2009年5月17日-18日

Murray Valley encephalitis オーストラリア
Deer tick virus encephalitis 米国

● Murray Valley encephalitis オーストラリア
PRO/AH/EDR> Murray Valley encephalitis - Australia (05): (WA)
Archive Number: 20090518.1857
 情報源:WA Today - Perth 、2009年5月18日
2009年の 2例目となる、死亡する可能性のある Murray Valley encephalitis 患者が発生したことを受け、WA's [Western Australia's 西オーストラリア州] への冬の観光客に対し注意を呼びかけている。Port Hedland の男性 1名が、この蚊族が媒介するウイルスに感染し Charles Gairdner Hospital で危険な状態となっている。今年3月には Broome の小児 1名も感染し、今も Princess Margaret Hospital に入院したままであるが、状態は安定している。医療昆虫学の専門家は,当局が南部は Carnarvon まで範囲を広げてこのウイルスの監視対策を継続していると説明した。北部ではこの数ヶ月間あまり雨が降らなかったが、依然として蚊族の発生があり、今後北部地域の住民もしくは旅行者にとって、蚊族刺咬対策はとりわけ重要との説明があった。初期症状として発熱、傾眠、頭痛、項部硬直、吐き気、めまいなどがある。いずれかの症状があればすぐに医療機関を受診すべきである。重症化すると,けいれん、昏睡が起き、後遺症や死亡に至る可能性がある。特異的な治療法はない。乳児、 幼児、北部への旅行者や新たな移住者などは最もこのウイルスに感染しやすい。日没後に屋外に出ない、長袖長ズボンの着用、昆虫忌避剤の使用、蚊帳などが有用である。より軽症の、類縁である Kunjin ウイルスも北部では確認されており、過去3ヶ月間に Ross RiverやBarmah Forest viruses の患者も 130人以上発生している。 
[Mod.CP- Murray Valley encephalitis virus (MVEV) は、北部オーストラリア (Western Australia and the top end of the Northern Territories) に地方病感染を起こしている。自然界で MVEVは、鳥類−蚊族−鳥類のサイクルで増殖し、ヒトは感染蚊族による刺咬により感染する。MVEV の活動性は豪雨や洪水のあと高まる。オーストラリア北部では MVE の散発発生や小集積が数年毎に主に雨期に発生する。
血清学的調査により、感染したヒトのなかで発病するのは 800−1000人に 1人しかいない。発病したヒトのうち 25%が死亡し、ほか 25-50% が神経学的後 遺症を残す。MVEV の一次保有宿主は水禽であり、Ardeiformes (herons アオサギ), 特に the Rufous Night-heron と the Pelicaniformes (cormorants/darters ペリカン) の感染が最も多い。流行時の主要ベクターは_Culex annulirostris_で  _Cx. australicus_ and some _Ochlerotatus_ species などの蚊族もMVEV 生態の他の側面で関与している] 

