2009年5月28日

マレーバレー脳炎 オーストラリア

● マレーバレー脳炎 オーストラリア
PRO/AH/EDR> Murray Valley encephalitis - Australia (07): (NT)
Archive Number: 20090528.1986
[1] Second man dies from tropical mosquitoborne virus infection 
2009年 2人目の MVEV感染による死者発生
 情報源: The Australian, Australian Associated Press (AAP) report、2009年5月27日
Gold Coast ゴールドコースト在住の男性1名が致死性蚊族媒介性ウイルスの感染により Darwin ダーウィンで死亡した。この 83才の男性は 2009年ダーウィンにおける 2人目のマレーバレー脳炎 the Murray Valley encephalitis (MVE) virus 感染による死亡患者となった。ダーウィン沿岸地方に滞在後、23日に Royal Darwin Hospital (RDH) で死亡したこの男性は 13人の孫の祖父であったと the NT [Northern Territory ノーザンテリトリー] Health Department の広報担当者が述べた。MVE は日没後1−2時間の夜間に刺咬する the common banded mosquito(シマカ)によって伝播される。感染蚊族の刺咬を受けた 1000人あたり 1人が感染し、感染者の 4人に 1人が死亡する。2009年3月 1人のマンゴー栽培者がダーウィンの南 100kmの Batchelor の自宅で MVE に感染し、脳不全で死亡している。この 58才の農夫は 2週間の昏睡状態の後に死亡したが、ウイルスに関する注意喚起を行っていながら,彼の配偶者が男性の生命維持装置をはずすことに同意する日まで(症例について)発表しなかったとして NT 保健当局は各方面からの非難を浴びている。この男性の死亡は the Darwin region においておよそ 10年ぶりの MVE による死亡であった。このウイルスに感染した時の初期症状として発熱、意識障害、頭痛、項部硬直、嘔気、めまいなどが見られる。特に幼児ではふるえやけいれんが見られ、患者の一部では感染によって、せん妄・昏睡から麻痺や脳障害をきたす。2008年、Western Australia 州で男性1名がこのウイルスに感染し死亡した。死亡例はまれであるが、医師らは MVE に対する治療法はないため蚊族の刺咬を防ぐことが大事であると話している。... 
[2] Department defends withholding death details 
 情報源: ABC News (Australian Broadcasting Corporation) Darwin 、2009年5月27日
The Northern Territory Health Department 当局は、蚊族媒介性の Murray Valley encephalitis (MVE) 感染による 2人目死亡患者に関する情報を公開しない決定を堅持している。感染した 4人に1人が死亡するこの疾患に罹患した Gold Coast の 83才の男性が、23日に Royal Darwin Hospital で死亡した。3月中旬の Darwin mango farmer に続く死亡であった。しかし当局は、初めての男性の感染が確認されたときも、同疾患への注意喚起を呼びかけて続けていたにもかかわらず死亡については明らかにしていなかった。この男性の死亡が報道されたのは、家族が報道機関に通報した 27日になってからのことであった。当局は死亡した男性の家族が悲しみが癒えるまで直ちに公表することを控えたと説明したが、患者の未亡人は取材に対しもっと人々が蚊族に注意するようこの疾患について知ってほしいと話している。野党党首はこの病気の怖さを知るためにすぐにでも市民に周知されるべきだったと述べた。 

● クリミア・コンゴ出血熱 トルコ
PRO/AH/EDR> Crimean-Congo hem. fever - Turkey (03)
Archive Number: 20090528.1989
 情報源:Today's Zaman, Press roundup、2009年5月27日
26日、"世界で豚インフルエンザ、トルコではダニ” との見出しが新聞の第1面に掲載された。ニューヨークが豚インフルエンザによる 2人目の死者が発生したことで揺れる中、トルコでは 4日間にダニが運ぶウイルスが原因であるクリミア・コンゴ出血熱 Crimean-Congo hemorrhagic fever (CCHF)により 5人が死亡した。気候が暖かくなるにつれ CCHF がトルコで再び発生している。25日に 2人が死亡し 4日間にトルコで死亡したヒトの数が人となった。2008年夏トルコ国内でおよそ 70人が CCHF で死亡している。
[Mod.CP- 発生地が記載されていないため 20090524.1941 の患者との関係がはっきりしない。気温が上がりベクターダニが増えるため間違いなく患者は増加する] 

