2008年5月9日

原因不明の疾患、列車 カナダ

● 原因不明の疾患、列車 カナダ
PRO/EDR> Undiagnosed illness, train - Canada: (AB, ON), RFI
Archive Number: 20080509.1587
[1] オンタリオ州で、原因不明の疾患のため列車が隔離されている 
 情報源:Associated Press 、5月9日
2008年5月9日、カナダ政府当局はオンタリオ Ontario 州北部で 1本の列車を隔離した。診断のついていない病気により女性 1名が死亡し、ほか数名が発病したためである。当局が乗客らを列車内に留めていると、救急当局長が説明した。この列車は、トロント Tronto から北西 500マイルにある Foleyet の駅に留置されている。駅構内から立ち退くよう指示されている(evacuated)。
10人もの人々がインフルエンザ類似の症状を発症した。この病気は269人の乗客と 30人の乗員を乗せたこの列車のうち、2つの車両に限られている。1人が病院に運ばれたが、容態は安定している。この(Via) 列車は、9日に緊急通報を受けた時点で、バンクーバー Vancouver から Toronto に向かっており、Foleyet でこの列車に救急担当局者が遭遇した。警察官は、死亡した女性60代でアルバータ Alberta 州 Jasper のグループ旅行者とともに乗車した際に、すでにインフルエンザ様症状を呈していたと話した。彼女と同行した、7人のほかのメンバーも同じような症状が見られたものの、重症ではない。今のところ当局も原因をつかめていないと言う。「確かに、単に食中毒のようなものの可能性もあるし、ある種の environmental toxin(環境中の毒)であるかもしれない」と述べた。原因は確認されてはいないが、医療当局者はノロウイルスに対する警戒を強めている。ノロウイルスは胃腸かぜのの原因であり、感染した患者との接触や、汚染物の接触や摂食によっても感染する。 
[2] Via train 上で女性が謎の死亡:ほかにも発病者 
 情報源:Globe and Mail、5月9日 
多くは外国人旅行者と見られる、数百人の乗客を乗せた VIA Rail train が、2008年5月9日、オンタリオ Ontario 州北部の小さな町で、隔離された状態となっている。客車内で 60代の女性が死亡し、ほかに 6人がインフルエンザの様な体調不良の症状を訴えている。しかし、この2つの状況に関連性があるかは判っていない。

● 手足口病 中国
PRO/EDR> Hand, foot & mouth disease - Asia (06): China
Archive Number: 20080509.1583
[1] 死亡した小児の数は 32人となり、患者数は2万5千人近くになった 
 情報源:International Herald Tribune, Associated Press (AP) report、5月9日 
中国全土でウイルスの疾患で死亡した小児の数は、2人増えて32人となり、報告されている患者数は2万5千人近くまで跳ね上がったと、2008年5月9日に保健当局が述べた。最新の手足口病 Hand, foot & mouth disease による死亡患者は、南部広東省と、隣の広西荘族自治区で発生した。5日、広東省で生後8ヶ月の女児が死亡した。EV71の検査が陽性であったことが伝えられている。通常、発熱と発疹程度のありふれた小児の病気だが、このウイルスはその疾患の重症型の原因となる。4例目の広東省における死者であり、省内では7100人以上の手足口病患者が報告されている。広西荘族自治区においては、生後18ヶ月の男児が、感染後に3日間昏睡となった末、死亡した。8日、報告されている患者数は24932人と伝えられた。前日の患者数は19962人であった。南の広東省から北東部の吉林省までの範囲と中央部の安徽省で発生している。患者数の増加は、衛生省が、医療従事者への24時間以内の報告を、先週の通達で求めた結果である。2007年、中国では、死者17人を含む8万人の手足口病患者を記録した。しかし、報告義務がなかったため、正確な数字ではない可能性があると、衛生当局が述べている。手足口病は唾液、糞便、水疱からの浸出液、鼻や咽喉からの粘液によって感染が拡大する。ワクチンも特異的な治療法はないが、大半の小児は問題なく速やかに回復する。家畜の病気である、口蹄疫 foot and mouth diseaseとは関係ない。 
[2] 34人の小児が死亡し、27500人以上の感染者が出ている。 
 情報源:AGI News online、5月9日
数週間に渡り中国を席巻しているウイルス感染の拡大が止まらない:
中国国内で、これまでに34人の小児が死亡し、27500人以上の感染者が出ている。犠牲者の中には、広東省の生後8ヶ月の女児、広西荘族自治区の1才の男児、最も患者の多い安徽省の2人の女児がいる。当局によると、病院を退院する患者が増えており、感染流行が衰えつつある兆しと見られている。犠牲者の多くは、手足口病の原因となる enterovirus 71 (EV71) に感染していた。ベトナムにおいても、10人が死亡し、3000人が感染しているこの発熱性疾患は、北京(1500人)や上海などの、先進地域にも到達している。2008年3月に中国東部で始まった感染流行が、公式に発表されたのはわずか2週間前のことである。複数のメディアが、現地当局が危険性を秘匿していたことを非難している(鳥インフルエンザ発生後の1ヶ月間に起きたことと同じである)。気温の上昇とともに感染拡大のリスクが高まるにもかかわらず、手足口病がオリンピックに影響することはないと、衛生省は、数日間にわたり、確信を持って述べている。2-4才の小児を中心に発生するこの疾患は、初期には、口、手、足の病変で発症する。ほとんどの場合、数日で症状は消失するが、一部の患者では、ウイルス感染により死亡する。 
[Mod.CP- 現在の中国における全国的な手足口病流行による死者の数は 34人となり、感染者数は 27500人を超えた。最多の 22人の死者が出ている安徽省において、新たな死亡が発生せず、入院治療を要する患者数が減っていることは良い知らせである]

