2008年4月26日-28日

原因不明の反応、ヘパリン 米国:病態生理学
チクングニア 台湾,マレーシア
黄熱 リベリア、アルゼンチン

● 原因不明の反応、ヘパリン 米国
PRO/EDR> Undiagnosed reactions, fatal, heparin - USA (10): pathophysiology
Archive Number: 20080428.1469
 情報源:US Food & Drug Administration (FDA), Center for Drug Evaluation and Research (CDER) 、4月25日
FDA (US Food & Drug Administration、米国食品医薬品局) は、汚染されたヘパリンが混入した疑いのある医薬品に関連する重要事項を要約し、医療機関および関係者から、これらの製品に関する副反応の確認と報告による支援を要請している。
[Mod.LL-2008年4月23日発行の NEJM誌掲載の論文 Contaminated Heparin Associated with Adverse Clinical Events and Activation of the Contact System. N Engl J Med 2008:358の紹介 
背景:世界中のヘパリン製剤に混入していた過硫酸化コンドロイチン硫酸 oversulfated chondroitin sulfate (OSCS) が、米国およびドイツの経静脈後に発生した重症のアナフィラキシーの原因であるか、早急に結論付ける必要があった。 
方法:FDA から入手した、今回の事例に関連するとされたロットと対照ロットのヘパリンについて、盲検によって、OCSC およびそれ以外の生物活性物質の存在が、観察された臨床的有害事象と関連があるかの、スクリーニング検査が行なわれた。contact system の活性化と、complement cascade(補体系) のインビトロアッセイが行なわれた。さらに、OSCSの生体での重要な臨床症状が再現されるかを、ブタを使って検査した。 
結果: 汚染されているとされた未分画ヘパリンのロット内の OSCS は、合成された OCSC の  reference standard 同様、直接ヒト血漿中のキニンカリクレイン経路を活性化し、強力な血管作用物質であるブラジキニンを産生させた。さらに OSCS は、補体たんぱく由来の強力なアナフィラトキシン anaphylatoxin である、C3a および C5a の産生を誘導した。これら 2つの経路の活性化は、意外なことに ⅩⅡ因子の液相活性化 fluid-phase activation に関連し依存していた。複数の種の血漿検体の検査から、ブタとヒトの OCSC への反応性に相同性が認められた。OCSC 添加ヘパリンおよび合成 OCSC は、ブタの静脈内に注射した際に、カリクレイン活性化に伴う血圧低下を引き起こした。 
結論:今回の結果により、疑われているロットのヘパリン内の OCSC の存在と、観察されている臨床的有害事象 (副反応) との間には、強い生物学的関連性があることの、科学的な説明がなされた。contact system を活性化する OCSC および他の高硫酸化多糖類の、ヘパリン製剤への混入をスクリーニング検査することによって、ヘパリン製剤の流通を保護する分析検査は、カリクレインの amidolytic (アミド分解性) 作用に対するアッセイにより補完される (より強化される) 可能性がある]

● チクングニア 台湾,マレーシア(2件)
台湾
PRO/EDR> Chikungunya (14): Taiwan ex Indonesia, RFI
Archive Number: 20080428.1470
 情報源:The China Post、4月24日
桃園 Taoyuan 郡 (国際空港所在地) の衛生当局は、2008年4月23日、2008年初のチクングニア Chikungunya 感染症例を報告した。患者は、2008年3月26日から4月9日まで上海を旅行し、その後4月9日から19日までインドネシア/ジャカルタ Jakarta へ足を延ばした、58歳の台湾人ビジネスマンである。空港の検疫所を通過する際に有熱者であることが判明し、精査の結果、チクングニアウイルスに感染していることが確認された。この男性の症状は、治療により経過した。チクングニアウイルス CHIKV は、ヤブカ属蚊族による刺咬を通じてヒトに感染伝播し、デング熱類似の症状を引き起こす。急性の発熱期は2-5日間であるが、間接の感染による痛みは、数週間から数ヶ月続く。 
[Mod.TY- この男性がチクングニアウイルスに感染した場所は、インドネシアのジャカルタで間違いない。高速移動により、チクングニアウイルスが伝播されることが、またしても証明された。チクングニアウイルスのベクターである、ネッタイシマカは _Aedes aegypti_、台湾に存在する。台湾での国内伝播が発生しないことを願うばかりである。ProMED では、現在のジャカルタでのチクングニアウイルス感染に関する情報と、台湾での二次感染例の有無に関する情報を歓迎する] 