● Deer tick virus encephalitis 米国
PRO/AH/EDR> Deer tick virus encephalitis, fatal, 2008 - USA (02): (NY)
Archive Number: 20090517.1842
 投稿者:米・Colorado State University、Charles H Calisher, PhD、2009年5月16日
いわゆる "deer tick virus" に関する報告は興味深いが、不正確で誤解を招く情報が含まれている。そもそもは,Powassan virus に近いが別のウイルスで、限定的に deer tick virus と呼ばれていると報告されていた。prototype Powassan virus との抗原性の比較は行われていない。The "provisional(仮)" name がそのまま使われ続けたことはない。著者も後に "the 2 POW [sic. POW=Powassan virus] lineages circulating in North America possess a pattern of genetic diversity suggesting that they comprise distinct subtypes that may perpetuate in separate enzootic cycles," と述べており,genotypic variants of the single virus, Powassan virus であるかもしれないが,the so-called "deer tick virus" と prototype Powassan virus は one and the same であると認めている。
Kuno らが,deer ticks から分離した Powassan viruses の遺伝学的・抗原性の詳細な研究を行い,the original so-called "deer tick virus" および prototype Powassan virus と比較した結果,これらの分離されたウイルスは,simply genotypes and antigenic subtypes of Powassan virus であることが示されている。これらのウイルスに対する 1回の曝露による免疫血清 [?  single-shot immune sera] によっても,ウイルスどうしが非常に近い関係にあることが示されている。実際,the so-called "deer tick virus" が認知される以前にダニ deer ticks から分離した isolates of Powassan virus は,"deer tick virus" と Powassan virus と同じぐらいの違いがあった 
widely different。an antigenic subtype and genotype of Powassan virus に対する間違った命名 misnaming はとても紛らわしく,今回の脳炎患者報告の著者の 1人で the Wadsworth Center, New York State Department of Health に在籍する人物について the ProMED-mail report の中で,"deer tick virus encephalitis is rare, but diagnostic testing is not routinely performed, so there could be cases out there we're actually missing." との発言が引用されている。the Wadsworth Center laboratory において,Powassan virus を含めた its testing panel として,洗練された方法でふだんから検査されているとしても,このような発言は議論のあるウイルス分類を認めたかのような曖昧さを反映したものと解釈されかねない。すなわちこれは,ウイルスの命名ではなく(ダニから)分離されたことに対して命名されたからであって,
"deer tick virus" と正しくない名前で呼ぶことはやめるべきである。
最後に医学的見地から述べると,問題となっているのはウイルスの核酸配列ではなく,表現型である。
関連項目 
Deer tick virus encephalitis, fatal, 2008 - USA: (NY) 20090515.1821

● デング熱
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2009 (20)
Archive Number: 20090518.1868
メキシコ(モレロス州)
 情報源: El Sol de Cuautla [in Spanish]、2009年5月15日 
モレロス Morelos 州南部で 58例の古典的デング熱 Dengue 患者が発生したことから、当局による清掃作業が行われている。デングウイルスのベクターである蚊族に好適な雨期が近づいため、当局の努力が求められている。2009年は今のところ古典的デング熱だけで、DHF が発生しないことを望むと述べた。 
地図 the states in Mexico
ブラジル 
 情報源:MDZ.online [in Spanish]、2009年5月17日
ブラジル政府当局はデング熱との闘いに負け続けている。連日、新たに 2000人以上の患者が報告されている上、インフルエンザ A(H1N1)に注意が向け られていると、17日に報道された。14州以上の州都が警戒域にあり、2009年に入って 100日が経過したが、デング熱患者の雪崩 avalanche が発生し、2万26500人の患者報告があった。近年死者数の増加傾向が見られていたが、ブラジル国内の 2009年1月1日以来のデング熱による死者は 46人である; 2007年の死者は 158人、2008年には 448人の死者が発生した。最も深刻な状況にあるのは北東部バイア Bahia 州で、2009年 の全国の患者の 1/3が集中して発生している。同州の中で Itabuna と Camacari の 2つの都市で最も感染指数が高くなっている。2008年同 期に比べ 300%増となった。
アルゼンチン
 情報源:Chaco dia por dia [in Spanish]、2009年5月18日
北東部 the NEA [northeastern Argentina] 地域の情報室は、流行開始以降 18日までに 1万379人がデング熱に感染したと報告した。15日の州内では 16例の報告があり 2193例が調査中となっている。報告された患者のほとんどが回復しており、さらなる感染伝播の可能性はないとしている。1週間前には 170例の報告が あったが、17日に報告されたのは 30例となったことを、州衛生当局長はインフルエンザ (H1N1)対策会議で明らかにした。
地図 the provinces in Argentina 
マレーシア
 情報源:Malaysian National News Agency (Bernama) 、2009年5月14日
9日までの週内に、デング熱による 5例の死亡が記録され、2009年のデング熱による死者は 48人となった。当局者は、この間に全国的にデング熱感染患者数も増加しており、感染者は870人となったと述べた。2009年のこれまでの累積患者数は 19275人で、前年同期は死者 33人を含む 13891人であったと 14日に説明した。Kedah registering 9, Kelantan 8, Johor 23, Penang 22, Kuala Lumpur and Putrajaya 20, Melaka 3 and Perak 13 の 7つの州が 2009年に患者数が増加したと報告している。Selangor, Kuala Lumpur and Putrajaya and Johor で、感染が激しくなっている。
地図 Malaysia
スリランカ
 情報源:Daily News Sri Lanka 、2009年5月13日
デング熱感染流行拡大により、the Hambantota district においてデング熱が疑われる Tangalle 出身の 8人が死亡した。6人が Tangalle 出身者で、Puhulyaya と Wadigala からの各1人が感染した。4月1日から 5月10日までの間に、同地区で 130例の患者の感染が疑われている。Tangalle, Walasmulla, Beliatta ,Weraketiya の在住者である。 
地図 Sri Lanka
ベトナム(ホーチミン市) 
 情報源:Sai Gon Giai Phong (SGGP) Daily、2009年5月13日
小児 1名を含む 3人の Ho Chi Minh City [HCMC ホーチミン市] 市民がデング熱により死亡した。この数週間にデング熱感染流行が発生し、1週あたり 145人から 165人のデング熱患者が新たに報告されていると、12日に市衛生当局が明らかにした。2009年初以来、HCM 市ではおよそ 4000例の患者が発生しており、前年比では 19%増加した。小児1人を含め、 districts 3, Tan Phu, and Binh Tan 住民 3人が死亡した。市内で患者数最多の 297人が発生した Binh Tan をはじめ、Thu Duc 、District 8, Tan Phu , and District 6 で各 200人以上の患者が報告されている。 
地図 Viet Nam with provinces 
サウジアラビア
 情報源:Maktoob.com 、2009年5月12日
豚インフルエンザが席巻する中、サウジ衛生当局は、3日の週に死亡する可能性のある蚊族媒介性熱帯病で 72人が治療中であることを明らかにした。患者らはジェッダ Jeddah で治療されている。

