2009年5月1日-2日

インフルエンザA(H1N1) origin 

● インフルエンザA(H1N1)(5件)
(PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) - worldwide (03)
Archive Number: 20090501.1646
[1] More on origin Interview with Ruben Donis
 情報源: Science Insider, American Association for the Advancement of Science(AAAS)、2009年4月29日 
2009 年4月28日に行われた the US Centers for Disease Control and Prevention [CDC] の分子ウイルス学ワクチン部門の責任者へのインタビュー内容; 
The 1st infected human は、メキシコはおろか北米内でもない可能性がある。数ヶ月に渡って採取されたメキシコの検体から、3月後半には豚インフルエンザが爆発的に発生していたことが判明しており、メキシコ国内で急速に感染が拡大したのではなく、気づかれないまま長期間存在していたことが示唆されている。 同氏はこの謎を解く手がかりとなるウイルスの遺伝子について詳細に話している。それは表面タンパクの hemagglutinin (H) および neuraminidase (N)、核を取り囲む matrix(間質)、核タンパク自体で、それに PA, PB1, and PB2 という 3種類のポリメラーゼ酵素をコードする 8つの遺伝子のうちのいくつかの遺伝子についても語られている。米国で感染循環し、基本的に養豚業が行われている中西部の州だけで確認されている自然治癒傾向のウイルスに、極めて類似していると理解されている。詳細に記録された、ヒトから他のヒト への感染拡大が 1例のみ存在する。(豚インフルエンザの)ヒトの間での感染が継続することは一般的ではない。
公衆衛生上最も興味が持たれる  Hemagglutinin, neuraminidase, and matrix の 3種類の遺伝子については、塩基配列の解析が完了している。The hemagglutinin [H] については、これまで知られているウイルスの中で最も近いものと、およそ 94%の相同性が認められている米国の豚インフルエンザウイルスと、ユーラシアのウイルスの、ちょうど equidistant(中間)に位置するneuraminidase の遺伝子はアジアに近縁関係のウイルスが存在し、それも豚インフルエンザウイルスである。matrix の遺伝子も neuraminidase と同じであった。鳥インフルエンザとヒトインフルエンザ遺伝子については、10年前の 1998年にまで遡る必要がある。 初めての発見後、Nebraska や Memphis でも見つかっている。ブタの間でかつてない流行が発生しているのは H3亜型ウイルスの 1種であった。健康なブタでは、重症化することはなかった。この H3亜型ウイルスに誰もが興味をもった。1918年以降、通常のブタのインフルエンザは H1N1だけだった。その後、突然に米国中西部のブタで H3N2が見つかった。このウイルスの内部を解析したところ、3種類の異なる成分があることが明らかになった。The PB1 gene はヒトインフルエンザウイルスのもので、H3 と N2 も human であった。The PA と PB2 の 2種類の polymerase genes は鳥インフルエンザウイルスのものであり、残りの部分は典型的な North American swine viruses であった。いわゆる triple reassortants と呼ばれるウイルス株であった。これらは 1970年代に始まったブタの詳細な分子学的サーベイランスの結果である。それ程優位ではなかったこれらのウイルス株が、1930年代から'70年代の間に存在していたとしても、われわれは気づかなかったに違いない。この triple reassortant ウイルスは非常に繁栄し、優位となり、古典的 H1N1ウイルスを排除するほどまでになっている。H3亜型は subtype が異なるウイルスであり、ブタには免疫が備わっていなかった。おそらく、新しいポリメラーゼ遺伝子を有していたと考えられる。The neuraminidase と the matrix は北米では新顔であった。インフルエンザウイルスを遺伝子のチームに例えるなら、これらはチームの一員ではなかった。チームには8人のプレーヤーがいて、アジアから新たに 2人のプレーヤーが加わったことになる。これらの中西部のウイルスがアジアに輸出されている点については、あまり詳しく 議論されなかった。韓国はじめ多くの国々が、米国から(ブタを)輸入している。豚インフルエンザは多くの国々でチェックが行われておらず、経済的にそれほど大きな問題になっていない。[欧州の系統の関与などに関する] 質問に対する答えは持っていない。アジアと欧州の遺伝学的系統はかなり込み入っている。[メキシコでこのウイルスが発生したことに関する疑問は解決されていないが] メキシコで mixing が起こったのでは、恐らくないと思う。 驚いたことに、このウイルスで見つかっている hemagglutinins は、どこかで発生していた lonely branch(孤立した枝)であり、これまで知られていないものであった。