2008年2月29日

黄熱 ブラジル

● 黄熱 ブラジル
PRO/AH/EDR> Yellow fever - South America (10): Brazil
Archive Number: 20080229.0820
 情報源:Ministerio da Saude, Secretaria de Vigilancia em Saude [in Portuguese]、2月28日
2008年2月28日現在、60例の森林型黄熱 Yellow fever の感染疑いおよび感染確定例が発生している疫学的状況にある。35例の診断が確定され、うち19例が死亡した(致死率54%)。23例の黄熱感染は除外され、2例は現在調査中である。
診断が確定した患者が感染したと推定される場所は森林地帯で、ゴイアス Goias 60%(21 of 35), マトグロッソドスル Mato Grosso do Sul 20%(7 of 35), Federal District 14%(5 of 35), マトグロッソ Mato Grosso 6%(2 of 35) となっている。森林型黄熱感染患者および死亡の発症日は、初発例が 2007年12月16日であり、最新の患者は 2008年2月15日である。 
[Mod.TY-先週の週報(20080228.0810)から、可能性例1例と診断確定例2例が追加報告された。ゴイアス州とマトグロッソドスル州各1例で、最新の患者は、前回報告よりも1日新しい日付となっている] 
地図 Brazil 

● コレラ ケニア,ソマリア,ザンビア,アンゴラ,フィリピン
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2008 (13)
Archive Number: 20080229.0830
ケニア 
 情報源:Reuters Africa、2月29日
ケニアとソマリアの国境地域で、コレラ Cholera により過去2週間に43人が死亡したと、2008年2月29日に両国政府の当局が発表した。ケニアのMandera地区 [North Eastern Province of Kenya, Somalia 国境] の当局は、この水系感染症により、6人の小児を含め30人が、2週間に死亡したと述べた。ソマリアおよびエチオピア向けの肉の輸出は禁止されている。ソマリア側の国境では、援助関係者により、676人の感染が疑われる患者のうち、13人が死亡したことが伝えれらている。 
ソマリア(Gedo) 
 情報源:BBC News 、2月26日
ケニアの国境の町 Mandera に近い、ソマリア南部の深刻なコレラ感染流行により、およそ70人が死亡した。400人以上が発病した上、干ばつが事態を深刻化させている。ケニア側の国境では医療活動が開始されているが、ソマリア側には何ら提供されていない。現地 NPOは国際協力を求めている。ソマリアの Gedo 地方は、Mandera において、ケニアとの国境を越えた人的交流がある。ケニア側では、医療活動や周知活動が行われているが、Gedoにおいては、医療資源が不足し、ひどい状況となっている。NGO の活動もままならないため、事態は収拾できなくなる可能性が危惧されている。 
ザンビア 
 情報源:UN Office for the Coordination of Humanitarian Affair (OCHA), ReliefWeb, United Nations Children's Fund (UNICEF) report、2月28日
Mwense district(Luapula Province)のコレラ感染は、収拾されつつある。2008年2月15日以降、新たな患者は報告されていない。Lusaka地区では、引き続き患者が発生している(Chipata Overspill, Chaisa, George (Zone 3), and Matero)。Lusaka で過去30日間に治療を受けた患者の累計は71人である。Kitwe district (Copperbelt Province) では、 35例の水様性下痢症患者が報告されており、このうち6例のコレラ感染が確認されている。...ザンビア北部では、2008年3月末まで降水量が多いことが予測されているが、感染症のリスクを高めている洪水は徐々に引き始めている。 
アンゴラ(Huila) 
 情報源:Angola Press (ANGOP) 、2月27日
南部 Huila province, Lubango city、 Quipungo district の当局は、過去 24時間に新たに 10例のコレラ感染患者を確認したが、死者は発生していない。
フィリピン,下痢症(Eastern Samar)  
 情報源:Inquirer Network 、2月24日
Eastern Samar の浸水のあった市や町では、178人以上が下痢症に苦しんでいると、Eastern Visayas の当局が報告した。洪水による死者は18人となったと、2008年2月24日に報じられた。Borongan 市および Maydolong and Dolores の町では、それぞれ最多の3人の死者が出ている。このほかに死者の出ている場所は、Jipapad, Gen. MacArthur,Taft, Can-avid, San Julian(Eastern Samar); Pinabacdao(Samar); Dulag and Palo(Leyte); Culaba(Biliran)である。死者の数はさらに増えるものとみられている。降り続く雨による洪水で、下痢症患者数も増加し、Eastern Samar のほとんどすべての地域で発生している。Boronga 市では最多の38人が下痢症を発症した。以下、Can-avid, 15; Llorente,14; Guiuan, 14; Balangkayan, 13; and Taft, 10となっている。 
[Mod.LL-Borongan 市で38人中3人が死亡するなど、致死率が高いことから、コレラが原因である可能性が示唆される。Eastern Samar 州は、Visayas 最大の Samar 島にあり、島は、Samar (旧Western Samar), Northern Samar, and Eastern Samar の3つに区分されている。Leyte, Southern Leyte, and Biliran 各州と併せて、Eastern Visayas 地方として知られている] 