● インフルエンザ A(H1N1) (4件)
PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) - worldwide (34)
Archive Number: 20090518.1863
[1] Albertan swine virus sequenced(アルバータ州のブタのウイルスの塩基配列解析完了) 
 情報源: Canadian Food Inspection Agency 、2009年5月15日
the Canadian Food Inspection Agency's (CFIA) National Centre for Foreign Animal Disease (NCFAD 国立輸入動物疾患センター) の専門家らにより、アルバータ Alberta 州でブタから分離されたウイルスの全遺伝子塩基配列が解析された。この結果は、世界中のウイルスとその動物への影響の研究に携わる科学者らに有用な貢献となる。... 現在は H1N1ウイルスがブタにどのような影響を与えるかに焦点が絞られている。さらに研究が必要だが、初期の研究結果から、一般的に見られるブタのインフルエンザに感染したときと同じように、感染動物は発病するが自然に回復するのではないかと考えられている。他の動物にも感染するのか CFIA当局は調査を続けている。
[Mod.CP- 今回の解析が完了したことで、2009年の新型インフルエンザ A(H1N1) ウイルスに感染した農場労働者との接触後に Alberta 州の農場のブタで発生した感染流行は、このウイルスが原因であったことが確認された。幸いブタへの感染伝播による、農場内の他のヒトへの伝播はこれまでのところ発生せ ず、ブタの症状も軽い] 
[2] Clarification and comment 
 投稿者:英・Veterinary Laboratories Agency (VLA)、Richard Irvine and Ian Brown、2009年5月18日
20090516.1835 に紹介された論文の要約版および編集版が出版されたことをうけて、以下のような見解を述べたい。 
On 2 occasions(2個所で)、編集版において "new variant of H1N1 virus contains 3 of 8 gene segments (encoding for the neuraminidase and matrix protein genes) that do not appear typical of the genes seen in current North American strains." と述べられているのは、正しくない。オリジナルでは "2 of 8 gene segments"となっている点を明らかにしたい。 
[3] Indiscriminate use of Tamiflu(タミフルの無差別使用) 
 投稿者:シンガポール・National University Hospital、Dr Julian W Tang、2009年5月18日
日本における A(H1N1/2009) 患者の急激な増加において、Tamiflu (oseltamivir) の耐性に対する監視を行うのが賢明な策である。香港の Roche 社の代表の 1人は、日本国内で世界で使用されるタミフルの 70%が消費されていると語っている(鳥インフルエンザや新型H1N1/2009 登場以前から)。もしどこかの国で new A(H1N1/2009) virus に対するタミフル耐性が発生するとすれば、真っ先に日本で発生する可能性が高い。言語の壁によって、この現象が公になるのが遅れるかも知れない。しかし現在多くの国(特に欧州)では、かつて使用が勧められていなかった症例(例えば慢性疾患や免疫不全のない、生来健康な、合併症を起こしていない、季節性イ ンフルエンザウイルスに感染した成人の患者)にも、new A(H1N1/2009) virus の感染伝播拡大を抑える目的でタミフルが使用されている。もしこの状況が続けば、皮肉なことだが日本以外の世界の国々も日本と同程度に、タミフル耐性の発生源となってしまうだろう。このような方針は、もしウイルス感染の拡大を阻止できなかった場合には、さらに致死率が高まる可能性が考えられているパンデミック第 2波が発生し、重症化してタミフルが必要となった患者にタミフルが効かないという、counter-productiveな結果を生むかもしれない。 
[Mod.CP- non-urgent な状況で無節操にタミフルを使用することで、タミフル耐性ウイルスへの進化が加速され るかも知れない ... 幸い、季節性インフルエンザではタミフル耐性が常にもう1つのノイラミニダーゼ阻害薬であるリレンザへの交差耐性を伴っている訳ではない]

PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) - worldwide (35): case counts
Archive Number: 20090518.1867
[1] WHO - global update 
 情報源: WHO Epidemic and Pandemic Alert and Response (EPR)、2009年5月18日
Influenza A(H1N1) - update 32 -- 18 May 2009 
2009年5月15日(18日?)06:00GMT現在までに、34カ国から7520人のinfluenza A(H1N1) 感染が公式に報告されている。 
[2] PAHO - Americas regional update 18:00 GMT-4 
[3] CDC - USA update 
[4] News brief: 18 May 2009

PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) - worldwide (33): case counts
Archive Number: 20090517.1848
 情報源: WHO Epidemic and Pandemic Alert and Response (EPR) 、2009年5月17日
Influenza A(H1N1) - update 31 -- 17 May 2009 
2009年5月17日 06:00 GMT現在までに、39カ国から 8480人の influenza A(H1N1) infection が報告されている。
[2] PAHO - Americas regional update (17:00 GMT-4)
[3] News briefs: 17 May 2009 

PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) - worldwide (31): case counts
Archive Number: 20090517.1845
[1] WHO - global updates (07:00 GMT) 
 情報源:WHO Epidemic and Pandemic Alert and Response (EPR)、2009年5月16日
Influenza A(H1N1) - update 30 -- 16 May 2009 
2009 年5月16日07:00現在までに、36カ国で 8451人のインフルエンザ A(H1N1) 患者が公式に報告されている。メキシコでは 2895人(死者66人)、米国 4714人(4人)、カナダ 496人(1人)、コスタリカ 9人(1人)の感染が報告された。.
[2] PAHO - Americas regional update (17:00 GMT-4)
[3] News brief: 16 May 2009

