2008年4月23日

手足口病 ベトナム
原因不明の呼吸器疾患、死亡 ブラジル
鳥インフルエンザ H5N1型 strain nomenclature

● 手足口病 ベトナム
PRO/EDR> Hand, foot & mouth disease - Viet Nam: HCM, RFI
Archive Number: 20080423.1435
 情報源:VietNamNet Bridge、4月21日
手足口病 Hand, foot & mouth disease と診断される小児の数が増加しており、流行は新たな局面に入ったと、小児病院感染症部門の医師が述べた。2008年4月20日の朝だけで、52人の同疾患の患者を受け入れた。手足口病により、唇、舌、口に腫れsoresが生じ、発熱、咽頭痛、手足の痛みの原因となる。小児はより感染しやすい。先週に比べ、患者数は倍増した。その他の小児病院でも患者の増加が報告されている。2008年のはじめの3ヶ月間の患者数は、2007年同期より7倍多くなった。..「けいれんや起床時の glowing [原文のまま、赤くなった] eyes などの症状がみられる」と、医師が述べた。容易に治療することが可能であるが、放置すれば、脳や心臓に障害を及ぼし、ときに死亡することもある。3歳以下の小児は鼻水、唾液、患児のつかったボトル・食品・玩具などから感染すると説明されている。 [Mod.YMP/MPP-2008年初のベトナムからの手足口病 hand, foot and mouth disease (HFMD) 感染流行の報告である。新聞記事には、病原体や患者の詳細な臨床症状についての記載はない。これまでのところ、死者の報告はないことから、感染流行の原因はコクサッキーウイルス coxsackievirus であると思われる。以前の PRO/MBDS postings で述べられていたように、HFMD はいくつものウイルスが原因となっており、最も多いのは coxsackievirus A16 と enterovirus 71 である。coxsackievirus A16 感染による HFMD は軽症となることが多く、ほとんどの患者は 7-10日間で医学的治療を必要とせずに治癒する。まれに、同ウイルス感染患者がウイルス性髄膜炎を発症して短期間の入院が必要となることがある。enterovirus 71 による感染でもウイルス性髄膜炎が発生し、まれに,より重症化し脳炎やポリオ様マヒ性疾患に発展することがある。エンテロウイルス71 感染による脳炎では死亡する可能性もある。これは、1997年のマレーシア、1998年の台湾での HFMD 感染流行で観察されている。2007年には、ホーチミン Ho Chi Minh 市における 2件の HFMD 感染流行が報告されている。1件目は 2007年4月に、2件目の流行は 2007年9月に発生した。原因となった病原体およびベトナムの HFMD 感染流行に関する疫学調査の結果について、さらに情報が提供されることを歓迎する] 
地図 Viet Nam with provinces 

● 原因不明の呼吸器疾患,死亡 ブラジル
PRO/EDR> Undiagnosed respiratory disease, fatal - Brazil: (Sao Paulo), RFI
Archive Number: 20080423.1433
 情報源:Ministry of Health, Secretariat for Health Surveillance [in Portuguese]、4月9日
2008年4月2日、保健省当局者 Secretariat for Health Surveillance (SVS)/Ministry of Health (MS) は、サンパウロ Sao Paulo の疫学当局を通じ、同州 Santos 市の呼吸器疾患患者発生についての報告を受けた。市・州・政府各当局が協力して疫学調査が開始された。
初発患者として同一家族内の 4人の症例についての報告があり、微熱、coryza 鼻かぜ、咽頭痛、咳、耳痛 (3名)、膿性の耳漏 (2名) の症状が認められた。2名は重症化し、複数の原因により死亡した。4名全員につき、デングウイルス、ハンタウイルスは除外され、3名の検体については、季節性インフルエンザ、鳥インフルエンザ、RSウイルス、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルスが除外された。2例の鼻咽頭検体の電顕像から、普通感冒の原因である picornavirus が示唆された。その他のウイルスについても調査が行われている。これらの家族内発生に加え、家族と疫学的に関連性のある有症者が確認され、ウイルス検査は陰性であり、回復している。 
[Mod.LJS、LL- 偶然と思われるが、耳の炎症と家族内感染から、_Mycoplasma_ や_Moraxella_ 感染が想起される。家族 4人のうち 2人が死亡したこの疾患の病因ははっきりしない。上記のように、マイコプラズマ肺炎は、耳疾患に関連することがあるが、通常、水胞性鼓膜炎 bullous myringitis の形をとり、膿性の耳漏の原因とはならない。マイコプラズマ症により死亡する可能性もあるが、1家族内で2人が死亡するのは異常である。同様に、 _Moraxella catarrhalis_ により中耳炎や肺炎も発生するが、同じ患者に発生したり、生来健康なヒトでの死亡も通常見られない。患者の年齢、屋内でのペットの飼育、旅行、他所からの訪問者、生活環境などの情報に興味がもたれる] 