● 食中毒 ブルネイ
PRO/EDR> Foodborne illness, seminar - Brunei
Archive Number: 20080229.0828
 情報源:Brunei Direct 、2月26日
2008年2月25日、RIPAS emergency ward に合計7人の患者が入院し、Universiti Brunei Darussalam (UBD) seminarの参加者に出された、傷んだ 'nasi ayam' を食べたことによる食中毒と診断された。...
食べてから約2時間で、めまい、胃の痛みがあり、何度も吐いたため、病院を受診したところ、そこには同じセミナーの出席者がいたと、患者が話した。セミナーに参加した約300人のうち、これまでに7人が感染した。 
[Mod.LL-潜伏期間が短いことから、黄色ブドウ球菌セレウス菌ウェルシュ菌などの毒素がすでに産生されていたか、もしくは何かの有害物質が原因であろう。これらの疾患では、嘔吐、下痢、あるいはそのいずれもが、24時間以内に発生し、発熱を伴わない。著しい嘔吐があったことは、ブドウ球菌性エンテロトキシン enterotoxin による疾患が強く疑われる。そのようなケースでは、エンテロトキシン産生性黄色ブドウ球菌が、食品から検出される可能性がある。しかし、鶏チャーハンである nasi ayam では、セレウス菌_Bacillus cereus_ による可能性も考慮する必要がある]

● リシン Ricin 米国(2件)
PRO/EDR> Ricin, death - USA (NV): susp.
Archive Number: 20080229.0824
[1] リシンの男性患者 危篤
 情報源: New York Times、2月29日
ラスベガス Las Vegas 警察は、毒物リシン ricin が疑われる粉があったモテルの1室で、意識不明の状態で発見された男性が危篤状態にあることを明らかにしたと、2008年2月29日に報じられた。入院した 7人のうちの1人だが、他の 6人は念のための入院だった。意識不明者がいることから、モテル従業員らに注意喚起が伝えられ、粉末の発見につながった。当局は粉末の確認を急ぐ中、男性の危篤状態が発表された。テロ攻撃の目的に使用された形跡はないとしている。
[2] ベガスでリシン ricin 発見され、男性重体 
 情報源: Associated Press in New York Times、2月29日
2008年2月29日、当局は、重体となっている入院した男性が滞在したモテルの部屋で発見されたビンから、致死性の毒物リシンが検出されたことを明らかにした。ラスベガス警察当局は記者会見で、テロ活動との関連性は認められていないと述べた。男性は、2月14日、Spring Valley Hospital(Las Vegas)に危険な状態で入院した。... リシンは、トウゴマcastor bean の製造過程でできる、きわめて致死性の強い物質である。CDC によれば、わずか 500μg あるいは針先ほどの量でヒトが死亡する。.. 
[Mod.LL-発病した男性の症状は明らかでなく、リシンと発病との因果関係ははっきりしない。以下、成書の Category B Biotoxins からの抜粋] 

PRO/EDR> Ricin, death - USA (NV): susp. corr.
Archive Number: 20080229.0825
上記記事の訂正 
記事のどこにも、男性が死亡したとは書かれていなかった。

● 原因不明の反応、死亡 米国
PRO/EDR> Undiagnosed reactions, fatal, heparin - USA (05): expanded recall
Archive Number: 20080229.0822
[1] FDA: expanded recall すべてのヘパリン製剤の回収に範囲が拡大された。 
 情報源: US Food & Drug Administration (FDA) 、2月28日
2008年2月28日、Baxter International Inc. 社は、全てのロットおよび用量の注射用ヘパリンナトリウムのバイアルと、HEP-LOCK ヘパリン還流製剤の、自主回収を進めている。2008年1月17日に、当初は、ヘパリンナトリウムの複数回使用バイアルの 9つのロットに限って回収されていた。... 
[2] New York Times report 原料輸入元の中国の状況
 情報源: The New York Times、2月29日
 ... 2007年の中国のヘパリン市場は、全国的なブタの病気の発生、在庫の枯渇、病気のブタを売ろうとする農家、ヘパリン製造業者の新たな原材料供給源の模索などにより、混乱した。大手企業でさえ、衛生の不遵守の多い小さな村の業者にも、徐々に目を向け始めている。このような業者の従業員は取材に対し、これまでに政府の監査を受けたことはないと答えている ... 
関連項目 
Undiagnosed reactions, fatal, heparin - USA (04) 20080214.0590

