2009年6月30日-7月1日

ペスト アルジェリア
インフルエンザ A(H1N1) ヒトからブタへの感染,オセルタミビル耐性

● ペスト アルジェリア
PRO/AH/EDR> Plague, bubonic - Algeria: RFI 20090701.2379
 情報源:Free Republic, The Media Line report、2009年6月29日
リビア国境周辺地域などで、50人のペスト患者が報告されている
北アフリカ各国は、国内の腺ベスト Plague, bubonic 感染拡大防止強化策を、予防的にさらに高める方針を取っている。
ロンドン London に本部のある Al-Quds Al-'Arabi によると、アルジェリアではリビア国境から 15km以内で 2人の死亡を含めた数人の患者が発生するなど、50例のペスト患者を報告している。このためアルジェリア政府当局は、リビアとの国境での医療監視を強化した。当局は Bedouin ベドウィン族の人々が Illizi 州から国境を越えてリビアに移動し、アルジェリアに病気を持って再び戻ることを懸念している。WHO 広報担当者は、この地域の齧歯類がペストを伝播するのが確認されていると話した。しかし 25年間ヒトでの感染は起きていなかったとし、原因調査中であるが恐らくノミに曝露した可能性が高く、ヒト-ヒト感染する肺ペストではないため、感染したヒトで感染は終了すると説明した。
エジプト、チュニジア、アルジェリア、モロッコの各国政府当局は、ペスト封じ込めのため緊急対策を実施している。エジプト国境から 150km離れた、リビア沿岸部の Tubruq 市で 13人が腺ペストに感染したことを受け、6月にエジプトはリビア国境を封鎖した。リビアのメディアは、ペストによる死者を 1ないし 3人と報道している。アルジェリアとリビアの間の国境は全長 982kmにも 及び、監視の届かない国境を越えたヒトとモノの交流が連日行われている。一部には、ペスト流行はラクダ肉の摂食や camel fly (ラクダについた虫) の刺咬に関係するとの見方もある。かつてはリビア、ヨルダン、最近では 2005年のサウジアラビアで、汚染されたラクダの肉がペストの原因として報告されている。
地図 Algeria 

● インフルエンザ A(H1N1)(3件)
PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) - worldwide (79): case count 20090701.2372
[1] WHO
Summary table of cumulative cases reported to WHO as of 1 May 2009 -- 29 June 2009
 情報源: WHO 、2009年6月29日
国別: 患者数 (死者) May 1 / 8 / 15 / 22 / 29 / Jun 5 / 12 / 19 / 26 / 29
総報告国数: 13 / 25 / 34 / 42 / 53 / 69 / 74 / 87 / 105 / 108
総報告患者数: 367(10) / 2500(46) / 7520(65) / 11 168(86) / 15 510(99)/ 21 940(125) / 29 669(145) / 44 287(180) / 59 814(263) / 70 893(311)
[2] 南北アメリカ - PAHO
 情報源: PAHO H1N1 website、2009年6月29日
 Grand total: 55 766 (311)
[3] News briefs: 30 Jun 2009

PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) - worldwide (80): Argentina, human to pig
Archive Number: 20090701.2376
 情報源 DEFRA,、2009年6月26日
Global Animal Health - International Disease Monitoring.Preliminary OutbreakAssessment.Reference: VITT 1200 / H1N1 Influenza A in Argentina pigs 
1.はじめに
アルゼンチン政府当局は、ブエノスアイレス Buenos Aires 地方の 1か所の商業養豚場において、インフルエンザ A(H1N1) の感染流行が発生したと報告した。報告の中で当局は、この感染流行を "a new emerging disease(新興疾患)" と位置づけている。感染の導入は、2009年6月7−9日にかけてインフルエンザ症状を発症した、この農場の複数の従業員であるヒトからブタへの感染伝播と見られている。報告によるとこの農場は、2008年7月に採用した自所内の restocking system から、restock(動物の供給)を行っていた [=ほかからの動物・ブタは入っていない]。感染したブタは 6月24日まで症状が認められていたが、現在は回復している。報告では、(各年齢の混じった)合計 5500頭以上のブタの30%に感染が認められたが、死亡例は発生していないとされている (OIE, 2009)。
2.感染発生状況の評価
家畜のブタのインフルエンザ A(H1N1) 確認が、"a new emerging disease"として OIE に報告されるのは今回で 2件目である。1件目は 2009年4月カナダのブタでの発生報告である。ブタのインフルエン ザ A(H1N1) の潜伏期間はやや短い (多くは数日間)。2008年中旬に restocking system が導入実施されていることから、以前からこの施設のブタに気づかれないままウイルスが存在していたとは考えにくい。WHO は最近今回の新型インフルエンザA(H1N1) が世界的パンデミックのレベル 6にあると宣言した。今日までおよそ 6万人の感染が検査により確定され、死者は 263人であると報告されている。105カ国からウイルス感染の確定が報告されている。数カ国から死亡発生の報告があり、主に基礎疾患のある人たちであった。The World Organisation for Animal Health (OIE 国際獣疫局) の加盟国に対する以前の勧告は今も有効である。すなわち、動物の臨床症状に注意する;衛生的に取り扱われた豚肉およびその加工品は感染源とならない;これらの製品に関するいかなる制限も正当性はない;動物衛生上の理由によるブタの処分は推奨せず、処分は国際動物福祉基準に沿って行われなければならない。 英国ウェーブリッジ Weybridge の the Veterinary Laboratories Agency (VLA 獣医学研究局) の協力を得て EU の調査グループは、ヒトからの新型変異インフルエンザ A(H1N1) ウイルスに感染したブタに関する予備的検査を完了した。
要約すると naive pigs(これまでにウイルスに感染したことがないブタ)に経鼻的にウイルスを接種すると、(口と目から)感染の 1−10日後まで (ピークは 3−5日後)、ウイルスが排泄された。経直腸的ウイルス排泄やウイルス血症は認められなかった。感染していないブタを感染ブタの中に入れても、接触によりウイルスに感染した。感染したブタはすべて軽症ないし中等度の臨床症状と病理学的所見を示した。
これまでに蓄積されたエビデンスから、the new variant Influenza A/H1N1(新型変異インフルエンザA/H1N1)は基本的にヒト-ヒト感染の状態のままであり、概ね患者の症状は軽症である。ブタでこのウイルスを 実験的に感染させたデータによると、感染は気道に限局されウイルス血症は特徴的ではない。ブタにおいても軽症であった。別のシチメンチョウへのウイルス感染の実験では感染が成立しなかった。アルゼンチンは EUに対して豚肉・加工品の輸出認可を受けていない。豚獣医学協会は養豚業者に対して、新型イ ンフルエンザA(H1N1)導入のリスクから飼育されているブタを守るための勧告を行った。
3.結語
これまでの情報に基づけば、豚肉などの輸入が認可されていないアルゼンチンから英国にインフルエンザ A(H1N1) が持ち込まれるリスクは無視しうる程度と考えられる。この最新報告は、英国のブタへの新たなインフルエンザ導入経路として養豚場と直接・間接の接触のある感染者の可能性示唆された。このためインフルエンザが疑われる症状のあるブタの監視を継続し、検体を採取して関係当局に提出し、常に養豚場の biosecurity measures を維持することが重要である。引き続き推移を見守りたい。
[Mod.CP- 2009年(ブタ由来)A(H1N1) インフルエンザウイルスのヒトからブタへの感染伝播の初めての記録報告であり、(ヒトとブタの)2つの宿主から得られたウイルスを分子学的に比較し検証することが必要である。以前の ProMED-mail で報告されたように、カナダの農場でウイルスに感染したブタの感染源は判っていない。当初疑われたメキシコから帰国した作業員は感染していないことが証明され、今も感染源は不明のままである]

