2009年5月29日

髄膜炎 米国
インフルエンザ A(H1N1) dynamics Eurosurveillance

● 髄膜炎 米国
PRO/EDR> Meningitis, meningococcal - USA (03): (OH) susp, RFI
Archive Number: 20090529.2000
 情報源:The Columbus Dispatch 、2009年5月27日
Bellefontaine [Ohio オハイオ州] の Mary Rutan Hospital 病院の当局者らは、産科病棟の隔離室の 2人の患者ら --うち 1人はのちに死亡した-- が、どのようにして先週後半に細菌性髄膜炎 Meningitis に感染したか分からないと述べた。しかし感染流行発生の恐れはなく、the Logan County [Ohio] hospital で出産予定の妊婦は心配する必要はないと説明した。病院側はこの女性らが処方された可能性のある全ての薬剤と使用された器材をを回収し、感染源となった可能性について調査することにしている。
この 2人の女性は 21日に出産し、22日に細菌性髄膜炎を発症した。22日午後に Riverside Methodist Hospital in Columbus [Ohio] に転送されたが 1人死亡した。もう1人の女性も危険な状態にある。出生児らは念のため、州都コロンバス Columbus の Nationwide Children's Hospital に転院した。...中略... 
CDC によると米国では毎年約 2600人の細菌性髄膜炎患者が発生する。最も新しいデータによると 2006年には 634人が髄膜炎で死亡した。2008年、オハイオ州では 58例の患者の発生があり、2009年のこれまでに Logan County の 2人以外に 21例が記録されている。人口のおよそ 5-25%は常に同菌を保有していながら無症候性である。これらの人々が感染伝播に重要な役割を果たしている。髄膜炎の予防には 2種類のワクチンがあり、政府当局は若年者、特に大学生に対してワクチンを接種するよう勧めている。この疾 患は乳児に最も多いが、2歳以下での使用が認められているワクチンはない。 
[Mod.ML− 記事の中で特定されていないものの、オハイオ州の 2人の髄膜炎患者の原因は、恐らく髄膜炎菌 Neisseria meningitidis_ によるものと推察される。無症候性で鼻咽頭に同菌を保有するキャリアからの呼吸飛沫によりヒト-ヒト感染することが多い。感染流行時には、(人口の 5-25%より)高い保菌率となる。様々な状況での濃厚・長時間の接触で感染が伝播される。潜伏期間は2−10日間で平均4日間であ るため、分娩後 24時間以内に発症した2人の産科患者らが院内で感染した可能性は低い。出産までの入院状況の詳細は不明だが、コミュニティ(市中)の無症候性の鼻咽頭キャリアから同菌に感染したと考えられる。A, C, Y, and W135 の 4価髄膜炎菌結合ワクチンは 2005年1月に米国で認可された。結合ワクチンは T細胞依存性の免疫反応を誘導し長期の免疫状態を付与し、髄膜炎菌の鼻咽頭での保菌を防止することにより細菌感染を減少させる。2007年10月に FDA は細菌性髄膜炎ワクチンの使用対象年齢を 2−10才の小児にまで拡大した。それ以前は 11−55才に限られていた] 

