2009年6月21日-22日

マラリア P. knowlesi、ヒト インドネシア

● マラリア P. knowlesi、ヒト インドネシア
PRO/AH/EDR> Malaria, P. knowlesi, human - Indonesia: Kalimantan
Archive Number: 20090621.2278
 投稿者: 独・Universitat Munchen、Dr. Med. Nicole Berens-Riha、2009年6月21日
本報告は、インドネシア・カリマンタン Kalimantan で初めて確認された、ヒト _P. knowlesi_ malaria 患者の報告例である。
Kalimantan の重症で合併症のないマラリア患者からの 22の血液検体すべてを、ドイツ・ミュンヘン Munich にあるわれわれの検査室において検査し,臨床的もしくは鏡検の形態学診断により熱帯熱マラリアもしくは熱帯熱と三日熱マラリアの合併感染と診断した。種に関する molecular determination(分子学的同定検査)のため、ヒトに病原性のある 4種のマラリア全てについて nested PCR (polymerase chain reaction, amplifying the small subunit ribosomal RNA gene) 法による検査を行った。検体の由来と _P. knowlesi_ に関する最新ニュースを得ていたため、Singh らが報告した the _P. knowlesi_ specific primers (Singh B et al. Lancet 2004; 363:1017-24.) も増幅反応に加えた。
22検体中 4検体で _P. knowlesi_ が陽性となった。(陽性となった 4検体)全てが _P. vivax_ との混合感染で、_P. falciparum_ の感染が有ったのは 3検体のみであった。4検体目は vivax と knowlesi だけで、_P. vivax_ の弱いバンドと _P. knowlesi_ の強いバンドが示されていた。the ssU rRNA gene の塩基配列解析によりこの PCR の結果が確定された。BLAST and direct alignment programs (alignment with sequences from the ssU rRNA gene published in the nucleotide database of the NCBI) を用いて調べた結果、1つの遺伝子配列がマレーシアで検出された the Nuri S-type strain (gi|86155927|gb|DQ350263.1|[86155927]) と相同性があることが判明した; その他の検体も、多少の違いはあるもの _P. knowlesi_ strains に最も近いもの(match best with)  であった。
この 4人の患者らのマラリア感染は合併症なく経過し artemether-lumefantrine により治療されていた。
the ssU rRNA gene や the csp gene の他の部分の塩基配列解析が現在行われており、詳細について報告する予定である。
Kalimantan(ボルネオ Borneo) において _P. knowlesi_ が報告されることは、ボルネオのマレーシア地域から報告されていることから不思議ではないが、これまでにインドネシア地域から患者が報告されたことはなかった。保有宿主(_Macaca_マカク species) の分布や東南アジアで発生する患者を考えれば、インドネシアの他の地域や島においても _P. knowlesi_ が確認される可能性が極めて高い。
近年アジアのヒトにおいて、猿マラリア(simian malaria)が単独感染、もしくは 4種類のマラリア the genus _Plasmodium_ (_P. falciparum_, _P. vivax_, _P. ovale_, and _P. malariae_) と混合感染しマラリアを発症させたとの研究報告が出されている。20種類以上の the genus _Plasmodium_ がヒト以外の霊長類に感染するが、最近までヒトの猿マラリアの自然感染はまれと見られていた。しかしアジアにおいては、予測されていたよりヒトの _Plasmodium knowlesi_ 感染は多いと考えられる。初めて報告されたヒトでの猿マラリア自然感染は 1965年に東南アジアの任務から帰国した米軍職員であった。2002年に Singhらは、重症化や高度の寄生虫血症などの非典型的な臨床経過が見られる _P. malariae_(4日熱マラリア)症例の増加を指摘した。この原虫は,鏡検では形態学的に _Plasmodium malariae_ と区別できなかった。鑑別には PCR や塩基配列解析などの分子学的手法が必要である。nested PCR assay が確立され、これらのマラリア症例の 50%以上が _P. knowlesi_ であることが判明し、 _P. malariae_(4日熱マラリア)と間違って診断されていたことが分かった。
2001−2006年の間についての後方視研究では、Sarawak, Malaysian Borneo の患者 960人の 28% が _P. knowlesi_ であることが明らかになった。またこのグループは _P. malariae_ が原因とされていた重症マラリアによる 4例の異常死亡例が、後に PCR 法で _P. knowlesi_ であったことを確認している。このほかにも、ヒトの _P. knowlesi_  自然感染例がシンガポール、タイ、フィリピン、中国・雲南省や、これらの国への(フィンランド、米国、スウェーデン)旅行者らで報告されている。