PRO/AH/EDR> Influenza A (H1N1) - worldwide (78): Tamiflu resistance, DK
Archive Number: 20090630.2359
 情報源:BBC News、2009年6月29日
豚インフルエンザ Influenza としては初めて、パンデミック対策の主要薬剤である Tamiflu [oseltamivir] に対する耐性ウイルスが確認されたことを研究者が報告した。Roche Holding AG 社は、デンマークの H1N1インフルエンザ感染患者がこの抗ウイルス薬に耐性であったことを確認した。同社取締役は、季節性インフルエンザでもそうであったように、予想外のことではないと述べた。この情報は 9歳の少女が英国で 3人目の豚インフルエンザによる死亡患者となる中、明らかにされた。Birmingham Children's Hospital のこの女児の主治医は、女児には基礎疾患が有ったことを明らかにした。豚インフルエンザと女児の死亡との因果関係は明らかになっていない。保健当局はイングランド England における豚インフルエンザ感染確定患者数は 26日から 1604人増え、一気に 5937人に達したと発表し た。英国内での定期的なサンプリングによると、現在のところ oseltamivir や zanamivir への耐性は確認されていないと、健康保護局の当局者は説明した。医療の専門家は市中での H1N1拡大防止のためタミフル oseltamivir を使用しており、早期に服用されれば症状は緩和され他への感染抑制にもつながる。この初めての薬剤耐性例はタミフルを服用した豚インフルエンザ患者で見つかった。市中にタミフル耐性の H1N1 が感染循環しているわけではない点が強調されている。2009年にタミフル耐性ウイルスが登場し、(耐性ウイルスが) 世界中に広く蔓延している、季節性 H1N1インフルエンザとは事情が異なる。専門家らの間では、もしこのようなこと(豚インフルエンザでのタミフ ル耐性蔓延)が起きれば、タミフルによる治療効果が期待できなくなることが懸念されている。zanamivir or Relenza と呼ばれる GlaxoSmithKline 社が製造するもう1種類の抗ウイルス薬も、豚インフルエンザに対して有効である。英国政府は、これらの抗ウイルス薬を備蓄し現在人口の半数を治療できるだけの量を確保し、できる限り 80%まで引き上げることを約束している。またインフルエンザワクチン flu vaccine も発注されており、2009年秋には第 1回の接種が可能となる予定である。当局は、今後も抗ウイルス薬耐性を注意深く見守り、感染流行の期間中定期的なサンプルの検査を実施していくとした上で流行当初から抗ウイルス薬耐性を監視しているが、英国内で両剤に対する耐性確認されていないとの説明した。ウイルス学の専門家は、この発見には驚いていないが今後どのように拡大するかが問題であり、まもなく答えが出るだろうと述べた。 
[Mod.CP- the European Influenza Surveillance Scheme Weekly Electronic Bulletin of 26 Jun 2009 によると、他の地域においては季節性インフルエンザ A(H1N1) の Tamiflu 耐性が認められているものの、検査されたすべての季節性インフルエンザ A(H1N1) ウイルスは oseltamivir および zanamivir に感受性があり M2 inhibitors には耐性であったと報告している。今のところ比較的軽症であるこの疾患に、広くそしてやや無分別にタミフルが使用されていることを考えれば、Tamiflu-resistant 2009 swine-origin A H1N1 influenza virus の登場は驚くには値しない。今後この Tamiflu 耐性ウイルスが、欧州や欧州を飛び越えて別の場所に広がりを見せるかに注意しなければならない。デンマークで分離されたこの耐性ウイルスは、代替のノイラミニダーゼ阻害薬である Relenza には感受性が残されていると考えられる] 

● ブルセラ症 ロシア
PRO/AH/EDR> Brucellosis, livestock, human - Russia: (OM)
Archive Number: 20090701.2380
 情報源 Omsk KP [in Russian]、2009年6月27日
2つの地区 Lyubinskiy and Sherbakulskiy (Zameletenovka, Astrahanovka, Chadskoye, and Sherbakul villages) において、ブルセラ症 Brucellosis が確認されている。獣医師らはヒツジ、ウシ、ブタのブルセラ症感染を確認した。隔離対策が実施されている。
ロシア衛生監視当局は、感染動物と接触のあった可能性のある 300人のメディカルチェックが行なわれ、300人中 39人はブルセラ症の検査陽性であり、8人が病院で治療を受けた。感染が疑われる患者らは、オムスク Omsk 感染症病院に送られた。
[Mod.LL−ブルセラ症の診断が臨床的に行われた (原因不明の発熱患者で、感染動物や乳製品の曝露があった) のか、特異抗体検査による血清学的診断だったのか、記載されていない。ヒト-ヒト感染は通常起 こらないことから、隔離措置は、おそらく家畜に行われたのであって、ヒトに対して行われたのではないと思われる。]
地図 Omsk、oblast (province) of Russia, シベリアSiberia南西部 

● 病原大腸菌 O157 米国(2件)
PRO/AH/EDR> E. coli O157 - USA (05): refrigerated cookie dough, CDC
Archive Number: 20090701.2381
 情報源:US Centers for Disease Control and Prevention (CDC)、2009年6月30日

