2008年10月20日-21日

原因不明の疾患 インド
メラミン混入 中国

● 原因不明の疾患 インド
PRO/EDR> Undiagnosed disease - India: (Orissa), RFI
Archive Number: 20081021.3337
 情報源:The Statesman News Service、2008年10月20日
Bari, Korei, Rasulpur and Dharmasala の各 block で原因不明の疾患が流行し、鳥インフルエンザが懸念されている。しかし、地域当局は鳥インフルエンザではなく、まだ診断されていない別のウイルスによるものと見方を示した。
患者らははじめに高熱を発し、その後身体中の関節痛腫脹が見られた。当初マラリア患者に対する治療が行われ、その後腸チフスに対する抗生物質の治療を受けた。
情報筋によると、このような発熱性疾患が最初に報告されたのは、Brahmabarada village under Rasulpur block である。その後、Bari, Korei and Dharmasala block へと広がった。医師らは、患者の塗抹標本や採血検査を送付したと述べた。季節性のウイルス熱であるので騒ぐ必要はないと説明した。 
[Mod.CP- わずかな症状記載ではあるが、鳥インフルエンザウイルス感染流行によるものとは考えにくい。症候、季節の特性、死者が報告されていないことなどから、蚊族媒介性チクングニアウイルス感染がより一致する。さらに詳しい情報と診断結果の提供を依頼する]
[Mod.JW- 8月に Orissa 州の他の地域で発生した一部死亡例の出た別の感染流行(20080803.2382)との関連性はないようである] 
地図1 Jajpur(ジャジプル)は Jajpur distict (the Indian state of Orissa) の中心都市
地図2 Dharmasala and Bari are in the middle of this Orissa state
Dharmasala block (panchayat、in Jajpur district, Orissa)は、ダライラマ Dalai Lama の亡命先のダルムサラ  DharAMsala district(the state of Himachal Pradesh HP) と混同しないこと

● メラミン混入 中国(2件)
PRO/AH/EDR> Melamine contamination, animal feed (02): China
Archive Number: 20081020.3326
動物のエサ (02)-中国
 情報源:Associated Press 、2008年10月20日
アライグマなど,毛皮用に飼育されているおよそ 1500頭の dogs が、問題となっている乳製品で汚染されたエサを食べ死亡し、全国で数万頭の子犬が発病していることが、20日獣医師の話で明らかになった。この東アジア原産で毛皮がコートなどに利用される raccoon dogs(=タヌキ?)は、化学物質メラミンが混入したエサを与えられ、腎臓結石を発症したと、農業大学の獣医学教授が説明した。死亡したイヌは、全て1つの村の同じ農場のイヌだった。12頭の剖検により、腎不全で死亡したことが確認されている。言明は避けられているが、報道によるとこの2ヶ月間に死亡が起きている。

PRO/EDR> Melamine contaminated food products (03): Worldwide ex China
Archive Number: 20081020.3324
[1] 米国 - recall milk drinks(乳製品飲料)
 情報源: US Food and Drug Administration (FDA) 、2008年10月10日 
UA XIA Food Trade USA, Inc.社(Flushing, NY)は、メラミン混入の可能性があるとの理由で、YILI Brand Sour Milk Drink と YILI Brand Pure Milk Drink の回収を行っている。
[2] タイ - biscuits(ビスケット)
 情報源: Reuters Foundation AlertNet、2008年10月14日
The Thai restaurant and bakery S&P は、スイス政府当局によりビスケット中のメラミンが検出されたことを受け、タイで販売されているミルククッキーを回収すると発表した。
[3] 米国 - products identified
 情報源:Consumer Reports.org、2008年10月7日 
a.FDAは、米国内で1400店以上を調査し、中国製の粉ミルクが売られていないことを確認したが、同製品を使用しないよう呼びかけている 
b.コーヒーおよび紅茶(茶)製品に特に注意する 
c. White Rabbit Creamy Candy(この米国内で人気のある中国製チョコレートからメラミンが検出された) 
d. Blue Cat Flavor Drinks(またはLanmao) 
e.高タンパク粉末 
[4] Melamine scrap によるミルク汚染の可能性
 情報源: The Epoch Times 、2008年10月8日 
メラミンは塩基性有機化学中間物質で、C3H6N6 の化学構造を持ち、主に尿素から作られ、重量比 66%の窒素を含む。...
1958年から20年間、ウシの非タンパク質窒素としてウシのエサに使用されていたが、反芻動物の栄養源として無効との理由で禁止された。... メラミンはそれ自体ではわずかな量しか水に溶けないため、発ガン物質のホルムアルデヒドなどの有機溶剤に溶解して、ミルクに混入しなければならず、問題の農家ではこの方法を知っていたのではないかと、専門家らが懸念している。また、低容量では毒性がないものの、水中のシアヌル酸と結合したり消化されてシアヌル酸メラミンが形成されると、腎臓結石や腎障害につながる恐れがある。... 石炭からメラミンを形成する際の副産物である、Melamine scrap は、2007年のメラミンに汚染されたペットフード騒ぎの時に、中国の家畜や養殖用のエサに広く使用されていることが報道されている。日常的に、低品質の小麦・コーン・ダイズなどのタンパク源にすりつぶしたメラミンを混ぜ、解析検査の水増しに使っていたとされる。
[5] 韓国- chocolate bars(チョコレートバー)
 情報源: Vzglyad.ru [in Russian]、2008年10月4日
Nestle と Mars の両社製チョコレートが、韓国国内の小売店から引き上げられている。中国にある Mars Company 社が製造した、"Snickers" chocolate bars と "M&M's" candies からメラミンが検出された。Nestle 社製のチョコレート製品 Kit-Kat でもメラミンが検出されている。
[6] ハンガリー タイからの輸入食品 coffee powder 
 情報源: Newsru.ua [in Russian]、2008年10月5日 
ハンガリーの食品から高濃度のメラミンが検出されたと報じられた。中央部 Pesht 地方の Dyal city warehouse で販売されていた、Nestle の粉コーヒーで、この危険物質が確認された。このコーヒーはバンコク Bangkok からの輸入品で、製品 1kgあたり許容量 2.5mgを上回る 2.7mgのメラミンが検出された。この製品は小売りはされていない。