● 鳥インフルエンザ、ヒト エジプト WHO
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (96): Egypt, WHO
Archive Number: 20090528.1988
 情報源:World Health Organization (WHO), EPR, Disease Outbreak News、2009年5月28日
エジプト保健省は 2009年5月26日、新たな 2人の鳥インフルエンザ Avian influenza 感染患者を報告した。2人の患者は Sharkia governorate 内の2つの別々の地区の住民である。
1人目は Hehia 地区 Hehia City の 4才の男児で 24日に発病した。
2人目は Abo Hammad 地区の 4才の女児で 23日に発病した。
2人は共にザガジグ Zagazig Fever Hospital に入院し oseltamivir による治療中で状態は安定している。感染源の調査でこの2人には病死した家禽との濃厚な接触があったことが判明している。いずれの患者も the Egyptian Central Public Health Laboratories において 26日に確定診断された。エジプトではこれまでに 76人の患者が確認され、うち 26人が死亡している。 
[Mod.CP- 20090527.1977 の 2例についての WHO による公式確認である] 
地図 the governorates of Egypt showing the location of Sharkiya governorate (at no. 23) 

● インフルエンザ A(H1N1)(2件)
ブタの免疫
PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) - worldwide (50): swine immunity
Archive Number: 20090528.1987
[1] 既感染やワクチンによるブタの抗体は、新型ウイルスを防御しない 
 情報源:USDA, ARS (Agricultural Research Service)、2009年5月26日
2009年4月の H1N1ウイルスの新興後ただちにアイオワ Iowa 州 Ames にある the National Animal Disease Center の ARS の研究者らは、CDC から提供されたウイルス検体を用いた研究を開始した。まず現在の米国の H1N1豚インフルエンザワクチンの,ヒトで感染循環する the 2009 H1N1 influenza virus に対する防御作用の評価を行った。また米国で感染循環し地方病感染する H1N1豚インフルエンザウイルスに,すでに感染したブタが獲得した抗体価 titer が、the 2009 H1N1 influenza virusを防御できるか、についても評価が行われた。古典的な豚インフルエンザウイルス感染は、北米のブタにおいて地方病感染の状態にある。豚インフル エンザウイルスに散発性にヒトが感染する例は、米国やその他の地域からも報告されている。世界中で、過去35年間に50例以上のヒトの豚インフルエンザ感 染例が報告されており、そのほとんどがclassical swine influenza virusによるものであり、生きたブタと接触する職種で最もリスクが高くなっている。専門家らはブタについて、鳥・豚・人のインフルエンザウイルスが再 集合するための"mixing vessel(混合容器)"として働き、現在感染流行中のウイルス同様、ヒトでのパンデミックの原因となる新型インフルエンザウイルス発生に重要な役割を 果たすと考えている。1930年代から 1990年代にかけて、ブタで最も感染循環の多い豚インフルエンザウイルス -- classical swine influenza A, H1N1 -- にはほとんど変化が見られなかった。しかし 1990年代後半までに、多種類の豚インフルエンザウイルス株や、3重再集合豚インフルエンザウイルス -- 鳥インフルエンザ・豚インフルエンザ・人インフルエンザの各ウイルスの遺伝子を含むウイルス-- などが新興し、北米のブタの間で優位となっていった。The 2009 H1N1 influenza virus も3重再集合ウイルスの 1つであるが、米国内のブタで現在感染循環する H1N1ウイルスとは異なる lineage 系統にある。... 以下、背景、現在米国内のブタで確認されているのは H1N1, H1N2, and H3N2 だけであること ... 最近の ARS research results: 2009 H1N1 influenza virus: 既感染もしくは既存の豚インフルエンザワクチン接種後のブタの血清によるの交差反応は限定的で、現在ヒトで感染循環する the new S/O(swine origin) H1N1 influenza virus を防御する可能性が低いことが示唆された
[2] Recent results from studies with the new swine origin H1N1 influenza A virus 
 情報源: USDA, ARS (Agricultural Research Service)、2009年5月26日
[1] で紹介された研究結果の内容(同内容)