PRO/AH/EDR> E. coli O157 - USA (04): refrigerated cookie dough
Archive Number: 20090630.2371
 情報源:US Food and Drug Administration (FDA) press announcement、2009年6月29日
29日,米国食品医薬局 Food and Drug Administration (FDA) は、製造販売者である Nestle USA. が自主回収していた、包装販売の Nestle Toll House クッキー生地 (dough) のサンプルから、病原大腸菌 O157:H7(重症食中毒の原因菌)が確認されたことを明らかにした。汚染が見つかったこのサンプルは、25日にバージニア Virginia 州 ダンビル Danville の同社工場で採取されたものであった。19日 FDA と CDC 疾病対策センターは、病原大腸菌 O157による汚染の可能性があるとして、消費者らにいずれの Nestle Toll House refrigerated cookie dough も摂取しないよう注意を呼びかけた。25日現在、29の州の 69人がこの感染流行の原因菌に感染していると CDC が報告している。34人が入院し、9人は重症合併症である溶血性尿道症症候群を発病しているが、死者は出ていない。今後この検出された菌が、感染流行の原因となった菌と同じであるかについてさらに詳しい検査が必要である。

● ムンプス 英国
PRO/EDR> Mumps - UK (08): (England)
Archive Number: 20090630.2370
 情報源:Times & Star、2009年6月29日
カンブリア Cumbria でムンプス Mumps 流行性耳下腺炎 の流行があり、郡全体で患者数が増加している。
22日の週、新たに 11人の感染が疑われる患者が確認されてお り、その多くは 18−25才の年齢層であった。2009年のこれまでにカンブリアで感染確認されたムンプス患者数はわずか 12例であるが、最新の集団発生により患者数が 23まで増加する可能性がある。2008年の 1年間の患者数は 29例であった。公衆衛生副局長の医師はここ数年ムンプス患者数の増加が、特にティーンエイジャーと若年者の間で目立っていたが、感染が広がりやすく一部の患者で不妊の原因ともなるムンプスウイルスは問題化する恐れがあると述べた。秋期の大学などへの新入生は MMR [measles 麻疹, mumps ムンプス, and rubella 風疹] の 2回接種が済んでいない場合、主治医に相談して追加接種を受けて欲しいと呼びかけた。"ムンプスは非常に重症化する可能性があるが、予防は簡単" と話した。ムンプスウイルス感染により発熱、頭痛、顔面・頚部・あごの有痛性のリンパ節腫脹が生じ、患者の多くは軽症であるが、一部で重症化する可能性のある合併症がおきる。予防のためには MMR ワクチンを確実に 2回接種を受けることで、通常就学前の児童に行われている。
[Mod.CP- 英・健康保護局 Health Protection Agency によると、MMR ワクチンが 1988年に導入される以前は、ムンプスは学齢期の児童に発生することがほとんどで、成人の 85%以上で既往感染が確認されていた。毎年約1200人以上の入院理由となっている。MMR ワクチンが導入された 1988年10月にムンプスは英国の法定(届出)伝染病 になった。MMR ワクチンのカバー率情報により、英国でのムンプス感染伝播は激減し、予防接種年齢を過ぎた人たちも含めた全ての年齢層のムンプス感染を減少させた。1999年以降、ムンプスと確定診断される症例数が有意に増加しているが、そのほとんどが 1988年の MMRワクチン導入や 1996年からの 2回目の接種に間に合わなかった年代の青年および若年者である。彼らは小児期にムンプスの自然感染に曝露されることなく、感受性を有した状態のままであった。2004年後半、臨床診断および確定診断されたムンプス感染症例はさらに増加し、確定診断された患者の多くが 1980−87年の間に出生してお り、高等教育施設内を中心にアウトブレイクが発生した。現在英国では 3価 MMRワクチン接種が不完全な人たちがいるために市中のムンプス感染循環が続いている状態にあり、今回のカンブリアの感染流行や英国内の他の地域でのアウトブレイクで見られるとおり、若年層が罹患しやすい状態におかれている]