● レプトスピラ症 マレーシア
PRO/AH/EDR> Leptospirosis, fatal, detention camp - Malaysia: (PG) susp
Archive Number: 20090518.1859
[1] 強制収容所内で発生した26例のレプトスピラ症疑い患者のうち1人が死亡した。 
 情報源: The New Straits Times、2009年5月16日
the Juru detention centre [in Bukit Mertajam, Penang ペナン] のミャンマーからの不法移民が 12日病院でレプトスピラ症 Leptospirosis で死亡した。15日現在 26例の患者が報告されている。このうち 24例は Bukit Mertajam Hospital、2例は Seberang Jaya Hospital [also in Penang] で治療を受けているが、いずれも同センターの停留者である。このミャンマー国籍の21才は 7日の入院後レプトスピラ症が疑われ、集中治療室で治療を受けていたが死亡した。下肢の浮腫、発熱、乏尿、便秘、意識低下 lethargy の症状が認められた。これと同じ症状の患者が 3人いると 12日に報告があり、当局により調査が行われた結果さらに患者が確認され病院に搬送された。収容所の水質検査が行われ、医療チームによる収容者の健康監視も行われている。収容所の消毒作業も行われた。この疾患はネズミの尿を介して感染し、初期調査で収容所から採取された飲料水で、ネズミの尿で確認されたのと同じ菌が見つかったとの情報がある。... レプトスピラ症は、ワイル病 Weil's disease or syndrome, canicola(カニコラ) fever, or Fort Bragg fever とも呼ばれ、ヒトや多くの動物に感染する、まれであるが重症化する細菌感染症である。キズのある皮膚、目、粘膜から、動物の尿に汚染された水が入り、ヒトに感染することが多い。 
[2] 37人が入院していたが、13人が退院となった 
 情報源: Malaysian National News Agency (Bernama)、2009年5月17日
the Juru detention center の 13人の不法移民らが、レプトスピラ症が疑われペナン Penang の病院に入院となっていたが退院した。17日の当局者による発表 で、同センターで治療のため入院しているのは 37人のうちの 13人であると説明された。23人は今も入院中で 1人は集中治療室で重体となっている。別の 病院の集中治療室の 1人の状態は安定している。
[Mod.ML− 多くの種類がある病原性 the spirochete _Leptospira_ のうちの 1種類による、このスピロヘータ性人獣共通疾患は、慢性感染の動物の感染性の尿に汚染された水に曝露したヒトに経皮あるいは粘膜感染する。多くの場合は rats だが、イヌなどのペットも関係することがある。都会では、ゴミや残飯の処理が不適切だとネズミのすみかを与えてしまう。レプトスピラ症の症状は、他の感染症の症状と重なるため、検査による確定診 断が必要である]

● 鳥インフルエンザ、ヒト エジプト
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (90): Egypt (GH), 71st case
Archive Number: 20090518.1855
 情報源:Strengthening Avian Influenza Detection & Response (SAIDR) 、2009年5月17日
2009年5月12日、3才の男児1名が発熱と鼻水を出した。15日に Mahalla Fever Hospital に入院となり、鳥インフルエンザの感染が確認された。家族によると、病気の家禽との接触があった。17日の時点で健康状態は問題なく、同日カイロ Cairo の El Bakry Hospital に転院することになっている。保健人口省は、エジプト国内で 71例目の高病原性鳥インフルエンザ患者と発表した。
地図 Gharbia (no. 10) 

● 肺炎による死亡 ネパール
PRO/EDR> Pneumonia deaths - Nepal: (GO), RFI
Archive Number: 20090517.1846
 情報源:The Himalayan Times via Masta.org 、2009年5月8日
2週間前より、原因不明の疾患により農村部 Gumda VDC でパニックが起きている。当局者らと共に 7日現地入りした保健相は、ウイルス感染後の肺炎により住民 13人が死亡したことを明らかにした。これまでにおよそ 100人の患者が治療を受け、そのほとんどは小児である。 
[Mod.MPP− 先のネパール国内 Rolpa 地区からの、出血症状を伴う原因不明の疾患流行の報告(20090512.1779)を受け、当方に送られてきた新聞記事である。今回報告されたGhorka district (the Western Region of Nepal; Rolpa districtはthe mid-western region of Nepa) の感染流行とは関係ないように見える。"post viral pneumonia" との表現は、ウイルス性肺炎とも二次性の細菌性肺炎ともとれる。詳しい情報提供が望まれる]