マレーシア
PRO/EDR> Chikungunya (13): Malaysia (Johor)
Archive Number: 20080428.1462
 情報源:NST Online、4月27日
Kampung Ulu Choh [ジョホール Johor 州] で合計 16人が、デングに似た、非致死性 [めったに死なない] ウイルス性発熱疾患のチクングニア感染と診断されている。当局は、患者らは 2週間前にウイルス熱に感染したものであると説明した。チクングニアと診断されたのは、2008年4月24日である。説明によると、デング熱に似た症状であるが、死亡することはない。
 [2005-6年のインド洋およびインドでの大規模流行では、一部にチクングニアによる死亡が発生した (20061224.3598)]。
すでに封じ込められており、流行ではなく、チクングニアの治療は対症療法であるが、自然治癒するとも説明されている。感染した患者は、関節痛と麻疹様の紅斑をともなう、ウイルス熱を発症する。デング熱ウイルスを伝播するヤブカ属 _Aedes_ mosquito によりチクングニアウイルスも伝播されることから、対象地域では、当局による噴霧消毒などの予防策や健康調査が行なわれている。
Ulu Choh:マレー半島の最南端で、マレーシアとシンガポールを分けるStraits of Johor (またの名を the Straits of Tebrau) 地域にある。2008年2月に近くのシンガポールでも患者が発生しており、マレーシアのこの地域に患者があふれてきても不思議はない。

● 黄熱 リベリア、アルゼンチン(2件)

リベリア
PRO/AH/EDR> Yellow fever - Africa (02): Liberia
Archive Number: 20080428.1461
 情報源:World Health Organization (WHO) Epidemic and Pandemic Alert and Response (EPR) disease outbreak news、4月25日
リベリア保健省は、新たに 1例の黄熱 Yellow fever 感染が確定された患者を報告した。この症例は、初発患者と同じ Nimba 郡 Tappita 地区 Zuotuo の集落に住む 30才の男性である。確定患者数は、死亡 1例を含め 2例となった。患者の診断確定は、モンロビア Monrovia の国立検査機関および地域委託検査機関で WHO 黄熱協力センターでもあるセネガル・ダカール Dakar のパスツール研究所で行なわれた。WHO の技術支援を受けた保健省は、Tappita 地区でのワクチン接種を開始し、周辺地域にも臨時の一斉接種として範囲を拡大する計画である。International Coordinating Group on Vaccine Provision for Yellow Fever Control (YF-ICG、黄熱対策用ワクチン供給のための国際調整グループ) が管理する、国際緊急備蓄からの黄熱ワクチン供与に対し、2度目の要請を行なった。新たな要請の対象者は、177112人で、1回目と2回目の対象者の合計は、294613人となった。 
[Mod.TY- 第2の患者は 20080405.1246 で報告された初発患者と同じ村の出身者であることから、都市型感染流行のリスクを伴うヒト-蚊族-ヒト感染の存在が疑われるのか、もう1人の弧発例による、森林型感染なのかに疑問を抱くだろう。いずれの場合であれ、迅速な地区内のワクチン接種が重要である] 
地図 Liberia 