● インフルエンザ A(H1N1)
PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) - worldwide (73): case count, epidemiology
Archive Number: 20090622.2288
[1] Worldwide update - WHO 07:00 GMT+2 Summary table of cumulative cases reported to WHO as of 1 May 2009-22 Jun 2009 
[2] News briefs: 19 Jun 2009 
南北アメリカ: 
Antigua - 初めての感染例確認, 父親が Trinidad を旅行した9才男児
Honduras - H1N1感染による初めての死亡例、妊娠女性 
中東: 
Iran - 初めての感染例確認、USAへの渡航歴 
アジア: 
Philippines - 初めての死亡例、うっ血性心不全、H1N1 confirmed 
アフリカ: 
Ethiopia - 初めての感染例確認(2例)、USAへの渡航歴

● 炭疽 インド
PRO/AH/EDR> Anthrax, human, bovine - India (04): (OR Orissa)
Archive Number: 20090622.2287
[1] 情報源 Times of India 6月16日
人口 1万の部族 the Bondas, a primitive tribal group ではじめて炭疽 anthrax が発生した。Andrahal village in Malkangiri district's
Khairaput block において,10人が感染し,現在まで死亡は報告されていない ... 
[2] 情報源 Times of India 6月20日
the Bondas, a vanishing tribe を襲った炭疽を排除する行動計画が準備されている。Andrahal village in Malkangiri's Khairaput block において,わずか 6000人あまりの同部族のうち,女性2名と10歳児を含め 8人が感染した

● デング熱 サウジアラビア,ブラジル,ベトナム
PRO/EDR> Dengue/DHF update 2009 (25)
Archive Number: 20090622.2286
[1] サウジアラビア Saudi Arabia
 情報源 Arab News 6月17日
691 dengue fever cases have been reported so far this year [2009] in
Jeddah alone, 
[2] ブラジル Brazil (Espirito Santo)
 情報源 A Gazeta Online [in Portuguese] 6月16日
 Espirito Santo has 288 reported dengue cases per day in 2009
[3] ベトナム Viet Nam
 情報源 Thanh Nien News 6月15日
 Over 21 000 dengue fever cases reported

● チクングニア インド
PRO/EDR> Chikungunya (22): India (KA) susp.
Archive Number: 20090621.2282
 情報源: The Times of India、2009年6月21日
Silicon City 市内に不衛生な環境の要因が存在する中で、先月(2009年5月)ウイルス熱やチクングニア Chikungunya 検査のために医療機関 Kadogondanahalli Primary Health Centre (PHC) を訪れた人の数は 350−500人と見られる。医療機関の職員にも感染者が認められた。建築中であるため汚い部署での治療となっている。3人 の "group D" 職員のうち、18年間この施設で働いていた 1人が発熱を訴えた後死亡し、もう 1人は 1週間のウイルス熱後に回復した。絶えず Venkateshpura, D J Halli, K G Halli, Nagawara, Kavalbyrsandra, Hegdenagar and Govindapura からの患者の流入がある。
[Mod.TY− 検査で確定された患者数や、ウイルス熱の病原体が記載されていない]
地図 India showing the location of the Bangalore area in Karnataka 

