2008年4月21日

発疹熱 日本 インドネシアから
デング熱 ブラジル,世界各国

● 発疹熱 日本 インドネシアから
PRO/AH/EDR> Murine typhus - Japan ex Indonesia (Bali) (03)
Archive Number: 20080421.1418
 投稿者:亀田メディカルセンター・Goh Ohji MD, PhD, DTM&H、4月19日 
インドネシア Indonesia から帰国した 23歳の日本人男性 1名が、2008年4月10日、発疹熱 Murine typhus と診断された。2008年4月に入って、インドネシアからの帰国者で発疹熱と診断された患者は 2人目となる。この男性は、3月13日から23日までインドネシアのバリ Bali 島に滞在した。13日から18日まで Nusa Dua のホテルに、18日から22日の間は Sanur にある親戚の家に、そして22日から26日は Kuta のホテルに滞在した。Medewi には入っていない。3月29日に、5日間続く発熱、頭痛、関節痛を訴え、当院の救急外来を受診した。理学検査では腕の小さな紅斑が認められたのみであった。デング熱を疑い日本の国立感染研に検体を送付し血清検査を依頼した。感染研では、すでにバリ島からの帰国者の発疹熱症例を経験していたことから、デング熱検査に加え、_Rickettsia typhi_ DNA の PCR による解析が追加され,PCR アッセイの結果は陽性となった。さらに、間接免疫蛍光アッセイ IFA を追加して行った。4月2日、IgM および IgG 抗体は陰性であったが、フォローアップで行った10日の抗体価は、IgM 抗体が 1:256 以上,IgG 抗体が 1:512 以上であり、急性感染であることが判明した。10日の再診時、すでに完全に回復していた。1週間後の再診時まで抗生物質なしで慎重に経過を追うこととした。発疹熱の潜伏期間を考慮すると、以前の報告同様、輸入例であると推定される。さらに 2つの症例の渡航歴から、Kuta ビーチ周辺における発疹熱の土着感染の可能性が示唆された。 

● デング熱 ブラジル,世界各国
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2008 (16)
Archive Number: 20080421.1411
[1] ブラジル Brazil (全国) 
 情報源:Folha Online [in Portuguese, trans. & summ.]、4月19日
北東部でおよそ1ヶ月間降り続いている豪雨により、同地域でのデング熱 Dengue が増加している。2008年の届出患者数は、2007年同期に比べ 48%の増加となっている。地域内で診断が確定したデング熱による死者は 27人で、ほか 56人の死亡がデング熱感染によると疑われている。
2008年最も患者が増加したのは、セルジペ Sergipe 州で、1月から4月の今日まで、2007年比 1226%であり、4人の小児を含む 7人がデング熱感染により死亡した。州内にある 20都市で、このほか 8人の死亡がデングとの関連を調査されている。.. リオグランデドノルテ Rio Grande do Norte、アラゴアス Alagoas、バイア Bahia、セアラ Ceara 各州の発生状況など、マラニャン Maranhao 州では減少した。
[2] Brazil (Rio de Janeiro) 
 情報源:O Globo [in Portuguese, trans. & summ.]、4月18日
当局は、リオデジャネイロの感染流行はピークから、減少傾向が見られるが、喜ぶべき材料はないと述べた。脱水治療センターでの治療は十分機能している。デング熱による死亡は確認されていない。
世界各国
 情報源:U.S. CDC Outbreak Notice Update: Dengue, Tropical and Subtropical Regions、4月16日
デング熱は、蚊族(通常ネッタイシマカ_Aedes aegypti_) の刺咬によりヒトに感染する,よく見られるウイルス性疾患である;カリブ海、中米、東南アジアから帰国し発熱した旅行者の、最も多い原因となっている。 デング熱のリスクのある地域:デングウイルスが存在する地域の範囲は、近年著しく増えている。今日、東南アジア・インド亜大陸・南太平洋・カリブ海・中南米・豪州北東部およびアフリカの熱帯にある多くの国々が含まれている。デングの発症リスクは蚊族の刺咬に関係し、季節により大きく変化する。デングを伝播する蚊族は、特に人家の敷地内や周辺に多く見られる、人工のあるいは自然の容器 containers 内で発生し、このためデング熱は人家の密集した地域に多い。2007年、多くの国で多数のデング熱患者が報告された。この傾向は 2008年も継続しており、特に大規模な流行がブラジルで発生している。 
旅行者の予防対策:デングを予防するワクチンはなく、デング熱患者を治療する特別な薬剤もない。デング熱を発病した患者には、解熱剤 acetaminophen の提供と、経口あるいは経静脈輸液が必要となることもあり、重症例では血圧維持のための治療を必要とする。旅行者は、蚊族の刺咬を避けることでデング熱感染のリスクを低下させることができる。デングを伝播する主な蚊族のヤブカ属は、通常、夕方と明け方に活発となるが、特に室内、日陰、曇りの日などは、1日を通じて吸血する可能性がある。デング熱は、マラリアとは異なり、農村部だけでなくしばしば都市部でも感染伝播が発生する。蚊族の刺咬を避ける手段として推奨されるのは:... 30-50%のDEET、15%の picardin (ともに忌避剤) の使用、蚊帳、ゆったりとした長袖シャツと長ズボンの着用、ホテルから出ないことなど 

