2008年10月26日、28日

原因不明の死亡 南アフリカ ザンビアから

● 原因不明の死亡 南アフリカ ザンビアから
PRO/AH/EDR> Undiagnosed fatalities - S. Africa ex Zambia (10): arenavirus
Archive Number: 20081028.3409
 情報源:Communicable Diseases Communique Vol 7, No 10, Oct 2008、2008年10月27日。
過去から10月24日現在までの最新情報。
10月、アレナウイルス arenavirus 感染流行が南アフリカで確認された。9月12日から10月24日までの間に、合計 5人の患者が報告されている。初発患者 case1 の発症は 9月2日であった。これに続く3人の二次感染症例 2,3,4 と 1人の三次感染患者において、検査の結果、アレナウイルス感染が確認されている。初発患者と二次感染の 3人は死亡した。三次感染症例は現在入院中である。患者の年齢層は 33才から 47才までである。女性 4人と男性 1人であった。現在も、初発患者の感染源判っていない。他の 4人の患者は全員が、医療施設内で初発患者もしくは二次感染患者の血液 ・ 体液と接触があった可能性があった。
初発患者はザンビア在住のサファリツアー予約業者であった。この患者は 9月12日に危険な状態となり、治療のため飛行機で南アフリカに移送され、同 14日に死亡した。
症例 2は、症例 1のザンビアからの移送に付き添った救急隊員の 1人で、
症例 3は 9月12-14日に集中治療室にいた症例 1の看護を担当していた。
症例 2が入院したのは 9月27日で 10月2日に死亡し、症例 3は 9月30日に入院し 10月5日に死亡した。
症例 4は 9月14日、症例 1が入院していた部屋の清掃 terminal cleaning を行った。
症例 5は 9月27日から10月2日まで症例 2の看護を担当した。この女性は 10月9日に発病し、現在重体だが安定している。
この患者の治療には(アレナウイルスの1つである)ラッサ熱患者に有効であることから、リバビリンが使用されている。二次および三次感染患者の(接触から発症までの)潜伏期間は、7から13日と考えられている。死亡した 4人の患者の発病から死亡までの期間は、9から12日であった。経過の後半に出血と混迷があり、その後間もなく死亡した症例 4については、限られた臨床データしか得られていない。さらに多くのデータのある他の 4人の患者の臨床症状が明らかになっている。患者全員が、初発症状として発熱・筋肉痛・頭痛を伴うインフルエンザ様症状を示した。7日間で重症度が増し、いずれも下痢咽頭痛が見られた。第 6-8病日の顔面と躯幹の morbiliform rash が報告されている。3人に顔面の浮腫があった。3人は入院当初症状の改善が見られていたが、その後に悪化した。死亡した患者では、末期症状として呼吸困難・神経学的症状・循環不全を伴った、突然で急速な状態の悪化が見られた。出血症状は著明な特徴ではないが、1人に皮下出血、もう1人は穿刺部位からの持続出血が見られた。症例 1は胸痛を訴えた。患者全員に入院時の血小板減少が認められた (42-104千)。肝トランスアミナーゼ(AST、ALT) の値は、入院時はばらつきがあるものの経過中に全て上昇した。2人に白血球減少があったが、3人の入院時の白血球数は正常であり、4人が経過中に白血球増多を示した。接触者全員は、接触から21日間後まで、毎日2回の体温測定を行った。また、防護服 PPE 着用でウイルス性出血熱に準じて埋葬が行われた。今回の感染流行の原因は、当初 Atlanta の CDC 感染症病理部門の免疫組織検査で Old World arenavirus と確認された。... 検査法など、詳細は原文参照願います... 現在まで新たな感染疑い症例は発生していない。感染流行は封じ込められたようであり、医療施設内環境下で濃厚接触者だけに感染が限定されている。.. 病原体の詳細な特徴については、現在調査中であり、初発患者の感染源についての調査も必要である。軽症または無症候性感染発生の可能性の検討も、感染流行の範囲や臨床像をより理解するために重要である。
アレナウイルスは、エンベロープをもつ negative sense の1本鎖 RNAウイルスである。齧歯類に寄生し、慢性腎臓感染をおこす。齧歯類の尿中は高ウイルス価であり、ヒトの食品やハウスダストを汚染する。曝露したヒトは偶発的宿主となる。このウイルスの原型は lymphocytic choriomeningitis (LCM) virus であり、ヒトに感染するとインフルエンザ様症状、無菌性髄膜炎もしくは重症髄膜脳炎を発症する。出血熱症候群の原因となるArenaviruses は南米 (New World arenaviruses, including Junin, Machupo, Sabia and Guanarito viruses) から数多く報告されている。いわゆる Old World arenaviruses は世界中に分布する LCM と、西アフリカのナイジェリア、シエラレオネ、リベリア、ギニアを中心に1年間に最大50万人が感染し、実際にはさらに広い地域に分布すると見られているラッサ熱ウイルス Lassa fever virus である。ラッサ熱ウイルス感染の臨床症状としては、不顕性、軽症発熱性疾患から劇症出血性疾患まで様々であり、致死率は一般的な社会環境における 1-2% から、入院患者では 20%、院内感染では 40%以上に及ぶこともある。 multimammate mouse (_Mastomys natalensis_ マストミス) は Lassa fever virus の最重要宿主であり、その分布は西アフリカから東アフリカ一帯と、南アフリカ北東端まで南に広がっている。他の Mastomys 種とも分布域が重複し、アレナウイルスは過去にはアフリカ南部の齧歯類でも確認されている。しかし、継続して監視されているが、これらのウイルスとヒトの疾病との関連性は、これまでのところ確認されていない。暫定的な検査により、今回の院内感染流行に関係するこのウイルスは、アレナウイルス科における新たな異なるウイルスと見られている。
関連項目 
Undiagnosed fatalities - S. Africa ex Zambia (09): arenavirus 20081018.3300