アルゼンチン
PRO/AH/EDR> Yellow fever - South America (23): Argentina
Archive Number: 20080428.1459
 情報源:JC Online, UOL report [in Portuguese, trans. & summ.]、4月12日
アルゼンチン政府当局は、ブラジル国境地域で新たな黄熱 yellow fever [YF] 感染患者が確認され、2008年の国内の黄熱感染の患者数は,すでに 死亡した1人を含む 6人となったと、2008年4月12日に発表した。今回の症例は、ブラジルとの国境にあるミシオネス Misiones  province の Bernardo de Irigoyen 市在住の男性1名であると、州保健当局者が述べた。男性の健康状態は良好で、退院後自宅に戻っている。ミシオネス州は、2008年に YF で 8人が死亡しているパラグアイとの国境でもある。ブラジルでは、2007年12月中旬から 2008年2月末までに、中西部で 19例の YF 感染が報告されている。 
地図 Argentina showing Misiones province

● 手足口病 シンガポール、ブルネイ
PRO/EDR> Hand, foot & mouth disease - Singapore, Brunei
Archive Number: 20080427.1456
[1] シンガポール: 週の合計患者数は1162人となった。 
 情報源:Singapore News Weekend、4月26日
2008年4月25日に、新たに3ヶ所の幼稚園と保育施設に対し、保健省から閉鎖命令が出され、手足口病の Hand, Foot and MouthDisease (HFMD) の感染流行により、強制閉鎖となった施設は、2008年4月25日に合計11ヶ所となった。... 新たに 78例の HFMD 患者が報告され、2008年4月25日の週の合計患者数は 1162人となった。 
[2] ブルネイ:昨夏の HFMD 感染患者は90人だった 
 情報源:Borneo Bulletin Weekend Online、4月26日 
保護者らの間で、4日間に880人の患者が報告されている、シンガポールの HFMD 感染流行に関する懸念が広がっている。.. 報道では、シンガポールでは、2008年のこれまでに 8400人が感染したと伝えられている。... 情報によると、ブルネイでも HFMD 患者の報告があるものの、徐々に減少している。2007年8月の1ヶ月間に、およそ90人の HFMD 患者がブルネイで報告されているが、2006年3月初めから4月中旬までの期間には、およそ 580例が記録されている。

● 黄色ブドウ球菌(MRSA)英国
PRO/EDR> Staph. aureus (MRSA), nosocomial - UK (England)
Archive Number: 20080427.1455
 情報源:Reuters Health、4月24日
イングランド England において、病院内の superbug (強毒菌) である MRSA による感染の減少傾向は、2007年の第四四半期を境に、微増に転じたことを、2008年4月24日に Health Protection Agency (HPA) が明らかにした。2007年10月から12月にかけて、1087例の患者が報告され、前の3ヶ月間に比べ 0.6%増加した。

● 化学物質混入、ひまわり油 スペイン ウクライナから
PRO/EDR> Chemical contamination, sunflower oil - Spain ex Ukraine: RFI
Archive Number: 20080428.1458
 情報源:Reuters Health 、4月25日
スペイン保健省は、ウクライナから出荷された一部のひまわり油に汚染が認められたことから、消費者に使用を控えるよう呼びかけていることが、2008年4月25日の国営ラジオ放送で伝えられた。この油は、aliphatic hydrocarbons (脂肪族炭水化物)が混入していたと言われている。市民へのリスクはないが、汚染されていた商品名が確認され,関係商品すべての回収が可能となるまで、注意するよう呼びかけている。当局は、今のところコメントしていない。1981年には、汚染されていた菜種油 rapeseed oil により、およそ 1200人が死亡するという、スペイン史上最悪の食中毒が発生している。20年以上経った今も、被害者と遺族らが補償を求める主張を行なっている。 
[Mod.TG-この記事は、汚染物質の詳細が示されず、非常に漠然とした内容となっている。脂肪族炭水化物というのは非常に広範囲を指す分類である。ただ単に、構造式にベンゼン環を持たないという意味でしかない。しかも、一部の aliphatic hydrocarbons である、メタン、エタン、アセチレンなどには、含まれている。また、一部は非常に可燃性が高い。新たな情報が出されるまで、すべてのひまわり油 sunflower oils を摂らないということ以外に、注意する方法はない。1981年の有毒油食中毒は、調理油へのいくつもの種類の混入によるものであったと考えられるが、アニリンが唯一の原因であるとされた]