● 病原大腸菌 O157 米国
PRO/AH/EDR> E. coli O157 - USA (09): (WA), susp.
Archive Number: 20081021.3336
 情報源:The Seattle (WA) Times 、2008年10月21日
スノーホーミシュ Snohomish 保健当局は、確定されていない 14人の病原大腸菌 O157:H7 感染が疑われる患者について調査を行っている。13日の週に 2人の患者が確認され、大腸菌の症状である 2日間以上の血性下痢を示す患者には詳細な検査を行うよう、医師に通達が出された。20日までに郡内の医師らから合計 14人の患者が報告された。検査は数日間かかるため、いずれの患者も確定されていない。
地図 Snohomish (snow-HOE'-mish) County は the Snohomish NativeAmerican tribe に因む地名である 

● サルモネラ感染症 米国(2件)
PRO/AH/EDR> Salmonellosis, human, pet turtles - USA (04)
Archive Number: 20081020.3327
[1]  情報源:American Veterinary Medical Assoc News、2008年10月20日
ルイジアナ Luisiana 州の農家らは、30年以上の研究で飼育に安全なペット用のカメの赤ちゃんを開発したとして、小さなカメの販売を禁止した法の撤回を求めている。
[2] 情報源:NBC 10 Philadelphia PA,2008年10月20日
フィラデルフィア Philadelphia 公衆衛生当局は、カメの赤ちゃんをペットとして飼うことに伴う危険性について、周知活動を行っている。 

PRO/AH/EDR> Salmonellosis, restaurant - USA: (TX), novel trans. vehicle
Archive Number: 20081020.3323
 情報源 Center for Infectious Disease Research & Policy (CIDRAP) 、2008年10月7日
テキサス Texas 州アマリロ Amarillo の公衆衛生当局は 6日、International House of Pancakes (IHOP) が過去3ヶ月間に 3回閉鎖されたサルモネラ感染症 Salmonellosis の原因が,シロップの保温用温水漕の汚染であることが確認されたと述べたことが、報道された。

● 病原大腸菌 O157 米国
PRO/AH/EDR> E. coli O157:NM, restaurant - USA: (CO)
Archive Number: 20081020.3325
[1] News Report
 情報源:9 News (CO)、2008年10月11日
9日、大腸菌 E. coli 感染症の患者が発生したため閉鎖されていたサンドイッチ店が再開された。公衆衛生当局の要求を全て満たしたためであると、当局者は説明した。18人が大腸菌に感染した。初発患者の報告は 2008年9月16日であった。 
[2] Public health report
 情報源:Boulder County (CO) Public Health Dept、2008年10月9日 
ボールダー Boulder County Public Health は、郡内で発生した大腸菌感染流行の調査を行っている。現在、感染流行に関連した17人の患者が報告されているが、感染源は未だ特定されていない。
[3] Microbiology report(細菌学的報告)
 投稿者:Joyce Knutsen 、2008年10月20日
コロラド州公衆衛生環境局の検査部において、今回の感染流行は、sorbitol-negative _E. coli_ O157:NM, stx1 & stx2 positive by PCR によるものであることが確認されている。