● インフルエンザ A(H1N1) dynamics
PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) - worldwide (51): dynamics
Archive Number: 20090529.1999
[Mod.CP− 以下の2件の報告は、米国内のある学校での感染伝播効率の評価 [1] と、cluster analysis (クラスター分析) による the 2009 A (H1N1) influenza virus の由来に関する調査 [2] である。The transmission rate estimate (感染伝播効率の評価) は、以前に出されていた評価の下限値となり、Fraser らの発表に沿ったかたちとなった。The cluster analysis (クラスター分析) では、the 2009 pandemic influenza A (H1N1) virus が、ユーラシアと北米のブタで感染循環する複数のインフルエンザ Aウイルス間の、単回もしくは複数回の再集合に由来するとの、系統発生学アプ ローチから導かれた仮説を支持する結果となった]
[1] Transmission rate of influenza A (H1N1) 2009 infection calculated from a school-based outbreak 
 投稿者: 豪・Bev Paterson (MAE),、2009年5月29日
インフルエンザ封じ込め成功の重要な決定因子の 1つとしてその新型インフルエンザウイルス株の transmission rate がある。
Fraser et al は、メキシコでのインフルエンザ A(H1N1) 感染流行における the basic reproduction number (R0 基礎再生産数) が 1.4-1.6 の範囲にあり、R0 は感染伝播性の重要な指標であり構成員すべてが感染の感受性を持つ集団での二次感染者数を表すと述べた。この数字は R0が 2-3 であった the 1918 pandemic と比較すると低値であった。
新型インフルエンザ A(H1N1) ウイルスの感染伝播性をさらに詳細に検討するため、最も大規模な報告のあったインフルエンザ A(H1N1) の集団発生について二次解析を行った。米国の the St Francis Preparatory School outbreak における生徒らからのデータを用いて、学校環境下での the outbreak effective reproduction number (R 実効再生産数) を計算した。R 値は感染流行中にある感染者から発生する二次感染者数の平均値で、R0との比較を行った。
この調査では 2009年4月8日から 28日の間に自己申告された ILI (influenza-like illness  インフルエンザ様疾患-- fever AND either cough or sore throat:発熱 + 咳/または咽頭痛)についてデータを収集した。 Vynncky et al の提唱した方法に従い、感染流行の growth rate (増加率) を用いて R を計算した。Parameter assumptions(パラメーター条件?) は、新型ウイルスの数値が判明していないため文献などで一般的に報告されている季節性インフルエンザの estimates (概算値) に基づいた。
それらの結果は以下のとおり; 感染期間は 3日間、計算上の serial interval は 5日間。
The serial interval とは初発患者の発症日から二次感染患者発生までの期間を指す。感染流行拡大局面で得られた毎日のデータから R は 2.69 (95 per cent, CI 2.20-3.22) と計算された。推定される感染期間が 5日間に延長された結果、R は 3.45 (95 per cent, CI 2.74-4.28) となった。R の The confidence interval [CI 信頼区間] は曲線推計の不確実性を前提とした Monte Carlo simulation から導かれた。Estimates of R (推計値) は、流行の拡大局面や感染流行全体から得られるデータの使用に対して、やや insensitive (鋭敏性を欠く) 結果となった。我々の計算した R は学校という状況に特定されたもので、コミュニティでの感染伝播率はこれより低いと思われる。季節性インフルエンザから推定されているパラメータを用いたことから、今後 the 2009 influenza A H1N1 virus(のパラメータ) での確認が必要である。
今回の解析により Fraser et al らによる今回の H1N1 virus の R0 estimates は、the 1918 pandemic との比較において低値であったとの見解を支持する結果となった。 
参考文献
[2] Cluster analysis Cluster analysis of the origins of the New Zealand A (H1N1) virus 
 情報源: Eurosurveillance edition 2009; 14(21) 、20095月28日