● 麻疹 カナダ
PRO/EDR> Measles - Canada (05): (Toronto)
Archive Number: 20080509.1582
 情報源:City News online 、5月8日
公衆衛生当局に数日間で4例の新たな麻疹 Measles 感染症例が報告され、トロント Toronto で再び麻疹感染流行が発生している。はじめて報告されたのは、2008年春で、その後の調査により現在までに 9例が報告されている。麻疹感染流行は、オンタリオ州の別の地域や欧州、米国でも確認されている。しかし、今回の新たな症例の発生は、当局をさらに悩ませている。このうち2人は、PATH system [トロントのビジネス街 downtown のオフィスタワーの地下を結ぶ、全長 27kmの歩行者用通路のネットワーク] を頻繁に利用する人々に暴露させた可能性があるとされた Scotia and TD Towers の患者との関連が判明しためである。「新たな患者らはいずれも、ビジネス街 downtown に在住あるいは通勤していた」ことが、公衆衛生当局者から明らかにされた。「1970年以前に生まれたものは、小児期に麻疹に感染した可能性があり、防御力がある。それ以外の人々は、完全な防御効果のための2回の麻疹ワクチン接種を受けているか、確認した方が良い。トロントで麻疹感染が循環していることが判明したことから、なおさらである。カナダにおいては、麻疹はまれにしか発生せず、トロントでは毎年3例程度であり、今回の患者増加は重大である。
[Mod.CP- PATH は、27km に渡ってショッピング、サービス、エンターテイメントを結ぶ downtown Toronto's underground walkway であり、中心部の経済活動を支える重要な役割を果たしている。市民の通路、1日10万人以上の通勤路に加え、数千人の観光客や住民の、スポーツやカルチャーイベントへの経路でもあり、歩行者用交通網として機能している。地下にあることで、冬の寒さや雪、夏の暑さから守られており、歩行者に快適である。Toronto Public Health 当局は、PATH が、少数の麻疹感染者から、ワクチン接種が未接種又は部分的な接種に終わっている人々への、麻疹感染伝播の特異的な環境を与え、市内の広範囲に麻疹感染が拡大することを恐れている。この不安が正しいものか、時間が教えてくれるだろう]

● 狂犬病 EBLV-2、コウモリ Daubenton's bat 英国
PRO/AH/EDR> Rabies (EBLV-2), Daubenton's bat - UK (England)
Archive Number: 20080509.1585
 情報源:Telegraph News 、5月9日
公園内でけがをして発見されたコウモリが、狂犬病 Rabies の検査で陽性となったと、当局が発表した。この Daubenton's bat [_Myotis daubentonii_] は、2007年8月にBushy Park, Surrey で市民が発見したもので、世話のために慣れたコウモリの調教師に渡されていた。異常行動が見られ始め、狂犬病の1種 European bat lyssavirus 2 (EBLV-2、ヨーロッパコウモリ・リサウイルス-2) の検査で陽性となったため、2008年5月にこのコウモリは処分された。(曝露後の)治療効果は非常に高く、ヒトへの危険性は無視しうる程度としているが、このコウモリと接触があったと思われるヒトやペットは、当局に連絡するよう求めている。
1996年以降、英国では Sussex, Lancashire, Surrey, Oxfordshire and Shropshire の各地で、6匹のコウモリの EBLV-2 感染が確認されている。イングランド England では、低い率で Daubenton's bats の EBLV-2 感染蔓延が知られているが、英国が狂犬病清浄状態にあることについては変更はないと、当局は説明している。このウイルスは、感染したコウモリによる咬傷のみにより感染伝播し、咬まれたヒトは直ちに石けんと水で傷口を洗い、医療機関の指示を受けるよう、勧告している。コウモリは保護動物で、殺したり巣を破壊することは違法である。 
[Mod.AS- 通常コウモリ狂犬病 bat rabies と呼ばれている、European Bat Lyssaviruses (EBLVs) 1 and 2 は、北欧全域で見られるコウモリの、狂犬病関連リサウイルスのうちの 2つのウイルス株 strains である。まれに EBLV が他の動物やヒトに感染することが知られている。ヒトへの EBLV 感染のリスクは低いものと考えられている。しかし 1977年以降、欧州において 5例(3例は確定、2例は可能性)の EBLVs による死亡患者が発生し、いずれもコウモリによる咬傷あるいはひっかき傷を負ったが、その前ないし後に狂犬病ワクチンを受けていなかった。
今回の事例に関する報告には,以下の情報も含まれている。
”このコウモリは、4月27日から異常行動が見られ、5月2日に安楽死させられた。その後、通常検査に回された。健康保護局からの勧告として、コウモリの咬傷を受けたらすぐに石けんと水で洗い、直ちに医師の指示を受ける必要がある。曝露後適時の医療を受ければ、EBLV-2 の感染によるヒトへのリスクは無視しうるものである。病気などで弱っているコウモリには近づいたり触ったりせず、コウモリ保護協会に連絡をすること" とある。捕獲される前にコウモリが感染していた(潜伏期間は 7ヶ月以上になる)のか、捕獲中に感染したのか、調査されていれば興味深い]

