2008年3月8日

ニパウイルス バングラデシュ
原因不明の死亡 セネガル

● ニパウイルス バングラデシュ
PRO/AH/EDR> Nipah virus, fatal - Bangladesh (02): (Dhaka)
Archive Number: 20080308.0953
 情報源:The New Nation, Bangladesh 、3月8日
2008年3月6日、Faridpur 医科大学病院で、ニパウイルス Nipah virus 感染が疑われていた 10代の少年死亡した。upazila [バングラデシュの行政単位] 医療施設の情報によると、Mangalpur 住民の息子である 16才のこの少年は、3日に date juice(ナツメヤシのジュース)飲用後から嘔吐が始まった。
当局は手洗いなどの衛生遵守により、ヒト-ヒト感染が減少できると説明した。とくに 1月から5月までの期間は、国内の中部および北西部において、今後もニパウイルスの感染流行のリスクがある。
Manikganj and Rajbari でのニパウイルスの感染流行により、これまでの 8週間に、4人の子供を含む8人が死亡し、これ以外に 10人が重大な被害を受けている。2008年2月29日、Bishnupur 村(at Daulatpur upazila in Manikganj)の 3人の小児の身体から採取された検体の検査で、ニパウイルス感染流行の発生が初めて確認された。
ニパウイルスは、パラミクソウイルスの新しい仲間で、ウイルス感染が発生したマレーシア Sungai Nipah 村に因んで命名された。1999年に Malaya 大学の医師によりウイルスが確認された。発熱と意識変容のある患者を診た場合、周囲に 2週間前までに同様の症状が見られる患者の発生がなかったか、医師が確認するよう求めている。脳炎の小集積は全て、直ちに当局に報告する必要がある。ヒト-ヒト感染による、国内で繰り返し発生するニパウイルス感染流行は、唾液で伝播するウイルスの感染伝播を断ち切るための対策を、家でも病院でも実施することが重要であることが、研究により明らかになった。
この発病した10代の少年は、当初 Rajbari sadar hospital に入院したが、状態が悪化したため、医大病院に搬送された。6日、医大病院で死亡した少年から、必要な検体が採取され、死因究明のためにダッカに送付された。ニパウイルスに対する注意喚起も行われている。 
[Mod.CP-このバングラデシュからの第2報には、中西部 Manikganj and Rajbari 地区でのニパウイルス感染流行で死亡した8例についての前回報告に、ほとんど何も付け加えられていない (20080303.0873)。死亡数が1例(未確定)加わった。現地医療当局による迅速な対応により、感染流行は封じ込められつつあると思われ、バングラディシュのニパウイルス感染の特徴である、ヒト-ヒト感染を減じるための個人の衛生遵守に重点が置かれている。未殺菌のヤシジュースが、新たな患者の感染源であったことが示唆されている] 

● 原因不明の死亡 セネガル
PRO/EDR> Undiagnosed deaths, human - Senegal, RFI
Archive Number: 20080308.0952
 情報源:AFP Google、3月7日
ダカール Dakar の貧しい郊外のおよそ 20人の小児の原因不明の死亡に関する調査を行っていると、2008年3月7日にセネガル Senegal 保健当局が明らかにした。まず、何人の小児が亡くなり、何が起こっているかから調査が開始されていると説明した。
漁業地区 Thiaroye-sur-Mer で3-5才の 18から20人の子供らが死亡したとの報道内容について認めた。けいれん嘔吐下痢症などの症状が認められたが、検査により、脳マラリア、腸チフス、髄膜炎、コレラなどの疾患は否定されている。現地からの検体が保健省検査機関に送付されている。
週刊誌には、拾って転売していた車のバッテリーの鉛による中毒の可能性があると伝えている。 
[Mod.TG-バッテリーからの鉛中毒の可能性もあるが、死亡した小児らの栄養や健康状態を確認する必要がある。また、発症から死亡するまでの期間を知ることも有用である。この漁業の町だけに限定された死亡か、それとも、他の漁村にも死亡例があるのだろうか。小児における鉛中毒の症状は、腹痛、易刺激性、食欲不振、過活動や睡眠障害、不機嫌、神経過敏などの症状をもつ他の疾患と鑑別が必要となる。このような非特異的な症状から、他の疾患と間違われやすい。鉛中毒により、けいれん、昏睡、死亡が発生することもある。どのような検体が採取され、この状況がいつ頃から続いているのかも示されていない。情報提供を求む]

● ハンタウイルス 米国
PRO/AH/EDR> Hantavirus update 2008 - Americas (04): USA (NM)
Archive Number: 20080308.0957
 情報源:La Cruces Sun-News 、3月5日
Taos の 64才の男性 1名が、ハンタウイルス Hantavirus 肺症候群により死亡した。2008年、ニューメキシコ New Mexico州 初のハンタウイルス患者である。このしばしば死亡につながる疾患は、感染した齧歯類、とくに deer mice [ _Peromyscus maniculatus_] の尿、フン、唾液などを通じて感染が伝播される。このウイルスを含んだ乾燥した粒子を吸い込むことで、感染が起こる。