● チクングニア タイ
PRO/AH/EDR> Chikungunya (47): Thailand, conf.
Archive Number: 20081028.3407
 投稿者:タイ・公衆衛生省、Kumnuan Ungchusak 、2008年10月26日
20081025.3367 に関して。 
タイ公衆衛生省疾病対策局は、過去2週間のチクングニア Chikungunya 感染流行に関する情報を公表した。
要約すると、ナラーティワート Narathiwat 県の 1村においてチクングニア感染流行が発生していたことが、患者約 40人から採取された血清の HI および PCR 検査により確認された。発生した村で捕獲された蚊族ヒトスジシマカ _Aedes albopictus_ の PCR 検査でも、チクングニアウイルス陽性が確認された。主な臨床症状は、発熱、発疹、関節炎を伴う持続性の多発性関節痛である。感染者は80人を超えている。隣県に対する注意喚起を行ったところ、他にも同じような症例があることが分かった。現在、報告された患者総数はおよそ200例である。ベクター対策と住民への教育が行われている。
[Mod.MPP-マレーシアとの国境に近いタイ南部におけるチクングニア感染流行に関する速報] 
地図 Thailand with provinces

● 狂犬病 中国
PRO/AH/EDR> Rabies, human, canine - China: (YN)
Archive Number: 20081028.3405
 情報源:The Earth Times、2008年10月25日
中国南西部・雲南 Yunnan 省の農村部の当局者は、6人が狂犬病 Rabies で死亡したことを受け、11000頭以上のイヌを処分するよう命じたと、26日に政府系メディアが伝 えた。雲南省 Mi'le county の 9万頭以上のイヌのうち、およそ 84000頭は狂犬病のワクチンを接種されており、他のワクチンを受けていない 11500頭が処分された。 当局は、飼い犬を手放さない住民に罰金を科すと警告したが、一部の住民はこれらのイヌを番犬として頼っているため、この処分は厳しすぎると抵抗している。 8月後半に初めての死者が出てから、この犠牲者の自宅周囲 5km以内のネコとイヌは全て処分された。近年、中国国内の狂犬病による死者は増加しており、 2006年には 3000人以上が記録されている。専門家らは、イヌの飼育が増えたためと指摘している。中国農村部では、ペットや番犬としてイヌが飼われる ことが多いが、市内では最近まで飼育が禁止されていた。また、北部および南部では、食肉用として一部の品種が好まれている。 
[Mod.CP- 狂犬病はワクチンで予防可能な疾患であり、曝露の前および後のヒトの治療に使用できる良いワクチンと、動物用の予防ワクチンがある。イヌ やネコなどのペットとの接触による、ヒトでの狂犬病感染例が後を絶たないことは、とくに動物にワクチンを接種されていない地域の人々において、ワクチンプ ログラムが欠けていることを物語っており、咬傷を受けても、曝露後接種のために直ちに受診することは行われていない。
1990-2007年の中国の狂犬病 症例の傾向についての論文 (モデレータ推奨)において
