手足口病 モンゴル
● 手足口病 モンゴル(2件)
PRO/EDR> Hand, foot & mouth disease - Asia (09): Mongolia
Archive Number: 20080513.1618
情報源:People's Daily Online, Xinhua News Agency report、5月13日
2008年5月12日までに、約294人の手足口病 HFMD が疑われる患者が、モンゴル国内で確認されていると、国営テレビが伝えた。当局によると、このうち 134人が入院した。より軽症の患者は自宅待機となっている。これまでのところ、死者の報告はない。副大統領を長とする緊急委員会が設置され、感染流行拡大防止に当たっている。12日以降、国内の小学校では授業が休止となっている。モンゴルで初めて HFMD の感染が疑われる患者が報告されたのは、8日の首都ウランバートルであった。HFMD は幼児や小児の一般的な病気で、発熱、口腔内の痛み、水疱をともなう紅斑といった特徴がある。散発的な発生や流行が常に世界中で起こっているが、最も多い季節は夏と初秋である。東南アジアで発生した、過去10年間の大規模なHFMD感染流行は、1997年のマレーシアと 1998年の台湾をふくめ、エンテロウイルス71によるものと報告されている。
[Mod.CP- 11日のモンゴルからの初報告以降、HFMD 患者数は 183人から 294人に増加した。死者は報告されていないが、134人が入院治療を必要とした。初発患者は首都ウランバートルから報告された。首都以外にも感染が拡大しているかどうかが、明らかにされていない]
PRO/EDR> Hand, foot & mouth disease - Asia (08): Mongolia
Archive Number: 20080512.1615
情報源:Soni.mn [trans.]、5月12日
中国で発生中の、手足口病 Hand, foot & mouth disease をおこすエンテロウイルス71の感染流行が、モンゴル Mongolia にも波及し、連日多数の小児が感染している。2008年5月11日の報告によると、首都ウランバートル Ulaanbataar および県レベルでは、183人の小児が感染して、治療のために入院した。このウイルスに感染した疑いのある成人もいる。22才と43才の患者が、感染が疑われ、病院に搬送された。大統領は 1-5年までの小学校と幼稚園を無期限で閉鎖するよう、12日に指示した。
[Mod.CPー 7日の報告では、中国・モンゴル自治区で少数の手足口病の患者が報告されており、今回は北のモンゴル国に拡大した。中国および他のアジア地域同様、病原体はエンテロウイルス71である。これまで死者の報告はないが、少数の成人のHFMD感染が発生することは、通常起こりうる]
● E型肝炎ウイルス ウガンダ
PRO/AH/EDR> Hepatitis E virus - Uganda (02): (West Nile)
Archive Number: 20080512.1612
情報源:Daily Monitor (Uganda) 、5月12日
北部 Kitgum 地区で発生中 [20080304.0894] の E型肝炎 Hepatitis E が、現在、ウエストナイル West Nile 地方にも拡大している。保健相は、2007年に Kitgum・Opei Sub-county の Madi の 4地区で報告のあった E型肝炎が、 Yumbe District(West Nile) と、Kitgum District の 4つの亜郡に発生していると述べた。
2008年5月9日、E型肝炎の新たな対策が打ち出された;「過去2ヶ月にわたり Yumbe District の Adravu Sub-county では、スーダン難民の間の感染報告が続いていたが、その後報告はなかった」と述べた。Yumbe District の保健当局者は、10日、これまでに 23例が報告され、うち 4例が死亡したことを明らかにした。患者はすべて、スーダン南部からのおよそ10万人が暮らす難民キャンプで発生した。国連高等弁務官事務所は、国際赤十字の協力の下、難民の帰還を開始している。...