● 鳥インフルエンザ 韓国 H5N1
PRO/AH/EDR> Avian influenza (63): South Korea
Archive Number: 20080421.1419
  情報源:Reuters Foundation AlertNet、4月19日
韓国農業省は 2008年4月19日、南西部の養鶏場で新たな鳥インフルエンザ Avian influenza 感染流行が発生したと報告した。過去2週間のうちに発生した流行は、16件となった。当局によると、Jeongeup (North Jeolla province) の農場において H5N1型ウイルス陽性であることが検査により確認された。4月の初めにも、同地域では鳥インフルエンザ感染流行が確認されている。18日に当局が調査中であると発表した、新たな3件の感染流行の1つであり、大量処分が行われる中、4年ぶりの最悪の感染流行となっている。韓国内では、これまでのところヒトでの死亡は報告されていない。韓国では、予定されている480万羽のうち、370万羽のニワトリとカモの処分が終了していると報じられている。2003年後半から2004年前半までに行われた530万羽の処分以来の大規模な処分となっている。最悪の被害が発生中の North Jeolla province では、19-20日にかけて、処分を完了すべく、検疫職員と兵士らが作業に当たっている。2006年1月から2007年3月の間に、韓国では7件の鳥インフルエンザ感染流行が発生している。

● アフリカ豚熱(豚コレラ)ナゴルノ-カラバフ: 訂正(URL)
PRO/AH/EDR> African swine fever - Nagorno-Karabakh: corr.
Archive Number: 20080421.1414

● イネの病気,胴枯れ病 ケニア
PRO/PL> Blast disease, rice - Kenya (02): (CP)
Archive Number: 20080421.1413
 情報源:Reuters UK 、4月18日
真菌 fungus [rice blast イネ胴枯れ病] により、ケニア有数のコメの生産地である Central Province において、5000ha が被害を受けた。年間生産量の 10-20% にあたる量で、ケニアは、過去2ヶ月に 75% 高騰したコメを輸入しなければならないことを意味する。

● サトウキビの病気 オーストラリア
PRO/PL> Smut, sugarcane - Australia (02): (NSW)
Archive Number: 20080421.1412
 情報源:The Daily Examiner 、4月17日
Clarence Valley [near Grafton] のサトウキビ栽培農家は、New South Wales 州北部で sugarcane smut spores(サトウキビ黒穂病の芽胞) が発見されたことに、パニックになるべきではないと専門家は呼びかけている。

● 悪性カタル熱,ウシ 米国
PRO/AH/EDR> Malignant catarrhal fever, bovine - USA (02): (TX)
Archive Number: 20080421.1410
 情報源:The Houston Chronicle、4月19日
テキサス Texas 州の牧場で草を食むおよそ130頭のウシが、wildebeests  [gnus ヌーとも呼ばれる] だけに感染伝播する致死性のウイルスに感染した。ヒトへの影響はないと、2007年4月18日に農業当局者が明らかにした。アフリカ原産の wildebeests は、種々の野生動物を飼育するテキサス州の私営牧場で飼われていた。この wildebeests の fate 生死については明らかにされていないが、感染させられたウシについては処分されることになっており、米国農務省が所有者に対する補償を行なうと述べた。テキサス州のこの 134頭の繁殖用の若い牝牛は、最近売却され、Illinois, Arkansas, Alabama, Georgia, Louisiana,Mississippi and parts of Texas に出荷され、うち2頭が死亡した。1頭はルイジアナ州の牧場で死亡し、一時的に封鎖された。2008年4月17日、アイオワ州 Ames の国立獣医学研究所での検査結果により、wildebeest-associated malignant catarrhal fever (MCF) と診断された。当局は、このウイルスがウシの間で感染伝播することはなく、ヒトに対する危険性もないことを強調した。... Wildebeests はウイルスを保有し、空気感染の原因となることがある。ウシとは別々に飼われていたが、柵をはさんで接近した可能性がある。