”筆者が最も多くの狂犬病を見たのは、中国南西部および南部地域で、特に人口密集地域においてであり、4大侵淫地 (Guangdong 広東省, Guangxi 広西荘族自治区, Hubei 湖北省, and Hunan 湖南省) では、イヌの狂犬病排除対策が厳格に行われているとは言えず、近代的な細胞培養ワクチンも不足している" と報告された。患者の大多数は,頭や首に対するイヌの咬傷を受けることが多い小児と10代の感染が最も多い。著者によると、最も感染が深刻であったのは広東省で、患者の 62.5%が適切な創処置を受けておらず、 92.5%が曝露後接種を受けていなかった(91.25% は免疫グロブリンを投与されていない)。雲南省政府は、短期間に 6人の狂犬病患者が報告されたことを受け対策を実施した。上記論文には(雲南省が)高率に狂犬病が発生する省との記載はなく、これまで雲南省で、年間どの程度患者が報告されていたかについての背景情報もない。これまで雲南省では狂犬病対策が成功していたのかも知れない。今回の 6人の死亡を 受けての大規模な動物駆除活動の警告は、この推測を支持する] 
地図 China showing Yunnan in the south, bordering Myanmar, Laos, and Viet Nam

● 炭疽 英国
PRO/AH/EDR> Anthrax, human - UK (02): pneumonic, conf.
Archive Number: 20081028.3404
[1] 動物の皮でドラムを作成し炭疽菌を吸入した男性が集中治療室に入院
 情報源: Hackney Gazette、2008年10月27日
動物の皮でドラムを作成し、炭疽 Anthrax 菌を吸入した男性が集中治療室に入院中となっている。保健当局はバイオテロではなく、市民にリスクはないと説明した。スペイン人音楽家とされるこの男性は、重症だが安定していると伝えられており、1週間の入院中である。 
[2] 発生直後から、事件は HPA のウェブサイトに掲載
 投稿者:英・Health Protection Agency、Prof. Nigel Lightfoot、2008年10月26日
男性に関する詳細な情報は全て HPA [Health Protection Agency] のウェブサイトに掲載されており、メディアが報じるまで ProMed-mail で取り上げられなかったのは amused だった(不思議に思っていた?)。 このような事態はあべこべだと私は思っている。輸入された動物の皮革で作られたドラムに関係する、感染確定例であるが、24日に初めてのこのことを知ったときには驚かされた。25日には、当ウェブサイト上に公式会見内容を掲載しメディア向けにも配布した。メディア側も興味を示さず、地方紙からの問い合わせがあっただけという事態にも、驚いている。 
[Mod.MHJ- 背景説明:ProMED では、よくある quite apart from(誤報)はさておき、disinformation(偽情報)の排除に、多大な労力をかけている。決してまれなことではない。この報告は 25日に直ちに届いたが、全く反響がなかった。The London press も BBC も沈黙していた。近年、フィッシング詐欺は実に巧妙となり、良質の報告と見えても hoax(いたずら)である可能性もあり、この Nigel という名前も、広報 (?) の 'Nigel' さんだと気付かなかった。その上 Professor だった。日曜日の朝のミサが終わるまで大学のオフィスに入って投稿することができなかった。サッ カーの試合で土曜日は 1日中閉鎖されていたためである -- 情けないことにグルジアに負けた。再度 London Sunday 紙をチェックしたが、沈黙されたままだったため、用心しながら報告を投稿した。この間、確定情報を持っていそうな、イングランド南部の多くの 人々と連絡を取っていた。このようなミスを 2度としないとは言えないが、なるべくしないよう気をつけたい]
関連項目 
Anthrax, human - UK: pneumonic, RFI 20081026.3387

