2008年2月4日

プリオン病 BASE [bovine amyloidotic spongiform encephalopathy] J. Virology

● プリオン病
PRO/AH/EDR> Prion disease update 2008 (03)
Archive Number: 20080204.0455
[1] 英国: National CJD Surveillance Unit -- monthly statistics
 情報源: UK National CJD Surveillance Unit, monthly statistics 、2月1日
2008年1月、新たな発生はなかった。
Summary of vCJD cases(死亡)
definite vCJD (confirmed): 114
probable vCJD (without neuropathological confirmation): 48
probable vCJD (neuropathological confirmation pending): 1
definite or probable vCJD (as above): 163
probable vCJD cases(生存): 3
合計 definite or probable vCJD (死亡・生存): 166
[2] 英国:SEAC 99th meeting report
Update on vCJD and sCJD(sporadic CJD) epidemiology
 情報源: Spongiform Encephalopathy Advisory Committee (SEAC), 99th meeting, 14 Dec 2007 、1月31日
[3] BASE [bovine amyloidotic spongiform encephalopathy] transmission risk
 情報源: Journal of Virology, Wed 20 Jan 2008 、1月20日
要約部分:
BSEは、ウシのプリオン病には、唯一の型 strain (BSE-C) だけが存在すると広く考えられていた。BSE-Cは、ヒトにおいて新しくvariant Creutzfeldt-Jacob [vCJD、変異型クロイツフェルトヤコブ病]と呼ばれる、致死性のプリオン病の原因である。
2004年以降、2つの非定型BSE strain--BASE [bovine amyloidotic spongiform encephalopathy、ウシアミロイド様海綿状脳症、BSE-L] と BSE-H--が、いくつかの国々で発見された;これらのヒトにおける伝達性や表現型はよく判っていない。われわれは、BASEの感染力とヒトでの表現型について、ヒトプリオンたんぱくを表出するトランスジェニック Tg マウスに、2頭のBASEに感染させたウシの脳組織懸濁液 homogenates を接種することにより調べた。接種されたTgマウスのうち60%が、接種後20-22ヶ月の潜伏期間のあと感染が成立し、BSE-Cで報告されているよりも高い感染率が示された。BASE に感染した Tg マウスのうち1/4は、脾臓に病原性プリオンたんぱくの isoforms が認められたが、散発性ヒトプリオン病に感染したTgマウスで認められたものは皆無であった。このことより、BASE プリオンは、本来、リンパ増殖性 lymphotropic であると考えられた。BASE感染ヒト化Tgマウスの脳内の、病的プリオンたんぱく isofroms は、もとのウシBASEやヒト散発性プリオン病とは異なるものであった。BASE-infected Tg mice には、微少脳海綿状症や長期の潜伏期が見られた。これらの結果より、ヒトにおいて、BASE は、より毒性の強い BSE strain であり、lymphotropic である可能性がある。

● 炭疽 インド
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, livestock - India: (AP, Orissa) susp.
Archive Number: 20080204.0457
[1] アンドラプラデシ Andhra Pradesh 州
 情報源: New India Press 、2月3日
Kothagudem [in the Khammam district of Andhra Pradesh] で、2008年2月2日に炭疽 Anthrax 感染の症状のあるヒツジ1匹を売ろうとした羊飼いは、現地住民に止められ、動物家畜当局に引き渡された。当局により、このヒツジが炭疽感染症状を発症していたことが確認された。行方をくらましたこの羊飼いは、Mahaboobnagar [Mahbubnagar district, Andhra Pradesh.]からこのヒツジを連れてきたことが判明した。
[Mod.MHJ、JW-2008年1月、何頭かのヒツジが炭疽感染を疑われたが、結局、致死性の尿路感染であった(20080123.0286)。確定されたのは症状であって、実際に原因の細菌ではない。]
[2] オリッサ Orissa
 情報源: IndiaInfo.com、2月3日
2008年2月3日の当局の発表によると、Sunabeda および Semiliguda[Koraput, Orissa province] で、過去10日間に4人の、炭疽感染が疑われる死亡が発生した。Pangifuda(in Sunabbeda)の1人は、腐った肉 rotten meat を食べて死亡し、ほかの3人-- of Luhaba village(in Semiliguda)-- は、古くなった牛肉 stale beef を食べて命を落とした。地区獣医学当局の責任者は、死亡した患者らは、炭疽感染に伴う合併症が見られたとし、村内および周辺の全ての家畜にワクチンを接種したと述べた。脂肪肝じゃおよびその他の感染患者は、全身に異様な腫瘤とできもの swellings and boils が見られたという。..
[Mod.MHJ- 腐った肉を食べても良いということは決してないが、当局は、かなり真剣に、今回の事例が炭疽であるとするリスクを負っているように見える。細菌、ウエストベンガル州における炭疽発生の未確認情報を入手している(関連サイト紹介、省略)。以前より、インド東部のベンガル湾沿岸の州は、ヒトと家畜の炭疽事例が最も多い]

