2008年5月6日

黄熱 ペルー、エクアドル
手足口病 中国、台湾

● 黄熱 ペルー、エクアドル
PRO/AH/EDR> Yellow fever - South America (24): Peru, Ecuador
Archive Number: 20080506.1554
ペルー
 情報源:Epidemiological Bulletin (Lima) 2008; 17(17) [in Spanish]、5月5日。
2008年疫学第 17週 [20-26 Apr 2008] の間に、ペルー Peru において 2例の森林型黄熱感染疑い患者 probable cases of sylvan [jungle] yellow fever [YF] が報告された。
1例目は Loreto department [state or province. と同じ] 出身の、ワクチンを受けていない 23才男性で、感染した場所は現在調査中となっている。
2例目は Tocache Nuevo (Tocache district and province), San Martin department 出身の 21才男性で、ワクチンの接種状況は不明である。この男性は、疫学第 15週 [4月6-12日] に発病した。
第1-7週の間に、ペルーでは 13例の黄熱患者が報告されている。このうち 3例は診断が確定しており、6例は可能性 probable 例、4例は棄却された。確定患者はすべて死亡した。 
エクアドル
 情報源:US Centers for Disease Control & Prevention (CDC) Travelers' Health 、5月6日
2008年3月、エクアドル Ecuador 保健省は、the Amazon Basin 内の以下の地域を訪れるすべての旅行者に対し、黄熱ワクチンの予防接種を勧告した; Morona-Santiago, Napo, Orellana, Pastaza, Sucumbios, and Zamora-Chinchipe。この情報に基づき CDC はエクアドルに対する現在の黄熱ワクチン接種勧告の対象地域を、上記の地域を含めたものに拡大する。上記リストでは、黄熱感染の危険地域が、州の境界にまで拡げられている。この勧告は、アンデス山脈 Andes Mountains の東山麓沿いから東側に至る地域への旅行者に対する、現在のワクチン接種勧告対象に追加された。現時点では、エクアドルへの入国者に対する黄熱ワクチン接種要求は、1歳以上の、黄熱土着感染地域からの旅行者に限られている
[Mod.TY- 森林型の黄熱感染の散発例の報告は不幸なことではあるが、ワクチンにより予防可能であることを考慮すれば、公衆衛生上の視点で言えば、都市型黄熱感染のリスクのある人口の多い地域まで拡大していないことは、幸運である。これらの国々で最近デングが感染流行したことから、ベクターのネッタイシマカ _Aedes aegypti_ が存在し、都市型の黄熱発生のリスクがあることは明らかである]

