2008年3月24日-25日

C型肝炎 米国、アメリカインディアン
狂犬病 米国 メキシコから

● C型肝炎 米国
PRO/EDR> Hepatitis C, American Indians - USA: (MT)
Archive Number: 20080325.1115
 情報源:Billings Gazette、3月22日
モンタナ Montana 州の Indian Health Service (IHS) 2ヶ所で行なわれた疫学調査により、一般人口の 6倍にあたる C型肝炎 Hepatitis C の感染があることが判明した。この事実に驚き、当局は、若年のアメリカインディアンに対する教育資料を配布している。
2005-6年に行なわれた調査で、妊婦検診のためクリニックを訪れた女性の、6%にC型肝炎の感染が確認された。米国民全体のC型肝炎の感染率はわずか 1%程度である。... 13ヶ月間の調査で、205人の女性が C型肝炎ウイルスの検査を受け、13人が陽性となった。10代もしくは若年者のうちにウイルスに曝露したと考えられるこれらの女性は、注射用ドラッグの使用を通じて感染したものと見られている。薬剤の種類については調べられていない。アメリカインディアンのみの調査であるが、モンタナ州の若年者の他のグループでも、同じように薬物使用により、予想されるよりも高い C型肝炎感染率が見られる可能性がある。

● 狂犬病 米国 メキシコから
PRO/AH/EDR> Rabies, human - USA (CA) ex Mexico
Archive Number: 20080324.1112
[1] Santa Maria で16歳が死亡
 情報源: The Santa Barbara Independent、3月21日
2008年3月18日、Santa Maria で死亡した 16歳の死因が狂犬病 rabies であったため、公衆衛生当局はメキシコから最近この10代の患者と一緒に旅行してきた者を探している。この少年は、18日に朦朧としてうわ言を言い、呼吸困難の状態で病院を受診した。直ちに蘇生が必要であったが、救命できなかった。...  
Santa Barbaraにおけるヒトの狂犬病発生は、1927年以来 80年ぶりであった。... 当局は、この少年が、発病にいたるほど長く米国には滞在していないことから、メキシコで感染したものと見ている。メキシコや中米で、狂犬病は一般的に認められる。
[2] サンタマリア Santa Maria の10代が狂犬病により死亡した 
 情報源 KSBY News、3月22日

