2008年3月9日-10日

原因不明の疾患 ドミニカ共和国から
デング熱 トンガ,オーストラリア

● 原因不明の疾患 ドミニカ共和国から
PRO/EDR> Undiagnosed illness, airplane - USA (FL) ex Dominican Republic: RFI
Archive Number: 20080309.0964
 情報源:TheRecord.com、3月6日
カリブ海からカナダに向かっていた航空機内家族8人が重症となり、フロリダに緊急着陸した原因に関する回答は、2008年3月5日の時点で届いていない。モントリオール Motreal に本社のある Air Transat 社のドミニカ共和国発エドモントン Edmonton 行き Flight 477 搭乗の 8人は、離陸後、発汗・震え・過呼吸を訴え始めたと、親族らが取材に対し明らかにした。家族の中の男性は、家族らが出国しようとした際に、1人の若い女性がホテルで気分が悪くなり、空港で待つ間に徐々に状態が悪くなったと述べた。彼女の症状は、離陸後、おそらく接触することによって周りに拡大した。撫ぜたりすることで、20分以内に触れた人へと症状が移っていったと説明した。
航空機は2008年3月4日遅くに Fort Lauderdale にダイバートし、8人は病院へ搬送された。この中には、ただ1人胃痛を訴えたこの男性の 14歳の姪や、娘の1人、処置に当たった救急隊員も含まれている。このフライトが再出発する時間までに全員が退院となり、翌日の5日朝にエドモントンに到着した。家族らは全員が4日午後に同じ料理を食べている。しかし、この男性によると、このレストランで食事を取った全ての人が発病したわけではなく、何人かの若年者はアルコールを飲んだが、飲んでいない義理の兄弟も発病したという。彼は、具合の悪くなった息子にずっと付き添っており、その後、妻やほかの息子の面倒も見た。いずれも発病したと説明している。
Fort Lauderdale (フロリダ Florida 州) の空港広報担当者は、CDC の当局者らは機内で全員の聞き取り調査を行い、空気感染する疾患によるものではないと結論付けた。男性は、フロリダ州では家族と連絡が取れず、医師がどのように説明したか確かではないと、男性は話している。彼は説明できないが、薬物が関与している疑いがあると推測している。飲み物の中に何かが入っていたと思うと述べた。エドモントンの国際空港では、機内には他に患者の報告はなく、運行が再開されたと述べた。アルバータ州都に着陸後、機体の消毒が行われた。乗客らによると、元々到着時に消毒作業 decontaminated が行われる予定であったと説明を受けていたが、患者らが病院から開放されたことを知ると、撤回されたという。機体は、フロリダの空港の hot runway (滑走路上) に、245人の乗客と9人の乗員を乗せたまま、CDC の当局が OK するまで、検疫のため留め置かれた。...エドモントンに向かって再び出発するまでに 14時間を要した。
[Mod.ML-ドミニカ共和国への旅行からカナダに帰国中の、大家族のうちの8人が、発病したようである。初発患者はホテルで発病し、家族全員で同じレストランで昼食を取った後、まさに空港へ出発しようと言う時だった。搭乗後、短時間に他の家族にもこの病気が拡がった。レストランで食べたものの種類は明らかにされていない。全員ではない何人かはアルコールを飲んでいる。正確な年齢や性別はわからないが、男性も女性も大人も子供も発病した。症状としては、発汗・震え・過呼吸と、1人のみ消化器症状が見られた。発病した一家の中で、発熱者については触れられていない。搭乗した、他の245人の乗客と9人乗員は、いずれも健康であり、発病した8人もすぐにフロリダの病院から退院した。比較的発症が早いことから、潜伏期間の短い共通の曝露源が示唆される。エアロゾルや共通の食品からの摂取によるトキシンへの曝露の可能性もあるが、予想される、(過呼吸以外の) 呼吸器症状や胃腸症状が認められていない。その他の説明として、集団精神病 mass psychogenic (sociogenic) illness がある。器質性疾患を疑わせる症状を特徴とするが、臨床および検査上の疾患の証拠に乏しく、環境上の原因も特定できない。典型的な症状は過呼吸である。集団精神疾患は、ストレス下にある集団に発生しやすく、男性よりも女性に多い。発症は、周囲の状況が引き金になったり、初発患者の発病に続いて起こることも多い。視覚的な伝播により短時間で拡がり、派手な救急やメディアの対応によって重症化する。他者から引き離され、流行が発生した状況から解放されると、速やかに改善する。しかし、mass psychogenic illness と mass intoxication (集団中毒) の区別は難しい。20070720.2327の mass hysteria の記事に解説がある]