世界各国
PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) - worldwide (49): case counts
Archive Number: 20090528.1984
[1] WHO - global update (06:00 GMT) 
 情報源:WHO Epidemic and Pandemic Alert and Response (EPR)、2009年5月27日。
[2] PAHO - Americas regional update (18:00 GMT-4) 
[3] CDC - USA update (11:00 GMT -4) H1N1 flu (swine flu) 
[4] Canada - Public Health Agency of Canada (16:00 GMT -4)
[5] News briefs: Wed 27 May 2009

● 麻疹 ブルガリア
PRO> Measles - Bulgaria (02): (DO)
Archive Number: 20090528.1980
 投稿者:Steve Berger、2009年5月27日
outbreak in Dulovo belies the fact that measles rates in Bulgaria 

● 鳥インフルエンザ モンゴル
PRO/AH/EDR> Avian influenza (39): Mongolia (AR) wild birds
Archive Number: 20090528.1985
 投稿者:Wildlife Conservation Society、Martin Gilbert MRCVS, BVMS、2009年5月27日
re: ProMED-mail Avian influenza (38): Mongolia (AR) wild birds 20090527.1971 
Moderator のコメントでは 2009年5月17日の OIEに対し報告された青海の野生の渡り鳥でおきた感染流行では、鳥類の種が解明されていなかったと述べられている。Chinese Ministry of Agriculture's (MOA) の news agency を通じて投稿された感染流行に関係する種に関する報告を転送する [includes the following information: "As of 16 May 2009, a total number of 121 wild birds have died, including 107 great crested grebe(カイツブリ), 3 bar-headed geese, and 11 brown-headed gulls(カモメ)". - Mod.AS]。
また Arkhangai 県で発生した死亡が HPAI H5N1に関係すると厳密に確かめられたとの証拠(確証)は得られていないと理解している。感染した鳥類から採取された検体で、少なくとも 1件は H5亜型陽性で、詳しい検査を行うため Hokkaido University に送付されている。さらに the moderator's comments に付け加えれば:(感染が確定されれば)2006年に同じように青海での感染流行に続いてモンゴルの野鳥の HPAI 感染流行が発生して以来、実に 3回目の発生となることに注目すべきである。

● 穀類の病気,真菌性疾患 中国、アイルランド
PRO/PL> Fungal diseases, cereal crops - China, Ireland
Archive Number: 20090528.1983
[1] 中国 Powdery mildew & stripe rust, wheat - China (Ningxia Hui Autonomous Region) Pests, diseases strike up to half of NW China wheat crop 
 情報源: Xinhua News Agency 、2009年5月26日
中国北西部・寧夏回族自治区では、小麦収穫量の 30-50%に当たる 187000ha の地域で害虫や病気が発生していると地域農業当局が明らかにした。aphids アブラムシを中心とした害虫と、powdery mildew うどん粉病などの病気が、小麦栽培面積の 87.5%で発生している。
[2] アイルランド Multiple fungi, wheat and barley - Ireland Crop diseases on the rise as heavy rain takes it toll 
 情報源:Independent 、2009年5月26日
穀類に対する懸命の噴霧作業にも関わらず悪天候による被害が発生している。アイルランドの農業当局は注意を呼びかけている。mildew の発生頻度はそれほど増えておらず、冬大麦の主な疾患である Rhyncho も噴霧消毒で予防されている。