● チクングニア タイ
PRO/EDR> Chikungunya (15): Thailand (south)
Archive Number: 20090517.1838
 情報源:UPI.com、2009年5月15日
タイ南部で 1万5000人以上がチクングニア Chikungunya と呼ばれる蚊族が媒介する病気に感染したと、当局が発表した。タイ南部の 15県で 15240人がこのウイル スに感染したと、15日に報道された。患者数が増加しているにもかかわらず、公衆衛生省は封じ込めに自信を示している。
[Mod.TY− タイ南部でチクングニアウイルス感染が拡大する一方で、国境を越えてマレーシア北部へも拡大が続いている (20090515.1820)。感染の半島北上 阻止が望まれる。タイ南部のチクングニアウイルスを伝播する蚊族が、ネッタイシマカなのか、ヒトスジシマカなのか、両方なのかに興味が持たれる]





● 鳥インフルエンザ 中国、野鳥
PRO/AH/EDR> Avian influenza (36): China (QH), wild birds
Archive Number: 20090518.1869
 情報源:Huanqiu.com [trans. ]、2009年5月18日
2009 年5月17日中国農業省が the National Avian Influenza Reference Laboratory により青海省の渡り鳥で鳥インフルエンザ Avian influenza が確認されたことを発表した。Gahai の地域獣医学局が 8日死亡した渡り鳥を発見し、採取された検体の PCR 法による検査の結果、12日に高病原性鳥インフルエンザの陽性所見が確認された。17日 H5N1鳥インフルエンザ感染が確定された。17日現在、121羽の野鳥の死亡が確認されている。この感染流行発生を受け、発生地域全体への立ち入りが禁止され、消毒と庭先で飼育されている家禽の処分が行われた。死亡した 121羽の野鳥全てと 600羽の処分された家禽が processed(焼却処理?)された。青海省の家禽での感染流行は 確認されていない。

● アナプラズマ症 カナダ、ウシ
PRO/AH/EDR> Anaplasmosis, cattle - Canada (02): (MB)
Archive Number: 20090518.1866
 情報源:Canadian Cattlemen Magazine、2009年5月15日
東部 Manitoba 州で 8つのウシの群れが隔離措置を受けている。カナダのanaplasmosis(アナプラズマ症)free の地位が一時的に脅かさ れる可能性があると、14日明らかにされた。農村部の Lac du Bonnet および Alexander 市の the Winnipeg River の西方に位置する地域で飼育されていた。政府当局による定期的なウシの血清学的調査により、合計 305頭のウシの感染例もしくは "reactors(抗体陽性症例)" が、8つの群れの中から見つかった。アナプラズマ症はカナダ国内では家畜の届出疾患となっている赤血球の寄生虫である。家畜や野生の反芻動物に感染するが、発病するのはウシだけである。この病気は、昆虫による刺咬や皮下注射、角切りの道具などを介して、感染赤血球によって伝播される。血液媒介性であり、昆虫を避けることは不可能であることから、皮下注射や角切りの道具を使用するたびにこまめに取り替えたり消毒することが最良の感染予防策である。 感染源は明らかになっていないが、米国から輸入された家畜が感染していた可能性があると述べられている。米国の lower continental(南部のこと?)で地方病感染となっているアナプラズマ症は、米国内では規制対象となっていない。カナダは anaplasmosis-free とされているが、1970年以来となる今回のマニトバ州の症例によりその状況は変化するかも知れないと当局は述べ た。カナダでは 2004年まで、昆虫の発生時期に米国から輸入される生きた家畜に対してアナプラズマ症検査を要求していたが、2004年の新規則によって、"low-risk" とされている米国の 39州からウシに対してカナダへの輸入に検査不要となっていた。 
[Mod.TG- Anaplasmosis, 以前の gall sickness は、赤血球細胞内絶対寄生性で、order Rickettsiales(リケッチア目), family Anaplasmataceae(アナプラズマタス?科), genus _Anaplasma_ (アナプラズマ属)の細菌による反芻動物の病気とされてきた。ウシ、ヒツジ、ヤギ、バッファロー、その他の野生反芻動物が、the erythrocytic _Anaplasma_ に感染する。熱帯および亜熱帯地方(およそ北緯40°から南緯32°の範囲)の世界中でアナプラズマ症は発生していて、中南米、米国、南欧、アフリカ、アジア、オーストラリアが入る。ウシの症状を起こすのは大抵 _A marginale_で ある。ウシは_A centrale_にも感染するが、軽症であることが多い。 _A ovis_ はヒツジ、シカ、ヤギにおいて、軽症から重症までの疾患が発生する。Anaplasmosis は感染性(伝染性)はない。多くの種類のベクター・ダニ(_Boophilus_, _Dermacentor_, _Rhipicephalus_, _Ixodes_, _Hyalomma_, _Ornithodoros_) により _Anaplasma_ spp が伝播される。... 亜急性感染例の動物では、発症から数時間以内に死亡する。急性感染例では急速に状態が悪化する(死亡する)]