● 手足口病 中国
PRO/EDR> Hand, foot & mouth disease - Asia (26): China (Fujian)
Archive Number: 20081020.3321
 情報源:Reuters AlertNet 、2008年10月20日
中国東部で 2008年の2度目となる、こどものウイルス疾患である手足口病 Hand, foot & mouth disease 感染流行により,小児 3人死亡したと 20日報じられた。当局は,10月はじめから 113人の患者が報告されており、沿岸部・福建省の一部で手足口病が流行していると警告した。死亡した3人はいずれも 1才以下で、同じ Jian'ou City で発生した。
4月と5月の中国南部の感染流行で 42人以上が死亡した。ほか 27500人の患者が報告されている。手足口病はありふれた小児の疾患であるが、中国の感染流行は enterovirus 71 (EV71) によるもので、時に重症化し、高熱・麻痺・髄膜炎などが見られることがある。ワクチンはなく、通常 1週間から10日で治癒する。エンテロウイルスは感染性の水疱や糞便との接触により感染が拡大する。 
[Mod.CPー 最新の ProMed-mail における中国の hand, foot and mouth disease (HFMD)  の報告は 7月25日で(20080726.2281)、中国南部から中部さらに北部に拡大した感染流行が沈静化ことが示唆されている。今回の福建省の報告によると、相当数の死者を伴って再興したと考えられる。Enterovirus 71 が原因ウイルスとして確認されており、このウイルスはこれまでアジア全域の感染流行の原因ウイルスであった] 
[Mod.MPP-2008年は初めて HFMD が報告義務のある疾患となったため、その報告数は例外的に大きなものとなり、比較できる過去の公式報告がないことを銘記する必要がある。6月の投稿(20080611.1844)では、1月から5月中旬までの中国国内の HFMD 報告患者数は、およそ 17万6千人と見積もられている。全国の死者数は記載されていなかった] 

● デング熱
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2008 (45)
Archive Number: 20081020.3316
南太平洋の島嶼
 情報源:The New Zealand Herald 、2008年10月19日
フィジー Fiji からおよそ 2000人のデング熱 Dengue 患者が報告され、米領サモア Samoa は9月だけで年間患者数を記録した。Samoa, Tonga, New Caledonia, Kiribati, and Palau 各島からも、異常な数のデングウイルス感染が報告されている。
蚊族の刺咬によりヒトに感染伝播されるデング熱は、激しい痛みと衰弱を伴い、時に死亡することがある。フィジー全域を感染流行が席巻し、およそ1300例が中央部で発生し、西部が最も深刻な状況である。米領サモアの当局は 10才の男児が同ウイルス感染により死亡し、2008年にはおよそ 200人が感染したと発表している。患者の多くはこの6週間に発生している。2007年1年間の患者数は 109例であった。 
[Mod.TY-Samoa では 500人以上の患者が発生し、New Caledonia と Fiji はともに 1000人以上、Kiribati でも 900人近い患者が出ている。この10月18日の the Fiji Times の記事では、受診しないあるいはできない患者を含めると、少なくともこの 2倍以上であることが示唆されている] 
インドネシア(アチェ)
 情報源:Hariana Analisa [in Indonesian]、2008年10月19日
10月中旬までアチェ Aceh 州ではデング熱感染の勢いが増している。アチェの13人が、ネッタイシマカの刺咬が原因となるデング熱ウイルスにより死亡した。Acehnese Utara は Aceh 州内でデング熱が地域感染する地域の1つで、Banda Aceh and Acehnese Besar などがこれに含まれている。the Province of Nanggroe Aceh Darussalam、特に感染が深刻な3カ所では、来る雨期に備えてデング熱の危険回避に住民も参加するよう呼びかけられている。... Lhokseumawe では、3人の死亡を含む 480人の患者が発生している。Aceh North においても 9月までに 3人のデングによる死者が発生している。
[Mod.TY-18日付の Metro TV News の記事によると、過去3日間でデング熱の患者は 47人増え、うち 2人が死亡している。2008年の Lhokseumawe におけるデング熱の患者数は、過去3年間で最も多い。異常事態宣言が出されている] 
地図 Aceh on the northern tip of Sumatra 
インド(西ベンガル州)
 情報源:Sindh Today, Indo-Asian News Service (IANS) report 、2008年10月16日
チクングニア、デング熱、日本脳炎により、西ベンガル州で過去8日間に300人以上が感染し3人が死亡したと、16日に保健当局が発表した。
[Mod.TY-記事には300人のうち、何人がそれぞれのウイルスに感染したか書かれていないが、2人の死亡はデング熱であるとされている]
9日以来、およそ250人の血液検体でデングとチクングニアウイルスを確認した 
[Mod.TY-ウイルス?抗体?]。
[Mod.TY-West Bengal 州では、Dengue, chikungunya, and Japanese encephalitis viruses (JEV) のいずれも発生している。デング熱とチクングニアウイルスは、同じヤブカ属のベクター、主にネッタイシマカが伝播する。JEV はイエカ属 _Culex_ spp. により伝播される。3つのウイルス全てのベクターコントロールを適切に行うことは、当局にとって至難の業である] 
地図 India showing the location of West Bengal state
中国(雲南省)
 情報源:Sina News [in Chinese]、2008年10月16日
15日に関係各機関から得られた情報によると、14日現在、雲南省では68例のデング熱患者が発生している。48例は中国ミャンマー国境に近い Dehong, Lincang, and Xishuangbanna からの輸入例であった。今のところ、デング熱による死者は報告されていない。
雲南省の疾病管理対策当局は、省内の感染流行状況は非常に深刻であるが、当局の効果的な対策と患者の多くが輸入例であったことから、流行は封じ込められていると述べた。
[Mod.TY-雲南省で報告された68例のデング熱患者のうち、48例は輸入例であるとされ、その分布はミャンマーとの国境付近にあると説明されている。デング熱患者野市部がミャンマーから輸入されている可能性がある。ベトナムは、最近のデング熱発生状況を報告している。Nghe An 省では、14日までに、デング熱感染再興による 687人の患者が報告されている] 
地図 China with provinces:雲南省は中国最南端の省で、広西荘族自治区・貴州省・四川省・チベット自治区と接している 西はミャンマー、南はラオス、南東はベトナムと国境を接する