● デング熱 トンガ,オーストラリア
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2008 (10)
Archive Number: 20080309.0962
トンガ 
 情報源:Tonga Review 、3月3日
Vaiola Hospital からの報告によると、2008年3月2日にデング熱 Dengue により 2名が死亡した。23歳の警察官 1名と、幼児 1名が、デング熱の重症合併症により死亡した。デング熱は、感染した蚊族により伝播される、インフルエンザに類似した症状の見られる疾患で、この 2人は、死亡することもあるデングの重症型の感染により死亡したものと見られている。医師は、この 2人には出血症状があり、合併症により死亡したと説明した。.. 当局からのデング予防のための注意事項 ... 2007年6月から12月にかけて、デング感染流行が発生し、当時死亡した患者は 1名であった。このほか、5-60人の患者が治療を受けた。しかし、2008年、デング熱感染患者は 3倍に増加し、200人以上が治療を受けた。
オーストラリア
 情報源:Cairns.com.au、3月8日
Port Douglas で、死亡する可能性のあるデング熱に感染した患者は 14人となった。2008年3月7日、衛生当局者は、蚊族のトラップや噴霧を行っているにもかかわらず、現在も感染率は増加していると話した。... Macrossan St を取り囲む通りの住宅や商店など、Port Douglas 周辺の数十軒が、デング熱注意ゾーンに入っている。Mossman の中心部では、Front St. の西の、Grogan and Harper St, の間が、注意ゾーンと宣言されている。2003年、ケアンズ Cairns 内陸部の郊外 Parramatta Park で、30人以上がデングに感染した。1997-8年の流行では、Cairns and Port Douglas 地域で、デング熱に感染した患者は500人であった。 
地図 Australia showing Cairns in NE Queensland

● ハンタウイルス 米国
PRO/AH/EDR> Hantavirus update 2008 - Americas (05): USA (CO)
Archive Number: 20080310.0970
 情報源:The Lamar Ledger, Colorado USA、3月4日
コロラド Colorado 州衛生環境局で行われた検査により、2008年2月に Kiowa 郡で死亡した男性 1名の、ハンタウイルス感染が確認された。ハンタウイルス hantavirus は deer mice によって運ばれ、重篤な呼吸器疾患の原因となる。このウイルスは、ネズミの唾液、尿、フンによって運ばれる。ウイルスが空気感染によって吸入されたり、ネズミやそのフン、巣などに直接触ることでヒトに感染する。ヒトからヒトへの感染は知られていない。シカネズミが多くいる地域では、春が近づくにつれ、ハンタウイルスのいる地区に注意する必要がある。少しの注意で感染のリスクを小さくすることができる。予防が大切である。ハンタウイルス感染は、自宅、倉庫などの建物のまわりのネズミを追い払うことで避けられる。 -建物にネズミが入らないようにする -ネズミのエサや隠れられる場所を取り除く -年間を通じ、ネズミ捕りなどを仕掛ける -ネズミがいる建物に入ったり掃除をするときに注意する ネズミのいた建物を掃除するときには、建物全体の風通しを良くして、水と漂白剤を混ぜたものを積もった埃やフンなどを片付ける前に吹き付ける。シカネズミは、表が茶色で、裏が白く、はっきり色が分かれている [写真 deer mouse, _Peromyscus maniculatus_]。頭の大きさの割りに大きな耳をもち、反対にイエネズミは全身が灰色で耳が小さい。都会でよく見かける灰色のイエネズミは、ハンタウイルスを伝播することはない。 
[Mod.JW-東部コロラド州では、異例に早い時期のハンタウイルス感染である。米国全体の致死率は36%である]

● インフルエンザ 米国、刑務所 
PRO/EDR> Influenza, prison - USA: (CA)
Archive Number: 20080309.0965
 情報源:SignOnSanDiego.com, Associated Press report、3月7日
州刑務所におけるインフルエンザ Influenza 感染流行により、2008年2月以降、500人以上の受刑者が発病し、同施設には新規の受刑者や面会人の訪問が禁止される事態となっていると、2008年3月7日に当局が明らかにした。Chuckawalla Valley State Prison の受刑者らは、2月23日からインフルエンザ様症状を発症し始め、発熱・咳・体性痛などが見られている。
当局者によると、546人の受刑者が発病し、10人が入院した。2人が死亡し、インフルエンザとの関連について調査が行われている。今も8人が入院中であり、残る患者は所内での治療を受けている。弁護士を含め全ての訪問が禁止されている。同刑務所は、低-中等度保安体制の刑務所で、3147人の受刑者が収容されている。 
[Mod.CP-(3147人中546人の) 高い発病率は、人口密度を反映しているものと思われる。また、季節性インフルエンザワクチンの接種も不十分であった可能性がある。MMWR (2008年2月15日) によると、2007-8インフルエンザシーズンの開始以来、米国での活動性は低のままである。2007年12月から2008年1-2月にかけて徐々に増加傾向にある]