● 麻疹 米国、スイスから
PRO/EDR> Measles - USA (AZ) ex Switzerland, Alert
Archive Number: 20080308.0956
 情報源:Tucson Citizen online、3月7日
 Northwest Medical Center 医療センターにおいて 2例目の麻疹 measles 患者が確認された。2008年2月12-13日に、Northwest の救急室を受診した、スイスからの旅行者に関係した、以前の症例との関連性が認められている。この 2例目の患者は、2月12-13日に Northwest の救急室を受診した患者で、後に麻疹と診断され、24-26日の間、入院の上隔離された。

● 鳥インフルエンザ、ヒト エジプト
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (35) Egypt
Archive Number: 20080308.0955
 情報源:Reuters Foundation AlertNet 、3月8日
Fayoum 県の 8才の少年 1人が、病鳥との接触により鳥インフルエンザ Avian influenza ウイルスに感染し,2006年以来エジプトで 47人目の患者となったと、2008年3月8日、保健省が発表した。この少年は、高熱・呼吸困難・肺炎のため現地の病院に搬送された。7日、カイロ Cairo の病院に転送され、タミフルによる治療が行われている。
カイロの南西部にある同県では、先週にもエジプト人女性 1名が鳥インフルエンザにより死亡したが、当局は、2人の患者の関連性はないものと見ている。2006年2月に国内で発生して以来、エジプトでは 20人が鳥インフルエンザにより死亡している。

● 黄熱 パラグアイ、検査室診断(2件)
PRO/AH/EDR> Yellow fever - South America (15): Paraguay
Archive Number: 20080308.0949 
 情報源:Pan American Health Organization、3月6日
黄熱 Yellow fever の感染が確定診断された患者の数は、新たな 6例を加え、現在 22例となり、このうち 6例が死亡した。San Pedro 州で 11例,Laurelty 州で 9例, 他の州で 2例の患者が発生し、このほか 12例の感染が疑われ、現在調査中となっている。...以下、パラグアイ政府による、噴霧消毒や蚊族繁殖場所の除去などの対策について
地図 Paraguay 
関連項目
Yellow fever - South America (14): Paraguay 20080307.0936

PRO/AH> Yellow fever, laboratory diagnosis (02)
Archive Number: 20080308.0950
 投稿者:米・Virology University of Texas Medical Branch、C. J. Peters, M.D.、3月7日
20080216.0614に関連して。 
固定標本のウイルス抗原検出には immunohistochemistry (IHC、免疫組織化学法)を使用することを強く勧めたい。

● 狂犬病 米国
PRO/AH/EDR> Rabies, human, pet exposure - USA (TN, WV)
Archive Number: 20080308.0954
[1] テネシー Tennessee Sullivan County 各地で狂犬病確認
 情報源:Times News 、3月7日
Bluff City で捕獲されたアライグマ1頭が、検査の結果、狂犬病 Rabies 陽性となったことを受け、郡衛生当局はすべてのペットの飼い主に対して必ずペットへの狂犬病ワクチン接種を行うよう求めている。... 
Bluff City の住宅で、狂犬病のアライグマに、成犬2頭と子犬3頭が接触したことを明らかにした。いずれも狂犬病のワクチンを受けていなかった。CDC のガイドラインに沿って、5頭は全て安楽死させられた。ワクチンを接種されていないペットが、狂犬病に感染した動物に咬まれたり、接触したりした場合に取りうる他の方法としては、6ヶ月間の厳重な隔離しかない。これは、動物を保護するとともに、この動物に接触する可能性のある飼い主などのヒトを守るためでもある。
テネシー州は、全ての犬猫に狂犬病のワクチンを期日までに受けさせることを法で定めている。CDC によると、狂犬病症例の90%以上はアライグマ、スカンク、キツネ、コウモリなどの野生動物において発生している。飼育動物(ペット)での狂犬病は10%以下である。
飼育動物の中では、イヌ、ネコ、ウシに多い。 
[2] ウエストバージニア West Virginia Mercer County 郡で2008年初の狂犬病確認
 情報源:Bluefield Daily Telegraph、3月7日
1人とペットへの暴露には、Mercer County での 2008年初の狂犬病が疑われる 2件の事例が関連している。2008年3月5日、2頭のアライグマで狂犬病の検査が陽性となったことについて、郡衛生当局は住民に周知したいと、当局者が語った。Athens-Lerona 地域で発生したが、最近数年間にわたり、郡内全域で陽性症例が確認されていると説明した。
1件目では、ペットのイヌを攻撃するアライグマを、飼い主がショベルを使ってたたき殺そうとした。
2件目では、死亡した1頭のアライグマの周りに数匹のペット動物が発見されている。いずれの事例も、確実な高い可能性をもって、狂犬病に暴露したものであり、医師および獣医師と相談するよう、当局は勧告している。
1997年以降、54例の狂犬病が Mercer 郡内で確認されている。2007年、14例が確認され、18例のペットが狂犬病のアライグマに咬まれている