neuraminidase に関しては、6%以上の相違が見つかっている。これによって複数の異なるアミノ酸が生成される。1つのアミノ酸の変化によりレセプターの特異性が変化することもある。これほど多くのアミノ酸の変化があれば、どれが原因かは分からない。従来からのアプローチの1つとして、別々のチームの集合を容認する viral modules(要素)を利用して、感染伝播しない,例えば北米のあるウイルスから reassortants を作成し、感染伝播するウイルスと 1遺伝子を交換するという方法がある。もし hemagglutinin によるものと仮説を立てたならば、旧来のウイルスから、遺伝子の背景に配置する。動物モデル、通常フェレットが必要となる。 メキシコや北米の現在の感染流行のウイルス株は、極めて (very,very) 相同性が高い多くの遺伝子が identical(同一性がある)。解析した 8−9体のウイルスは、全く同じ(nothing different)だった。メキシコから受け取った 300検体は、2009年2月、3月、4月の全てをカバーしている。3月までは インフルエンザAウイルスは A/H1から A/H3で、さもなければ Bだった。しかし、3月の終わり頃には豚インフルエンザが 2−3件発生している。そして 4月、skyrocket(ロケット花火)となった。検体のほとんどを占める the DF [Mexico City] areas の全ての患者は、非常に効率よく感染伝播している。インフルエンザは冬期にピークを迎える季節性の病気である。恐らく米国のインフルエンザシーズンの終了と共に、豚インフルエンザも終わるだろう。 
[2] NYC school outbreak Swine-origin influenza A (H1N1) virus infection in a school - New York City, April 2009 
 情報源: CDC. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2009; 58 (dispatch): 1-3 、2009年4月30日
学校でのブタ由来インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染症−ニューヨーク市、2009年4月 MMWR Vol. 58 No. 17(2009年5月8日号) 
5月8日号の全文和訳 感染症情報センター  
抜粋: 2009 年4月24日、CDC はテキサスとカリフォルニア州におけるブタ由来インフルエンザ A(H1N1)ウイルス (Swine-origin influenza virus, S-OIV) 感染確定例を 8例報告した。アメリカ合衆国の患者から分離された株は、ひきつづきメキシコの患者から分離された株と遺伝子学的に同じであるこ とが CDC により確認されている。... 以下、疫学的および検査室調査(ニューヨーク市内の高校で、2日間に 222名の学生が体調不良を訴えて保健室を 訪れ、... 市保健局によって 24日に集められた 9つの検体のうち 7つが S-OIV陽性と CDCにより確認された)、強化サーベイランス ... 
[3] Outbreak history Outbreak of swine-origin influenza A (H1N1) virus infection - Mexico, March-April 2009
 情報源:CDC. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2009; 58 (dispatch): 1-3 、2009年4月30日
[4] WHO - update 7 Influenza A (H1N1) - WHO update 7 
 情報源: WHO Epidemic and Pandemic Alert and Response (EPR) Disease Outbreak News、感染症情報センター(和訳) 
状況は急速に進展し続けている。2009年5月1日6時00分世界標準時(訳注:日本時間 5月1日午後3時00分)現在、11カ国が合計 331例のインフ ルエンザ A(H1N1)感染を公式に報告している。アメリカ合衆国政府は 109例の検査確定されたヒト症例を報告しており、1名の死亡者がいる。メキシコ 政府は 9例の死亡例を含む 156例の確定ヒト症例を報告している。以下の国が検査確定された症例を報告しているが、死亡者はいない:オーストリア(1 例)、カナダ(34例)、ドイツ(3例)、イスラエル(2例)、オランダ(1例)、ニュージーランド(3例)、スペイン(13例)、スイス(1例)、英国 (8例)。 状況に関するさらなる情報は WHO のウェブサイトで定期的に閲覧可能になる。WHOは通常の旅行の制限や国境の閉鎖をなんら勧告してい ない。体調の悪い人は国際渡航を延期し、国際渡航ののちに症状を呈している人は医療機関を受診することを、国の当局の指針に沿って行うことが賢明であろう。十分に調理された豚肉や豚の加工製品を消費することで、このウイルスに感染するリスクもない。個々の人々は、定期的に石鹸と水でしっかり手を洗うこと が勧められ、インフルエンザ様疾患の症状を呈した際には医療機関を受診するべきである。

PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) - worldwide (06): case counts
Archive Number: 20090502.1654
[1] WHO - global update
 情報源: WHO Epidemic and Pandemic Alert and Response (EPR) 、2009年5月1日、2日
[2] CDC - USA update 
 情報源:CDC H1N1 flu website、2009年5月2日
[3] Mexico - MOH update
 情報源:Secretaria de Salud website (MOH)[Trans.]、2009年5月2日
[4] Canada - Health Protection Agency
 情報源: Health Protection Agency、2009年5月2日
[5] Reports of interest from subscribers 
 a. Human to human transmission, Germany 
 投稿者: Oliver Schmetzer、2009年5月2日
 b. ARI deaths Mexico
 投稿者: Cowie, Benjamin、2009年5月1日
 c. Guadalajara personal report
 投稿者: Andy Gardner、2009年5月1日 
[6] USA - New York City community transmission Epidemiologic Updates New York City H1N1 (SO) Outbreak Update 
 情報源:New York City Department of Health、2009年5月2日
[7] News briefs: 2 May 2009 
欧州 Italy - 1st confirmed case 、メキシコへの渡航歴 
アジア India - 2 suspected cases, LondonとMexicoから 
アフリカ Benin - 1 suspected case メキシコへの渡航歴 
     South Africa - 1 suspected case メキシコへの渡航歴 

PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1): animal health (04), infected swine, Canada
Archive Number: 20090502.1653
 情報源:The Canadian Press via globeandmail.com 、2009年5月2日
アルバータ Alberta 州で、複数のブタが H1N1インフルエンザウイルス感染したと、2日当局者が述べた。最近メキシコから帰国しインフルエン ザ様症状を発症していたカナダ人から、ブタはウイルスに曝露した可能性が高いことが the Canadian Food Inspection Agency 当局からの発表で明らかにされた。全てのブタは回復したか、あるいは軽快しつつある。

PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1): animal health (03), Egypt, pig cull
Archive Number: 20090502.1649
[1] Past experience and clarifications of the big cull Egypt's pig cull a 'general health measure' 
 情報源:AFP and Reuters via abc.net.au 、2009年4月30日
エジプト国内では、養豚業者と政府当局との間で少なくとも一度の衝突が発生している。政府当局は、WHOが(エジプト国内の)動物への豚インフルエンザ感染拡大の証拠はないとしたことを受け 25万頭のブタの処分は豚インフルエンザ予防策ではなく、通常の衛生対策だと主張した。WHOが、12カ国に感染が拡 大したインフルエンザに対する警戒レベルを引き上げたことから、”現在フェーズ5の段階にあり、動物ではなく、ヒトの問題となっている”と、衛生省広報担 当者は述べた。当局は、国内の無秩序な養豚飼育の問題を解決する良い機会と述べた。... 
[2] Swine flu on the background of avian flu Back to square one(出発点): on the potential threat posed by swine flu 
 情報源: Al Ahram Weekly On-line, Issue Number 945, 30 Apr - 6 May 2009、2009年5月1日
鳥インフルエンザの患者が増加する中、エジプト政府当局は、2006年2月にエジプトで初めての感染が発生して以来実施されてきた、ウイルス封じ込め策の再検討と、予防策の強化に取り組んでいる。2009年4月28日、議会は 2年間たなざらしにされていた家禽の移動と売買に関する法律を、やっとのことで通過させた。トリの処分は、認可された slaughter houses(屠殺場)に限り許可されることとなった。違反すれば、罰金と実刑が課せられる。

PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) - worldwide (04): case counts
Archive Number: 20090501.1648
[1] WHO - global update Influenza A(H1N1) - update 8.1 -- 1 May 2009
 情報源: WHO Epidemic and Pandemic Alert and Response (EPR)、2009年4月30日、5月1日。 感染症情報センター(和訳)  
状 況は急速に進展し続けている。2009年5月1日23時30分世界標準時(訳注:日本時間 5月2日午前8時30分)現在、13カ国が合計367例のイン フルエンザA(H1N1)感染を公式に報告している。アメリカ合衆国政府は141例の検査確定されたヒト症例を報告しており、1名の死亡者がいる。メキシ コ政府は、9例の死亡例を含む156例の確定ヒト症例を報告している。以下の国が検査確定された症例を報告しているが、死亡者はいない:オーストリア(1 例)、カナダ(34例)、中国香港特別行政区(1例)、デンマーク(1例)、ドイツ(4例)、イスラエル(2例)、オランダ(1例)、ニュージーランド (4例)、スペイン(13例)、スイス(1例)、英国(8例)。 
[2] PAHO - America's region
[3] CDC - USA update
[4] Mexico - MOH update
[5] Canada - Health Protection Agency
[6] News briefs: 1 May 2009 

● ブルータング フランス
PRO/AH/EDR> Bluetongue - Europe: France, BTV-1, alpaca
Archive Number: 20090502.1652
 情報源:Press release, French Ministry of Agriculture and Fisheries [trans.]、2009年4月30日
2009 年4月30日、フランス農業省は 2009年初の the bluetongue virus - serotype 1 (BTV-1) 感染流行の発生を公表した。Lavigney (the Department of Haute-Saone)の1か所の農場内の、アルパカ alpaca の繁殖施設で発生した。ワクチン接種を受けている動物に限り、域外への移動が許可され る。全てのウシおよびヒツジのワクチン接種が速やかな完了が唯一の対策と、農業相が述べた。

● ボツリヌス症 米国、ウマ
PRO/AH/EDR> Botulism, equine - USA: (WY)
Archive Number: 20090502.1651
 情報源:Star Tribune 、2009年4月30日
Metro Animal Control 当局は 2009年4月、カスパー Casper(ワイオミング Wyoming 州)西部で発生した 10頭のウマの突然死の調査を行っている。当局は同月11日に、所有者所属の獣医から死亡に関する報告を受けた。... 現在も死因は分かっていない。これらのウマは、セレニウム selenium を含んだ Casper Creek の水を飲んでいた。しかし、ほかの動物も同じ水を飲んでいるが問題はなかった。現在、剖検の結果を待っているところであるが、暫定的に死因はボツリヌス菌によるものと推定されている。

● ウマ脳症 イスラエル
PRO/AH/EDR> Equine encephalosis - Israel (02): OIE
Archive Number: 20090501.1645
 情報源:OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2009; 22(18)、2009年5月1日
感染開始時期 2008年10月1日 
immediate notification (final report) 
Date event resolved: 1 Dec 2008 
原因ウイルス equine encephalosis virus 
新たな感染流行 計42件

● ダイズの病気,Leaf rust ブラジル
PRO/PL> Leaf rust, soybean - Brazil: new strains
Archive Number: 20090501.1644
 情報源:AgWeb、2009年4月28日
Mato Grosso [MT マットグロッソ] 州ではダイズの収穫が100%完了し、昨年に比べ 9%以上多い、rust の集中発生個所が報告された。ブラジルでは全国で 2810か所で Asian rust が報告されている。昨年より 34%の増加である。
[Mod.DHA− Leaf rust (also called soybean rust, Asian rust) は、真菌の_Phakopsora pachyrhizi_ を原因とする]

● リンゴの病気,Fireblight ドイツ
PRO/PL> Fireblight, pome fruit - Germany: (BW) alert
Archive Number: 20090501.1643
 情報源:Proplanta [in German]、2009年4月29日
Lake Konstanz は、Baden-Wuerttemberg [BW] 最大の pome fruit 栽培地域であり、リンゴの樹が花を咲かせている。気候次第で 2008年に大きな感染流行のあった fireblight による被害がふたたび発生するリスクがあると、当局者は説明した。.
[Mod.DHA− Fireblightは細菌の _Erwinia amylovora_ を原因とし、世界中の pome fruit trees に最も大きな被害をもたらせる疾患である]