● 手足口病 中国、台湾
PRO/EDR> Hand, foot & mouth disease - Asia (03): China, Taiwan
Archive Number: 20080506.1553
[1] 中国:手足口病の流行、拡大続く 2008年5月5日の時点で8531人を超えた。 
 情報源:Rednet.cn, Links notice, China Daily report、5月6日
手足口病 Hand, foot & mouth disease に感染する中国の小児の数は、依然増え続けており、2008年5月5日の時点で 8531人を超えた。患者はすべて6歳以下で、2歳以下が大部分を 占めている。この病気で合計 25人が死亡した。死者のうち24人は enterovirus 71 (EV71) と呼ばれるウイルスが原因であることが、検査により確認されている。衛生省のウェブサイトにある HFMD 予防ガイドラインによると、 HFMD の原因ウイルスは多数あるが、EV71 と the coxsackievirus A16 (Cox A16) によるものが最も多い。中国東部・安徽 Anhui 省と南部・広東 Guandong 省の被害状況が最も深刻である。安徽省北西部の阜陽市では死者のうち 22人が発生し、残る死者は広東 省で発生した。これら 2つの省に次いで、北京 Beijing, 江蘇省 Jiangsu, 湖南省 Hunan, 湖北省 Hubei の順となっている。3日、安徽省だけで新たに622人の患者が報告された。このうち 362人は阜陽市で、安徽省の HFMD に感染した小児 の数は 5151人に達した。... 以下、北京 1010人、広東省 925人(4日)、HFMD感染の症状と、EV-7 1感染で重症化しやすいことなど... 
[2] 中国:政府発表、小児に手足口病蔓延
 情報源:The Canadian Press, Associated Press (AP) report、5月5日 
中国国内で 11900人以上の小児が HFMD に感染し、少なくとも 26人が死亡したと、政府系報道機関が伝えた。中央部安徽省と南部広東省の死者のうち 24人は、恐れられている EV-71 が原因であったと、5月5日に報じられた。広東省と沿岸部浙江省で死亡した各 1人も、HFMD が原因であったが、ウイ ルスの種類については現在判っていない。最も感染のひどい、安徽省・広東省・浙江省・北京で感染した小児は 10212人であり、いずれも 6歳以下の小児 で、2歳以下が大部分を占める。5日現在、全国で報告されている患者数は 11905人で、河北省 Hebei, 江蘇省 Jiangsu, 湖南省 Hunan, 湖北省 Hubei, 陝西省 Shaanxi, 江西省J iangxi, 河南省 Henan と重慶 Chongqing 市で小規模な流行が発生している。
[3] 中国:(浙江)省から1198人の HFMD 患者報告 
 報源:China Daily, Xinhua News Agency report、5月5日
中国東部・浙江省から、2008年に、1198人の HFMD 患者が報告されており、このうち 1人は死亡した。2008年5月5日に省の衛生当局が明らかに した。4月6日、温州 Wenzhou 市の5才の小児が、EV-71 と呼ばれる腸管ウイルスが原因の感染流行により死亡した。このほかに 8人の HFMD 患者 における検査で、EV-71 が陽性となった。その他の報告された患者は、Cox A 16 [human coxsackievirus A 16] もしくは [an echovirus] が原因であると見られると、当局者が述べた。近年、浙江省においてHFMD感染患者数が増加していた。2005年には101人であっ たところ、2006年 793人、2007年 1607人と報告されている。合計 26人の小児が死亡した中で、25人の死亡は EV-71 感染によるものである ことが確認されている。 
[Mod.MPP-[2] の記事にあるように,HFMD が中央レベルへ報告すべき疾患のリストに加えられたのはつい最近のことであるとある。その結果、多くの省が規則を変更し、患者報告数が大きく増加することが見込まれる。このとき重要なのは、報告日ではなく、発症日によって患者数を記録した流行曲線によって、 実際の感染流行の推移をモニターするよう指導することである]
台湾
CDC、2例目のエンテロウイルスを原因とする死亡を報告
 情報源:The China Post、5月6日
公衆衛生当局は、2008年5月5日、南部・高雄 Kaohsiung 市の 3才の男児の死亡について報告した:2008年の第 2例目となるエンテロウイルスによる死亡例である。.. 5才の姉からの感染と見られると当局が述べた。2008年4月11日、この男児は発熱、発疹、口腔内の痛みで発症し、翌 12 日にけいれんを起こし病院で診察を受けた。入院後間もなく昏睡状態となり、懸命の治療も甲斐なく 5日後に死亡した。調査により姉がエンテロウイルスに感染し、13日に入院していたことが判明した。姉は重症とはならず完全に回復している。.. 
第1例目のエンテロウイルスによる死亡は、3月に南西部 Yunlin Countyで発生している。2008年に確認されている、重症のエンテロウイルス患者は 60人に達し、このうち 2人が死亡した。7人が今も集中治療を受 けており、1人は脳炎の合併症により、約 4ヶ月間、入院したままである。.. 1998年の台湾での大規模なエンテロウイルス感染流行では 405人が感染 し、78人が死亡した。最も新しい感染流行は 2005年に発生し、145人が感染し 15人がウイルスにより死亡している。
[Mod.CP- HFMD 感染流行は、中国全体に感染が拡大しており、最大 12000人の小児が感染し、26人の死亡が報告されている。安徽省では、およそ 6000人の感染があり、最悪の事態となっている。そのほとんどは阜陽市およびその周辺地域であり、26人の死者のうちの 22人が発生した。ほとんどの地域でエンテロウイルス71が感染の原因であることが確認されている。著しく対照的に、台湾では 60人の重症患者のうち 2人の死亡が報告されている が、重症でない患者の数は報告されていない。台湾でも EV-71が感染流行の原因であることが確認されている]

● 狂犬病 米国 2007年
PRO/AH/EDR> Rabies, human, bat - USA: (MN), 2007
Archive Number: 20080506.1545
 情報源:CDC. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2008; 57(17); 460-2 、5月2日
2007年10月20日、ミネソタ Minnesota 州の住民1人が狂犬病 Rabies により死亡した。初期の四肢のマヒ症状からおよそ 1ヶ月後のことで、次第に弛緩性の筋力低下と失調を発症していた。2007年、米国内で報告された唯一のヒトの狂犬病患者であった。当初付けられた病名は、idiopathic transverse myelitis(特発性横断性脊髄炎)で、その後急速な悪化傾向が見られたことや,発病の数ヶ月前にコウモリに曝露したとの問診事項などから、狂犬病を含めたものに変更された。.. 症例報告、公衆衛生調査、編集部注、参考文献..

