2008年10月15日

原因不明の呼吸器疾患 米国、アデノウイルス14
ポリオ インド、パキスタン

● 原因不明の呼吸器疾患 米国
PRO/EDR> Undiagnosed respiratory illness - USA (03): (AK), adenovirus 14
Archive Number: 20081015.3269
 情報源:Capital city Weekly News、2008年10月15日
Prince of Wales Island におけるウイルス感染流行により女性1名が死亡し、7人が Klawock から緊急移送となった。
アラスカ Alaska 州保健当局によると、 34人のアデノウイルス adenovirus 14 感染が疑いまたは確定診断された。空気および水系感染 liquid borne するウイルスで、冬期の呼吸器疾患を発生させることが多い。診断されていない患者がほかにもいると見られている。"このウイルスは、普通のかぜ でよく見られるウイルスである。感冒や気管支炎、肺炎を起こすこともある。通常はごく軽症で、不快な症状は 1-2週間続くものの軽快する。アラスカ州ではあまり見られないが、 the lower 48 [states カナダ以南の48州 ?] では珍しいことではない" と説明されている。
死亡した女性には慢性閉塞性肺疾患の持病があり、入院した 7人全員にも以前から肺の病気が見られていたと述べた。1人は、航空機によりアンカレッジ Anchorage の Alaska Native Medical Center に移送され人工呼吸器を装着されており、ほかの患者らは治療のためケチカン Ketchikan に移動した。
[Mod.CP-Human adenovirus 14 は the B subgroup of human adenoviruses に属し、上下気道疾患に関連するウイルスである。Type B adenoviruses は市中に蔓延しており、最近発生した米英の軍事訓練兵の感染流行と関連していた。従来米国では types 3 and 7 がmilitary recruits の間では優位であり、ワクチンにより封じ込められていた。(恐らく因果関係はないが)ワクチン接種の中断のあと、新しいタイプのウイルスが新興し、最新のウイルスが type 14 である。今回の感染流行は B subgroup adenoviruses が一般市民の間にも浸透していることを示唆している。Type 14 adenovirus は 過去 2年間に全米で急性呼吸器感染に関連して確認されている] 
地図 Prince of Wales Island at the southern extremity of Alaska
関連項目 
Undiagnosed respiratory illness - USA (02): (AK), adenovirus 14 20081007.3179

● ポリオ インド、パキスタン
PRO/EDR> Poliomyelitis (08): India, Pakistan, worldwide
Archive Number: 20081015.3263
[1] インド
 情報源:The Telegraph、2008年10月11日
インド India から根絶寸前と当局が考えていたポリオウイルス poliovirus の最も一般的なタイプのものが、3年前に新たなワクチン戦略が開始されたにもかかわらず、Uttar Pradesh (UP ウッタルプラディシ)州に再興した。The National Polio Surveillance programmeは、2008年6月から9月にかけて、the P1 poliovirus [wild poliovirus type 1, (WPV1 野生株ポリオウイルス)] の患者 32人を Uttar Pradesh の 7地区で確認した。州内では 10ヶ月のあいだ、 P1 [WPV1] 患者は確認されていなかった。ウッタルプラデシとビハール Bihar 州の小児に対して、2年間の新しい 1価経口ポリオワクチン monovalent oral polio vaccine (mOPV) 強化接種が行われていたにも関わらず、3種類の野生株ポリオウイルスの1つであるThe P1 virus (WPV1) が再興した。mOPV は 3価OPV に比べて、ポリオウイルスに対し切れ味がよく、より有効との研究結果を踏まえ、およそ 3年前にインド保健省が導入を決めた。India Expert Advisory Group [IEAG] の責任者は、"最近いくぶんの進歩を感じていただけに、UP で WPV1 が発生したことに失望している" と述べた。実際の感染した小児の数は 32人より多いと考えられている。ポリオ患者 1名につき、およそ 160倍の感染の可能性がある、または、報告されていない、もしくは感染した小児がいる。mPOPV は非常に効果的であり、予想通り 3価OPV より有効であると、当局者は述べた。遺伝学的調査では、Uttar Pradesh 州のウイルスは Bihar 州から UP 州 Badaun district に紛れ込んだ P1 [WPV1] であることが判った。"mOPV だからこそ、インドで最も地方病感染が深刻な西部 UP 州でも、18ヶ月以上 P1 感染伝播を食い止めることができた" と説明した。"Badaun の The P1 [WPV1] 感染患者の発生は、P3 ウイルスによる感染流行対策のため、2007年に mOPV 接種の回数が減らされたり、間隔が延びてしまった結果である” ”このため、mOPV を十分に接種されていない低年齢層の感受性者数が増えてしまった” と説明されている。2008年6月までに報告された P1患者はわずか 4人で、Bihar, Delhi, Orissa, and Bengal の各1人であった。当局者をして、インドの歴史的ポリオ発生の中心地であり、世界でポリオ根絶にとって最も過酷な場所と言わしめた UP の 3つの地区 -- Moradabad, Meerut, およびMuzaffarnagar -- では、2006年11月以来 P1患者は報告されていない。"mOPV の使用により、UP では再び P1 感染循環を阻止できるかもしれないし、ビハールにおける感染阻止も確実になる” と述べた。... 全国のポリオサーベイランスでは、2008年の患者数は 449人で、昨年確定された感染患者は 874人であった。遺伝学的調査によると、インド国内の P1ウイルスは全て西部 UP 州由来であった。ムンバイ Mumbai の研究者は、汚水中のポリオウイルスを調べており、2008年初以降、唯一 P1株だけが検出されていると報告している。汚水の調査は、全国からヒトの集まるムンバイ市で、感染患者の排泄物中のポリオウイルスを検出する目的で行なわれている。これまでにも 1年間に数回にわたり P1ウイルスが検出されている。ムンバイの汚水での P1検出頻度が減少すれば、政府のポリオ根絶対策が成果を上げていることの指標となるという。 
[Mod.MPP-The polio eradication website(7 Oct 2008) の information on India によると:
- 先週新たに 15例の患者が報告され (10 WPV1s and 5 WPV3s)、2008年の総患者数は464人となった。最新の患者の麻痺の発症日は 9月17日で、WPV1 from Uttar Pradesh であった。... 10月から11月初めにかけての祭礼の季節に、Uttar Pradesh and Bihar では大規模な人口の移動が予想されるため、臨時の vaccination teams が配置される...] 
地図 India with states
[2] パキスタン Pakistan: why is polio spreading ? 
 情報源:UN Office for the Coordination of Humanitarian Affairs (OCHA), Integrated Regional Information Networks (IRIN) News 、2008年10月13日
保護者らの子供へのワクチン接種拒否は、小児の間のポリオ患者数増加を説明する一部の要因に過ぎないと専門家が述べた。内戦の Federally Administered Tribal Area (FATA) および the North West Frontier Province (NWFP) で、過去数週間にわたり多数のポリオ患者が確認されている。最新の症例はアフガン人の小児で、両地方の 2008年の総患者数は 28人となったと報じられている。この生後 9ヶ月の乳児は、臨時接種キャンペーン中に 7回もポリオワクチンを接種されていたが、定期接種は受けていなかった。WHO によると、2008年10月5日現在のポリオ患者数は 70人で、半数が 8月と9月に登録された。2007年は 32例、2006年は 40例であった。世界中でこの衰弱性疾患が今も地方病感染しているのは、パキスタン、ナイジェリア、インド、アフガニスタンの 4カ国だけである。...以下、戦闘状態にあるため、ポリオ対策が実施できないことなど
[3] 世界各国: case count as of 7 Oct 2008 
 情報源: Global Polio Eradication Initiative, polio eradication website 、2008年10月14日