● 東部ウマ脳炎 米国
PRO/AH/EDR> Eastern equine encephalitis, human - USA (08): (Northeast)
Archive Number: 20081028.3400
 情報源:The Boston Globe 、2008年10月27日
マサチューセッツ Massachusetts 州の 73才の老人が、東部ウマ脳炎 eastern equine encephalitis [EEE] に感染した。Bay State の住民がこの致死率の高い蚊族媒介性疾患に感染するのは 2年ぶりのことであることを、27日に当局が明らかにした。Essex County のこの男性は、21日にメーン Maine 州での余暇を過ごす間に発病した。発病までの 2週間、メーンとニューハンプシャー New Hampshire 州への大旅行で、野外活動を行った。どこでこのウイルス性疾患に曝露したかを決定することは困難だが、同州当局は州外で感染した可能性が高いと見ている。メーン州で数週間入院した後、男性はマサチューセッツ州の病院に搬送されたが、予後について予断は許されない状態のままである。
EEE は蚊族媒介性疾患の中で最も致死性が高く、発症した患者の最大半数が死亡する。2004-2006年にかけて、マサチューセッツ州の住民 13人がこのウイルスに感染し、6人が死亡している。秋になり涼しくなるにつれ、EEE や West Nile viruses などの蚊族媒介性疾患のリスクはかなり軽減される。しかし、初霜が降りるまでは蚊族の刺咬対策・夕方や明け方の野外活動の制限を控えるよう、専門家らは呼びかけている。このような時間に野外で活動しなければならない場合には、長袖シャツと長ズボンに靴下をはくことで防護できる可能性がある。...忌避剤DEETの使用、水回りの整備など... 
[Mod.TY-(本文中の用語について)昆虫学的に言えば、 mosquitoes(蚊族)は "bugs(昆虫)"ではなく、diptera(双翅目)である。1964-2007年の間に Massachusetts では35人の EEE 患者が確認されている。一方、旅行先の New Hampshire and Maine はそれぞれ 11人および 0人である(CDCによる)。ただし Maine 州では 9月にウマの EEE感染が発生した。New Hampshire では 8月に患者が発生した(20070821.2728)。いずれの州においても感染した可能性がある]

● 食品汚染 日本:殺虫剤、シアン化合物
PRO/EDR> Contaminated food - Japan: insecticide, cyanide, recalls
Archive Number: 20081028.3399
[1] Insecticide in noodles 日本製めん類回収 
 情報源: USA Today, Associated Press (AP) report、2008年10月24日
インスタント麺類の Cup Noodle を製造する Nissin Food Products, Co. は、女性がカップ麺を食べ体調を崩し、のちに殺虫剤の混入が確認されたことを受け、24日全国的な回収を行うと発表した。同社社長は、自社工場内で汚染された可能性はないと述べた。23日に藤沢市の女性が地元のスーパーで購入した同社カップヌードルを食べ嘔吐した。検査により、殺虫剤の paradichlorobenzene が混入していることが判明した。スーパーを経営する日本生協は、数種類の日清カップヌードルからこの化学物質が検出されたことを明らかにした
[2] 井戸水からシアン化合物 シアン問題で日本製ソーセージ回収
 情報源: The Malaysian Insider, Associated Press (AP) report 、2008年10月26日
日本の主要食肉メーカーである伊藤ハム Itoham Foods Inc. は、自社工場の1つの水質中にシアン化合物が検出されたことを受け、26日同社製ソーセージとピザ数百万パックの回収を行っている。新聞発表によると、製造に使用されている井戸水から許容量の 3倍のシアン化合物が検出された。