● プリオン病
PRO/AH/EDR> Prion disease update 2008 (06)
Archive Number: 20080506.1555
[1] 英国: National CJD Surveillance Unit - monthly statistics as of 2 May 2008 
 情報源:UK National CJD Surveillance Unit, monthly statistics 、5月2日 
[2] フランス: Institut de veille sanitaire - monthly report as of 30 Apr 2008 
 情報源:Institut de veille sanitaire - Maladie de Creutzfeldt-Jakob et maladies apparentees [translated]、4月30日
[3] スペイン: 2 vCJD cases in 2007 and 2008 
 情報源:Eurosurveillance edition 2008 > Volume 13 / Issue 15、4月10日
[4] 英国: SEAC Annual Report 2007 
 情報源:Spongiform Encephalopathy Advisory Committee (SEAC): Annual Report 2007 [abbreviated and edited]、4月

● 豚繁殖呼吸器障害症候群 ベトナム
PRO/AH/EDR> Porcine reprod. & resp. syndrome - Viet Nam (02)
Archive Number: 20080506.1557
 情報源:VietNamNet、5月4日
2008年5月2日に確認された新たな感染流行の発生は2件のみとなり、Blue-ear pig disease(豚繁殖呼吸器障害症候群)の勢いは下火となった。しかし、獣医学当局は、気候が暖かくなり、ウイルスの生存に好適な条件となることから、感染拡大を懸念している。2日に新たに確認された感染流行は、北部 Nam Dinh 省と中央部 Nighe An 省の 2つの村である。このほか、国内全体で、1143頭のブタが同ウイルスに感染し、1234頭のブタが処分された。

● 狂犬病、ネコ アルゼンチン
PRO/AH/EDR> Rabies, feline - Argentina (Buenos Aires) ex bat (03)
Archive Number: 20080506.1556
 投稿者:米・Editor, ANIMAL PEOPLE、Merritt Clifton、5月6日
20080505.1543 に関しての意見。

● ペスト、プレーリードッグ 米国
PRO/AH/EDR> Plague, prairie dogs - USA: (CO), susp., RFI
Archive Number: 20080506.1552
 情報源:Daily Camera.com 、5月2日
Valmont Butte に生息するプレーリードッグ prairie dogs の群れが、ペスト Plague に感染している可能性があることが、Boulder County Public Health の当局者によって明らかにされた。この徴候は 2008年5月2日に気付かれ、郡当局による調査中であるため、この小動物critter に近づかないよう注意が呼びかけられている。当局者は、この齧歯類の個体数が数ヶ月間に急激に減少していると述べた。2008年5月3-4日の間に採取されたノミのサンプル Flea samples  についてペストの検査が行われることになっていて、2週間以内に結果が判明する。この丘 butte に 2か所ある危険な尾鉱 toxic tailing ponds から野生動物やヒトを遠ざける目的で,プレーリードッグが soil caps [?] を介して穴を掘っていることが判明したため,市当局は移動(移住)させる準備を進めている。2007年以降、最大 60%の個体数の増加を見込んでいたが、約75%の減少となっていた。検査結果が発表されるまで、当局はプレーリードッグの移住や毒物除去を延期している。
[Mod.TG- プレーリードッグはペストの歩哨動物である。しばしばプレーリードッグが、地域内でペストが活動する初兆となる。ペストは米国内では西部地域で発見されることが多く、2008年も例外ではないと思われる。有毒な尾鉱はプレーリードッグにとっては、legal substance だったのだろう。ノミだけではなく尾鉱 trailing pond [* 記事本文は tailing pond となっている] についても検査や、プレーリードッグの全身の解剖も行って欲しい] 
地図 Valmont Butte は 海抜 1643 m の丘(Boulder County, Colorado) 

● イヌの病気,Strep. equi zooepidemicus 米国
PRO/AH/EDR> Strep. equi zooepidemicus, canine - USA: (WI)
Archive Number: 20080506.1546
 情報源:Chicago Tribune, Associated Press (AP) report 、5月3日
致死性の細菌が動物保護観察施設のイヌを襲ったのは 3度目で、獣医学専門家はさらにイヌの死亡が増えないよう直ちに対策をとる必要がある。最新の流行は、ミルウォーキー Milwaukee から西へ 16kmの Humane Animal Welfare Society of Waukesha County で発生し 10日間で 7頭のイヌが死亡し、ほか 2頭が発病した。2008年5月2日、ウィスコンシン Wisconsin、WI 州の獣医学当局は、このイヌたちは_Streptococcus equi zooepidemicus_ に感染していたと発表した。