● 牛肉回収 米国
PRO/AH> Beef recall - USA (07)
Archive Number: 20080309.0963
[1] 元精肉工場従業員は、指示に従っただけと答えた。 
 情報源:USA Today、3月8日
米国史上最大の牛肉回収に発展した、病気のウシの不正使用の様子をビデオで撮影された、収監中とされる元精肉工場従業員は、指示に従っただけだとインタビューに答えている。 [2] 過去の最優秀供給業者の認定を取り消し、盾の変換を求めている。 
 情報源:Cattlenetwork.com 、3月6日
米国農務省の当局は、Hallmark/Westland Meat Packing Co. 社に対して出された、2004/5 の学校年度の年間最優秀供給業者の認定を取り消し、盾の変換を求めている。



● トマトの病気、Tomato golden mottle virus メキシコ
PRO/PL> Tomato golden mottle virus - Mexico: 1st rep, (SLP)
Archive Number: 20080310.0977
 情報源 The American Phytopathological Society, Plant Disease 2007; 91(11): 1513、2007年11月
[Reference: JA Mauricio-Castillo et al: 1st report of _Tomato golden mottle virus_ on _Lycopersicon esculentum_ and _Solanum rostratum_ in Mexico. Plant Dis 2007; 91(11): 1513; DOI: 10.1094/PDIS-91-11-1513B] 
メキシコ北中部 San Luis Potosi State の The Rioverde Valley は、重要な農業地域で、毎年各種農作物 (トマト、コショウ、キュウリ、watermelon)  が収穫されている。2005年夏にさまざまな病気が発生した。

● ブドウの病気,真菌性疾患 オーストラリア、南アフリカ 
PRO/PL> Fungal diseases, grapevine - Australia, South Africa
Archive Number: 20080310.0969
[1] _Botrytis_, grapevine - オーストラリア (New South Wales) 
 情報源:Mudgee Guardian、3月3日
マッジー Mudgee に降った雨で、今夏の大地は、干ばつから解放され活気を取り戻した。しかし、ブドウ畑では問題が発生した。湿って湿気のある条件は、 (カビの1種である) botrytis あるいは bunch rot の繁殖に格好の場である。Lowe Family Wines では、セミヨンやメルローといった皮が薄い品種のブドウが、最も被害を受けたが、カベルネソーヴィニヨンは standing up well(被害を免れている)。また、古い木は濃く繁っているため、病気に耐えている。Mudgee Wine Grape Growers Association の executive officer (役員) は、botrytis が蔓延しているが、事態はさまざまで、良い管理を行っているところは健全な状態を保っている。ときに botrytis は 'noble rot (貴腐)' とも呼ばれ、雨の後に乾燥した条件が整えば、スウィートデザートワインが生まれる。 
[2] Fungal diseases, grapevine - オーストラリア (New South Wales) 
 情報源:The Singleton Argus、2月29日
ハンター Hunter のブドウ栽培地域では、湿度の高い 2008年1月と生産者が奮闘する中、赤ワイン用ブドウが蔓についたまま腐ってしまった。赤ワイン 生産者にとって、1月の雨は、ただでさえ難しいビンテージとなった収穫に追い討ちをかけた。1/2 にのぼるシーズンの収穫量が失われた。40年以上現地で の製造経験をもつワイン生産関係者は、60年代後半から70年代初頭を想起させるシーズンだと話した。2007年6月以来 50インチの降雨があり、雨は 降っても、35度を超える日はなかったと述べた。今シーズンを難しい年にした原因は、赤ワインの熟成に必要な日射量があり、雨による疾病の被害 pressure もあったと解説されている。 
[3] Fungal diseases, grapevine - 南アフリカ 
 情報源:South African Wine 、2月29日
2008年の収穫の最盛期である。多くの地域は、夏の雨の恩恵を受けているが、2008年ワインの品質には良い影響を与えていないようである。
以下、各生産地の状況 (詳細は原文参照願います)。 
Constantia: 影響あり、Franschhoek: 影響あり、Hemel En Aarde Valley: 病気は終息したが、以前厳しい状況、Paarl: 対策が講じられている、Robertson: 影響あり、Stellenbosch:ぎりぎり助かっている、Worcester: 影響あり、Klein Karoo, Durbanville, Olifants River, Swartland: ほとんど影響なし 