● 炭疽 キルギスタン
PRO/AH/EDR> Anthrax, human - Kyrgyzstan (12): national update
Archive Number: 20081020.3315
 情報源:Fergana Information Agency [in Russian]、2008年10月10日 
キルギスタン Kyrgyzstan 国内で新たな炭疽感染患者が報告された。the Jalal-Abad oblastの Aksiskiy [Aksy district] region に住む 36才男性が、皮膚炭疽 Anthrax を疑われて入院した。2008年、南部では 45人目、全国では 47人目の患者となった。患者 1名が死亡し、数十人が医療監視下にある。
キルギスタンでは、特に南部において、警戒レベルの感染流行となっている。このため、ビシケク Bishkek では、関係各機関の会合が行われた。今回の問題発生は、当局の怠慢の結果であると述べられた。

● トマトの病気,Bacterial canker 英国
PRO/PL> Bacterial canker, tomato - UK: rediscovery
Archive Number: 20081021.3335
 情報源:Horticulture Week 、2008年10月17日
英国では10年ぶりとなる Bacterial canker が2カ所のトマト育苗所で発見された。
[Mod.DHA-_Clavibacter michiganensis_ subsp. _michiganensis_ (CMM) は、屋外や温室栽培のトマトの bacterial canker の原因となり、70%の損失をもたらせることがある]

● ポテトの病気,Cyst nematode オーストラリア
PRO/PL> Cyst nematode, potato - Australia: (VIC)
Archive Number: 20081021.3334
 情報源:Weekly Times、2008年10月17日
Thorpdale のポテト栽培地域は、potato cyst nematode (PCN ポテト嚢胞線虫) の発見により検疫区域が設定された。これは、ジャガイモ栽培基準の適合証明のための定期検査中に発見されたもので、ポテト産業に悪影響を及ぼす可能性がある。

● ブルータング オランダ
PRO/EDR> Bluetongue - Europe (62): Netherlands, new strain susp, export ban
Archive Number: 20081021.3331
[1] 'new strain' of bluetongue 確認、オランダ政府当局、禁輸法制定
 情報源:Farmers Weekly, UK、2008年10月21日
新たなウイルス株が疑われる疾患が確認されたため、オランダ農業省はブルータングウイルスに感染する恐れのある動物の輸出および飼育を禁止することとした。東部の異なる農場の3頭のウシが、ブルータングウイルス感染検査で陽性と診断されたが、国内でこれまで確認されているウイルスと異なっていた。オランダの専門家らは、英国でワクチン接種が行われている BTV-8 の変異であるか、新しいタイプのウイルスであるのかについて、現在検討中である。
[2] 情報源: Dutch Ministry of Agriculture, press release [in Dutch]、2008年10月20日
農業・自然・食品品質相は、ウシ・ヒツジ・ヤギなどのブルータングに感染する恐れのある家畜を輸出禁止とした。オランダで確認されている BTV-8 と異なるウイルスが、東部の3カ所の農場で確認された。英国にあるEUの標準検査機関と協力し、さらに検討を行い、変異種か新種かについて明らかにする。