2009年3月および 4月、新たな influenza A (H1N1) virus 株がメキシコと米国で分離されている。初期の報告の後、世界中から 1万例以上の患者が WHO に報告された。数百の分離株の遺伝子塩基配列が解析され公開のデータベースに蓄積されている。我々は新型ウイルス株の遺伝学的解析を行い、cluster analysis approach の手法により最も近縁関係にある株を同定した。この新型ウイルスには、数の豚インフルエンザウイルスに関係する遺伝学情報が混在することが示された。PB2, PB1, PA, HA, NP, and NS のセグメントには、北米で分離された swine H1N2 and H3N2 influenza viruses との関連性が認められた。Segments NA and M では、ユーラシアで分離されている swine influenza viruses との関連性が認められた。 
○ 導入:
インフルエンザAウイルスはセグメントに分かれた遺伝子の一本鎖 RNA ウイルスである。異なるインフルエンザウイルスが同じ細胞に co-infect (共感染) すると、 progeny viruses (子孫のウイルス) には、双方の親ウイルスから受け継がれたセグメントが混在する新型ウイルスが生まれる可能性がある。
初めてのパンデミッ クが報告された 1918年以来、20世紀中にこのほかに 2回のパンデミックが発生した。どのパンデミックにおいてもパンデミックウイルスは,人インフル エンザと鳥インフルエンザに由来する遺伝子のセグメントが新たな形で再集合していた (1-3)。1918年のウイルス株の起源ははっきりとは分かっていないが、いくつかの研究から鳥インフルエンザ由来であったことが示唆されている(4,5)。いつ、どのような場所でパンデミックの再集合が起きるのかは謎である。鳥類のウイルスでは、しばしば異なる亜型subtypes間の再集合が起きている。ブタにおいては頻繁に豚インフルエンザ、人インフルエンザ、鳥インフルエンザの各ウイルスが共感染し、再集合が発生していることが報告されてきた (8-10,3)。
さらにブタの気管にある細胞表面のオリゴ糖受容体では、ほとんどの鳥インフルエンザウイルスに親和性の高い N-acetylneuraminic acid-alpha2,3-galactose (NeuAcalpha2,3Gal) linkage と、人インフルエンザウイルスに親和性の NeuAcalpha2,6Gal linkage の、いずれもが発現している (11)。
共感染はアジア全体の小規模の自営農場におけるブタと家きんの共生が関係しており、またブタの体内にトリ型とヒト型の両レセプターが発現していることが、宿主の種を超えた再集合のほとんどがブタで発生するとの the "mixing vessel (混合容器)" conjecture 仮説が立てられている。最近新型のインフルエンザ A(H1N1)亜型ウイルスがはじめてメキシコで確認され、その後瞬く間に世界 中で報告されている。2009年5月27日現在、92人の死者を含む 12954例の新型インフルエンザ A(H1N1)ウイルス感染患者が WHO に報告され ている。このウイルス株の由来を知るために様々なアプローチがなされている。sequence alignment tools を用いたインフルエンザ Aウイルスの遺伝子を含む公開のデータベースの検討から、8つの各遺伝子セグメントに最も関連性が高いのは過去10年間にブタで感染循環しているウイルスに由来するものであった (16-19)。これらのウイルスは 1以前にヒト、トリ、ブタで確認されたウイルスの遺伝子セグメントが 1990年代後半に混じりあった (combined)、"triple reassortant" swine viruses 由来の遺伝子セグメントを含んでいた (20)。系統発生学的手法からも同様の結論が導き出されている (16,21)。 
○検体と方法:省略、原文参照願います 
○ 結論:
2009年5月27日の時点で入手可能な新型インフルエンザ A(H1N1)ウイルスの塩基配列を比較したところ、数ヶ所の point mutations を除けば、有意の (著しい) 塩基配列のばらつきは認められなかった。このため代表するウイルスとして A/California /04/2009(H1N1) をその後の解析に用いた。系統発生学手法には多くの種類があり、それぞれに computing genetic distances (遺伝学的距離のコンピューター解析)、 probabilities (確率)、その他の点で異なる進化モデルが独自に仮定されている。[このような問題点をもつ] 系統発生学的手法と違い、 cluster methods はそれよりも複雑な構造を持つ tree (系統樹) を検討する必要がない。遺伝子配列のデータを group features (まとまったグループ) として解析するため、詳細な系統発生の構造は分からない。このことが、たとえば遺伝学的距離の選択などの仮説を立てる際に the clustering analysis はより強力な手法となった。監視のない方法によって、由来、宿主、time isolation (?) に関するこれまでに得られた情報に頼らずに、clusters を同定することができる。Figures 2a-2h には、偏差の割合に応じて、第1番目の2つの主構成分に投影したデータが示されている [上記URL参照]。この数字から、すべての患者において新型ウイルスの塩基配列がブタのウイルスとクラスターをなすことが、はっきりと示されている。各セグメントの最も近い関係にあるもの closest matches は、Table1 にまとめられている。 
我々が行った解析結果、the 2009 pandemic influenza A(H1N1) virus はユーラシアと北米のブタで感染循環するインフルエンザ Aウイルス間の 1回あるいは複数回の再集合に由来するとの仮説を支持するものであった。 
参考文献: 21件

