザの治療に対して、タミフルの使用を勧めることに変わりはない。.... WHOは、今期インフルエンザウイルスシーズンのH1N1ウイルスに、これほどタミフル耐性が生じていたことは予想外で、高率の耐性化の原因は判らないと話した。米国 CDCは、検査を行ったH1N1ウイルスの 5%に、カナダでは、128検体中8検体で耐性が認められたと報告した。.. 欧州のタミフル耐性の状況 .. オセルタミビルへの耐性が認められたのはH1N1ウイルスのみで、H3N2 やインフルエンザ Bウイルスには耐性は認められていない。耐性H1N1ウイルスの治療には無効である可能性が高いものの、オセルタミビルは、他のインフルエンザウイルスの治療には有効であると言うことだと、WHO の当局者は説明した。季節性インフルエンザに対して広くオセルタミビルが使用されている日本や、香港では、耐性の増加は認められていない。... 
[Mod.CP-オセルタミビル耐性 H1N1インフルエンザAウイルスは、ヨーロッパの複数の国で確認されており、今回、北米からも報告が行われた。分離される頻度は、北米よりも欧州の方が高いようである。しかし、かなりの量のオセルタミビルが使用されている日本では、耐性の H1N1インフルエンザAウイルスがそれほど多くないことから、医師による使用状況の違いによって生じた違いではないと思われる。]

PRO/EDR> Influenza, pediatric mortality: CDC notice
Archive Number: 20080202.0426
 情報源:Health Alert Network 、1月30日
インフルエンザ、小児の死亡率:CDC 情報
CDC health advisory: 小児のインフルエンザ関連の死亡率および黄色ブドウ球菌との共感染
2004年以降、インフルエンザに関連する小児の死亡率のサーベイランスシステムが実施されている。2006年10月1日から2007年9月30日までの間に、73例の小児のインフルエンザによる死亡がCDCに報告されている。患者のうち69例は、細菌の共感染の有無が報告されており、30例(44%)に細菌感染が合併し、うち22例(30例の73%)は黄色ブドウ球菌_Staphylococcus aureus_による感染であった。2006-7年の死亡報告数は、それ以前の2期に比べて多く、黄ブ菌による肺炎や敗血症の見られた死者は、5倍増であった。2004-5および2005-6の期間、死亡例の黄ブ菌共感染の報告は、それぞれ1および3例のみであった。2006-7の黄ブ菌感染合併インフルエンザ死亡例22例のうち、15例は、MRSA(メチシリン耐性黄ブ菌)による感染であった。...死亡患者から分離されたインフルエンザウイルスは、一般のものと変わりはなかった。また、MRSAの菌株も、全米でMRSAによる皮膚感染(流行)を起こしている菌株と同じであった。医療従事者は、市中肺炎が疑われる場合も含め、呼吸器感染による入院患者には、インフルエンザの検査を行い、小児では、細菌とインフルエンザの共感染の可能性があることを知ったうえで、重症あるいは市中肺炎疑いの場合には細菌培養を行うことが求められる。インフルエンザ関連肺炎の初期治療の選択に当たっては、MRSAの蔓延があることを念頭に置かなければならない。インフルエンザの診断が確定した小児の死亡患者については、報告が求められる。 

● 鳥インフルエンザ、ヒト インドネシア、WHO 
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (22): Indonesia, WHO
Archive Number: 20080202.0421
[1] インドネシア - WHO confirmation of 102nd death 更新37 
 情報源: World Health Organization (WHO), CSSR, Disease Outbreak News、2月1日。 インドネシア保健省は、以前にH5N1感染の診断が確定されていた患者が死亡したことを発表した。このジャカルタJakarta州East Jakarta出身の31才の女性は、2008年1月31日に死亡した。インドネシアで感染が確認された124人のうち、102人が死亡した。 
[2] インドネシア - 致死率の解析 生きた家禽の市場と不適切な治療が、インドネシアの高い致死率の原因 
 情報源: Xinhua, China view 、1月31日。 
生きた家禽の市場の管理が不十分であることと、治療が不適切であることが、インドネシアにおける鳥インフルエンザ感染の死亡率が高いことの、2つの主な原因であると、インドネシアの鳥インフルエンザの専門家が、2008年1月31日に取材に答えて述べた。2003年以来インドネシアで鳥インフルエンザに感染した124人の患者のうち、これまでに101人([1]によると、現在102人)が死亡している。鳥インフルエンザ対策委員会のメンバーの1人は、インドネシアにおける高い死亡率は、H5N1ウイルスが薬剤に耐性であるためではなく、多くの患者が適切な治療を受けるのが遅すぎることにある。「生きた家禽の市場は、鳥インフルエンザウイルスが集まる場所となっている。鳥インフルエンザウイルスはどこへでも拡散する可能性がある。床、鳥かごなど、たくさんの場所でウイルスが見つかっている」と、語った。ウイルスに感染したニワトリが1羽市場に持ち込まれれば、鳥インフルエンザウイルスは、別のニワトリへと感染が拡がってしまうと説明した。家禽飼育者 faramer ではなく取引業者 trader であることが多い患者の多くは、初療が inappropriate 不適切であったと述べた。初めて受診した医師が、診断を誤った可能性があった。「初期の症状を見て、通常、医師は fever (発熱?かぜ?) だと考える」と説明した。患者は設備や薬剤が揃った病院にかかるべきであると述べた。インドネシアの鳥インフルエンザ患者の多くは、小規模のクリニックや開業医の治療を受けてから、病院での治療を受けたものが多かったという。鳥インフルエンザの感染拡大を防ぐには、養鶏場の設備を見直し、生きたトリの市場を管理しなければならない。ウイルスの生存を断ち切るため、消毒作業を行えるよう、少なくとも1日間は市場を閉鎖すべきであるとの意見を述べた。インドネシア農業相は、2008年1月31日、最も多くの鳥インフルエンザ患者が発生している、ジャカルタおよび隣接するバンテン州知事に対し、州内の生きた家禽市場の衛生向上を指示したことを明らかにした。政府が打ち出した予防策が、実施段階で困難を生じていると説明した。 
[Mod.CP-鳥インフルエンザの患者が、飼育業者ではなく取引業者に多い傾向にある事実は興味深く、包括的な解析が行われるべき事項である。] 