● モモの病気,Leaf curl disease パキスタン
PRO/PL> Leaf curl disease, peach - Pakistan: (NW)
Archive Number: 20090518.1860
 情報源:Dawn News、2009年5月14日
Malakand division [North West Frontier Province] の peach に被害が発生する恐れがある。The Pakistan Horticulture(園芸)Development and Export Board (PHD&B) によると、Swat [Valley] の peach crop は最盛期であるが、Swat の政情不安による数週間の外出禁止によって数千トンの果実が廃棄された 2008年より悪い状況に陥いらせている。しかしそれ以前にも、殺虫剤が使えない中降雨による被害が出ており、その中でも Peach leaf curl  は最も大きな被害を発生させている。Swat 周辺の降雨と予想外の低温が原因で発生した。 
[Mod.DHA− Peach leaf curl disease は真菌 _Taphrina deformans_を原因とし、nectarine や cherry にも感染する可能性がある。通常 unsprayed orchards 噴霧消毒されていない果樹に発生する]
 
● 柑橘類の病気,Huanglongbing ベリーズ
PRO/PL> Huanglongbing, citrus - Belize: 1st report
Archive Number: 20090518.1853
 情報源:Caribbean Net News 、2009年5月15日
[Mod.DHA− Huanglongbing (HLB) [citrus greening, yellow dragon disease とも] は、柑橘類に最も大きな被害をもたらせる疾患の 1つで、アジアと南北アメリカのほとんどの国に見られ、 the fastidious phloem(限定された師管)に生息する 細菌の _Candidatus_ Liberibacter asiaticus を原因とする]

● 結核 ネパール、ゾウ
PRO/AH> Tuberculosis, elephants - Nepal
Archive Number: 20090517.1844
 情報源:Republica, Nepal 、2009年5月14日
ネパール国内で 31頭のゾウが結核 Tuberculosis に感染したが、治療されているのはわずかに 19頭のみである。the Chitwan National Park によると、多くの感染ゾウが治療を受けないことにより、さらに多くのゾウが結核に感染する恐れがある。the Department of Wildlife states からの報告によると、国内には 200頭以上のゾウが州当局の保護や私有の形で飼育されている。Sauraha のホテルが保有するゾウは、結核に感染したが資金不足で治療が行われていないという

● BSE カナダ、ウシ
PRO/AH> BSE, bovine - Canada (AB)
Archive Number: 20090517.1841
 情報源:CFIA 、2009年5月15日
The Canadian Food Inspection Agency (CFIA) 当局は、Alberta 州の生後 80ヶ月の乳用牛1頭の  bovine spongiform encephalopathy (BSE 牛海綿状脳症) を確認した。動物の一部が、食品や飼料として流通することはない。