● コレラ モザンビーク,ナミビア,ザンビア,アンゴラ,ベトナム,インド
PRO/EDR> Cholera, diarrhea & dysentery update 2008 (18)
Archive Number: 20080325.1116
モザンビーク(Nampula) 
 情報源:AllAfrica, Agencia de Informacao de Mocambique (Maputo)report、3月25日
2008年3月22日の感染流行開始以来、モザンビーク北部ナンプラ Nampula 市で18例のコレラ Cholera 感染患者が確認されている。このうち、7人が 24日に入院した。市内の感染流行は、開始当初 Namicopo と Muatala だけにコレラが発生していた。しかし現在少なくともこのほかに3ヶ所 (Napipine, Mutuanha, and Muhala-Expansao) に拡大している。1例は、超満員のナンプラ刑務所で発生した。.. Memba でも成人の間で下痢が流行し、コレラ感染が恐れられている。
ナミビア (Ohangwena) 
 情報源:AllAfrica, New Era (Windhoek) report、3月25日
Ohangwena Region で確認されているコレラ感染症例は、2008年3月24日までに 8例から13例へと増加した。533例のコレラ感染が疑われている。死者の数は3人のままである。北部の洪水のあった地域では、さらに多数のコレラ感染が疑われる患者が報告されている ... 
地図 Namibia showing the province of Ohangwena in the north:同じくコレラ感染が続く Angolan province of Cunene に接する 
ザンビア (Lusaka) 
 情報源:AllAfrica, The Times of Zambia (Ndola) report、3月25日
保健省広報によると、ルサカ Lusaka において 31人の患者が各地のコレラセンターに入院中である。2008年3月24日、唯一のコレラ感染発生地である首都 (ルサカ) の 5病院(Matero, Chipata, Kanyama, Chawama, and George)で、31人の患者が治療を受けている。2008年1月以来、ルサカ Lusaka において 253例の患者が報告されている。 
アンゴラ (Huambo) 
 情報源:Angola Press (ANGOP)、3月25日
24時間の間に、ウアンボ Huambo 市の治療センターで新たなコレラ感染例が診断された。2008年2月29日以来報告されたコレラ感染患者の数は37人となった。患者数は増加しているが、死者の数は10人のままである。 
ベトナム(Hai Phong) 
 情報源:VietNamNet Bridge、3月24日
2008年3月13日、初発の急性下痢症患者が報告されて以来、沿岸部 Hai Phong 市では、コレラ感染が陽性となった 12人を含め、21人の患者が発生している。多くの患者が発生しているのは、Le Chan, Hong Bang, Kien An, and An Duong の各地である。無症候性のコレラ菌 _Vibrio cholerae_  保菌者が 5名あった。... Hanoi と Ha Tay では、先週新たな患者の発生がなかった。 
インド (Orrisa 州) ,下痢症
 情報源:The Pioneer、3月25日
Gajapati district では、原因不明の疾患により 7人が死亡したため、パニックが発生している。下痢を伴う発熱患者が瞬く間に死亡した。Adhaba under Mohana block から数キロの Jhiliki village の住民 4人が、原因不明の死亡を遂げた。Jhiliki village の50歳の女性と幼児が、18日と20日になくなった。ほかに2人も仔の村で死亡している。周辺地域で 3人が死亡した。医療当局は、4人の死亡は自然死 natural deaths であるとしている。 
[Mod.LL-コレラが疑われる。2007年12月に、変異型コレラ菌が報告されている(20071213.4015) 。Matlab 病院の患者から分離されたため、しばしば Matlab 型と呼ばれている。これれまで、2種類のコレラ菌は、ヒツジ赤血球の溶血、ニワトリ赤血球の凝集、Voges-Proskauer 反応や、ポリミキシンB 感受性、バイオタイプ特異的ウイルスバクテリオファージ感受性などを用いて鑑別が行なわれてきた。3種類の Matlab types は、これらの表現型をハイブリッドした特徴を有する。この型は、モザンビークでも確認されている。Matlab 型は大流行に必須の遺伝子全てを有している]