● デング熱 サンマルタン・サバ,ブラジル,インド,パキスタン,台湾,ベトナム
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2008 (46)
Archive Number: 20081028.3398
サンマルタン St. Maarten サバ Saba
[1] 情報源:The Daily Herald、2008年10月25日
10月1-18日の間に 72人のデング Dengue 熱感染が確定されたと、23日に当局が発表した。10月末までに 100人を超えると見られている。10月にすでに 2人がデング熱により死亡しており、1人は DHF、もう1人は DSS によるものであった。
[Mod.TY-本報告は the Dutch side of St. Maarten/St. Martin Island(オランダ領)からの報告である。the Daily Herald によると、2名の DHFが疑われる患者がいる] 
地図 St. Maarten/St. Martin in the Caribbean
[2] 情報源:Institut de Veille Sanitaire, Point Epidemiologique no. 25 [in French]、2008年10月17日
10月第1週になっても続いているデング熱患者の急増により、今週だけで 230人の患者が確認された。10月第2週には減少傾向が見られた(150 例)。検査で確定された患者は島全体に拡がり、9月に合計 8人が入院した(37% が重症型)。10月の入院患者はない。9月、DEN-2 [virus] serotype が確認されたが、別のタイプも確認されている (5 DEN-2 and 3 DEN-1)。 
[Mod.TY-the French-administered side of the island(仏領)からの報告である。重症型デング熱が 37%との報告は高率だが、WHO の診断基準が使用されていないか、あるいはかなりの過少報告となっているかであろう]
[3] Saba
 情報源:St. Maarten Island Time, The Daily Herald report 、2008年10月7日
島内の医師によると、Saba において9人のデング熱患者が確認されており、流行が続いており、さらに患者は増えると見られている。the French side of St. Maarten でまずスクリーニング検査を行い、続いてキュラソー Curacao の診断センターで詳しい検査が行われている。これまでに20人が検査を受 けた。このうち 9人の検査が陽性となった。いずれも出血型ではなく、入院したのは 2人のみである。入院患者 2名のうち、1人は Saba から出たことはない。もう1人は、家族 3人も同様の訴えがあり、後にデング熱と確定診断され、いずれも Orient Beach にいたことがある。医師らは Saba のデング熱は St. Maarten 由来であり、感染した患者が Saba に持ち込んだものと考えられている。現地当局者は 1971年以来 Saba におけるデング熱患者の報 告は 1例のみであったことから、異常事態と捉えている。... [Mod.TY-St. Martin から持ち込まれたと考えられる、Saba Island のデング熱発生は、ウイルスの感染伝播を許す個体数のベクター蚊族が存在すれば、ヒトによって容易に新たな場所にウイルスが持ち込まれることを示した] 
地図 Saba はthe Netherlands Antilles(オランダ領アンティル諸島)の最小の島である (Puerto Rico の東、St. Maarten の南45km)。そのほとんどを休火山の Mount Scenery (888 m オランダ領内最高点) が占める。Saba の面積は 5平方km。the 2001 Netherlands Antilles census(調査)によると、人口 1349人で1平方 kmあたりの人口は 104人となる。2004年の人口は 1424人とされている
ブラジル
 情報源:Diario do Nordeste [in Portuguese]、2008年10月16日
2008年の中で最近数ヶ月はデング熱患者数が減少傾向にあるものの、セアラ Ceara 州では新たに、デング熱の合併症による死者 4人が発生した。 Fortaleza で2人、Aracati および Miraima 各1人であった。2008年のデング熱合併症による死者は 12人となった。10月12- 18日の週に、州内では 24人のデング熱患者が報告された。9月に確定診断されたのは 3例のみであった。いずれも州内での発生である。10月にはすでに 1 例が確定診断されている。