● 鳥インフルエンザ ロシア、家禽か渡り鳥か
PRO/AH/EDR> Avian influenza, poultry vs migratory birds (03): Russia (TU) 20090701.2377
 情報源:DEFRA、2009年6月26日
Global Animal Health - Int Dis Monitoring. Prelim Outbreak Assessment (VITT/1200)
1.症例報告
ロシア政府は、Respublika Tyva Region (トゥバ共和国内)で死亡して発見された 58羽の野鳥の H5N1 HPAI 感染流行を報告した。
2.発生状況の評価
2009年2月、香港当局は 11件の死亡して海岸に打ち上げられたり内陸部で発見されたりした野鳥 (2 corvids, a heron アオサギ, a falcon ハヤブサ) もしくは家禽の H5N1 HPAI 事例を報告している。5月には中国 青海湖の野鳥で 1件の H5N1 HPAI 感染流行が報告された。報告によると 107 great crested grebes カイツブリ, 3 bar headed geese ガン, 11 brown headed gulls カモメが死亡して発見されたことが示されている。モンゴルでは 5月にアルハンガイ Arkhangai 県の渡りをする whooper swans(オオハクチョウ)の H5亜型 HPAI 感染流行が報告されている。これらの報告は 2005年に東南アジアとロシア南部シベリア Siberiaで発生したのと同じパターンを辿っているようである。後から考えてみると、2005年のこれらの報告は(その後に発生した) 欧州やアジア 全域の広い地域にわたる多くの国々で HPAI H5N1感染流行が発生する前触れ(開始のサイン)であったことが判っている。今回の報告が今後どこまで広がることになるかは未知数である。また今回の報告は、2005年に分離されたウイルスと同じウイルスが再興したものであるのか、それとも新たなウイルス株が関係するのかも判っていない。現在の報告数は 2005/6年ほどではないが、それ以降では最も多い。これまでの報告によると、2005年の青海湖では 6000羽以上の野鳥が感染した。2006年の感染は約 900であった。2005年と 2006年のモンゴルの数値は(中国より?) 少なかった。2006年、ロシアの Uvs Noor lake 地域から 4000羽以上のカイツブリ grebes の H5N1 HPAI 感染が報告された。ロシアはまた 6つの地域において 120件以上の家禽の H5N1 HPAI 感染流行を報告している。これらの地域では野鳥の死亡も確認されている。その後、欧州 アジア アフリカの広い地域で H5N1 HPAI 感染が報告された。2005年から 2006年の感染拡大の中で採取された検体の調査により、モンゴルの渡り鳥のオオハクチョウが他の野鳥との接触によって感染する歩哨種 sentinel species の役割を果たす可能性が示唆されている。モンゴルから青海湖、ミャンマーへの渡りのルートに関する詳しい研究は、当時のこの地域の野鳥から分離され得られたウイルス間の系統発生上の関連性を裏付けるものであった。2009年の東南アジアとエジプトの家禽で、H5N1 HPAIの発生概数の増加が見られている。これに一致して野鳥での発生件数の増加が認められていることは、地域内の野鳥のサーベイランスが機能していることを示唆する。ある年から翌年への流行サイクルには、しばしば population changes(鳥類の種の構成・個体数変化)や免疫反応の持続性との関連性が認められてきた。DEFRA は EC の勧告に従った野鳥サーベイランスシステムに協力する
3.結語
われわれは、(H5もしくはH7型) 高病原性鳥インフルエンザが英国の家禽で発生するというリスクが、低いまま継続して存在し、最新の報告からリスクが大きく変化していないと考えている。家禽の飼育者らは、家禽の健康状態に注意し、感染が疑われる時は直ちに報告し、年間を通じて十分な biosecurity のレベルを維持することが重要である点を再認識させられた。

● 東部ウマ脳炎 米国、ウマ 
PRO/AH> Eastern equine encephalitis, equine - USA (03): (FL) 20090701.2378
[1] Leon County
Two horses in eastern Leon County euthanized after testing positive for encephalitis
東部 Leon 郡でウマ2頭が脳炎の検査陽性のため安楽死
 情報源: Tallahasse.com, Tallahassee Democrat report 、2009年6月22日
Leon 郡の衛生当局は、2頭のウマの蚊族媒介性 eastern equine encephalitis [EEE] 感染例を確認し、リスク増加に対する注意を呼びかけている。郡内で飼育され Tung Grove Road  と Louvenia Drive に放牧されていた。6月19日に感染が確認され、安楽死させられた
[2] Clay County reports EEE in horses
Clay郡でウマのEEEの発生が報告された
 情報源: First Coast News、2009年6月24日
クレー Clay County Health Department およびフロリダ Florida 州衛生局は、3頭のウマの EEE 検査が陽性となったことを報告した。...
蚊族媒介性疾患に関する詳しい情報 the Florida Department of Health's website 
[ModTG- Eastern equine encephalitis (EEE 東部ウマ脳炎) は蚊族媒介性ウイルス疾患で、EEE ウイルスは主に米国の東半分に発生する。ヒト、ウマ、一部のトリが発病する。高い致死率のため、米国では最も重症度の高い蚊族媒介性疾患の1つとなっている。EEEV は感染性の蚊族の刺咬によりヒトに伝播される。蚊族の刺咬から EEE 発症までの期間はおおよそ  3−10日間である。主な感染サイクルは鳥類と蚊族間で行われている。多くの種類の蚊族が EEEV に感染する。鳥類−蚊族間のウイル ス感染サイクル維持に最も重要な蚊族は_Culiseta melanura_で、freshwater hardwood swamps(淡水で硬木の生えた湿地)で繁殖する。しかし _Culiseta melanura_ は鳥類しか吸血しないことから、ウマやヒトの EEEV 曝露にとっては重要なベクターではないと考えられている。ヒトやウマへの感染伝播 には感染した鳥類とほ乳類の間を橋渡しできるような _Aedes_(シマカ), _Coquillettidia_, _Culex_(ヤブカ) species といった蚊族が必要とされる。ウマは EEE に感受性があり、ほとんどの場合死亡する。しかし、終末 "dead-end" 宿主と考えられているウマの EEEV 感染発生は、ヒトにとってはそれ程リスクにはならない (ウマの血中 EEEV の量は再び蚊族を感染させるのに不十分なため)]