● サルモネラ感染症 デンマーク,北米(2件)
デンマーク
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, serotype Typhimurium U292 - Denmark (04)
Archive Number: 20081015.3270
 情報源:Helsingin Sanomat、2008年10月15日
デンマーク Denmark 政府当局は、2008年2月以降続いているサルモネラ Salmonellosis 感染流行の原因を突き止めた。食品安全当局は Danish Crown 社が運営するホルセンス Horsens 食肉処理場で生産されたブタ肉からサルモネラ菌を検出した。フィンランドおよびスウェーデンの市場に向けて出荷される予定の精肉から検出された。... 
[Mod.LL-Danish Crown 社はデンマーク国内では肉を販売していないため、この感染流行直接の原因ではない。デンマーク由来のブタ肉だが、問題のブタ肉は輸出用であった]

北米
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, serotype Poona - N America: USA, Canada, RFI
Archive Number: 20081015.3268
[1] カナダではこれまでに26人の患者が発生
 情報源: Miramichi Leader、2008年10月15日
カナダ政府公衆衛生局と米国 CDC は、北米の Salmonella [enterica_ serotype] Poona による胃腸炎感染流行の調査を行なっている。カナダではこれまでに 26人の患者が発生し、British Columbia (1), Manitoba (1), Quebec (8), Ontario (14), and Nova Scotia (2) という分布をなし、遺伝学的に同じ菌であった。感染減は分かっていない。
[2] 米国で 48人が感染した食中毒の原因究明のため、調査が行なわれている
 情報源:Canada.com, Canwest News Service、2008年9月29日
(振り返ってニュースを検索すると、以下の記事があった) 
カナダ保健当局は、_Salmonella_ Poona と呼ばれるまれなサルモネラ菌によって、北米で感染流行の発生が疑われるため、調査中である。米国で 48人が感染した食中毒の原因究明のため、緊密な協力のもと、調査が行なわれている。

● 病原性大腸菌 O157 米国
PRO/AH/EDR> E. coli O157, university students - USA (06): California lettuce
Archive Number: 20081015.3266
 情報源:The Packer、2008年10月14日
ミシガン Michigan 州農業当局者は、調査の結果、病原性大腸菌 [_E. coli_ O157] 感染流行の原因は、カリフォルニア California 州産の iceberg lettuce であることが確認されたと、述べた。

● ウエストナイルウイルス-カナダ、米国
PRO/AH/EDR> West Nile virus update 2008 - Western Hemisphere (24)
Archive Number: 20081015.3267
 情報源:カナダ:Public Health Agency of Canada (PHAC) human casesなど、2008年10月15日
カナダ/米国とも、新たな感染者を報告した州なし
[1] カナダ: 28 Sep -4 Oct 2008 
Human cases: no new cases this period 
Total human cases in 2008: 35 (includes 2 cases from outside home province) 
以下、野鳥などの報告 
[2] 米国: 8-14 Oct 2008 
はじめてWNVを報告した州:なし 
(2008年報告がなかった州: Alaska, Hawaii, and Maine). 
はじめてヒトの感染を報告した州:なし 
合計患者数1108人、死者22人