●  鳥インフルエンザ ベトナム、香港
PRO/AH/EDR> Avian influenza (41): Viet Nam, China (Hong Kong)
Archive Number: 20080308.0951
[1] ハノイ Hanoi での感染流行報告 
 情報源:Thanhniennews.com、3月8日
2008年3月6日、ハノイ Hanoi の動物衛生局は、養鶏場内のおよそ 2/3の家禽が感染する、鳥インフルエンザ Avian influenza 感染の流行が発生したため、Soc Son District の養鶏場1カ所で、約3700羽の鳥類が処分されたことを報告した。北部 Tuyen Quang 省でも、Son Duong District における感染流行が報告されている。
全国の鳥インフルエンザ感染流行が発生した 12省と市のうち、8カ所が北部であるように、ベトナム北部では広い範囲に感染が拡大している:Hai Duong, Quang Ninh, Ninh Binh, Phu Tho, Nam Dinh, Ha Nam, Tuyen Quang and Hanoi。中央部では、Quang Nam and Quang Binh、南部では Tra Vinh and Vinh Long で感染流行が発生している。... 
[Mod.AS- FAO RMPRES, FAOAIDE news update 50, 11 Feb 2008 (3月1日付)によると、ベトナムでは2007年の全期間を通じて、ワクチンを接種されていないカモ生産施設を中心に、繰り返し、家禽での H5N1高病原性鳥インフルエンザの感染流行が発生している。2007年のベトナムで初めての鳥インフルエンザワクチンキャンペーンが終了したのは、2007年9月に 63の省に対してであり、合計 1億6400万羽の家禽がワクチンを接種された(8700万のニワトリ、7300万のマガモ mallard-type ducks、300万の muscovy ducks)。私営の家畜会社により、4200万回分以上のワクチンが接種された。41の省と市における、ワクチン接種後サーベイランスの解析により、65.4%(42037検体)と72.05%(1753の個体群)の防御率が示された。中央政府が運営する15ヶ所の生育農場での接種後サーベイランスの解析では、全体的な防御率は 81%(3474検体)であった。(HIによる)血清学的検査によると、ワクチン接種を受けていない飼育されている水禽(マガモとmuscovy ducks) では、4.58%(14427検体)と 13.95%(681個体群)の陽性率であった。25の省と市の市場や処分場からのスワブ検体による、ウイルス発生率は 1.75%であった。2008年の感染流行は、ワクチンを受けていないカモに発生した。上記記事によると、どの種が感染し、どのような形態の施設であるかはっきりしない。ワクチンキャンペーンにも関わらず、いくつもの省で、大規模な鳥インフルエンザ感染流行が発生しているとすれば、重大なことであり、ワクチンの効果を含めその背景状況について、明確にされることが望まれる] 
[2] 香港の死鳥、H5N1検査陽性 
 情報源: Xinhuanet 、3月8日
以前に香港で死亡して発見された1羽の oriental magpie robin の検査の結果、致死性 H5N1鳥インフルエンザウイルスが陽性となったことを、2008年3月7日に香港の政府当局が明らかにした。この死亡した鳥類は、2月29日に、Tai Po Kau Nature Reserve(北部 New Territories)で発見されたもので、oriental magpie robin は香港ではよく見かけられる在来種であると説明された。香港では、2007年11月以降、H5N1に感染した鳥類が 9例報告されている。H5N1ウイルスは、寒冷・乾燥の冬期に活動性が増すのが通例である。香港政府はウイルスに関する注意喚起を行い、緊急時の対応策や啓蒙活動を行っている。7日、政府、香港国際空港と航空各社からの 300人以上が参加し、香港国際空港の旅客機内の、H5N1鳥インフルエンザ感染が疑われる患者を想定した訓練が実施された。
[Mod.AS-香港は、1997年8月に 3才の少年が、人類で初めて H5N1型高病原性鳥インフルエンザに感染した場所である。鳥類とヒトに対する感染策は模範的である。
政府のウェブサイト "Prevention of avian influenza"]

● ブルータング ヨーロッパ
PRO/AH> Bluetongue - Europe (14): BTV-8, fetal viremia, vaccination
Archive Number: 20080308.0948 
[1] 投稿者:英・Dr. Peter Roeder、3月7日
20080306.0916に関して。
[2] イタリア向けの、動物用BTV-8ワクチンが使用可能となると、仏政府当局が確約した。
 情報源: Ministry of Agriculture and Fisheries, France, Press release [trans. from French]、3月4日