● B型肝炎ウイルス インド
PRO/EDR> Hepatitis B virus - India (11): (GJ)
Archive Number: 20090529.2001
 情報源:The Times of India (TNN)、2009年5月29日
92人の死者が出ている B型肝炎 Hepatitis 感染流行は、1994年の Surat での発生したペスト以後、グジャラート Gujarat 州最悪の感染流行となる見込みである。Modasa の死者のほとんどが 15−45才の年齢グループで、Surat のペスト発生時には 52人がペストで死亡した時点で州および中央 政府の2つの調査委員会が立ち上げられた。州政府は未だに死因や感染の拡大の周知を行わず、医師らによる不法行為が感染流行の原因と見て調査している。
州保健当局者による報告では Modasa で確認されている B型肝炎ウイルスは、Mehsana の  2001年の B型肝炎の focal outbreak で報告されたものと発表した。
当局の主張では、ayw subtype の1種が 2009年に致死性に変化した。感染が集中する 3つの talukas(Modasa, Idar, and Meghraj in Sabarkantha district)で死者が発生している。合計 495人の患者が入院した。これまでに Himmatnagar, Bayad, Bhiloda, Prantij, Balasinor, Vijaynagar, and Khedbrahma の各地で患者が確認されている。

● 鳥インフルエンザ モンゴル、中国
PRO/AH> Avian influenza (40): Mongolia, China, wild birds
Archive Number: 20090529.1998
 投稿者:Diann J Prosser、2009年5月28日
The moderator と M Gilbert の両氏が、春に青海(中国)の野鳥でH5N1流行が発生した後、続いてモンゴル中央部でも感染流行が起きるというパターンが繰り返されているとの指摘は正しい (years 2005, 2006, and potentially 2009)。2005年と 2006年に大量死したのは Bar-headed geese _Anser indicus_ であった。2007年と 2008年にわれわれが行った、青海湖で確認された bar-headed geese and ruddy shelduck _Tadorna ferruginea_ についての telemetry studies(遠隔調査)では、春の渡りにおける青海湖 Qinghai Lake (stopover site 立ち寄り場所) と繁殖地であるモンゴル中央部 (Arkhangai province) との関連性が示された。この種の報告が行われるのは初めてである (ref 1)。渡りのタイミング(4月に青海湿地を利用した後、5月中旬にモンゴルの繁殖地に移動することなど)は、この2つの地域間で野鳥による感染伝播が発生する可能性があることを支持する。A/whooper swan/Mongolia/244/2005 (H5N1) を感染させた bar-headed geese の H5N1 challenge studies では、感染した 5羽の個体のうちの 2羽が 6回ないし 7回目の感染で死亡するという mixed results(混乱する結果)が示された (?)。しかし、過去数年間に渡る地球上の広い地域でサーベイランスの努力が続けられているにも関わらず、健康な野鳥で HPAI が検出されることは極めてまれであり、野鳥が効率よく鳥インフルエンザを感染伝播するとの仮説に矛盾している。宿主である野鳥での HPAIウイルス の dynamics(動き)を理解する努力を続けることが、特に 2009年の H1N1ウイルスの新興もあり、H5N1その他の関連ウイル スの感染伝播の潜在性を理解する上で、重要である。 
参考文献 Ref 1: Prosser DJ, Takekawa JY, Newman SH, Yan B, Douglas DC, Hou Y, et al (2009): Satellite-marked waterfowl reveal migratory route between H5N1 outbreak areas in China and Mongolia. IBIS Early View (articles online ahead of print) electronic publication on 18 May 2009

● ブルータング ギリシャ、2008
PRO/AH> Bluetongue - Europe (10): Greece (LS) OIE, BTV-8, 2008
Archive Number: 20090529.1997
[1] OIE Bluetongue, Greece 
 情報源: OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information 2008; 22(13) 、2009年5月29日
報告理由 new strain of a listed disease 
感染開始時期 2008年11月3日 
原因ウイルス bluetongue virus Serotype: 8 
新たな感染発生 Outbreak 1: Lesvos 2, Voreio Aigaio (began 3 Nov 2008) Outbreak 2: Lesvos 12, Voreio Aigaio (began 7 Nov 2008) Outbreak 3: Lesvos 13, Voreio Aigaio (began 6 Nov 2008) 
種/個体数/感染/死亡/廃棄/と畜/ワクチン接種
ヒツジ Sheep / 413 / 11 / 4 / 0 / 0 
[2] SCFCAH
 情報源 Greece - presentations at the Brussels Standing Committee on the Food Chain and Animal Health (SCFCAH meetings) 、2009年5月29日
1. Presentation on 3-4 Mar 2009: bluetongue situation in Lesvos 
2. Presentation on 1-2 Apr 2009: bluetongue situation in Chios 

● トウモロコシ,ダイズの病気 Pythium 米国
PRO/PL> Pythium, maize, soybean - USA: new species (OH)
Archive Number: 20090529.1996
 情報源:Ohio Farmer 、2009年5月21日
湿った土壌のダイズやコーンに発生する water mold(水生菌類)の1種である _Pythium_の、新たな種がオハイオ Ohio 州で確認された。_Pythium delawarii_ はこれまでに報告された 200種の _Pythium_ のいずれとも異なる特徴をもち、new species 新種に分類されると、オハイオ州立大学の研究者が説明した。オハイオ州ではコーンやダイズに発生する 24種が知られている。