● キャノーラの病気、根こぶ病 カナダ
PRO/PL> Clubroot, canola - Canada (SK): alert
Archive Number: 20080509.1586
[1] サスカチュワン Saskatchewan: clubroot alert
 情報源:Stormwire、5月8日
2007年には 60%以上のキャノーラ畑が、穀物の病気の根こぶ病 Clubroot の被害を受けている。... 
[2] Spread of clubroot on farm equipment
 情報源:The Western Producer、5月8日
[Mod.DHA-Clubroot of _Brassicaceae_ は、真菌の _Plasmodiophora brassicae を原因とする疾患で、ほぼすべての耕作物などの、破壊的な土壌媒介性疾患である]

● 鯉ヘルペスウイルス カナダ
PRO/AH/EDR> Koi herpevirus, carp - Canada: (ON), 2007
Archive Number: 20080509.1584
 情報源:The Peterborough Examiner 、5月8日
オンタリオ Ontario 州では初めてとなる魚類のウイルスが、2007年夏に複数の湖における 12000-24000匹のコイの大量死の原因の一部であったことが判明した。Lake Erie を担当する自然資源省の職員は、大学で行われた詳しい検査により、魚類のウイルスである the Koi herpesvirus が同州で初めて確認されたことを明らかにした。これまで、columnaris という細菌の1種が死亡の原因とされてきたが、この新しいウイルスによっても死亡していたことが判った。1999年、北米で初めて確認された Koi herpesvirus が、Scugog と Pigeon の各湖で捕獲された 2匹の魚類で確認された。このウイルスは carp(コイ), goldfish(キンギョ)、koi(ニシキゴイ)だけに感染し、ヒトには影響がない。「ヒトのような高温ではウイルスは生きられないため」である。Koi Herpesvirus に感染したコイを食べたり、触っても安全であると説明されている。

● ココヤシの病気,Yellow decline マレーシア
PRO/PL> Yellow decline, coconut palm - Malaysia: new disease
Archive Number: 20080509.1581
 情報源:British Society for Plant Pathology, New Disease Reports (NDR) vol. 17 (February-July 2008) 、4月8日
[Ref: N. Nejat et al: First report of a 16SrXIV, _Candidatus_ Phytoplasma cynodontis group phytoplasma associated with coconut yellow decline in Malaysia. BSPP New Disease Reports, vol. 17]

● 慢性消耗性疾患、シカ 米国
PRO/AH/EDR> Chronic wasting disease, cervids - USA (04): (WV)
Archive Number: 20080509.1580
 情報源:West Virginia Division of Natural Resources News Release 、5月8日
ウエストバージニア West Virginia 州 Hampshire County で、2008年春に行われた collections(捕獲作業)の中で、検査により、合計11頭の捕獲された white-tailed deer オジロジカにおいて、慢性消耗性疾患 chronic wasting disease (CWD) の病原体が検出された。自然資源局 Division of Natural Resources (DNR) が明らかにした。CWD の検査が陽性となったシカは、すべて、同郡 Slanesville/Augusta area での野生動物資源部門の職員によって捕獲された。Yellow Springs area では、新たな CWD 検査陽性例は確認されなかった。一連の捕獲作業は、郡内の CWD の蔓延と分布状況を調査・確認する目的で行われている。 WV 州内で初めて CWD の症例が確認されたのは、2005年9月2日のことであった。
[Mod.TGー 2005年、WV 州において CWD が発生していることが確認された。同郡以外では CWD が発見されていないことは、注目すべきである。計画が有効に働いているか判断するのはまだ早いが、計画の評価を行うことには関心がもたれる]