● 鳥インフルエンザ H5N1型 strain nomenclature(命名法)
PRO/AH> Avian influenza (H5N1) strain nomenclature
Archive Number: 20080423.1436
 情報源:Nature online 、4月23日。
従来の ”福建省類似"、"青海類似" などの表記法(命名)を、"Clade 2.3.4"、"Clade 2.2"に変更するよう、WHOは勧告した。 
科学論文に掲載されるインフルエンザウイルスの名前が、2008年から、多少変異した。これまで "Fujian-like(福建省類似)"とされてきたH5N1型鳥インフルエンザウイルスのグループは "Clade 2.3.4" に変わり、その類縁である "Qinghai(青海)-like" は "Clade 2.2" と呼ばれている。これは、WHO の推奨する H5N1 nomenclature(命名法)の完全改定の一環である。このシステムは、より政治的に正しい (more politically correct)。"地理的要因でクレード clade 名が決定される(stigmatizing labelling of clades by geographical reference)" ことを避けるためと、WHO はしている。2006年、研究者らが、アジア一帯に広がる H5N1型ワクチン耐性株を、"福建省類似ウイルス" と命名した際、中国政府は強くこの名前に抵抗した。政府当局者は、中国南東部福建省は、ウイルス感染拡大によって汚染されたものだと主張した。しかし、WHO 当局者は科学雑誌 Nature に対し、命名法の改定に関する議論は,このような論争以前から行なわれており科学的に推し進められたものであり、地理に基づく名前は色々な意味で適当でないと認識している,と答えた。インフルエンザに関する専門家らは、WHO のウェブサイトと Emerging Infectious Diseases 誌に掲載された、今回の新たな命名法の勧告は、多くの意味を持つ。研究者らが新たに発見したグループに自らの名前を付けてしまう、場当たり的な ad-hoc なシステムに代わって、名前に、より生物学的な関連性が与えられるシステム化された方法になる。H5N1型ウイルスは、hemagglutinin (血球凝集素) の遺伝子配列に基づき、10種類の系統発生分類(phylogenetic clades、ウイルスの科の幹 tree から分かれた枝 branch)に分けられていて、新しい命名法により、この幹のなかでどの位置にあるかに従ってウイルスのサブグループに名前が付けられる。より論理的であることを目指す。たとえば、Clade 2.3.4 virusesは、福建省だけに限定されるわけではなく、中国、ラオス、ミャンマー、ベトナムの患者にも感染した。Clade 2.1 viruses はインドネシアの家禽とヒトに優位であったが、Clade 2.2 viruses は最も広い地理的範囲に拡大し、アゼルバイジャンからナイジェリアやパキスタンまで、60カ国以上の感染流行の原因となった。  

● 鳥インフルエンザ インド
PRO/AH/EDR> Avian influenza (64): India (Tripura)
Archive Number: 20080423.1434
 情報源:Reuters Health、4月22日
インド India 北東部の辺境州であるトリプラ Tripura 州で、新たな家禽での鳥インフルエンザ Avian influenza 感染流行により、処分が行われる事となった。8カ所の村でH5N1型ウイルスが発生したことを受け、2008年4月、すでに25000羽のニワトリとカモの処分が行われている。4月22日、当局は新たな地域への鳥インフルエンザ感染拡大を発表した。トリプラ州で家禽の鳥インフルエンザが確認されたのは、2回目のことで、H5N1型によるものであると、当局者は説明した。この北東の辺境州は、国内の半数以上の地域で鳥インフルエンザが発生しているバングラデシュと国境を接している。インドでは、2008年1月に東部ウエストベンガルWest Bengal州で鳥インフルエンザウイルスが再発生し、400万羽以上の処分が行われた。ウイルス感染が間欠的に発生し、家禽の売り上げに打撃を与えている。

● 炭疽、ウシ 米国
PRO/AH/EDR> Anthrax, bovine - USA: (MN)
Archive Number: 20080423.1431
 情報源:KXNet.com (North Dakota News), Associated Press report、4月22日
当局は、Becker County の牧場のウシ2頭が炭疽 Anthrax で死亡したことを明らかにした。ミネソタ Minnesota 州動物衛生委員会は、2008年の州内初の炭疽感染例であると述べた。