● 鳥インフルエンザ、ヒト インドネシア
PRO/AH/EDR> Avian influenza, human (103): Indonesia, S. Jakarta, susp.
Archive Number: 20090621.2279
 情報源:Bird Flu Information Corner、2009年6月21日
南ジャカルタ South Jakarta で新たな鳥インフルエンザ Avian influenza による死者が発生した。RT 07/03 Kel. Tegal Parang 在住の 5歳児が 19日死亡した。2005年から今日までに、南ジャカルタにおける H5N1鳥インフルエンザによる死者は合計 13人となった。現地の家畜 Subservice の責任者は、(患児は)スカブミ Sukabumi (West Java) の親戚宅から帰宅後、Pejaten Barat (South Jakarta) の別の親類を訪れていた,と述べた。スカブミ滞在中に多数のニワトリの突然死の報告があった。Pejaten Barat から戻った翌日の 8日、患児と 2人の年下の兄弟たちは高熱を出し解熱剤が処方されていた。一旦解熱したが 13日から再び発熱し Triadapa hospital 病院に入院。詳しい検査を受けた後、一旦帰宅を許された。3日後に状態が悪化し呼吸困難を生じ始めた。再度病院に運ばれ、胸部X線検査で胸水が見つかり鳥インフルエンザ感染が示唆された。2日間の治療後 18日に Persahabatan hospital に転院となったが 4時間後に死亡した(the Indonesia newspaper, Pos Kota の翻訳記事である) 
[Mod.CP- この記事の取り扱いは慎重でなければならない。WHO は 2008年末以降、インドネシアにおいて 1人の H5N1鳥インフルエンザ患者も確認していない。2009年、インドネシア国内の鳥インフルエンザ症例の報告の中でインドネシア保健省もしくは WHO が確認したものはない。臨床検体が検査された事に関する記述がない。火葬されたのであれば、最終的な診断は不可能と考えられる。死亡したのは South Jakarta であるが、Sukabumi, West Java で感染した可能性が高い]

● 水痘、肝炎 スリランカ
PRO/EDR> Chickenpox, hepatitis, IDPs - Sri Lanka: (VA)
Archive Number: 20090621.2275
 情報源:UKTamilNews.com 、2009年6月20日
Vanni [Sri Lanka 北東部の選挙区] から数千人の internally displaced people (IDPs 国内避難民) が逃れてきた Vavuniyaa において水痘と肝炎 Chickenpox, hepatitis が流行している。水痘患者は 12000人以上で、連日新たに 40-50人の 患者が発生している。12日までにおよそ 28万5千人 [2,85,018 in the original text] の IDP が Vavuniyaa の難民キャンプに流入しており、48704人は治療後病院から政府による一時的な診療所へ退院させられてい る。
[Mod.CP- the LTTE (Liberation Tamil Tigers of Eelam) 軍と政府軍との内戦終結後にスリランカ国内に設立された国内難民用キャンプの環境が、感染症拡大の原因となっているようである。内戦のなか、広範囲の地域でワクチン接種が行えないことから、水痘などの小児の疾患が発生することは予想されていた。この水痘感染流行は難民キャンプが解消されるか、もしくはワクチンの提供が行われなければ鎮静化することはないだろう。A型肝炎や B型肝炎などの腸管感染症流行も同じで、ワクチン対策ができない E型肝炎ではさらに深刻である。E型肝炎流行は現在、ウガンダの難民の間でも問題になっている。肝炎流行の対策として、きれいな飲料水や衛生状況が提供されることが必要である]

● 植物の病気(トマト,トウガラシ,イチゴ)インド
PRO/PL> Multiple pathogens, tomato, capsicum, strawberry - India
Archive Number: 20090622.2284
[1] Collar rot & leaf blights, tomato & capsicum - Himachal Pradesh
 情報源 The Indian Express 6月19日
 Fungal attacks blight hopes of capsicum, tomato growers
[2] Common leaf spot, strawberry - Jammu & Kashmir
 情報源 The Indian Express 6月19日
 Disease stalks Jammu's strawberry crop, farmers worried

● 柑橘類の病気,カンキツグリーニング病 米国
PRO/PL> Huanglongbing, citrus - USA: (GA Georgia) quarantine
Archive Number: 20090622.2283
 情報源 Fresh Plaza, The Daily Citizen report 6月18日

● オーツ麦の病気,Fusarium head blight カナダ
PRO/PL> Fusarium head blight, oats - Canada: screening
Archive Number: 20090621.2280
 情報源 Country Guide, Western Edition 、2009年6月16日

● ブルータング、ヒツジ−イスラエル、OIE: BTV-24 
PRO/AH/EDR> Bluetongue, ovine - Israel, OIE, BTV-24
Archive Number: 20090621.2276
 情報源:OIE, WAHID (World Animal Health Information Database), weekly disease information Vol. 22, No. 23, 4 Jun 2009 、2009年6月4日
感染開始時期 2009年3月15日 前回流行時期 2008年12月 
原因ウイルス Bluetongue virus Serotype: 24 
新たな感染流行 
発生地 (EN HAZEVA) EN HAZEVA, Hadarom, HADAROM、農村 
種/個体数/感染/死亡/廃棄/と畜
Sheepヒツジ / 1000 / 300 / 240 / 0 / 0