● オンコセルカ症 カメルーン

PRO/EDR> Onchocerciasis - Cameroon: ivermectin resistance
Archive Number: 20080202.0419
 情報源: Medical News Today 、2月2日
オンコセルカ症(回旋糸状虫症、Onchocerciasis)は、線虫_Onchocerca volvulus_を原因とする疾患で、この寄生虫は、流れの速い川で幼虫が育つ Simulium 属の black fly の1種によってヒトに感染伝播する。感染すると重症の皮膚病変以外に、非可逆性の視力喪失につながる眼障害をもたらせることもあり、このため "river blindness 河川盲目症" とも呼ばれる。この寄生虫に感染した3700万人の患者の大部分 --99%-- が、サハラ砂漠以南のアフリカの住民であった。
イベルメクチン Ivermectin は患者の体内を循環する寄生虫の幼生 embryos (the microfilariae) を殺し、この線虫の増殖を一時的に止める作用を持ち、オンコセルカ症対策に治療薬として使用できる、唯一の薬剤である。1995年以降、アフリカ・オンコセルカ症対策計画が、オンコセルカ症が発生しているアフリカ大陸28ヶ国のうち19ヶ国をカバーした。7000万人がこの(イベルメクチンによる)治療にアクセスすることが可能となり、有病率が有意に減少した。
しかし、2000年から2005年までの間に、毎年治療が行われていたにも関わらず、ガーナのある集落での感染例が倍増し、イベルメクチン耐性株の発生が懸念されている。1994年以降カメルーンの研究者らと共同研究を行っていた、モントリオールのグループは、カメルーンの患者のコホート研究で、13年間にわたって_Onchocerca volvulus_ の遺伝学的構造の変化を調査し、繰り返されるイベルメクチン治療に対して、線虫が適応した徴候とも考えられる特徴を発見した。
[Mod.EP -2007年、ガーナにおけるオンコセルカ_Onchocerca volvolus_のイベルメクチンに対する耐性が報告されている(20070719.2319)]

● マラリア、熱帯熱 欧州、インドから
PRO/EDR> Malaria, falciparum - EU ex India (Goa) (02)
Archive Number: 20080202.0418
 情報源:EuroSurveill 2008; 13(5) 、2月2日
ゴア Goa 州からヨーロッパへの熱帯熱マラリア輸入が続いている。 
European Network on Imported Infectious Disease Surveillance (TropNetEurop) に報告された、インド・ゴア州で感染した熱帯マラリア症例について。インドのゴアGoa(Candolim beach) とケララ Kerala に2週間滞在した、予防内服を行わなかった 50才代のスウェーデン人女性1名についての報告である(20080124.0294)。

● ノロウイルス、ホテル 米国
PRO/EDR> Norovirus, hotel - USA (CA)
Archive Number: 20080202.0414
 情報源: The Examiner, Redwood City 、2月1日
Redwood City hotelで飲食客らノロウイルスに感染 
2008年1月21-25日の週に数十人がノロウイルス Norovirus 感染流行により発病したのは、Redwood Shores hotel 側に、いくつかの衛生法令違反があったことが原因である可能性が出てきた。2008年1月24日に Hotel Sofitel で開催された、Redwood市 San Mateo 郡商工会議所のイベントに参加した62人が、ノロウイルスに感染していたことが検査により確定されたと、同郡環境衛生当局者により明らかにされた。約200人が年会の飲食パーティーに参加していた。