● デング熱 オーストラリア、インドネシア、ブラジル
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2008 (12)
Archive Number: 20080324.1110
オーストラリア インドネシアからの輸入 
 情報源:News-Medical.net、3月19日
西オーストラリア West Australia 州の衛生当局は、インドネシアから帰国する人々の、蚊族媒介性ウイルス疾患であるデング熱 Dengue 感染例が急増していると報告した。2007年、西オーストラリア州の住民 54人が感染し、これは例年の感染数の約 4倍にあたり、この 13ヶ月間に感染した人のおよそ 60%はインドネシアへの旅行者で、バリ Bali 島が中心であった:2008年1月に 16例が報告されている。患者の多くはバリへの旅行者であったが、タイ、シンガポール、ベトナム、インド、フィリピンなどの東南アジアへの旅行者も注意が必要であると話した。デング熱は衰弱性 debilitating 疾患で、20%前後の患者は入院を要し、デング熱は決して大したことのない insignificant 疾患ではないと述べた。極北のクイーンズランド Queensland 州の Mossman および Port Douglas 地区も、3月13日までに 16人の患者の感染が確定され、デングへの十分な注意を呼びかけている。この感染流行は、3型デングによる感染流行であるため、クイーンズランドの当局は、以前デングに感染したことのある Mossman or Port Douglas の住民は、特に危険であるとしている。... 
[Mod.TY-ネッタイシマカが多数存在する地域への、デングウイルスに感染した人々の侵入は、地域内感染開始のリスクを生ずる。クイーンズランド州での対応は賢明である] 
インドネシア (ジャワ Java) 
 情報源:Antara News、3月19日
2008年3月中旬までのジョグジャカルタ Yogyakarta におけるデング感染者数は増え続けており、およそ 64人の患者が現在病院で治療中であると病院関係者が述べた。Yogyakarta、Bantul、Sleman 各地区でデングに感染した患者の数は、2008年1月の 14人から、2月には 39人に増加した。
ブラジル 
[1] ブラジル (Rio de Janeiro) 
 情報源:Globe & Mail、3月20日
2008年、デング熱感染流行により 47人以上が死亡し、Rio de Janeiro 州では2倍に増加したことを、2008年3月20日に当局者が明らかにした。2007年、およそ 100万人が感染し、南半球の感染流行の中心地となったと述べた。毎時 51例の患者が報告されており、感染流行は病院の収容能力を逼迫させている。... 2007年ブラジルでは、アメリカ大陸全体の 90万人のデング熱患者の半数以上が発生し、南半球の死者 317例のうち、Rio 州の31例を含め 158例がブラジルで発生したとされている。2008年初め、全体の患者数は減少したとされていたが、Rio州では増加し、47人がデング感染により死亡し、ほか調査中の 49人の死亡もデング感染が疑われている。人口 1600万人の同州では、2008年に 3万2千人以上のデング熱感染が発生している。
[2] ブラジル (ペルナンブコ Pernambuco) 
 情報源:Globo.com [in Portuguese]、3月22日 
ペルナンブコでは、伝統的に蚊族が増殖することで知られている雨期がまさに始まった。2008年1月から2月にかけて、11例のデング熱患者が確定診断され、977人の感染が疑われている。2007年同時期に公式に確認された225例 (疑い1313例) を下回っている。現在、感染が疑われる症例のほとんどは、Recife (14 の郡を持つ) と、Carpina, Caruaru, Calcado, Ipubi で発生している。2007年、州内では 33247例のデング熱患者が発生した。このうち 10092例が確定診断され、22例の感染による死亡が疑われるもののうち、13例が確定された。

● サルモネラ感染症 米国(2件)
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, municipal water supply - USA (CO)
Archive Number: 20080324.1106
[1] 情報源: Associated Press、3月21日
IALV80 市の水道水によって、数十人のサルモネラ感染症 Salmonellosis 患者が発生し、うち 7人が入院したことから、コロラド Colorado 州南部の町の住民らが、蛇口からの水道水をそのまま飲めるようになるまで、あと 3週間以上かかる可能性が出てきた。調査の結果、Alamosa 市の上水道が感染流行の原因であることが判明した。市長は、2008年3月21日に Alamosa County に非常事態を宣言し、市および郡は安全な水の供給と塩素による上水道システムの消毒に当たった。21日までに、乳児から 89歳までの 138例の、水道に関連するサルモネラ症が報告された。47人については、検査により診断が確定されている。人口8500人のAlamosaは深い井戸から取水している。aquifer帯水層からくみ上げたままの水で、塩素処理はされていない。... 以下、汚染原因究明の試み、ボトル入りの水や煮沸などの対策など。 
[2] 情報源:Associated Press、3月24日 
コロラド州南部の Alamosa 市において、新たなサルモネラ感染症患者が報告されている。郡の当局者によると、2008年3月23日には、患者数が216人に達した。9人が入院を必要とした。
地図 Alamosa in Colorado

PRO/AH/EDR> Salmonellosis, municipal water supply - USA (02): (CO)
Archive Number: 20080325.1114
 投稿者:米・Colorado Dept. of Public Health & Environment、Joyce Knutsen、3月25日
20080324.110 に関して。 
現在分離されているのは、_Salmonella enterica_ serotype Typhimurium のみであるが、他の病原体についても調査中である。また、感染流行の感染源が Alamosa's municipal water system (上水道) であるとの結論に達している。