● 鳥インフルエンザ、ヒト インドネシア
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (23): Indonesia
Archive Number: 20080204.0453
 情報源:Reuters News 、2月4日
29歳のインドネシア人女性1名が、鳥インフルエンザ Avian influenza により死亡し、この東南アジアの国の同ウイルスによる死者は103人になったと、2008年2月4日に保健省が発表した。首都ジャカルタ Jakarta の西の Tangerang 出身のこの女性は、ジャカルタ市内にある Persahabatan 病院で約1週間にわたり治療を受けていたが、2008年2月2日に死亡したと、同省広報担当者が声明の中で明らかにした。女性の周囲ではニワトリが飼われていたが、感染源は確定されていないと述べた。
保健省はまた、ジャカルタ西部の38才の女性1名が鳥インフルエンザの検査の結果陽性になったことも明らかにした。この女性は、Persahabatan 病院で治療中であり、人工呼吸器を装着されている。この症例を含め、インドネシア国内の鳥インフルエンザ患者は126人となり、このうち103人が死亡し、インドネシアは世界で最も鳥インフルエンザによる死者の多い国となっている。感染した家禽との接触は、主な鳥インフルエンザの感染経路になっている。インドネシア各地のトリに土着感染している。
[Mod.CP- 2008年2月1日現在、WHOは、インドネシアにおける124人のH5N1型鳥インフルエンザ感染患者を確定し、102人が死亡している。このロイターの報告は、新たな2例の感染患者と(そのうちの)1例の死亡について書かれており、患者数は126例、死者は103例となった。2008年に発生した感染および死亡例のほとんどが、ジャカルタ地域での発生である]

● 腸チフス フィリピン、フィジー
PRO/EDR> Typhoid fever update 2008 (02): Philippines, Fiji
Archive Number: 20080204.0450
フィリピン
 情報源:ABS-CBN News, The Philippine Star report、2月3日
ヌエバビスカヤ Nueva Vizcaya 州東部の山間の町が深刻な状況にあり、とくに最も辺鄙な村々では、先週、100人以上が腸チフス Typhoid fever に感染している。...
腸チフスに感染した103人の住民のうち50人は、Kasibu 地区の病院と、近くの Bambang にある州立病院に収容されている。
地図 Nueva Vizcaya (also spelled Nueva Viscaya、in the Cagayan Valley region on Luzon) 
フィジー(Northern Division)
 情報源:The Fiji Times 、2月5日
2008年2月2-3日に、Northern Division において、腸チフスにより1人が死亡し3人が入院した。2月1日、Nailou(Tunuloa地区, Cakaudrove)の住民3人が入院した。一方、1人が腸チフスと見られる原因で死亡した。...2月4日、Northern のコミッショナーは、Cakaudrove 事務所からの報告によると、死亡したのは33歳の女性で、入院患者3人のうち、2人は父とその6歳の娘であり、3人目は12歳の少女であると述べた。
地図 Fijiには4つのdivisionsに分かれた14のprovincesがある。The Northern Divisionは、Macuata, Cakaudrove, Buaの3つの州からなり、Vanua Levu島全体が入っている。

● 原因不明の反応、死亡 米国
PRO/EDR> Undiagnosed reactions, fatal, heparin - USA (03)
Archive Number: 20080204.0449
 情報源:CDC. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2008; 57 (early release); 1-2 、2月1日
Acute allergic-type reactions among patients undergoing hemodialysis-- multiple states, 2007-2008
2007年11月19日以来CDCが調査中の、透析患者における急性アレルギー性反応の集積においては、多くのアレルギー反応が、透析開始の数分後に発生している。
原因は不明であるが、多くは、Baxter Healthcare Corporation (Deerfield, Illinois) 社製のヘパリンの静脈内投与を受けていた患者で見られた。

● ボツリヌス中毒 米国
PRO/ALL> Botulism, olive oil dip - USA: risk, recall
Archive Number: 20080204.0448
 情報源:San Francisco Chronicle (CA) 、2月1日
Williams-Sonoma の小売店を通じて販売されている、オリーブオイルディップ製造メーカーの、A St. Helena, California は、州当局による通常検査において、ボツリヌス中毒 Botulism を起こす菌が混入されている疑いがあるとされたことを受け、ビン入りの製品の回収を始めている。Olivier brand Parmesan & Asiago Dip with Garlic and Basil を食べないよう、消費者に呼びかけている。発病したものはなく、ボツリヌス菌_Clostridium botulinum_も発見されていないが、Olivier Olive Oil Products Inc. 社工場において、製品の入ったビン内の酸性レベルが、同菌の発育阻止に不十分であった。