2007年10月以降、WHO が治療法がないとしているこのウイルス性疾患により、スーダンとの国境付近で死亡が発生している。E型肝炎患者数は、4月の 1109人から 1262人に増加し、25人が死亡している。およそ 81%の死亡が、妊娠女性であった。妊娠中は、体内の血液量が40%以上増加し、免疫システムが弱まり、小さな病気も含めてあらゆる病気に罹患しやすくなることから、妊娠女性はそれ以外のヒトに比べて、死亡するリスクが高くなる。
雨期に飲料水の汚染がふえるため、週間情勢では、引き続き患者数が増加することが示唆されている。先週、新たに156例の患者が報告され、1例が死亡した。
E型肝炎は、糞便で汚染された水や食品を摂取することにより感染するウイルス性疾患である。発熱、濃厚な黄色尿、yellow eyes 結膜黄染などの症状が見られる。コレラや赤痢などの下痢性疾患と同じ感染形式である。トイレの普及率が低く、飲料水が不衛生で、個人の衛生が守られない地域では、非常に多く発生する。現地の井戸の32%が排泄物で汚染されており、75%の世帯で水を蓄えておくための土のカメが汚染されていた。
[Mod.CP- E型肝炎は、E型肝炎ウイルス hepatitis E virus (HEV) を原因とする肝臓の疾患で、他の腸管ウイルスとほぼ同じ経路で感染伝播される。近年、世界中で E型肝炎の感染流行が発生している。HEV 感染の徴候や症状として、食欲低下、吐き気、嘔吐、変色尿、黄疸、腹痛などがある。しかし、慢性感染はおこらない。E型肝炎は、妊娠女性のとくに妊娠第3期に重症化しやすい。HEV は、E型肝炎に感染したヒトや動物の便中に出現する。HEV は、汚染されている食品や水の摂取によって、感染が拡大する。ヒト-ヒト感染も発生することがある。ウガンダの農村部においては、基本的な衛生管理が十分ではないと考えられ、上記の感染流行には、HEV 感染に加え、他の腸管病原体も関連している可能性がある]
地図 Uganda:北部 Kitgum および北西部 Yumbo
● デング熱 ペルー,ブラジル,インドネシア,マレーシア
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2008 (19)
Archive Number: 20080513.1617
ペルー
情報源:Epidemiological Bulletin (Lima) 2008; 17(17) [in Spanish]、5月5日。
2008年4月20-26日にあたる、2008年疫学第17週の間に、疫学当局は、138例のデング熱Dengue 感染症例が報告されている:患者の73%は、第16保健区からの報告であった。
報告された全国の累積デング患者報告数は6409例で、このうち1126例が検査により確定され、4070例は可能性例であり、1213例は棄却されている。第17週までに、25例のデング出血熱DHF患者が報告されており、このうち9例が確定されている。DHFによる死亡例の報告はなかった。人口10万対のデング発生率は18.67である。最も感染のリスクが高いのは、東部および北東部の熱帯アマゾン Amazon 州(drainage departments;state/province と同じ意味)であった
ブラジル
[1] 情報源:JB Online [in Portuguese]、5月9日
リオデジャネイロ市のデング熱患者数は76000人を超えた。2008年5月9日の、最新の市衛生局週報によると、1月1日以来の患者数は合計76385人であった。新たに1769人が確認された。リオデジャネイロ州では、134643人の患者が発生している。48時間以内の新たな死者の報告はない。7日、同州の週報が出され、3人が新たに死亡し、2008年の死者の数は106例となった。リオ市内では64人の死亡が確認されているが、2日間、死者は報告されていない。
[2] ブラジル (Rio Grande do Norte)
情報源: Globo [in Portuguese]、5月9日
リオグランデドノルテ州知事は、デング患者数が多数発生していることを受け、非常事態を宣言した。公衆衛生報告によると、2008年のデング患者数は、2万人近くとなっている。Rio Grande do Norte 州の154市で、1月1日から5月3日までの間に、19157人が報告されている。このうち、78例はDHFであった。検査により、2人の死亡がDHFによるものと診断されている。
インドネシア
インドネシア
情報源:Tempo Interaktif [in Indonesian]、4月28日
East Kalimantan 島では、2008年、デング熱により毎月10人が死亡している。2008年4月28日までに、デング熱による死者は41人となっている。現地当局は、異常事態であるかどうか判断しかねている。「多くの場合、患者の受診が遅すぎるための死亡である」と、感染症担当者が答えた。2008年になって、2396人のデング熱患者が入院している。このうち、41人が死亡した。バリクパパン Balikpapan 市では、最多の 865人のデング患者が発生し、13人が死亡した。次いで、サマリンダ Samarinda(743 patients and 10 deaths), the Kutai Kartanegara region(231 patients and 8 deaths)の順となっている。
マレーシア
情報源:NST Online、4月20日
... 肥満、糖尿病、60歳以上の高齢者は、デング出血熱を発症する確率が高く、ハイリスクグループと考えられている。「なぜ、このグループが感染しやすい(重症化しやすい)のかを調べるために、遺伝学的背景を研究する必要がある。すべてのヒトがデングにより死亡するわけではないことが判れば、少なくとも管理を必要とする症例に絞って対処できる。この研究に費用をつぎ込めば、デングによる死亡を防ぐ薬剤の開発が可能となり、2900万人ものワクチンを用意する必要もなくなる」と研究者は述べた。