地図 Ceara 
インド
 情報源:The Indian Express 、2008年10月23日
Mohali で恐ろしいデング熱による被害が発生している。Phase I の住民である 30代前半の女性が、血小板の激減により 21日死亡した。この女性には 14日から急性の発熱が見られ、当初は Phase VI の開業医からの処方を受けていたが、その後チャンディガール Chandigarh の PGI、Fortis Hospital に搬送されたと市長は説明した。しかし、病院側は患者が搬送されたのは 21日であり、入院の 8時間後に死亡したと主張している。Mohali でデン グ熱による死者が発生したのは公式には初めてのことだが、約 2週間前に PGI でデング熱感染の疑われる女性が死亡している。Mohali で報告されている確定されたデング熱患者は138人である。 
地図 Punjab state in India, and Mohali district in Punjab 
パキスタン(カラチ) 
 情報源:The News、2008年10月21日
20日、カラチ Karachi 市内の複数の地区から、およそ 17人の新たなデング熱感染の疑われる患者が報告されている。衛生当局者が明らかにした。 Abbasi Shaheed Hospital などに搬送された。2008年のこれまでにデング熱感染が疑われた患者の数は 953人で、このうち 324人は検査陽性であった。 
地図 Pakistan:Karachi on the coast of the Arabian Sea
台湾
 情報源:Sohu.com [in Chinese]、2008年10月21日
台湾の疾病管理局が 21日、高雄 Kaohsiung County および City において,過去 3週間に合計 33人がデング熱に感染し患者数が増加している事態について注意を呼びかけた。感染流行区域が拡大していることから、異なる型のデング熱ウイルスの重感染のリスクがあり、重症型となる恐れがある。報道によると、秋になっても高雄郡の各地でデング 熱感染流行の勢いが増している。台湾での国内感染は 146人に達し、高雄郡では合計 30人が感染している。初めて高雄市と郡内で感染流行が発生し、台湾当局は他の地域への拡大を懸念している。 
地図 Taiwan
ベトナム
 情報源:Thanh Nien News 、2008年10月25日
2007年デング熱患者数が増加し、当局によると現在さらに多くの合併症が発生している。Ho Chi Minh City [HCMC ホーチミン市] では、2008年に急増し 1万人以上の患者と死者 5人が報告されている。現在 320地区のうち 242地区から流行が報告されている。熱帯病病院長は、 9月に成人 1000人と小児 532人がデング熱により入院したと述べた。2007年比で 300%増であった。10月にはさらに 1164人の患者が入院した(2007年10月は 716人)。
[Mod.YMA-ベトナムにおけるデング熱感染流行は現在も継続している。2008年の全国の患者数は 56100人以上で、死者 52人である。中央部 Nghe An province では 687人が報告されている (20081014.3250)。最近、中国雲南省で68人の患者の報告があり、その多くは輸入例であった (20081016.3274)] 
[Mod.MPP-上記記事は非常に興味深い。2008年9月の HCMC の患者数が減少し、成人 1000人と小児 532人であったとされている点であ る。印刷ミスでなければ、通常小児を中心に患者が発生するベトナムで、全く異なる状況である。以前にベトナムにおける成人感染例の増加が見られるとのコメントがあったが、今回の 9月中に報告された小児の 2倍もの成人患者が出たとの不均衡が原因と考えてもよいだろう: HCMC から何年も姿を消していた型のデングウイルスが発生したか、あるいは初めて登場する型であった: あるいは、全ての患者がデング熱ウイルスによるものではなく、チクングニアウイルスなど他のウイルスによるものが含まれている可能性もある。2008年、チクングニアウイルスは東南アジアを席巻し、マレーシア、シンガポール、そしてタイにおいて患者が確認されている。また記事では、小児のデング出血熱やデングショック熱などの重症例の割合が増加したとのコメントも興味深い]
地図 Viet Nam with provinces 