● 穀物の病気,真菌疾患 英国、アイルランド
PRO/PL> Fungal diseases, cereals - UK, Ireland: update
Archive Number: 20080428.1460
[1] 2008年4月、Lincolnshireで小麦の_Septoria tritici_ 
 情報源: Farmers Weekly Interactive、4月24日
[2] Robigusの冬小麦-- yellow rust 
 情報源:Farmers Guardian, ADAS report、4月25日 
[3] Wiltshire/ Dorset (英国) の州境の小麦、Septoria 
 情報源:Farmers Weekly Interactive、4月22日 
[4] 2008年4月、septoria への懸念 
 情報源:The Irish Independent、4月22日

● 口蹄疫 モザンビーク ジンバブエから
PRO/AH/EDR> Foot & mouth disease - Mozambique ex Zimbabwe: RFI
Archive Number: 20080427.1457
 情報源:Agencia de Informacao de Mocambique (Maputo) 、4月14日
モザンビーク家畜担当当局は、2008年3月末に南部 Gaza 州 Nhamavila および Manjacaze で確認された口蹄疫 foot and mouth disease [FMD] 感染流行の感染源の特定ができていない。感染した動物たちは、政府の補充計画に従い、西部 Tete 州から Gaza 州へ持ち込まれた。専門家らは、隣国ジンバブエで発生した可能性があるとしている
[Mod.AS- FMD がジンバブエ由来との観測は、真偽を確かめる必要がある。ジンバブエでの口蹄疫感染状況および感染源である可能性に関して、過去の情報がある:20060504.1283と 20020509.4139。OIEのWAHIDには、2006-7年にジンバブエで FMD が発生したという報告は見当たらない]

● 小麦の病気,真菌疾患 カナダ、米国
PRO/PL> Fungal diseases, wheat - Canada, USA
Archive Number: 20080427.1454
[1] 情報源:The Mitchell Advocate、4月16日
農務省の穀物専門家は農家に対して、早くて今週,遅ければ 6月初めになると予想されている、今年最初の種まきを行う前に、温度上昇と乾燥を考慮すべきと勧告した。早植え小麦の一部に snow mould の一種が間違いなく確認されている。雪の下にある期間が長いほどこの疾患は重症化する... 
[2] Leaf rust 赤さび病 - 米国 (Kansas 州)
 情報源:KTKA 49 News, K-State Ag Today report、4月17日
カンザス州で 2008年初めての赤さび病が発見された。最近この小麦の病気が発見されたのは、Riley および Barber counties(郡)である。

● 狂犬病、イヌ 英国
PRO/AH/EDR> Rabies, canine - UK: (England) in quarantine
Archive Number: 20080426.1452
 情報源: BBC News 26 Apr 2008、4月26日
狂犬病 Rabies の子犬に咬まれた3人のうちの1人は、スリランカ Sri Lanka の野良犬を英国に連れてくるという慈善事業を行っている社会活動家であった。この女性は、隔離後2日目に死亡したこのイヌに、あご、手首、顔を咬まれた。この子犬は、ロンドン London 北東部の Chingford Quarantine Kennels に、慈善活動として連れてこられた、13匹のイヌのうちの1匹である。咬まれた3人全員の健康状態に問題はない。保護観察センターの動物に咬まれた3人は、直ちに適切なワクチン接種による発症予防措置を受け、いずれも元気であると、当局は説明した。保護観察中にイヌは死亡したため、一般市民への健康リスクはないとしている。.. これらのイヌは、2008年4月17日以降センターに係留されていた。ロンドンの Animal SOS Sri Lanka charity の Kim 氏は、死亡したイヌは、スリランカを出る際にワクチンを接種されていたと話した。
[Mod.JW- quarantine facility において発生したことが重要で、英国に輸入されたイヌおよびネコは、6ヶ月間の検疫期間を課せられていることへの評価が示された。おそらく、咬傷を受けた3人は、その仕事上の危険から、狂犬病への曝露前接種を受けており、病院での治療は追加のワクチン接種であったものと考えられる]