[Mod.TY-この記事には、一部は議論があるものの、重要ないくつかの点が指摘されている。デングウイルスの蚊族ベクター対策は、達成困難なことで有名である。記事にあるように、成虫の殺虫は、長期のベクターコントロールとして不適である。ヤブカ属_Aedes_ の繁殖場所の除去や殺幼虫剤の使用には、住民の積極的な協力が欠かせない。政府支援の啓蒙活動は難しく、長期継続には費用がかかる。一定レベル以上の住民参加を継続できなければ、継続的な長期間のコミュニティでのベクター対策は不可能である。費用対効果の分析も困難であり費用がかかる。
世界で最もありふれた蚊族媒介性のウイルス性疾患であり、有病率が高く、感染流行により著しく死亡が発生するため、デングのコントロールと予防には、社会的・経済的に正当化される根拠があり、急ぐ必要に迫られている。ベクターコントロールの努力が不十分だとすると、それに代わるデング予防対策は、いくつかの臨床トライアルが行われているワクチンの開発となる。デング感染の自家診断が、ベクターコントロールやワクチンの代わりになるとする根拠は、理解しがたい。デング熱を自宅で早期に診断し、患者が医療機関を受診できたとしても、ヒト-ヒト感染の予防にどう役立つのかわからない。病院などでさらに迅速な診断を行うことの方が、適時の対症療法を行う医師に取って、明らかにメリットがある。自家診断には、とくに軽症例の場合の、デング感染報告もれの増加というリスクもはらんでいる。正確なデング感染統計は、ただでさえ困難なところに、もし自家診断した患者が医療システムに乗らなければ、さらに達成できなくなる。記事にある、治療改善に必要なデングの病原性の研究は、適当な動物モデルがないことがネックとなっている]
● ハンタウイルス 米国
PRO/AH/EDR> Hantavirus update 2008 - Americas (07): USA (CO)
Archive Number: 20080512.1613
情報源:The Canon City Daily Record 、5月8日
Fremont 郡公衆衛生当局から、現地では初めての、全患者の半数近くが死亡するハンタウイルス Hantavirus 感染症例が発表され、住民らに注意喚起が伝えられた。Kiowa 郡(コロラド Colorado州)の住民1名が、2月に同感染により死亡している。
このウイルスは、農村地域に生息するdeer mice [_Peromyscus maniculatus_] の唾液、尿、糞の中に含まれている。住民らが、春になって小屋、建物、倉庫、納屋などを清掃する頃に、最もリスクが大きくなる。「冬の期間中閉めきっていた建物の掃除を行う前には十分注意が必要」と衛生当局者が述べた。「とくにネズミのフンがたまっていたり、その他のネズミがいた徴候がある時(に気を付ける)」と話した。... 清掃時の注意、ハンタウイルス感染の症状(曝露1-6週後の高熱、身体の激痛、頭痛、嘔吐:初期には呼吸器症状がないが、1-5日以内に急激に発症)、効果的な治療が存在しないこと、建物を建てるときの注意と齧歯類対策、以上についての箇条書きの注意、まちでよく見かけられる小さくて灰色のイエネズミ house mice [_Mus musculus_] はウイルスを伝播しないことなど...
[Mod.TY-ハンタウイルスの種類についての記載はないが、おそらく Sin Nombre ウイルスであろう。ハンタウイルス診断の根拠について書かれていないが、Sin Nombre ウイルスや他のハンタウイルスの分離は難しく、血清学的診断によるものと考えられる。非死亡例では、まずウイルス分離が試みられることはない。記事には、春の掃除の際の、的確で適時のハンタウイルス回避の注意が提供されている]
● トリパノソーマ症 ウガンダ、動物宿主
PRO/AH/EDR> Trypanosomiasis - Uganda (02): animal reservoir
Archive Number: 20080512.1611
投稿者:Ellicott McConnell, PhD、5月12日
20080511.1604 では、ツェツェバエの発生地域が著しく増加し、cattle corridor(ウシが通る道)である広大な草原も含まれているとのコメントがあった。ツェツェバエとウシは基本的に両立しない(incompatible)。最良の条件であったとしても、もしツェツェバエが本当に広がっているのであれば、ワクチン接種計画によるウシの保護が成功するとは信じがたい。
[Mod.EP- 知りうる限り、トリパノソーマ症に対する家畜用のワクチンはない。上述の5月10日の投稿でコメントされているが、おそらく思い違いであろう。ウガンダにおけるツェツェバエの発生量、優先的な給血宿主、トリパノソーマの種類の地図作成には、さらなる研究が必要なことは、明白である]
関連項目
Trypanosomiasis - Uganda: animal reservoir 20080511.1604
● 狂犬病、イヌ 英国
PRO/AH> Rabies, canine - UK (03): (England)
Archive Number: 20080512.1614
[1] イヌを英国に連れてくることで、途上国の野良犬への、世間の関心が集まる
投稿者:米・Editor, ANIMAL PEOPLE、Merritt Clifton、5月8日
20080508.1570 のコメント (英国に連れてくるのではなく、スリランカでイヌを保護してはどうか)に関して 途上国の野良犬の代表として先進国にイヌを連れてくることで、支援を拡げられるなど、長文の主張。
[2] 思わぬ狂犬病動物の輸入で、検疫の重要性が再認識された
情報源:Animal People, May 2008、5月12日
スリランカの件の紹介記事。