2008年2月19日

マラリア カナダ、ドミニカ共和国から
黄熱 パラグアイ、ブラジル

● マラリア カナダ
PRO/EDR> Malaria, falciparum - Canada ex Dominican Rep. (Punta Cana)
Archive Number: 20080219.0670
 投稿者:加・Montreal General Hospital、J Dick MacLean MD, FRCPC, MRCPUK, DCMT(Lond)、2月19日
2008年2月18日にモントリオール Montreal の患者の、熱帯熱マラリア Malaria, falciparum  (0.33%寄生虫血症)感染が診断された。2週間のドミニカ共和国 Punta Cana での休暇を終え、2008年2月2日に帰国した女性旅行者である。この女性はホテルの敷地内を出たことはなかったと述べている。2007年にも同ホテルに滞在した以外に、世界のどの地域においても、マラリアに曝露したことはなかった。 
[Mod.EP-ドミニカ共和国において、マラリアは依然として問題となっていて、Punta Cana が国内の東端であるように、ハイチ国境付近だけでの問題ではない。2000年、ドミニカ共和国は汎米保健機構 PAHO に対して 1233例のマラリア症例を報告している。2005年には3倍の3837例、2006年には微減の3525例となっている。全ての旅行者に対して予防内服が勧告されており、クロロキンが有効である]

● 黄熱 パラグアイ、ブラジル
パラグアイ
PRO/AH/EDR> Yellow fever - South America (03): Paraguay, Brazil
Archive Number: 20080219.0666
 情報源:13 WHAM.com, Associated Press report 、2月18日
パラグアイでは34年ぶりとなる黄熱 Yellow fever 感染流行により、これまでに7人が死亡した。政府は、ハイリスク地域において、ワクチンの一斉接種キャンペーンが行われていることを明らかにした。保健相は、30万人が黄熱ワクチンの接種を受けていると説明した。また、首都アスンシオン Asuncion 郊外の感染発生地域で、水たまりやゴミ箱などの蚊族の繁殖場所を除去する作業が行われていることも説明した。 
[Mod.TY-パラグアイの首都、大都会アスンシオン Asuncion の人口は、情報源により120万とも540万とも言われ、記述されているような、30万人へのワクチンを接種が適当なカバー率であるのかとの疑問が生じる。良いニュースとして、現在、パラグアイ国内で、およそ100万人分の黄熱ワクチンが使用可能であり、さらに追加の薬剤が到着する予定である。黄熱ワクチンの効果発現には10日間を要するため、ある程度の患者が発生しても不思議はない] 
地図 Paraguay
ブラジル(マトグロッソ州) 
 情報源:Folha Online [in Portuguese]、2月18日
2008年2月18日、保健省は新たな黄熱感染の患者1例を確認し、2008年の黄熱感染に死者の数は16人となった。今日までに31人の黄熱感染が確認されている。当局によると、この死亡が発生したのは2007年12月で、調査されていた感染が疑われる患者の中の1人であった。死亡した患者は、マトグロッソ Mato Grosso 州の森林地帯で黄熱ウイルスに感染したと、保健省は発表した。同州内の黄熱による2例目の死亡患者である。保健省によると、2007年12月から今日までに、全国でおよそ1300万人分の黄熱ワクチンが配布され、2008年1月中には、森林型黄熱患者が発生したり、サルでの黄熱感染が発生している地域を中心に、このうち680万人分の接種が行われた。

● リーシュマニア症 イラク
PRO/AH/EDR> Leishmaniasis - Iraq: (Qadisiyah)
Archive Number: 20080219.0674
 情報源: IRIN (UN Integrated Regional Information Networks)、2月19日。 
バグダッド Baghdad の南約130kmのイラク南部 Qadisiyah 州では、リーシュマニア症 Leishmaniasis 感染の拡大が続いており、これまでに少なくとも275例が確認されていることを、現地当局が明らかにした。275人のうち、212例は皮膚リーシュマニア症(Baghdad boil disease)で、63例は 'kalaazar'(内臓リーシュマニア症、ヒンディー語で黒熱を意味する)であった。
皮膚リーシュマニア症は致死的ではないものの、200人に顔面の病変やクレーター様腫瘤を生じ、深刻な変形を残す。カラアザールは死亡の原因ともなり、発熱、体重減少、貧血、脾臓や肝臓の腫大などをきたすこともある。成人に比べ免疫の不完全な小児は、よりリスクが高い。たった1度の sand fly の刺咬によっても、十分感染する可能性がある。
現在も現地当局には治療薬が不足している。医薬品だけでなく、sand fly を駆除するための殺虫剤の一斉噴霧も必要と当局者は述べた。2004年以降、患者数は減少傾向にあるものの、その速度は緩やかである。100年前に初めてこの病気が発見されたのはイラクであったが、その後の長い間、国内で感染が続いている。2003年以降、感染流行はほとんどないが、戦争で医療システムが破壊され、ふたたび微生物の環境への回帰を許したと、説明した。
例年、リーシュマニア症感染のピークは、5月に始まる。

● 麻疹 ケニア
PRO/EDR> Measles - Kenya: (Nairobi), refugees
Archive Number: 20080219.0668
 情報源:UN Office for the Coordination of Humanitarian Affairs (OCHA), ReliefWeb, African Medical and Research Foundation (AMREF) report 、2月18日
少なくとも12人が、最も感染力が強く、他の感染症のある小児では死亡することもある麻疹に感染した疑いがあることが、2008年2月16-17日に、キベラ Kibera に派遣された医療チームから報告された。1週間前には、選挙後の暴動のため、キベラから Highrise Estate camp に逃れてきた別の3例が麻疹感染と診断されている。