● 原因不明の死亡、家きん インド
PRO/AH/EDR> Undiagnosed deaths, poultry - India: (Punjab), RFI
Archive Number: 20080310.0968
 情報源:The Tribune (Chandigarh) 、3月8日
Bathinda 近郊の Gehri Bhagi 村の 1ヶ所の養鶏場で、原因不明の 3000羽以上の鳥類の死亡が発生したため、地域内ではパニックになっている。家畜当局の獣医師らは、半径 3km以内の全ての養鶏場の調査を開始した。死鳥の鳥インフルエンザウイルス感染は除外されている。抗生物質の効果が見られなかったことから、死亡は何らかのウイルスによるものと推測されている。2008年3月8日に当局者が述べた。生き残ったのはわずか 40羽で、これらのトリも感染しているように見えた。「検体は、ボパール Bhopal の High Security Animal Disease Laboratory に送付されている。ヒトにも感染する鳥インフルエンザだが、養鶏場の所有者らが健康であることから、鳥インフルエンザではないと考えている」と、当局者が述べた。[このことが、H5N1型高病原性鳥インフルエンザを否定する根拠にはならない]

● 鳥インフルエンザ インド
PRO/AH/EDR> Avian influenza (42): India (West Bengal)
Archive Number: 20080309.0967
[1] 1月に一斉処分が行われなかった2つの村で、新たな感染流行発生。 
 情報源: Telegraphindia.com 、3月8日
ムルシダーバード Murshidabad の 2つの村で、新たな鳥インフルエンザ Avian influenza 感染が確認された。Nayamukundapur および Bothra 村から、ボパール Bhopal の国立動物検査機関に送付された検体の検査で、鳥インフルエンザが陽性となった。2008年3月9日、緊急対策チームが、発生地域のニワトリやアヒルの処分に向かう。Nayamukundapur 村 (Raghunathgunj Block II, Behrampore からおよそ 50km) でニワトリ 600羽、Bothra (Murshidabad-Jiagunj block) で 300羽以上が死亡した。2008年1月にベンガル Bengal 州で初めて鳥インフルエンザが発生したときに、今回の Murshidabad の2つの新たな感染発生地区では、処分作業を行っていなかったと当局は述べた。... 
[2] 同上。 
 情報源:Sify News、3月9日
2008年3月8日、西ベンガル West Bengal 中部で、新たな鳥インフルエンザ感染例が確認された。インド最悪の鳥インフルエンザ感染流行により約 400万羽の鳥類が処分されて以来、およそ1ヶ月ぶりの発生となった。「Murshidabad 地区の2つの村から鳥インフルエンザ確認の報告を受けた。Nayamukundapur (Raghunathgunj Block II) および Dohapara 村 (Murshidabad-Jiagunj block) である」と、 Murshidabad district の判事が述べた。約 900羽の家禽が死亡したこの地区は、コルカタ Kolkata からおよそ 300kmに位置する。.. 以下、送付された検体で鳥インフルエンザが陽性となったこと、対策チームの派遣と処分、2月の流行など...West Bengal では、19地区中 13地区で H5N1型ウイルスによる鳥インフルエンザが発生している。発生地域には180万人が暮らしている。West Bengal で鳥インフルエンザが確認されたのは、2008年1月15日であった。感染が発生しているのは、South 24 Parganas, Howrah, Hooghly, Birbhum, South Dinajpur, Murshidabad, Nadia, Burdwan, Bankura, Malda, Cooch Behar, Purulia and West Midnapore である。West Bengal と、長い国境を接するバングラディシュでは、64地区のうち 29の地区に鳥インフルエンザが発生した。同国では、1月3日に感染流行が発表されている。
[Mod.AS -インド政府が、2008年1月の Murshidabad の 2つの感染流行の際に、一斉処分を控えたと、大臣が堂々と述べたのは、非常に高くついたようだが、幸運にも、これまでのところ(判っている範囲では)ヒトでの感染が発生していない。インド政府から最後に OIE への報告が行われたのは、2008年2月9日である。新しい経過報告の提出を期待する]

● 疾患報告、動物 エチオピア
PRO/AH> Disease report, animals - Ethiopia: (south)(02)
Archive Number: 20080309.0966
 投稿者:エチオピア・農業地方開発省、Berhe Gebreegziabher (PhD)、3月9日 20080302.0853 について。