● ボツリヌス中毒 米国
PRO/EDR> Botulism, canned bean salad - USA: risk, recall
Archive Number: 20080229.0821 
 情報源:Associated Press (AP)、2月28日
Walker's Food Products Co. 社は、賞味期限が 2007年12月23日から 2008年4月5日までの、Four Bean Salad の回収を開始した。ボツリヌス菌_Clostridium botulinum_による汚染の疑いがあるためである。発病者は報告されていない。商品名 Kay's Gourmet  とWalker's Food Products Co. の名前で、ミズーリ Missouri, カンザスKansas, ネブラスカ Nebraska, アイオワ Iowaの各州で販売されていた。

● 牛肉回収 米国
PRO/AH/EDR> Beef recall - USA (05)
Archive Number: 20080229.0823
[1] 動物愛護団体、農務省を提訴 
 情報源: The New York Times、2月28日
2008年2月28日、米国動物愛護協会 Humane Society は、食品流通経路に感染した可能性のあるウシを混入させた欠陥があったとして、農業省に対する訴えをおこした。... 
[2] 農務省、監視強化を約束 
 情報源: The New York Times、2月29日
米国農務省は、2008年2月28日、カリフォルニア州の大規模食肉処理場での動物虐待を指摘できなかったことに対する鋭い批判を受ける中、動物の人道的な取り扱いを監視する努力を強化すると約束した。

● マンゴーの病気 オーストラリア パキスタン
PRO/PL> Fungal diseases, mango - Australia, Pakistan
Archive Number: 20080229.0832
[1] Malformation disease - Australia (Northern Territory) 1st report
 情報源 ABC News (Australian Broadcasting Corporation), Rural News
Northern Territory 2008年2月25日
[2] Quick decline - Pakistan (Punjab)
 情報源 Pakissan 2008年2月29日
 
● BSE 米国、カナダ
PRO/AH/EDR> BSE update 2008 (01)
Archive Number: 20080229.0831
[1] Downer cows & BSE,米国 農業当局、食肉の安全活動公表 
 情報源: Associated Press 、2月28日
[2] カナダ、12頭目の発生 
カナダ政府、12例目のアルバータ Alberta の乳牛の感染を確認 
 情報源:Bloomberg 、2月26日
[3] 2007年までの世界のBSE発生状況 
 情報源:OIE website, accessed 29 Feb 2008 、2月29日

● ブルータング ヨーロッパ
PRO/AH/EDR> Bluetongue - Europe (11): BTV-8, update, vaccination
Archive Number: 20080229.0829
[1] 2007年(7-12月)、欧州 BTV-8(bluetongue serotype 8)の感染流行評価 
 情報源: AFSSA (France's Food Safety Agency) website [accessed 29 Feb 2008, trans. and edited] 
1.欧州の概況 
2006年、欧州のBTV-8の発生国は5カ国であった。ベクターの活動低下に伴う小休止のあと、2007年7月より再興し、欧州9カ国で発生中。 
2.フランスの状況 
2007年のフランスのBTV-8感染流行は7月に初めて確認された。...2008年1月7日、新たな症例の発生が疑われており、ベクターの活動休止に至っていないものと思われる。 
3,他国の状況 
ドイツ(2007年の初発は7月6日、2006年同様の深刻な被害が西部を中心に発生)、ベルギー(2007年は7月に感染流行発生。ウシやヒツジの多い、西1/3の被害が深刻)、オランダ(2007年の7月から全国的に流行発生中)、ルクセンブルグ(2007年は8月から、全国で発生したが、12月以降ベクターの活動が停止している)、英国(2007年は9月22日に初めて感染流行が発生、最後の国内発生は12月6日で、南部地域で発生した 12月20日からベクターの活動は休止)、デンマーク(2007年10月13日に、南東部のLolland島の1カ所のみの発生)、スイス(2007年の10月および11月に発生し、12月10日にベクターの活動休止が確認されている)、チェコ(2007年11月28日に、西部のドイツとの国境付近で1件だけ確認された)。 
[2] 今夏の再燃に備え、スコットランドのブルータングワクチン接種再検討 
 情報源:Farmers Guardian、2月29日
先週まで、欧州からの輸入に厳格に対応し、ワクチン接種には反対する立場をとっていた、スコットランド政府の代表は、企業代表とともに、1200万接種分のブルータングワクチンを発注するものとみられている。

● 鳥インフルエンザ 英国
PRO/AH/EDR> Avian influenza (39): UK (England), goose
Archive Number: 20080229.0827
 情報源:BBC News 、2月29日
死亡したガン1羽で、H5N1型鳥インフルエンザ Avian influenza が陽性であることが確認された。このトリの遺体は、多数の白鳥の鳥インフルエンザ感染が発生した Dorset ドーセット州 Abbotsbury Swannery からおよそ 1km離れた地点で派遣された。DEFRA は、このカナダガン Canada goose は、11例目のH5N1型陽性症例であると述べた。