● ブルータング ヨーロッパ
PRO/AH/EDR> Bluetongue - Europe (09): BTV-8, impact, vaccination
Archive Number: 20080219.0677
[1] ブルータング対策の調整 
 情報源:Warmwell.com, quoting The Veterinary Record, 16 Feb 2008, Letters 、2月19日
[2] 2007年、北欧におけるBTV-8再興による有病率および致死率 
 情報源:The Veterinary Record, 20 Oct 2007, Letters (pages 571-572) 、2月20日

● 鳥インフルエンザ タイ
PRO/AH> Avian influenza (36): Thailand, mosquitoes
Archive Number: 20080219.0676
 情報源:Vector Borne Zoonotic Dis. 2008 Feb;8(1):105-110 、2月1日
上記雑誌の中の、以下のタイトルの論文の要旨:
"Detection of H5N1 Avian Influenza Virus from Mosquitoes Collected in an Infected Poultry Farm in Thailand.(タイ Mahidol University と仏 Institut de Recherche pour le Developpement) 
2005年10月の、タイ中央部での高病原性鳥インフルエンザ Avian influenza 感染流行の期間に、養鶏場で吸血後の蚊族を採取した。これらの蚊族の reverse transcription-polymerase chain reaction (RT-PCR) 法による検査で、H5N1型ウイルスが陽性となった。H5 および N1部分の制限遺伝子配列によって、この結果は確定された。C6/36 蚊族細胞培養株において、H5N1型ウイルスの感染と複製が行われることが、quantitative real-time PCR 法で確認された。しかし、蚊族による感染伝播の評価は行っていないため、さらなる研究が必要である。家畜や野生動物の血液を吸血した蚊族の採取と検査は、H5N1型ウイルスの拡大についてサーベイランスを行っている獣医学や公衆衛生当局に、価値あるツールとなる可能性がある。 
[Mod.CP- これまでに、節足動物のベクターが、季節性もしくは鳥インフルエンザウイルスの疫学や感染伝播への関与が示唆されたことがないため、この論文の評価は難しい。この研究により、H5N1型鳥インフルエンザウイルスが、吸血性の蚊族に取り込まれ、C6/36培養細胞株への感染力を保持していたことが示されている。昆虫ベクター内で生存するウイルスが、脊椎動物の細胞にも適応し、生きた感受性のある家禽やほ乳類に感染伝播する能力を保持しているかという疑問を投げかける。これまでに、インフルエンザ感染伝播において、蚊族の関与をはっきりと示した例はないが、最近、日本の感染発生農場の半径 2.5km圏内で、2種類のクロバエ blow flies (_Calliphora nigribarbis_ and _ Aldrichina grahami_) が、内臓、腸管内および crop にH5N1型ウイルスを保有し、ニワトリの有精卵に対する感染力が認められたとの報告がある (Am J Trop Med Hyg. 2006 Aug;75(2):327-32); )。クロバエが、H5N1型ウイルスの機械的な伝播体となる可能性があると結論した]

● White-nose syndrome、コウモリ 米国
PRO/AH/EDR> White-nose syndrome, bats - USA: (Northeast)
Archive Number: 20080219.0675
 情報源:Burlington Free Press、2月18日
ニューイングランド New England 州最大のコウモリの洞窟内で、新種の原因不明で致死性のコウモリの疾患が発生していることを、2008年2月14日に州野生動物生物学者が確認した。Dorset 山岳地帯にある cavern(大きな洞窟)には、23000匹のコウモリが棲息し越冬する。14日に Aeolus cave [Dorset Bat Cave とも呼ばれている] に入り、この兆候を発見した。たくさんのコウモリが、洞窟の入り口付近に殺到しており、これは、寒い2月の時期としては異例の行動である。エネルギーが枯渇し、食糧を探すため、最後の手段として、洞窟外へ出ようとしているかのようであると表現した。2006-7年の冬期、ニューヨーク New York 州 Albany 近郊の洞窟で11000匹ものコウモリが死亡した、"White-nose syndrome," が、先週初めてマサチューセッツ Massachusetts 州の洞窟でも確認されている。NY州では、9ヶ所の洞窟でこの疾患が確認され、2ヶ所で疑われている。Aelolus は、第2の、white-nose syndrome が発生した Vermont コウモリ [*?] の冬眠および越冬地となった。今のところ、生物学者らには、コウモリの死亡の原因は明らかになっていない。

● トマト・ポテトの病気、Late blight 米国
PRO/PL> Late blight, tomato, potato - USA: (FL)
Archive Number: 20080219.0664
 情報源:Southwest Florida Online、2月15日
フォートピアス Fort Pierce 周辺の数カ所で、トマトとポテトに Late blight が発生している。Immokalee のトマト農場からも報告があった。フロリダ州南西部で新たな報告がなければ、Immokalee の1ヶ所の弧発例となる。... Late blight は、真菌の _Phytophthora infestans_ を原因とし、ポテトやトマトの病気を発生させる。

● ウサギ出血病 ニュージーランド
PRO/AH> Rabbit hem. dis. - New Zealand (02): questions
Archive Number: 20080219.0663
 投稿者:Ernest Gould、2月18日。
"immunity" とはどのような意味で使われているのか 
1 新たなウサギが感染に対して免疫を保有している 
2 遺伝学的に感染抵抗性を有するようになった 
3 ウサギの集団内で、ウイルスの感染循環がなくなった