● ブルータング オランダ(2件)
PRO/AH/EDR> Bluetongue - Europe (67): Netherlands, OIE
Archive Number: 20081028.3411
 情報源:OIE WAHID (World Animal Health Information Database) Disease Information 2008; 21(44) 、2008年10月28日
感染開始時期 2008年9月10日、New strain of a listed disease 
原因ウイルス  Bluetongue virus Serotype 6 
新たな感染流行 
発生地 Oldenzaal, OVERIJSSEL 
感染種 ウシ、52頭中1頭 ほか
発生地 Heeten, Luttenberg, OVERIJSSEL Barchem, GELDERLAND 

PRO/AH/EDR> Bluetongue - Europe (66): Netherlands, BTV-6 vaccine strain susp
Archive Number: 20081028.3410
 情報源:Dutch Ministry of Agriculture web-site, Press release [trans. from Dutch]、2008年10月28日
ブルータング-オランダ: BTV-6 ワクチン株疑い
英国の The EU reference laboratory は、オランダの 4頭の動物で確認されたブルータングウイルスが、南アフリカ製ワクチンのウイルス株と一致していることを確認した。

● 鳥インフルエンザ、家きんか渡り鳥か
PRO/AH> Avian influenza, poultry vs migratory birds (09): northern pintails
Archive Number: 20081028.3406
[1] 渡り鳥の鳥インフルエンザの大陸間移動の遺伝学的証拠:the northern pintail (_Anas acuta_) 
 情報源: Molecular Ecology、2008年10月24日
[参考文献: Genetic evidence of intercontinental movement of avian influenza in a migratory bird: the northern pintail (_Anas acuta_). Molecular Ecology, 17(21): 4754-4762] 
要約
H5N1型高病原性鳥インフルエンザの移動における渡り鳥の役割は、未だに議論の種となっている。低病原性鳥インフルエンザウイルスの大陸間移動に関する仮説の検証は、渡りによってアジア起源の HPAI ウイルス株が北米に持ち込まれた可能性の評価に寄与する。以前の北米の LPAI 遺伝学的多様性評価では、アジア株の再集合イベントはほとんど見られなかった。今回アラスカにおいて、北米とアジアの間で渡りを行う northern pintail (_Anas acuta_) から採取された LPAI 分離株の全遺伝子配列解析の結果を示す。系統解析から、アジアと北米の LPAI 株の遺伝学的多様性が確認されているが、大陸間のウイルスの交換(往来)が以前指摘されているよりずっと頻繁であることが判明した。アラスカでの 38分離株のうち、およそ半数 (44.7%) で、少なくとも遺伝子の 1分節以上が、北米の LPAI ウイルス株ではなく、よりアジア株に近縁であった。さらに GenBank の複数の Asian LPAI 株の遺伝子配列は、他のアジア由来のウイルス株よりも、北米の northern pintail の分離株に近い一団が存在した。これらの結果は、インフルエンザウイルスの大陸間移動における野鳥の果たす役割を支持するものであり、北米の他の地域よりアラスカにおいて、より移動の割合が高いことが示された。 
[2] 渡りのカモがアジアからアラスカに鳥インフルエンザを運んだ
 情報源: Environmental News Service (ENS) 、2008年10月27日
[1] の紹介記事

● ポテトの病気,Brown rot-アイルランド
PRO/PL> Brown rot, potato - Ireland
Archive Number: 20081028.3401
 情報源:IrishFarming 、2008年10月26日
農漁食品局の調査により、2カ所のポテト業者の敷地内の水質検査で brown rot が検出された。 
[Mod.DHA-Brown rot (also called bacterial wilt) は、_Ralstonia solanacearum_ race 3 を原因とし、温帯地域に広く分布する]