● 小麦の病気 中国
SED outbreak in China threatens 4.83 million hectares of wheat
PRO/PL> Sharp eyespot, wheat - China
Archive Number: 20080325.1119
 情報源 Resource Investor, Interfax-China report 2008年3月24日
穀物の病気,An outbreak of sharp eyespot disease (SED) が中国の主要な小麦産地の脅威となっている。

● 鳥インフルエンザ トルコ、ベトナム 
PRO/AH/EDR> Avian influenza (51): Turkey (Edirne), Viet Nam (Lang Son)
Archive Number: 20080325.1118
[1] トルコ (Edirne), ウクライナ 
 投稿者:Peter Petermann、3月24日
20080320.1066 に関して。 
トルコ政府当局は、Ipsala/Edirne (Western Turkey) で発生した鳥インフルエンザ Avian influenza 感染流行の原因は、"Fomites 媒介物 (ヒト, 乗り物, エサなど)" と発表した。ウクライナ政府のクリミア Crimea での感染流行に関する見解も同じである。トルコの感染流行が、感染発生国 (エジプト、バングラデシュなど) に由来する、Ipsala での違法な移動の検挙と関連している可能性もあるが、その証拠はどこにもない。 
[2] ベトナム - Lang Son
 情報源:Viet Nam News (VNS)、3月22日
2008年2月以来不正に輸入され摘発されたニワトリの検体 104件のうち、24件の検査で H5N1型鳥インフルエンザウイルスが陽性となったと、2008年3月21日に Lang Son の動物衛生局当局者が報告した。
[Mod.AS-Lang Son は中国国境に接近しており、感染源の可能性がある;中国からのH5N1型に関する報告(監視)は十分だろうか]

● 馬ヘルペスウイルス カナダ
PRO/AH/EDR> Equine herpesvirus - Canada (SK)
Archive Number: 20080324.1111
 情報源:UPI、3月24日
獣医学当局によると、サスカチュワン Saskatchewan 州 Saskatoon 周辺では、感染力の強い馬ヘルペスの感染流行により、多数のウマや馬小屋に対する隔離体制が実施されている。馬ヘルペスウイルス equine herpes virus type one, or EHV-1 は、ヒトの単純ヘルペスに非常に似て、同じエサ箱からエサを取ったウマ同士で感染が伝播される。ヒトに感染することはないが、ヒトによってウマの間の感染が広がる可能性がある。最初に感染流行に気付かれたのは、2008年3月13日のことで、厩舎員が、数頭のウマが発熱しよろよろしているのを発見した。... 
[Mod.TG-ウマヘルペスウイルスは、rhinopneumonitis(鼻肺炎) とも呼ばれ、ヘルペスウイルス (EHV-1) の感染症である。重症の呼吸器感染となる可能性もあるが、神経障害や妊馬の流産の原因となる場合もある。ワクチンが存在する。罹患またはワクチンによる免疫状態の期間は比較的短く、ショーやレース馬には、6ヵ月ごとにワクチン接種が行なわれることが多い。ウマの隔離と、他のウマの分離は良い方法であると考えられる。さらに、用具の使用を1回に限定し、消毒することが望ましい]

● ココナツの病気,Lethal yellowing & Kerala wilt
PRO/PL> Lethal yellowing & Kerala wilt, coconut palm: update
Archive Number: 20080324.1103
[1] Lethal yellowing, coconut palm - ジャマイカ: update 
 情報源:The Jamaica Observer 
[2] Lethal yellowing, coconut palm - ジャマイカ: resistance breakdown research  情報源: Centre de cooperation internationale en recherche agronomique pour le developpement (CIRAD)、2月
[3] Lethal yellowing, coconut palm - アフリカ: resistance breeding 
 情報源: UK Department for International Development (DFID) ResearchNews、2月22日
[4] Kerala wilt, coconut palm - インド: phytoplasma characterisation and vectors  情報源:Physiological and Molecular Plant Pathology 71, 41-47、2007年9月 (subscription only)