● 炭疽 カナダ、ウシ  
PRO/AH> Anthrax, bovine - Canada: (SK)
Archive Number: 20090630.2369
 情報源:CountryGuide (Eastern Edition)、2009年6月29日
西部サスカチュワン Saskatchewan 州の1か所の農場の 1つ群れの中のウシ 1頭が、2009年春夏のカナダ西部の家畜としては初めての弧発の炭疽 Anthrax 感染例として確認された。カナダ食品監視局は 6月26日、この症例は the RM of King George (Rosetown/Outlook area)のある農場で、6月3日に報告されたことを明らかにした。カナダ平原の土壌中には、炭疽感染の原因となる芽胞が存在することが知られており、炭疽感染例の発見は "common(よくあること)" と当局は述べている。今年の放牧時期の発生は低調であるが、炭疽感染地域とされている地方の飼育者らは、獣医師とワクチン接種について相談するよう勧めている。 
[Mod.MHJ- まだ時期が早いため、夏の終わりまでにさらに炭疽感染が発生する可能性がある。しかし、カナダ政府当局は Alberta, Saskatchewan, and Manitoba におけるワクチン接種を精力的に進めている。近年、平原全域で感染流行が発生していることから判るように、感染感受性のある放牧牛を待ち受けるかのように、あちこちに多くの汚染個所が点在している]

● 狂犬病 米国
PRO/AH/EDR> Rabies, fox, human exposure - USA: (NC)
Archive Number: 20090630.2360
 情報源:InjuryBoard.com, North-east Carolina、2009年6月28日
Durham and Orange の両郡で、狂犬病 Rabies の動物による被害がくり返し報告されていることから、ノースカロライナ North Carolina 州北東部では今も野生動物に狂犬病感染が発生している事実が再認識された。最近 Durham の 4才の少女が、保育園の柵に囲まれた庭に柵をよじ登って侵入したキツネ1匹の咬傷を受けた。数時間後に Chapel Hill でも、別の 1匹が 2人の女性を襲ったと報じられている。野生動物に襲われたり、ペットが攻撃された場合には、狂犬病が公衆衛生上の問題となる可能性がある。狂犬病は非常に危険な疾患である;治療されない場合死亡する。このように危険な病気ではあるが、州北東部でヒトやペットが狂犬病に遭遇する機会は比較的まれである。ペットの中ではネコが最も感染することが多い。毎年狂犬病が報告される動物の大多数がアライグマ、スカンク、コウモリ、キツネなどの野生動物に発生する。飼っているペットの狂犬病ワクチン接種状態が最新のものであることを確認することが重要である。狂犬病の予防接種を受けていないか、または 3年以上追加接種を受けていないペットが狂犬病に曝露した可能性がある場合、10日間隔離した上、その動物が狂犬病を発症するかどうかを観察する。感染があったと考えられるペットは 6ヶ月間隔離しなければならないが、多くの家庭はその費用を出すことができないため、安楽死させざるを得ない。狂犬病は、狂犬病動物の咬傷により感染することが多く、曝露した場合に感染のリスクを減少させる効果的な手段として、石けんと水でキズをよく洗うことが CDC により勧められている。また 28日間に 6回の注射を受ける必要がある。 
[Mod.CP- 咬傷の日時は明らかにされていないが、これまで ProMED-mail に登場したことのない患者と思われる。狂犬病動物のその後や、患者らの治療に関しても記載がない]