● 炭疽 英国
 PRO/AH/EDR> Anthrax, human - UK: pneumonic, RFI
Archive Number: 20081026.3387
情報源 UK Health Protection Agency News Release 2008年10月25日
健康保護局 The Health Protection Agency は,弧発性の吸入炭疽感染例 an isolated case of inhalation anthrax に対応している。現在,ロンドンの病院 a London hospital の集中治療室において治療中である。今回の症例は,肺内に芽胞 the spores が吸入されたときに起きる inhalation anthrax で,極めてまれな型でヒトからヒトに感染することはない。
Chief Advisor at the Health Protection Agency によると:
 "この患者は,動物の皮ドラムを作成・演奏し生計を立てていた。ドラムを作成した際に,輸入された動物の皮 imported animal hides についていた炭疽芽胞を吸入した。これらのドラムの演奏者の感染リスクは非常に低い。感染リスクがあるのは,ドラム作成時に獣毛を除去する過程である"
"輸入された動物の皮からドラムを作成する人はこのリスクと炭疽の症状を知っておくことが重要である。皮膚炭疽 Skin (cutaneous) anthrax では,炎症性のできもの an inflamed pimple が,中央部が黒色の潰瘍に変化し広範囲に腫脹する。通常,早期の抗生物質治療によく反応する。吸入炭疽はインフルエンザ様症状で発症し,その後重症の呼吸困難と敗血症 blood poisoning をきたす" 
Notes to Editors:
英国および各国で近年 African drumming の人気が高まっているが,このことに関連する炭疽感染例が報告されたことはない。ハイチ Haiti で購入されたヤギ皮のボンゴ a goat hide bongo drum が関係する皮膚炭疽 A single case of cutaneous (skin) anthrax が 1974年に 1件だけ報告され: this is the only such case ever reported,吸入炭疽の報告 A case of inhalation anthrax は 2006年に America [米国? 南北アメリカ?] の男性で確認されている。西アフリカから持ち込まれた dried (but otherwise untreated) animal hides を使用してドラムを作成していた。スコットランド Scotland でも 2006年8月に,輸入された動物の皮からドラムを作成した男性の感染例が発生している。
Anthrax infections associated with the handling of untanned animal hides are now extremely rare in the UK. Imported animal hides from countries where anthrax is endemic in animals (for example, in Africa and Asia) pose a higher risk for exposure than domestic (UK origin) hides.
[Mod.MHJ- We have collectively been trying to get confirmation of this event from the UK London papers and the BBC News websites and have seen nothing, which is passing strange for such a normally high profile event and the apparent source for this report. If any member has information pro or con on this event, would they please inform us ?]
参考項目 2007
Anthrax, human - UK (02): (Scotland) 20071028.3505

● 腸チフス カナダ インドから
PRO/EDR> Typhoid fever update 2008 (06): Canada (BC) ex India, alert
Archive Number: 20081026.3386
 情報源 Canadian Press 10月25日
バンクーバー内 in some areas of Metro Vancouver の腸チフス感染 cases of typhoid fever が,2007年以降約 50% 増加したと,保健当局 The Fraser Health Authority and the BC Centre for Disease Control が明らかにした。
この地域の患者の 80% 以上が,インド India, mostly to the Punjab への渡航に関連しており,蔓延する地域を訪れる前にワクチンを接種するよう呼びかけている。複数回の接種が必要なワクチンもあるので,数ヶ月前から準備する必要がある。
腸チフス Typhoid が多く見られる地域としてほかに,アフガニスタン Afghanistan, バングラデシュ Bangladesh, ブータン Bhutan, ネパール Nepal, パキスタン Pakistan and スリランカ Sri Lanka がある ... 

● ペスト マダガスカル
PRO/AH/EDR> Plague, pneumonic - Madagascar: (Toamasina)
Archive Number: 20081026.3383
 情報源 L'Express de Madagascar (Antananarivo) [in French] 10月23日
Morarano village, 40 km east of Moramanga, has been hit by the plague; 3 persons of the same family have died in recent days and 4 people died one by one of plague in Ambohidray station, a rural commune of Morarano in the district of Moramanga, according to the declaration of death made to basic health center (CSB) Level II, Morarano ... 

● 伝染性出血性疾患,シカ 米国 疑い
PRO/AH/EDR> Epizootic hemorrhagic disease, cervids - USA (04): (AR) susp. RFI
Archive Number: 20081026.3384
 情報源 Buckmasters 10月25日
Hunters and landowners in Lawrence and Sharp counties have reported some deer and livestock dying from a possible outbreak of hemorrhagic disease [should read: epizootic hemorrhagic disease (EHD) - Mod.AS].