● イネの病気,ウイルスおよび blast 病 ベトナム
PRO/PL> Virus & blast diseases, rice - Viet Nam (Mekong Delta)
Archive Number: 20080204.0454
 情報源:Viet Nam News Agency 、1月31日
Cuu Long (メコン Mekong) の冬-春の作物のおよそ 10%近くがコメの病気による被害を受けていると、農業地方開発省の植物保護部長が述べた。2008年1月30日の報道によると、91000ha以上の作物が、yellow and stunt(発育阻害) rice diseases の原因となる、茶色の planthoppers という小さな昆虫の被害を受けた。2007年1月と比べ、およそ 21000haの増加となった。最も被害が深刻な地域は、Hau Giang, Vinh Long, Bac Lieu, Soc Trang, and Long An である。...2008年は、rice blast disease の被害件数も増加している。これは、真菌による疾患で、葉に黄色の斑点を生じ、光合成を阻害するため、収穫量に影響が出る。..
[Mod.DHA-The Asian brown planthopper (_Nilaparvata lugens_)は、オーストラリア、太平洋諸島のコメに最も悪影響を及ぼす害虫の1つで、_Rice grassy stunt virus_ と_Rice raggedstunt virus_のベクターでもある。このほか、_Rice yellow stunt virusなどの多数のコメのウイルスが、plant- or leafhoppersによって感染伝播される。... また、Planthoppersが葉の表面に付けた傷から、真菌や細菌の感染が生じ、Rice blast は、真菌の _Magnaporthe grisea_ (synonyms_Pyricularia oryzae_, _P. grisea_)を原因として発生する]

● 鳥インフルエンザ トルコ、バングラデシュ
PRO/AH/EDR> Avian influenza (28): Turkey, Bangladesh
Archive Number: 20080204.0442
[1] トルコ
 情報源: AFP via Channel News Media 、2月3日
トルコ北部の沿岸地域にある Samsun の町の当局は、鳥インフルエンザ Avian influenza の発生が疑われたため、隔離地域を設定し、家禽の処分を開始したと、2008年2月2日に報じられた。検体が採取され、処分作業を開始したと当局は説明した。消毒作業が行われているのは、Galeric 地区周辺で、7ヶ所の養鶏場で処分が行われている。2008年1月、トルコの黒海沿岸にある、Samsun のおよそ 350km西にある村で、H5N1型鳥インフルエンザが確認されている。2006年1月、トルコの81の県の1/3以上に鳥インフルエンザウイルスが拡大し、小さな町の4人のこどもが死亡している。アジア以外で初めて鳥インフルエンザ感染患者が発生したトルコの当局は、2007年4月に鳥インフルエンザ排除を宣言していた。
[Mod.AS-同じロイターの記事によると、2008年2月3日にトルコの農業省は、鳥インフルエンザ発生が疑われて処分作業が進められる中、国内北部で2008年1月に死亡したニワトリから鳥インフルエンザウイルスが検出されたと発表している。この発表の中で、黒海沿岸のSamsun州で2008年1月28日に死亡していたニワトリに関し、ウイルスが野鳥から家禽に感染したことが、調査の結果判明したと述べられている。H5N1型であったかどうかについては、触れられていないが、北部沿岸地帯の庭先養鶏で発生した感染流行に関する、最近、2008年1g津22日と28日にトルコ政府からOIEに提出された報告では、H5N1型と確認されている]
[2] バングラデシュ
 情報源:Reuters 、2月3日
バングラデシュ国内で、新たに3つの地区で鳥インフルエンザが確認されたと、2008年2月3日に家畜担当局が発表した。全国64地区の半数以上で感染が発生している。この最新の感染流行が発生したのは、南西部ゴパルガンジ Gopalganj, 北東部シレット Sylhet および北部マイメンシン Mymensingh 州である。港湾都市チッタゴン Chittagong では、死亡した複数のカラスが H5N1型陽性であったことから、警戒態勢が布かれている。政府の焼却・埋葬処分推進にもかかわらず、多くの農業や庭先養鶏従事者らは、これを無視している。...これまでのところ、バングラデシュではヒトの感染は報告されていない。隣接するインド西ベンガル州では、家禽での深刻な流行が発生し、26人が鳥インフルエンザの症状のため隔離されている。