● 結核、ウシ 米国
PRO/AH> Tuberculosis, bovine - USA (CA)
Archive Number: 20080202.0429
 情報源:The Mercury News 、2月1日
Fresno郡の酪農場で、ウシ結核発生
Fresco 郡のウシの群れに、ウシ結核TBが発生していると、カリフォルニア California 州農業当局が 2008年2月1日に発表した。牛乳はほとんどが殺菌され、生乳に関してはTBの検査が行われているため、この慢性の疾患が、州内で生産される牛乳や牛肉の品質や安全性を脅かせることはないとしている。肉用牛に関しても、常にTBの検査が行われている。当局は、肉用の処分の際に監視員がTBを疑う病変を発見したウシについて、このまれな病気の検査を行った。これまでに、5頭のウシが検査で陽性となっている。...CA州で最後にウシのTBが確認されたのは、2003年であった。 
[Mod.TG-州当局は、ウシのTB感染源を調査し、どこからウシが持ち込まれ、どこへ移動したかの追跡を行わなければならず、もし他の群れにもTBが発見されれば、同州のウシ結核清浄地域の地位が危ぶまれることになる]

● ブルセラ症、ウシ 米国、否定
PRO/AH> Brucellosis, bovine - USA (TX): not
Archive Number: 20080202.0427
[1] テキサス Texas 州、ウシのブルセラ症清浄地域の地位獲得 
 情報源:Texas Animal Health Commission press release 、2月1日 
[2] US 農務省、テキサス州はブルセラ症 free であると通知 
 情報源: North Texas e-News 、2月1日。 原文参照願います。

● 鳥インフルエンザ パキスタン 英国,ブルガリア(3件)
パキスタン
PRO/AH/EDR> Avian influenza (26): Pakistan (Sindh), UK (England), swan
Archive Number: 20080202.0420
[1] パキスタン (Sindh) 鳥インフルエンザ発生 
 情報源: Daily Times (Karachi) 、2月2日
2008年2月1日、現在は封鎖されているGadapの養鶏場2カ所で、H5N1鳥インフルエンザウイルスが確認された。... 
[2] パキスタン (Sindh) パキスタンで、鳥インフルエンザ対策の18チーム編成 
 情報源: Pakistan Times 、2月1日
2008年2月1日、食料農業家畜省は、全ての部署に対して高度注意喚起を発令した。カラチ Karachi 市で鳥インフルエンザの発生が確認されたことに対する措置である。全国で鳥インフルエンザに対応する18チームを編成した。...

英国(イングランド England) 
[1] 英国(イングランド), コブハクチョウ mute swans, Dorset海岸, 新たな症例 
鳥インフルエンザ最新状況:新たに2羽のハクチョウがH5N1陽性 
 情報源:DEFRA information bulletin Ref 31/08 、2月1日 
2008年1月28日に、Dorset の同じ地域での野鳥のサーベイランスの一環として捕獲された、2羽のコブハクチョウが、新たに高病原性鳥インフルエンザH5N1ウイルスに感染していたことが判明したことを、2月1日に DEFRA は確認した。これで、この場所でH5N1ウイルス感染が確認されたのは、9羽となった。... 
[2] 英国 (England), mute swans, Dorset coast, 疫学報告 
 情報源: DEFRA website, Food and Farming Group, Veterinary Sciences Core team: Avian Influenza H5N1 epidemiology report 、1月29日
2008年1月10日に確認されてからこれまでの、ドーセット Dorset 州沿岸部での、 H5N1鳥インフルエンザ感染流行についての経過報告。欧州大陸とくに 2007年後半のチェコ、ルーマニア、ポーランドの野鳥と家禽で発生したウイルスとの近接性が認められていることから、確定されていないものの、Fleet 内の渡り鳥が冬期に持ち込んだというのが、最も可能性の高い仮説となっている。

ブルガリア、野鳥、H7亜型 
PRO/AH/EDR> Avian influenza (25) - Bulgaria, wild duck, H7
Archive Number: 20080202.0415
ブルガリア・ShumenでH7亜型鳥インフルエンザ感染確認 
 情報源:Novonite, Sofia News Agency 、2月1日
北部 Shumen の町でH7亜型鳥インフルエンザの症例が確認されたことを、2008年2月1日に当局が報告した。Khan Krum と Milanovo 両村間の Kamchiya River 渓谷で死亡した野生のカモ1羽が、鳥インフルエンザにより死亡したことが判明した。... 
[Mod.AS-H7亜型の取り扱いの説明など。] 

● アフリカ豚熱(豚コレラ)アゼルバイジャン
PRO/AH> African swine fever - Azerbaijan
Archive Number: 20080202.0416
 情報源: Interfax, Russia [translated]、1月29日
アゼルバイジャン初のアフリカ豚コレラASF感染流行発生 
アゼルバイジャン政府獣医学当局は、2008年1月29日、アフリカ豚コレラ African swine fever (ASF) が、Nij 村(Gabalinskiy地方)で発生したと報告した。数日前から、家畜のブタが集団で死亡したことが観察されていた。メディアは、国内初の ASF 感染流行であると伝えた。感染流行防止策として、同28日から検疫体制が適用されている。